=地公法・自治法改定案を国会提出=
◆ 非正規の待遇改善が骨抜き
~「同一労働同一賃金」はカラ手形 (週刊新社会)

安倍内閣は3月7日、「地方公務員法及び地方自治法の一部を改正する法律案」(一括法案)を閣議決定し、国会に提出した。安倍内閣は、2016年6月2日に「ニッポン一億総活躍プラン」を閣議決定し、「同一労働同一賃金をめざす」「不合理な待遇差の是正」などを掲げた。これを受けて、総務省内に「地方公務員の臨時・非常勤職員及び任期付職員の任用等の在り方に関する研究会」)が、7月26日に設置された。座長は、高橋滋・法政大学大学院教授で、委員は他9名で構成されており、日本経団連と連合からも入っている。研究会は、10回開催され、12月22日に報告書をとりまとめた。
◆ 研究会は処遇の改善を提言
研究会報告の主な内容は、図のとおりである。自治体での非正規職員は増え続け(正規職員の削減と欠員不補充等で)、2016年4月現在で64万5000人に達している。
非正規職員は、3種類に分類(図参照)されるが、採用形態はフルタイムかパートかを含め、自治体によってまちまちである。
これを、一般職非常勤職員に一本化し、現在、報酬・費用弁償のみ(手当の支給はされない)の賃金を、給料・手当(超勤・一時金・退職金等)を支給できるように給付体系を移行するように提言した。
また、「自治体が、財政上の制約を理由として、制度改正をサボタージュしてはならない」、「具体的な実施に向け、2年間程度の準備期間が必要」とも言っている。
◆ 法案は大幅後退!
法律案は、一般職非常勤職員を「会計年度任用職員」と名称を変え、フルタイムとパートに分け、フルタイムには諸手当を支給するが、パートには期末手当を支給できる(義務ではない)という内容である。
しかも、実施は3年後の2020年4月からと先送りしている。
会計年度任用職員は、国の「期間業務職員制度」を参考にしたと言われているが、3年しか雇用されない。その名のとおり、会計年度は1年なので、当局の都合で雇い止めに利用される危険性が高い。
しかも、実施時期を3年も遅らせたが、これには財政難に苦労している地方自治体(地方6団体レベル)からの圧力があったと言われている。
◆ 権制が制約される公務員
研究会に出された非公開資料によると、事務補助職員の平均年収はフルタイム勤務計算で173万円、同じく保育士では201万円となっている。
この資料を日本経団連の委員が持ち帰り、9月27日の「働き方改革実現会議」で榊原経団連会長に「働き方改革は、官民共通の課題である。議論の対象を公務員まで広げることを提案したい」と言わしめたと言われる。そのため、研究会は2カ月開催されなかつた。
非正規職員は労働契約法やパートタイム労働法適用外で、民間企業の有期労働者にある契約の繰り返し、更新と続く「期待権」があるが公務員にはない。
さらに、現在特別職非常勤職員は労働三権が適用されているが、会計年度適用職員にされると、正規職員同様に労働基本権が制約されるという問題が生じる。
◆ 自治体労組の任務重大
自治体でな、3割とも4割とも言われる非正規労働者が働いており、自治体業務はその人たちなくして遂行できない状況にある。
東京と大阪を中心に「官製ワーキングプア研究会」が結成され、とりくみが進められている。自治体労働組合の存在意義が間われている。(清水英宏)
『週刊新社会』(2017年4月11日)
◆ 非正規の待遇改善が骨抜き
~「同一労働同一賃金」はカラ手形 (週刊新社会)

安倍内閣は3月7日、「地方公務員法及び地方自治法の一部を改正する法律案」(一括法案)を閣議決定し、国会に提出した。安倍内閣は、2016年6月2日に「ニッポン一億総活躍プラン」を閣議決定し、「同一労働同一賃金をめざす」「不合理な待遇差の是正」などを掲げた。これを受けて、総務省内に「地方公務員の臨時・非常勤職員及び任期付職員の任用等の在り方に関する研究会」)が、7月26日に設置された。座長は、高橋滋・法政大学大学院教授で、委員は他9名で構成されており、日本経団連と連合からも入っている。研究会は、10回開催され、12月22日に報告書をとりまとめた。
◆ 研究会は処遇の改善を提言
研究会報告の主な内容は、図のとおりである。自治体での非正規職員は増え続け(正規職員の削減と欠員不補充等で)、2016年4月現在で64万5000人に達している。
非正規職員は、3種類に分類(図参照)されるが、採用形態はフルタイムかパートかを含め、自治体によってまちまちである。
これを、一般職非常勤職員に一本化し、現在、報酬・費用弁償のみ(手当の支給はされない)の賃金を、給料・手当(超勤・一時金・退職金等)を支給できるように給付体系を移行するように提言した。
また、「自治体が、財政上の制約を理由として、制度改正をサボタージュしてはならない」、「具体的な実施に向け、2年間程度の準備期間が必要」とも言っている。
◆ 法案は大幅後退!
法律案は、一般職非常勤職員を「会計年度任用職員」と名称を変え、フルタイムとパートに分け、フルタイムには諸手当を支給するが、パートには期末手当を支給できる(義務ではない)という内容である。
しかも、実施は3年後の2020年4月からと先送りしている。
会計年度任用職員は、国の「期間業務職員制度」を参考にしたと言われているが、3年しか雇用されない。その名のとおり、会計年度は1年なので、当局の都合で雇い止めに利用される危険性が高い。
しかも、実施時期を3年も遅らせたが、これには財政難に苦労している地方自治体(地方6団体レベル)からの圧力があったと言われている。
◆ 権制が制約される公務員
研究会に出された非公開資料によると、事務補助職員の平均年収はフルタイム勤務計算で173万円、同じく保育士では201万円となっている。
この資料を日本経団連の委員が持ち帰り、9月27日の「働き方改革実現会議」で榊原経団連会長に「働き方改革は、官民共通の課題である。議論の対象を公務員まで広げることを提案したい」と言わしめたと言われる。そのため、研究会は2カ月開催されなかつた。
非正規職員は労働契約法やパートタイム労働法適用外で、民間企業の有期労働者にある契約の繰り返し、更新と続く「期待権」があるが公務員にはない。
さらに、現在特別職非常勤職員は労働三権が適用されているが、会計年度適用職員にされると、正規職員同様に労働基本権が制約されるという問題が生じる。
◆ 自治体労組の任務重大
自治体でな、3割とも4割とも言われる非正規労働者が働いており、自治体業務はその人たちなくして遂行できない状況にある。
東京と大阪を中心に「官製ワーキングプア研究会」が結成され、とりくみが進められている。自治体労働組合の存在意義が間われている。(清水英宏)
『週刊新社会』(2017年4月11日)
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