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パワー・トゥ・ザ・ピープル!!アーカイブ

東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

4・26教育基本法改悪反対声明(1)

2006年04月29日 | 平和憲法
4・26教育基本法改悪反対声明(1)改悪(案)のポイントが、とてもよく分かり、資料としての価値の高い文章です。
長文で、ブログの容量を超えているので、2回に分けて掲載します。

■教育基本法の基本理念を否定する教育基本法「改正」に反対する■
―与党教育基本法改正に関する協議会「最終報告」案の問題点―


 2006年4月13日、与党「教育基本法改正に関する協議会」は教育基本法「改正」案の最終報告案を出しました。政府はこの与党案に基づき法案作成作業を行い、今国会に教育基本法「改正」法案を提出する方針を打ち出しています。この与党案に基づく教育基本法「改正」が行われれば、現行教育基本法の基本理念は否定され、教育のあり方が根底から変えられてしまう危険性があります。

 与党最終報告案には以下のような問題点があります。

①憲法との関係(現行法、「改正」案前文)

 教育基本法は、「日本国憲法の精神にのっとり」その「理想の実現」を行うためのものとしてつくられたものであり、日本国憲法の精神にのっとらない「改正」は、そもそも違憲です。

 「改正」案の前文からは、「われらは、さきに、日本国憲法を確定し」「この理想の実現は、根本において教育の力にまつべきものである」という部分は削除されました。日本国憲法と教育基本法の一体性を明示化した箇所がなくなっているのです。
 そして「日本国憲法の精神にのっとり」は残りましたが、その後、現行法では「新しい日本の教育の基本を確立する」となっているところが、「わが国の未来を切り拓く教育の基本を確立する」へと変えられています。
 「新しい日本」とは、大日本帝国憲法と教育勅語によって統治されていた戦前の帝国日本との歴史的切断を意味しています。最終報告案は、教育勅語を否定し、帝国日本と決別するという教育基本法の「教育宣言」という歴史的意義を抹消しています。

 これでは「日本国憲法の精神にのっとり」は、現行の日本国憲法ではなく、政府・自民党が狙う「改正」後の日本国憲法にも適用されてしまう可能性があります。

②「愛国心」等、人格規範の国家による法制化(現行法第一、二条 「改正」案1、2)

 「改正」案(1.教育の目的)では、現行法第一条の「人格の完成」や「平和的な国家及び社会の形成者」「心身ともに健康な国民の育成」は残っていますが、「個人の価値をたっとび」は削られ、「形成者」のあとには「として必要な資質」という言葉が挿入されており、国家にとって「必要な資質」をもった人材育成の意味が強化されています。

 「個人の価値」は、「改正」案の2に入れられていますが、そもそも、現行法第二条「教育の方針」を(2.教育の目標)に書き換えようとしていることは極めて重大です。
 第二条は、現行法では教育の目的を達成するための「方針」として、「学問の自由」「自発的精神」などの「自由」を掲げているのに対して、改正案の2は、自由とは逆に「人格の完成」の中身まで、「達成」すべき具体的な「目標」として、「道徳心」「公共の精神」「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛する・・・態度」等、あるべき「心」や「態度」を事細かに規定しています。

 即ち、この「改正」案の大きな問題点は、「愛国心」だけでなく、人格のあるべき姿を国家が規範として法律で決めるという点にあります。
 本来、憲法二六条が保障する「教育を受ける権利」は、憲法十三条「個人の尊重」一九条「思想及び良心の自由」を必須の条件としてのみ実現されるものであり、「心」や「態度」の法制化は、そもそも法の任務からの大きな逸脱です。

 既に「大綱的基準」であるはずの学習指導要領の一文のみを根拠に、二〇〇二年には「愛国心」をABC評価する通知表が全国の多くの小学校で出され、「日の丸・君が代」の強制も大量の処分を出しながら広まっています。
 これが準憲法的な教育基本法そのものの中に書き込まれ、「教育の目標が達成されるよう」(6.学校教育)強制され、その到達度が評価の対象とされるなら、それは、最高裁判決も禁じている「子どもが自由かつ独立の人格として成長することを妨げるような国家的介入」(旭川学力テスト事件最高裁判決、1976)への道を大きくひらくことになります。

③家庭・地域・生涯学習等、国民生活のあらゆる場面への介入(「改正」案2、10、13)

 「改正」案では、現行法にはない(3.生涯学習)(10.家庭教育)(13.学校・家庭及び地域住民等相互の連携協力)等が新たに条文化されようとしています。

 (10.家庭教育)においては、「父母その他の保護者は、子の教育について第一義的責任を有する」として親の責任は強調しながら、親が子の教育について第一義的権利を有しており、国家による不当な介入をしてはならないことは記されず、「習慣」にまで国家が立ち入って国家が要求することを許しています。

 そして、(2.教育の目標)に列挙された規範・徳目は、単に学校の中だけでなく、(10.家庭教育)(11.幼児期の教育)から(7.大学)(13.地域)(3.生涯学習)に至る、国民生活のあらゆる場面で達成が求められることになります。

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