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パワー・トゥ・ザ・ピープル!!アーカイブ

東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

ビラ配布の自由を守る7・9集会

2008年07月27日 | 平和憲法
 ☆ 「押されているのは私たちではない」 ☆
  ビラ配布の自由を守る7・9集会で訴える渡辺治さん

ひらのゆきこ

 7月9日、都内で開催された全労連など9つの団体が主催した「『あぶない!言論の自由が!』ビラ配布の自由を守る7・9集会」で、一橋大学大学院教授・渡辺治さんの「ビラの配布の自由と日本国憲法」と題する記念講演がありました。言論の自由に対する危機感と、それを守ろうとする人々の熱い思いが伝わってくる、たいへん熱気に包まれた集会でした。

●渡辺治さんのお話
 言論に対する攻撃はなだれのようにつながっている


 (略)

●一連の事件に共通する4つの特徴


 渡辺さんは、これらの事件に共通する特徴は4つある、と述べ、その特徴について次のように述べました。

 1つ目は、大石事件、堀越事件、葛飾事件、世田谷事件など、弾圧の対象が明確に日本共産党であること。立川テント村は組織がターゲット。日本共産党や立川テント村のように、改憲や構造改革に反対し、真正面から立ち向かっている組織のメンバーに対する弾圧を行っている。

 2つ目は、組織的、計画的であること。立川の事件も事前に調べていた。堀越事件では、1年以上にわたって追いかけ、ビデオを撮って逮捕・起訴している。大石事件も日本共産党が狙われた。葛飾事件と世田谷事件は偶然だったが、その後、警視庁公安部が乗り出して、広げていった。検察官にハッパをかけ、組織的計画的事件。

 3つ目は、ビラ配布に焦点を当てていること。ビラ配布にターゲットを絞り、やめさせようとしている。

 4つ目は、ジグザグを繰り返しながら、対象を拡大していること。国公法でも住居侵入でもやれる。立川、葛飾、国分寺など市民の場合は住居侵入。公務員は国公法。公務員を有罪に持ち込んでビビらせ、公務員以外の市民にそれを拡大し、市民運動に大きく網をかける。

 公務員は国公法で有罪をとり、市民は住居侵入で弾圧する。葛飾も国分寺もマンションの各戸のポストにビラを入れてつかまった。市民を弾圧し、ビラ配布を一斉に規制する。ジグザグの中でやっているが、大きく拡大している。大石事件は選挙違反。ほかの事件は日常のビラ配布。日常的なことに網をかける。

 (略)

●ビラ配布弾圧には3つの狙いがある

 さらに、渡辺さんは、ビラ配布の弾圧には3つの狙いがあるとして、次のように語りました。

 1つ目は、改憲反対の世論。自民党は大きな衝撃を受けた。9条の会に対し、危機感を持った。04年6月、9条の会がスタートした。04年4月、改憲に賛成66%、反対22~27%。05年5月、9条の会は全国に2007できた。9条の会が活動を始め、集会やビラで呼び掛けた。改憲賛成が減った。現在、9条の会は全国で7000。200万人。マスコミは報道しないが、200万人が働きかけた。

 08年、改憲に賛成は42.5%、反対43.1%。逆転した。この大きな直接的変化を、保守勢力が知らないはずはない。これはヤバイと思った。安倍の改憲戦略は挫折した。今年、3月4日、新憲法制定議員同盟は総会を開き、民主党の鳩山や前原を幹部として処遇。新憲法制定のため、9条の会に対抗する運動が必要だと言った。あれに学ばなければならない。ついでに弾圧する。

●いま食い止めないと、まちがいなく次は9条の会にくる

 9条の会がだんだん増えていっているので、9条の会に規制をかけようとしている。ビラ配布弾圧をいま食い止めないと、まちがいなく次は9条の会にくる。

 改憲でもう一つ注目すべきなのは、改憲手続法の中の130条と190条。この2つは非常に重要。改憲反対運動の中心は、公務員と教員。今回の2人の公務員に対する事件は弾圧の象徴。公務員と教員を弾圧すれば相当程度運動を弱めることができる。国民投票法案で政治活動の禁止ができない。ビラ配布や国家公務員の政治活動の禁止を入れることができなかった。付則で、もう1回検討するとしている。

 もう一つ、組織的多数人買収及び利害誘導罪。これは9条の会のような組織。1つの例として、改憲反対の運動でコンサートをやった場合、利害誘導になる可能性がある。一発冷水を浴びせ、一気に改憲キャンぺーンを成功させる。予行練習。いまのビラ規制と密接に結びつけている。


●小泉構造改革は深刻な格差と貧困を生みだした

 (略)

●消費税を上げるか、雑巾が乾くまで絞るか


 いま自民党の中で2つの考え方がある。中川(秀直)、小泉、竹中などの構造改革派は、構造改革の貫徹を主張している。ぬれ雑巾を絞り切らなければいけない。乾いた雑巾になるまでもっと絞れ。福田さんは、もう無理だ、構造改革の手直しをしないとやっていけない。そのためにどうするか。消費税を値上げる。消費税を上げて手直しするか、消費税を上げないで乾くまで雑巾を絞るか。どっちもよくない。共産党と社民党は構造改革に明確に反対している。

 それと、もう1つ。そういう主張で警察や検察が自分たちの存在を確立しようとしていること。そうしないと、自分たちもリストラに遭うかもしれないからだ。共産党を弾圧する。組織にターゲットを絞って弾圧する。

