◆ 自公過半数割れも不可能でない (週刊新社会)
5月19日に開かれた「選挙に勝って憲法改正させない さあ、安倍政治を終わらせよう5・19集会」でジャーナリストで『インサイダー』編集長の高野孟氏は、昨年の安保闘争のエネルギーで、7月参院選に勝利して戦争法廃案に着手しようと呼びかけた。(文責=編集部)
◆ 参院選 焦点は生命の問題
私は参議院議員選挙の野党の候補者の出陣式に呼ばれて、支援者代表として挨拶することになっていました。
私の前に某党の大幹部が挨拶をして、その中で「今度の参議院選挙は安保なんかじゃない。子育て、介護、福祉、これこそが参院選挙の主要なる争点です」と言いました。
次が私でしたから「今の大幹部の言っていることは間違っています」と言いました。今度の参院選挙はなんと言っても安保が焦点です。
そして、単に安倍政権に3分の2の改憲に必要な議席を与えないというだけでなく、過半数を割らせて、戦争法を廃止する要件を形作っていく選挙です。
毎月19日に行われてきた集会、国会前の行動、様々な団体が全国各地で、昨年のこの安保闘争のエネルギーを維持し、発展させていく、深化させています。
その運動の軸の一つとして2000万署名が取り組まれています。この会期中に1200万筆まで到達して、さらにもう一押し二押し広げていこうと、これは参議院選挙の票読みなんです。
これに署名した人は絶対に自公には入れません。もう一押し、二押し周りの方に働きかけましょう。参議院選挙の票読みだと思って本当に2000万を達成したいと思います。
◆ 民主主義の質は変わった
昨年の安保闘争を通じて日本の民主主義闘争の質が変わったと私は実感します。
民が主なんだということが、当たり前のことなんだけど改めてお互いが確認し合うことになってきた。そうなりますと立憲主義ということがすぐに分かってきます。
一般市民が、立憲主義という言葉を日常用語として使うという大変な意識の変化が起きていると思います。
しかも民主主義の手段にはいろいろあるんだということを、この間経験してきました。それを象徴するのがシールズの皆さんの「民主主義ってなんだ」「これだ」というコールだと思います。
シールズの諸君は9月11日に法案が通ると.翌日には”GO VOTE”(投票に行こう)というプラカードを掲げている。巧みです。
昨日まであんなところに民主主義はない、と言っていたのが、翌日気を取り直して投票に行こう、という民主主義にいろんな手段があるということを学んできたのです。
私は「保育所落ちた」をめぐる動きが日本の民主主義の深まりを示していると思いました。
最初にネットのつぶやきが広がって話題になる、誰も組織していないのに、ネットの呼びかけだけでデモが起きた。さすがの安倍晋三も少し態度変えて、保育所を増やさないといかんと言い出したわけです。
問題が起こる、ネットでみんなが共感し合う、そしたら国会に行っちゃう。それで思いが政治につながる。回路があることを知ってしまった。これが民主主義です。
◆ 原発事故が事の発端
もう一つの問題は安保か、福祉かという発想をしていることだ。
原発も安保も保育所も全部生命に関わることです。安保と保育所は命と言うことで串刺しでつながっているのです。
皆さんもそうだと思いますが、3・11で私も頭を抱えて泣きました。
私が若い頃駆け出しの記者だった頃、原発の問題はさんざんやって、原発の労働者の悲惨な話だとか、手抜き工事のでたらめとか、そういうことをいろいろ知っていて、一度事故が起きたら大変なことになると十分に認識していた、だけど私は専門家でもないので、それを何とかするために自分は何も闘ってこなかったという無力感、自分の無責任さに身動きが取れないようになってしまいました。
結局命とカネということだと思います。
原発という生命を奪うそういう代物を推進する政府や電力会社が言うのは、原発を止めたら金がかかりますよ、電力料金上がっていいのですか、と人々を脅してきたのです。
そこでそうじゃない、命だと思うんですが、深刻に考えないで原発を放置してきた俺は何なんだと、結局命よりカネというイデオロギーに負けていたのではないかと本当に自分が恥ずかしかった。
そこから民主主義の問題、命の問題が始まってきていると思います。ですから参議院選挙を安保か福祉というようなとらえ方ではダメだと思います。
全部の問題、この政権によって我々の命が脅かされている、その思いを選挙に精一杯表現しなければいけない、というところにきていると思います。
参議院の一人区32で統一候補の擁立が進んでいます。最近通信社の選挙分析のプロの話を聞きましたが、今のところ11選挙区で勝てる可能性がある、大変なことが起こります。
自公が15減ったら過半数を割ります。3分の2とらせないどころでなく、過半数を割らせることが不可能でないことが少し見えてきたのです。
大変な重大な局面にきているのです。何でもやる安倍は同日もやっちゃう可能性がある。熊本の惨状を見ればそれはできないと思う。俺の政権を延命するためにダブル選挙をやれと熊本県民に普通は言えない。それを封じてやりたい放題をやらせないことも大事だ。おおさか維新もいるが自公過半数割れも不可能ではないと言うことです。
それぞれの持ち場で頑張っていこう。この参院選挙はそういう意味で命がかかつているぐらいのつもりで取り組んでいきましょう。(5月19日)
『週刊新社会』(2016/6/7)
日刊インサイダー編集長・高野 孟(ジャーナリスト)
