◆ 「専守防衛」から「先取反撃」へ (東京新聞【本音のコラム】)
小学生の頃、戦後まもなぐだったが、悪ふざけしたりすると、教師が前へ出ろ、と言ってビンタを張った。予科練帰りの助教員がベルトを抜いて振りまわしていた。
何年かたって帰郷した時、君たちとは会いたくないんだ、と先生が言った。トラウマに苦しんでいると私は理解した。
たったこれだけのことだが、戦争が破壊したものは何十年たっても精神的に遺(のこ)っている。
ロシアのウクライナ侵略があって、バイデン米大統領が訪日した。
「日米同盟の抑止力、対処力を早急に強化」「日本の防衛を抜本的に強化」「防衛費の相当な増額を確保」。
ロシアの恐怖を背景に、あっという間に決めた「先取反撃体制策」だ。
バイデン氏は記者から「台湾有事への軍事的関与」について質問され「イエス。それが我々のコミットメント(誓約)だ」とまで言ってのけた。
「台湾有事は日本有事」と強弁する安倍元首相を喜ばせる回答だった。
「国の交戦権は、これを認めない」。この憲法の精神を私たちは誇りとしてきた。
軍事行動は軍事訓練なくしては成立しない。それが暴力を認め、暴力に依拠する教育を生みだした。
日本の教育を歪(ゆが)めた元凶である。
「武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」。
平和のために、人を殺さない。戦争は理想の虐殺だ。
『東京新聞』(2022年5月31日【本音のコラム】)
鎌田 慧(かまたさとし・ルポライター)
小学生の頃、戦後まもなぐだったが、悪ふざけしたりすると、教師が前へ出ろ、と言ってビンタを張った。予科練帰りの助教員がベルトを抜いて振りまわしていた。
何年かたって帰郷した時、君たちとは会いたくないんだ、と先生が言った。トラウマに苦しんでいると私は理解した。
たったこれだけのことだが、戦争が破壊したものは何十年たっても精神的に遺(のこ)っている。
ロシアのウクライナ侵略があって、バイデン米大統領が訪日した。
「日米同盟の抑止力、対処力を早急に強化」「日本の防衛を抜本的に強化」「防衛費の相当な増額を確保」。
ロシアの恐怖を背景に、あっという間に決めた「先取反撃体制策」だ。
バイデン氏は記者から「台湾有事への軍事的関与」について質問され「イエス。それが我々のコミットメント(誓約)だ」とまで言ってのけた。
「台湾有事は日本有事」と強弁する安倍元首相を喜ばせる回答だった。
「国の交戦権は、これを認めない」。この憲法の精神を私たちは誇りとしてきた。
軍事行動は軍事訓練なくしては成立しない。それが暴力を認め、暴力に依拠する教育を生みだした。
日本の教育を歪(ゆが)めた元凶である。
「武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」。
平和のために、人を殺さない。戦争は理想の虐殺だ。
『東京新聞』(2022年5月31日【本音のコラム】)
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます