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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

11月30日葛飾ビラ配布事件最高裁判決期日

2009年11月24日 | 平和憲法
 《最高裁要請行動》
 ◎「ビラ配りの自由を守る会」 11月12日(木)、27日(金)
 ◎「言論表現の自由を守る会」 11月25日(水)


 ▼ 「葛飾ビラ配布事件」最高裁、11月30日を判決日に指定

三上英次

 今月9日に「10月19日、最高裁判決」の期日が、突然取り消し(延期)をされてから約1ヵ月、またもや、最高裁が、何の前ぶれもなく判決期日を通告して来た。
 《表現の自由》などの基本手人権に関わる重要事件だけに、弁護側は口頭弁論の開催や大法廷での審理を求め、今年3月26日に出された最高裁判決(第1小法廷)との関係でも、「年内判決は難しいのでは?」との声も聞かれていただけに、今回の判決期日指定は、唐突の感を否めない。
 【最高裁判決期日】…11月30日(月)午前10時30分~
 この事件の弁護団長、松井繁明弁護士は、10月の「判決期日取り消し(延期)」について、その理由をふたつ挙げていた(下記〔関連記事〕参照)。
(1)定年退職前に〈立川ビラ配布事件〉(注・自衛隊官舎でのビラ配布に対する逮捕。08年4月、最高裁が上告棄却。「住居侵入」有罪確定)と合わせて、判決を書こうと思っていたら、弁護団から「上告趣意補充書」を出された。したがって、とりあえずそれらの書面を“読んだふり”をするため、判決期日を延期した。
(2)3月26日に、第一小法廷で出された〈軽犯罪法事件〉判決との整合性を考慮し、もう一度審理し直すため、判決期日を延期した。
 松井弁護士によれば、最高裁は当事者の声や事情などを考慮することなく、今まで判決を出して来たので、はたして(1)のような理由だけで、自らが指定した判決期日を取り消すものか、疑問も残ると話していた。そして、(2)を理由とするならば、判決までに少し時間がかかるだろうとの見通しも語っていたところである。
 たしかに記者も、その意見に同感である。
 今後への影響を考えるならば、第1小法廷と、第2小法廷とで、一定の行為(例 ある条件下での催涙スプレー所持やビラ配布など)の司法判断について、結論が食い違うとすれば、裁判所への信頼が揺らぐことになる。特に、これまでも報じて来たように…、
1.ビラ配布の適法性について、配布する側の動機や、社会常識などを勘案して、当該事案のビラ配布を〈無罪〉とした東京地裁判決(大島隆明裁判長)と、「催涙スプレーの携行」についてやはり〈無罪〉とした最高裁判決(第1小法廷、甲斐中辰雄裁判長)と、
2.大雑把に「玄関ホールでの貼り紙」を根拠に、管理組合の総意を推定し、極めて形式的に本件のビラ配布を〈有罪〉とした東京高裁判決(池田修裁判長)とは、極めて対照的だ。
 主任弁護人の後藤弁護士も、「〈立川事件〉での今井功裁判長の判断にはとうてい承服はできないが…」と前おきした上で、「〈立川事件〉と〈葛飾ビラ配布〉事件とは、同じビラ配布でも、一方は管理主体のはっきりした官舎、他方は民間のマンションであり、状況が違うのだから、その違いを明確にして判決を下す必要がある」と語っている。
 個々のケースに応じて、犯罪の成否を考えるという点では、今年3月の「軽犯罪法」判決(甲斐中辰雄裁判長)も同じだ。甲斐中裁判長は〈無罪〉を導きつつも、補足意見の中で「今回の判決から催涙スプレー全般の携行が許されることになるのではない」旨を述べている。
 そもそも法律は、あらゆる事案に対応できるように抽象的文言で規定されている。だから、条文で述べられた一般原則から、個別的な事例への「当てはめ(=適用)」こそが、法律家に課された職責であり、その作業に深い専門性が発揮されなければいけない。
 前回のインタヴューで、松井繁明弁護士は次のように語っていた。

 「裁判をやっていれば、こちらが負けることもあります。けれども、そういう時でも、向こうの意見を聞いてみると『なるほど、よく考えている』『そこまで論理的に考えられたら、こちらが負けても仕方が無いだろう』という見事なものもあるのです。」
 その言葉は、おそらく今井功裁判長にも当てはまるはずだ。

 判決を出す以上、「さすがプロの裁判官だ」とその判決を読むあらゆる立場の人たちが感嘆する、少なくとも納得するような判決でなければ、職業裁判官としての存在意義は無いだろう。「最高裁」という権威の上にあぐらをかいて、常識的な市民感覚からかけ離れた判決を書けば、司法への信頼は大きく揺らぐことになる。
 例えば、高裁での裁判官のように、「人の言うことを聞いているのか、聞いていないのだか、わからない」(松井弁護士)、「有効な立証の出来ない検察官のアシスト役」「〈憲法の番人〉としての司法府本来の役目を放棄した」(故中村欧介弁護士)と評されるようでは、国民の理解は得られないだろう。
 今回、弁護団は、最高裁で口頭弁論を開くこと、小法廷(5名)ではなく、大法廷(15名)で審理をすることを繰り返し求めていた。松井弁護士が紹介したように、署名ではなく、手紙が最高裁には4000通を超えて届いている。それらの手紙を書いた4000人余りの庶民を納得させられる判決を、今井功裁判長がどのように書いて来るのか――。最高祭が自らのウェブで言う「裁判が身近で分かりやすいものとなり、司法に対する国民のみなさんの信頼の向上につながること」が実現できるかどうかは、ひとえに最高裁の判決内容にかかっている。
〔関連記事〕
◎弁護団長・松井繁明弁護士に聞く(上)
◎弁護団長・松井繁明弁護士に聞く(下)
◎最高裁ホームページ
 「裁判員制度の紹介」に、期待されることとして「裁判が身近で分かりやすいものとなり、司法に対する国民のみなさんの信頼の向上につながること」が書かれている。
『JANJAN』(2009/11/07)
http://www.news.janjan.jp/living/0911/0911072805/1.php

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