=“コロナ事態下”の労働運動:医師ユニオン (『労働情報』)=
◆ 新型コロナウイレスとの闘いと全国医師ユニオンの活動
◆ 新型コロナへの日本の対応
今年2月以降、新型コロナウイルス感染症は世界的に広がりをみせ、3月に入り欧米の諸国の一部では感染爆発による医療崩壊が起きた。日本でも流行防止策を求める指摘があったが、抜本的な対策は取られなかった。
むしろ国がPCR検査を保健所に一本化したことにより日本のPCR検査数は先進国最低となり、感染者の確認が行われにくい状況が作られた。
安倍総理は3月半ばまで「完全な形でのオリンピックの実施」を掲げていた。
4月7日になってようやく「緊急事態宣言」が出され、安倍総理は「医療現場を守るため、あらゆる手を尽くす」としたが、多くの医療現場には何の支援も届かなかった。
◆ 日本の脆弱な医療体制
医師不足の日本では、平時でも病院勤務医の4割は過労死ラインを超え、1割は過労死ラインの2倍を超えて働いている。
また、イタリアの人ロ10万人に対する集中治療室の数は12床であるが、日本は5床にすぎず、医療体制が充実しているドイツでは30床近くある。
医師不足の中で、一部の大学病院では大学院生が最低賃金レベルで強制的に新型コロナウイルスの診療に駆り出されている。
◆ 医師ユニオンの厚労省要請
このような状況の中で、私たち全国医師ユニオンは、4月16日に厚労省要請を行い記者会見を開催した。要請は以下の4点である。
①検査体制の抜本的な強化、
②サージカルマスク等の感染防護具の医療機関への優先的供給、
③医療従事者の労務管理の徹底、
④医療機関と医療労働者への経済的保障の徹底。
その後、日本労働弁護団と協力し労災認定を広く行うことを求め、労災認定に関するQ&Aを作成し公表している。
◆ 現場の医師の声を集める
さらに、私たちは「COVID-19の検査・治療に従事する医師への緊急調査」を実施した。
調査結果では、
①国として「対応できているとは言えない」が48・4%、「全く対応できていない」が20・3%であった。
②院内感染に関関しては、感染の不安はないはわずか8・7%にすぎず、9割の医師が自身の感染リスクに不安と回答している。
③新型コロナウイルス診療を専任で行っているのは4・7%のみで、多くの診療科の医師が通常診療と兼務で診療に従事していた。また、診療に志願したが23・8%、業務命令で「可能であれば参加したくない」が23・3%であった。さらに診療医師の1割は研修医であった。
④労働条件として危険手当があるは18・6%のみであった。雇用「契約書がない」が19・8%、残業代なしが24・4%と労基法違反がまかり通っている。
このためか5割を超える医師が新型コロナウイルスの診療を辞めたいと思うことがあると回答している。
この他に5月16日にはシンポジウム「COVID-19と闘う医療現場の実状」を開催し情報発信を行った。
新型コロナウイルスとの闘いは長期戦となるため、私たちは今後も国民と現場の医師を守るために積極的に活動を進めるものである。
『労働情報』(2020年7月)
◆ 新型コロナウイレスとの闘いと全国医師ユニオンの活動
植山 直人 全国医師ユニオン代表
◆ 新型コロナへの日本の対応
今年2月以降、新型コロナウイルス感染症は世界的に広がりをみせ、3月に入り欧米の諸国の一部では感染爆発による医療崩壊が起きた。日本でも流行防止策を求める指摘があったが、抜本的な対策は取られなかった。
むしろ国がPCR検査を保健所に一本化したことにより日本のPCR検査数は先進国最低となり、感染者の確認が行われにくい状況が作られた。
安倍総理は3月半ばまで「完全な形でのオリンピックの実施」を掲げていた。
4月7日になってようやく「緊急事態宣言」が出され、安倍総理は「医療現場を守るため、あらゆる手を尽くす」としたが、多くの医療現場には何の支援も届かなかった。
◆ 日本の脆弱な医療体制
医師不足の日本では、平時でも病院勤務医の4割は過労死ラインを超え、1割は過労死ラインの2倍を超えて働いている。
また、イタリアの人ロ10万人に対する集中治療室の数は12床であるが、日本は5床にすぎず、医療体制が充実しているドイツでは30床近くある。
医師不足の中で、一部の大学病院では大学院生が最低賃金レベルで強制的に新型コロナウイルスの診療に駆り出されている。
◆ 医師ユニオンの厚労省要請
このような状況の中で、私たち全国医師ユニオンは、4月16日に厚労省要請を行い記者会見を開催した。要請は以下の4点である。
①検査体制の抜本的な強化、
②サージカルマスク等の感染防護具の医療機関への優先的供給、
③医療従事者の労務管理の徹底、
④医療機関と医療労働者への経済的保障の徹底。
その後、日本労働弁護団と協力し労災認定を広く行うことを求め、労災認定に関するQ&Aを作成し公表している。
◆ 現場の医師の声を集める
さらに、私たちは「COVID-19の検査・治療に従事する医師への緊急調査」を実施した。
調査結果では、
①国として「対応できているとは言えない」が48・4%、「全く対応できていない」が20・3%であった。
②院内感染に関関しては、感染の不安はないはわずか8・7%にすぎず、9割の医師が自身の感染リスクに不安と回答している。
③新型コロナウイルス診療を専任で行っているのは4・7%のみで、多くの診療科の医師が通常診療と兼務で診療に従事していた。また、診療に志願したが23・8%、業務命令で「可能であれば参加したくない」が23・3%であった。さらに診療医師の1割は研修医であった。
④労働条件として危険手当があるは18・6%のみであった。雇用「契約書がない」が19・8%、残業代なしが24・4%と労基法違反がまかり通っている。
このためか5割を超える医師が新型コロナウイルスの診療を辞めたいと思うことがあると回答している。
この他に5月16日にはシンポジウム「COVID-19と闘う医療現場の実状」を開催し情報発信を行った。
新型コロナウイルスとの闘いは長期戦となるため、私たちは今後も国民と現場の医師を守るために積極的に活動を進めるものである。
『労働情報』(2020年7月)
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