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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

消費税引き上げ不要、法人税引き下げ不要

2010年08月13日 | 格差社会
 《北野弘久さん遺稿》
 ★ 応能負担原則に基づく税制の再構築が必要

 民主党は、目下事業仕分けなどをして驚くべき税金のムダ遣いを明らかにしている。この点は、今後一段と追求すべきだ。これとは別に、民主党の税制改正のスタンスで最大の欠陥は、憲法上も社会科学上も応能負担原則が税制のあり方として要求されているが、この基本原則が忘却されていることだ
 自民党政治によって、ゆがめられた日本税制を応能負担原則に基づいて見直しをすれば、財源はあふれるほど存在する
 法人税・所得税・地方税・社会保険料などなどを含めて、応能負担原則が適用される。
 法人税(国税)は消費税導入前(88年)は42%(現在30%)であったが、中小企業の立揚を考えて、10%~42%へ
 所得税(国税)は消費税導入前、その最高税率60%(現在40%)であったが、これを10~60%へ
 ★ 消費税引き上げ不要、法人税引き下げ不要
 一部に日本の法人実効税率(法人税・住民税・事業税)は40%であり、国際競争上むしろ法人税率を10%程度引き下げるべきだという主張がある。これは誤りだ。
 大企業の実質実効税率は30%国際的にむしろ低い。企業名をあげると、
 三井物産9・3%、三菱商事8・1%、日本たばこ産業14・6%、NTTドコモ14・6%、新日本石油22・1%、日産自動車28・7%など30%を下回っている企業も多い
 法人税率を引き下げることは、応能原則に反し誤りだ。

 相続税・贈与税は実質財産税であるので、最高税率を50%から70%へ戻すべきだ
 個人住民税は画一的に10%となっているが、これを5%、10%、13%、16%の累進税率とすべきだ
 消費税について輸出大企業は、トヨタ自動車年3219億円、ソニー年1587億円、ホンダ技研工業年1210億円という「戻し税」という補助金を受けている
 消費税は「日本型消費税」であるので、この「戻し税」制度は廃止すべきだそれだけで、年約3兆円の財源確保が可能だ。
 一方、消費税は間接税と言われながら、多くの中小企業については転嫁ができず、企業負担(直接税)となっていることも看過されてはならない。
 私たちの試算によれば、租税特別措置の整理と消費税導入前の法人税率、所得税の最高税率に戻すだけで年約22兆円、最近の試算によれば年約32兆円の財源が確保できる。
 民主党は、あるべき税制の抜本的改革を行わず、財源不足を嘆いているにすぎない

 急性白血病のため、6月17日に79歳で亡くなった北野弘久・日本大学名誉教授の税制に関する遺稿を掲載する。
 原稿は、新社会党習志野市議(千葉県)の宮内一夫さんが、5月7日付『読売新聞』の「法人税引下げ・消費税増税」を内容とする「経済再生に向けた緊急提言」への反論を依頼して書かれた。
 死の病に取り付かれていた北野さんは、依頼の電話に「元気なうちに書きましょう」と快諾、5月25日朝、手書きの原稿をファクスで送ってきた。北野さんはその後、病状が悪化、6月11日に最後の入院をした。
 宮内さんは北野さんの原稿をパソコンで打ち、『宮内一夫レポート』に掲載して、毎週行っている習志野駅行動で、6月11日に配布した。

『週刊新社会』(2010/8/3)

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