5月19日に開かれた「選挙に勝って憲法改正させない さあ、安倍政治を終わらせよう5・19集会」でジャーナリストで『インサイダー』編集長の高野孟氏は、昨年の安保闘争のエネルギーで、7月参院選に勝利して戦争法廃案に着手しようと呼びかけた。(文責=編集部)
◆ 参院選 焦点は生命の問題
私は参議院議員選挙の野党の候補者の出陣式に呼ばれて、支援者代表として挨拶することになっていました。
私の前に某党の大幹部が挨拶をして、その中で「今度の参議院選挙は安保なんかじゃない。子育て、介護、福祉、これこそが参院選挙の主要なる争点です」と言いました。
次が私でしたから「今の大幹部の言っていることは間違っています」と言いました。今度の参院選挙はなんと言っても安保が焦点です。
そして、単に安倍政権に3分の2の改憲に必要な議席を与えないというだけでなく、過半数を割らせて、戦争法を廃止する要件を形作っていく選挙です。
毎月19日に行われてきた集会、国会前の行動、様々な団体が全国各地で、昨年のこの安保闘争のエネルギーを維持し、発展させていく、深化させています。
その運動の軸の一つとして2000万署名が取り組まれています。この会期中に1200万筆まで到達して、さらにもう一押し二押し広げていこうと、これは参議院選挙の票読みなんです。
これに署名した人は絶対に自公には入れません。もう一押し、二押し周りの方に働きかけましょう。参議院選挙の票読みだと思って本当に2000万を達成したいと思います。
◆ 民主主義の質は変わった
昨年の安保闘争を通じて日本の民主主義闘争の質が変わったと私は実感します。
民が主なんだということが、当たり前のことなんだけど改めてお互いが確認し合うことになってきた。そうなりますと立憲主義ということがすぐに分かってきます。
一般市民が、立憲主義という言葉を日常用語として使うという大変な意識の変化が起きていると思います。
しかも民主主義の手段にはいろいろあるんだということを、この間経験してきました。それを象徴するのがシールズの皆さんの「民主主義ってなんだ」「これだ」というコールだと思います。
シールズの諸君は9月11日に法案が通ると.翌日には”GO VOTE”(投票に行こう)というプラカードを掲げている。巧みです。
昨日まであんなところに民主主義はない、と言っていたのが、翌日気を取り直して投票に行こう、という民主主義にいろんな手段があるということを学んできたのです。
私は「保育所落ちた」をめぐる動きが日本の民主主義の深まりを示していると思いました。
最初にネットのつぶやきが広がって話題になる、誰も組織していないのに、ネットの呼びかけだけでデモが起きた。さすがの安倍晋三も少し態度変えて、保育所を増やさないといかんと言い出したわけです。
問題が起こる、ネットでみんなが共感し合う、そしたら国会に行っちゃう。それで思いが政治につながる。回路があることを知ってしまった。これが民主主義です。
◆ 原発事故が事の発端
もう一つの問題は安保か、福祉かという発想をしていることだ。
原発も安保も保育所も全部生命に関わることです。安保と保育所は命と言うことで串刺しでつながっているのです。
皆さんもそうだと思いますが、3・11で私も頭を抱えて泣きました。
私が若い頃駆け出しの記者だった頃、原発の問題はさんざんやって、原発の労働者の悲惨な話だとか、手抜き工事のでたらめとか、そういうことをいろいろ知っていて、一度事故が起きたら大変なことになると十分に認識していた、だけど私は専門家でもないので、それを何とかするために自分は何も闘ってこなかったという無力感、自分の無責任さに身動きが取れないようになってしまいました。
結局命とカネということだと思います。
原発という生命を奪うそういう代物を推進する政府や電力会社が言うのは、原発を止めたら金がかかりますよ、電力料金上がっていいのですか、と人々を脅してきたのです。
そこでそうじゃない、命だと思うんですが、深刻に考えないで原発を放置してきた俺は何なんだと、結局命よりカネというイデオロギーに負けていたのではないかと本当に自分が恥ずかしかった。
そこから民主主義の問題、命の問題が始まってきていると思います。ですから参議院選挙を安保か福祉というようなとらえ方ではダメだと思います。
全部の問題、この政権によって我々の命が脅かされている、その思いを選挙に精一杯表現しなければいけない、というところにきていると思います。
参議院の一人区32で統一候補の擁立が進んでいます。最近通信社の選挙分析のプロの話を聞きましたが、今のところ11選挙区で勝てる可能性がある、大変なことが起こります。
自公が15減ったら過半数を割ります。3分の2とらせないどころでなく、過半数を割らせることが不可能でないことが少し見えてきたのです。
大変な重大な局面にきているのです。何でもやる安倍は同日もやっちゃう可能性がある。熊本の惨状を見ればそれはできないと思う。俺の政権を延命するためにダブル選挙をやれと熊本県民に普通は言えない。それを封じてやりたい放題をやらせないことも大事だ。おおさか維新もいるが自公過半数割れも不可能ではないと言うことです。
それぞれの持ち場で頑張っていこう。この参院選挙はそういう意味で命がかかつているぐらいのつもりで取り組んでいきましょう。(5月19日)
『週刊新社会』(2016/6/7)
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