奈良旅記 3 (法輪寺&法起寺へ)

2012-05-21 | 奈良旅記


法隆寺&中宮寺を北に車で数分。
法隆寺の五重塔と共に斑鳩三名塔と言われる塔の美しい法輪寺へ。
のどかな田園風景の中に、美しい三重塔が見えてきます。



推古30年(622)に、山背大兄王が父の聖徳太子の病気平癒祈願ために
建立したと言われています。
江戸時代初期に荒廃して三重塔だけを残すのみとなりましたが、
元文年間に寄進が進み、なんとか今の寺観まで取り戻せたそうですが、
昭和十九年、落雷で三重塔が焼上、創建当時の建物は全て失われてしまいました。

小さな山門を入ると、緑で覆われた中、左手に三重塔、右手に金堂、
正面に講堂がギュっとある感じの小さな境内です。



講堂内には、飛鳥時代からの仏像がずらりと並んでいて壮観です。

薬師如来坐像 - 飛鳥時代の作。
虚空蔵菩薩立像 - 飛鳥時代末期の作。
十一面観音菩薩立像 - 像高3.5メートルを超える巨像。平安時代の作。
弥勒菩薩立像(重要文化財指定名称は「聖観音立像」)
地蔵菩薩立像
吉祥天立像
米俵乗毘沙門天立像
楊柳観音立像
聖徳太子二歳像
龍鬢褥(りゅうびんのじょく) - 推古天皇使用の敷物と伝わる。
塔心礎納置銅壺
多宝塔文磬
鴟尾(しび)残欠-飛鳥時代中期の代表的な鴟尾。

等、多くの寺宝と共に並んでいます。
やはり大きな十一面観音さんの迫力にやられます。
顎をギュッと引いた様なお姿が面白いです。
二体の飛鳥仏も美しい。
米俵に乗った毘沙門天さんも珍しいですね。




その他、妙見堂に妙見菩薩立像(秘仏のため非公開)
三重塔内に釈迦如来坐像、四天王像(非公開)がいらっしゃるそうです。

小さなお寺ですが、講堂の見応えがあり、結構長居しました。
拝観者は、終始僕一人でありました。


さて、車に戻り東へ数分。
こちらも畑に囲まれた中に聳える三重塔が美しい法起寺へ。
駐車場も無く、本当に小さな門の前にお願いして停めさせて頂きました。
狭い道なので、畑に落ちないように気をつけながら端っこに。



推古十四年(606)に聖徳太子が法華経を講説されたという岡本宮を寺に改めたものと伝えられ、
法隆寺、四天王寺、中宮寺などと共に、太子御建立七ヵ寺の一つにかぞえられている。

法起寺の三重塔は日本最古のもので、国宝であります。世界文化遺産であります。
法隆寺の五重塔の初層、三層、五層を模して三重塔にしたのだそうです。
ドシっと安定感のある立派な塔です。

こちらも法輪寺同様、江戸時代には三重塔を残すのみにまで衰退したそうです。
こんな田園風景の中に、ポツンポツンと三重塔だけが二つ立っているなんて、
それは美しかったろうなぁ。。なんて想いながら見上げます。

こちらの仏様は、法輪寺の十一面さんと同じ像高3.5メートルの
十一面観音菩薩立像(重文)で十世紀後半ごろの作と言われています。
現在は収蔵庫でガラス越しに拝観出来ます。
十一面観音のお手本の様な、立派なお姿。



世界文化遺産!国宝の三重塔!重要文化財の十一面さん!
なのにこの法起寺さん、なんだか寂れてます。。嫌いじゃないけど。
境内に廃墟っぽい一角があったり、南大門のポツンと感とか、独特の空気。




車に戻り、美しい田園風景を眺めながら一服。
法隆寺からの参詣道もあり、厄除け信仰で盛り上がっていたという松尾寺を目指します。




地図(今回のルート)
※PC以外では正しく表示されないみたいです。



奈良旅記 2 (中宮寺へ)

2012-05-18 | 奈良旅記


さて、法隆寺の修学旅行の一団から逃れる為、中宮寺に向かいます。
向かうと言っても、法隆寺の夢殿からちょっと出れば、ひっそりとした受付があります。






ここで拝観するのは本堂だけという地味さではありますが、
その地味さが、かえって菩薩半跏像の存在を際立たせていますね。
本堂の階段を上ると、正面に見えてくるお姿にワクワクします。




法隆寺は今頃賑やかな事になっていましょうが、ここには誰も居ません。
本堂内の隅に座る係りのおばちゃんにご挨拶。
例のスピーカーから流される解説を丁重にお断りし、ご本尊の前に。

随分、座ってましたが、境内に入ってきたおばさまグループの声で
現世に戻り、ご本尊様にお別れのご挨拶。

法隆寺の長い敷地を戻り、駐車場に向かいます。

法隆寺に車で行く時は、正面の参道に並ぶ土産物屋さんに停めさせてもらうと便利。
僕は門から近い松本屋さんに停めました。
呼び込みのお姉さんが「無料ですけど、帰りに何かひとつでもいいから買ってって~」と言ってました。
僕は帰りに、飲み物とマントくんのピンバッジを買いました。

