◆ 懲りない原子力政策 (東京新聞【本音のコラム】)
声を大きくして言うしかない。わが故郷・青森県に建設されている、県内最大の工場のことだ。
建設開始から二十七年たったが、竣工(しゅんこう)式はまだ一度も行われていない。竣工しないからだ。
高レベル放射性廃棄物が、工場の最も重要な建屋に漏れて、汚染されている。
建設費は当初七千億円といわれたが、これまで三兆円をかけた「未完工場」である。もっとも危険な核施設、使用済み核燃料の「再処理工場」は、稼働の見通しはない。
民間企業ではあり得ないが、税金と電気料金が無限に注ぎ込まれている。
「来年できます」「再来年には」ともう二十四回もウソをついてきた。
一三兆円ものムダな投資はやめようとの声はあがらない。
日本原発行政の「扇の要」と位置づけられた「核燃サイクル」。
絵に描いた餅のアンコの部分が再処理工場だ。
この工場が運転停止になったのは、二〇〇九年。高レベル廃液をガラスと混合してガラス固化体をつくる、高さ二十四メートルの「ガラス固化セル」で、廃液が床上に漏洩(ろうえい)しているのが発見されて運転停止。
危険性は福島事故後のメルトダウンで証明済みだ。
汚染された固化セルのなかには、誰も入れない。
住民に影響がなかったのがせめてもの幸いだった。それから今日まで停止したまま。それでもだれも廃止を宣言しない。
『東京新聞』(2020年7月14日【本音のコラム】)
鎌田 慧(かまたさとし・ルポライター)
声を大きくして言うしかない。わが故郷・青森県に建設されている、県内最大の工場のことだ。
建設開始から二十七年たったが、竣工(しゅんこう)式はまだ一度も行われていない。竣工しないからだ。
高レベル放射性廃棄物が、工場の最も重要な建屋に漏れて、汚染されている。
建設費は当初七千億円といわれたが、これまで三兆円をかけた「未完工場」である。もっとも危険な核施設、使用済み核燃料の「再処理工場」は、稼働の見通しはない。
民間企業ではあり得ないが、税金と電気料金が無限に注ぎ込まれている。
「来年できます」「再来年には」ともう二十四回もウソをついてきた。
一三兆円ものムダな投資はやめようとの声はあがらない。
日本原発行政の「扇の要」と位置づけられた「核燃サイクル」。
絵に描いた餅のアンコの部分が再処理工場だ。
この工場が運転停止になったのは、二〇〇九年。高レベル廃液をガラスと混合してガラス固化体をつくる、高さ二十四メートルの「ガラス固化セル」で、廃液が床上に漏洩(ろうえい)しているのが発見されて運転停止。
危険性は福島事故後のメルトダウンで証明済みだ。
汚染された固化セルのなかには、誰も入れない。
住民に影響がなかったのがせめてもの幸いだった。それから今日まで停止したまま。それでもだれも廃止を宣言しない。
『東京新聞』(2020年7月14日【本音のコラム】)
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