 3つ目は、なぜビラ配布を目の敵にするのか。ビラ配布を住居侵入で弾圧したことはない。本当は、治安維持法のような一網打尽の法律をつくりたい。戦後、破防法で共産党を組織的に弾圧したが、適用できなかった。共謀罪はまだ成立していない。共謀罪は、実行しなくても共謀した人をつかまえる。組織の幹部はビラ配布をしないが、そういう人たちも含めて逮捕する。

 破防法もできない。共謀罪もだめ。そこで、住居侵入や国公法で組織をしばる。共産党をターゲットにしているのは、共産党が反構造改革、反改憲の象徴的存在だから。

 いま食い止めなければ、第2、第3の弾圧にいく

 なぜビラの配布に着目して共産党を狙うのか。なぜ国公法や住居侵入なのか。堀越事件を国公法で有罪に持ち込む。そして、9条の会を弾圧する。これが成功したら、市民のビラに弾圧を加える。住居侵入を無理やり使ってやる。立川、葛飾、国分寺。

 国公法でうまくいったら、今度は市民。国公法でうまくいったら、今度は自治体の市議。網をはる。これを許すと、次はどうなるか。9条の会への規制が行われる。いま防がなければいけない。これを許すと、組織を一網打尽にする立法を通して、共謀罪、反テロ特措法・・・、テロ組織なんかどうでもいい。反テロの名で弾圧する。

 弾圧立法のポイントは、国公法や住居侵入は第1歩だということ。いま食い止めなければ、第2、第3にいく。いま食い止めなければいけない。

●私たちはどうやって立ち向かったらよいのか

 私たちはどうやって立ち向かったらよいのか。ビラ弾圧は、警察、検察による新しい弾圧。だが、私たちは権力の攻撃に一方的に押されているわけではない。共謀罪制定を絶対に許してはいけない。正面からくることができないので、住居侵入や国公法でくるしかない。

 20年間、改憲と構造改革は思うように進まなかった。後期高齢者医療制度反対運動が象徴しているように、格差と貧困を拡大する構造改革に大きな反対運動が起きている。歯止めがきかない。治安立法はないので、住居侵入をもってくるしかない。大きな市民運動が全国に7000もある。

 市民運動のこの大きな仲間は、世界の日本にとっても大きな存在。安倍も改憲はできなかった。弾圧の焦り。弁護士たちが市民運動に駆けずり回っている。地域で日常的にビラを配布する。議会報告をする。市民的な自主の精神。私たちは決して押されていない。かえって押されているのは彼らである。

 だが、私たちには大きな弱点がある。(国際人権規約を批准している国で)公務員に厳しい規制があるのは、日本だけ。1925年に成立した個別訪問禁止(公職選挙法第138条)を80年以上廃止できない弱さがある。国公法はマッカーサーがつくった。権力に利用される運動の弱さの反省がある。

●憲法をつかってもっと前進する

 (略)

●瞳のように大事な自由は言論の自由


 9条を実現する自由は、表現の自由、言論の自由、結社の自由が保障されていなければならない。瞳のように大事な自由は言論の自由。この21条の表現・言論の自由の土台となる、言論の自由を大いに使う。弾圧に立ち向かうためには、多様な言論活動が大事。ビビッたら向こうの思うつぼ。21条を使うことが大事。

 安保闘争のとき、50万人の市民が国会を取り囲んだ。これだけの市民を取り締まることはできない。警察や機動隊は国会の中にいた。言論の自由についても、そのような状況をつくる運動をやることが大事。ビラ配布の自由はすべての運動に不可欠。コミュニケーションのツールとしても重要。受け取る側にとっても受け取れる自由がある。

 事前規制をする。権力にとって害悪のあるものに目隠しをする。口封じ。国民はどんな言論があるのか、受け取る自由がなくなる。規制し、遮断する。受け取ったビラが不要なら捨てる自由もある。これを権力が規制する。言論の自由、ビラ配布の自由をいま以上に使う。

●押されているのは私たちではない

 9条の会の世界会議に東京だけで3万人が集まった。世界のモデルになっている。9条の会が国際人権規約の水準まで押し上げる。世界のモデルとしての9条にしていく。遅れている部分をこじ開ける。押されているのは私たちではない、押されているのは改憲派や構造改革派の人たち。大きな運動で言論の自由を使うことが大事だ。

●筆者の感想

 渡辺治さんのお話は、いつもながら明快でわかりやすく、いまなにが起きているのか、いまなにをしなければならないのか、私たちに教えてくれる、たいへん参考になる内容でした。力強く、熱のこもったお話が終わると、会場からわれるような拍手が起こり、再度、渡辺さんが舞台に現れると、さらに大きな拍手が起こりました。

 渡辺さんのお話のあと、青田いずみさんの語りによる「映像と語りで綴る3事件のたたかい」や、葛飾事件、堀越事件、世田谷事件の当事者3名の方々の訴えなどがありました。会場には大勢の人(950名)たちが詰めかけ、最後に、みんなで「一枚のビラで」という歌を歌いました。言論の自由に対する危機感と、それを守ろうとする人々の熱い思いが伝わってくる、たいへん熱気に包まれた集会でした。

『JANJAN』 2008/07/12
http://www.news.janjan.jp/government/0807/0807111762/1.php

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