お姉さんと
「お独りで来たの~寂しいなぁ」
「寂しくないわい!」
「気楽で良いか、ハハハ」
なんて話をしていたら、突然雷が鳴り雨が降ってきたので車に避難。

この地域に来たら、行かないわけにはいかない法輪寺&法起寺に向かって出発!
法隆寺の五重塔とトリオで斑鳩三名塔ですからね。




中宮寺

地図




奈良旅記 1 (法隆寺へ)

2012-05-16 | 奈良旅記



5月7日、皆さんのゴールデンウィークが終わった翌日、
月曜日の早朝、何も考えず6:00発の新幹線を選んだばっかりに、
近所の西武新宿線では始発でも間に合わない事が発覚、
自転車を職場に置いて三鷹駅へ。
朝4時の話です。

8時過ぎには京都駅に到着し、9時過ぎには新大宮に到着。
9時半にはレンタカーに乗っていました。

無茶しましたが、これで初日からフルに動けます。

初日は斑鳩・大和郡山周辺コース。



まずはメジャー寺、法隆寺へ。
こういう規模のお寺はあまり好きではないのですが、
見たことの無かった夢殿の救世観音さんが開いているという事で。

金箔が結構残っていて左右対称の美しいお姿なのですが、
少しゾクッとする怖さがありました。

1000年もの間、白布でグルグル巻きの秘仏で、
フェノロサさんによって封印を解かれた救世観音さん。
聖徳太子の祟りを鎮める為に大急ぎで作られたという話を聞きますが、
光背が頭に打ち付けられていたり、いろいろ謎多き仏像であります。


救世観音と百済観音。ゾクッとコンビ。


法隆寺は、たくさんの貴重な仏像がありますが、
ガラスケースに並べられた仏様たちが、僕はどうしても好きになれません。
仏様たちは素晴らしいのですよ。「見せ方」が好きになれないのです。
美術品としての価値もありますし、
国宝ともなれば、保存や管理の事を考えれば仕方ないのも分かっていますが。。。

なんて事を考えながら、一通り拝観し、
御朱印を頂いたところで修学旅行の一団がやってきましたので、
夢殿の脇を通って、誰も居ない静かな中宮寺へ避難。

アルカイックスマイルさんに会いに。


つづく



旅疲れ

2012-05-13 | 奈良旅記



旅から戻った途端、バタバタと忙しく、
全身筋肉痛もなかなか治まりません。。。

夢から覚めた後に見る、現実の厳しさったら
一体全体何倍増しよ!の毎日です。


とりあえず、今回の奈良旅のメモ。


1日目
額安寺⇒法隆寺⇒法輪寺⇒法起寺⇒松尾寺⇒東明寺

2日目
浄瑠璃寺⇒岩船寺⇒海住山寺⇒般若寺⇒円成寺⇒新薬師寺⇒白豪寺⇒不退寺

3日目
金峯山寺⇒吉水神社⇒東南院⇒大日寺⇒壷阪寺⇒橘寺⇒岡寺⇒飛鳥寺



ゆっくりしつこく記していこうと思います。




浄瑠璃寺から岩船寺へ(徒歩)

2012-02-15 | 奈良旅記


「チャンネルの品質」で、画質良く出来ます(ちょっと)。
http://youtu.be/tV1m5774YZI

憧れの浄瑠璃寺を堪能した後、
ここに来たら皆、必ずセットで訪れるであろう岩船寺に行こうと。 
しかし時間の段取りが苦手な僕は、当然バスのタイミングも逃します。
本当に少ないのでご注意を。

おかげで、気になっていた「当尾の石仏巡り」に思い切る事が出来ました。
京都側からこの辺を訪れる場合、岩船寺が先になり石仏を巡り浄瑠璃寺へ
というコースになりますが、これが正しいコースと思ってください。
僕の様に逆コースになりますと、その道のりは全て上りとなり、かなりしんどい事になります。

只、先に岩船寺に行ってしまいますと、
憧れの浄瑠璃寺に行く頃には人が増えてしまうと思い、
このコースを選んだのもあります(正解でした)。

僕は下の地図の赤線の短いコースを歩きましたが、
全ての石仏を見るとなると、一日がかりとなりそうでした。

地図には岩船寺→浄瑠璃寺コースで40分とあります。
逆コースの僕は、2時間以上かかってます。。。

まぁ、極端に運動不足で身体も重くなっている僕が何とかなったのですから、
普通の人はビビる様なもんじゃないのですけどね。。。

動画を繋げたのですが、30分近くになってしまいましたので、
お時間のある時にのんびり観て頂けると嬉しいです。

おもちゃカメラで撮っていますので、手ブレも酷いです。。
ジーっと観ず、なんとなく観て下さいませ。

あとね、ブツブツしゃべってますが、撮影してるからであって、
いつもはこんなに不気味に一人で話してませんので。
独り言は多い方ですけど。

憧れの浄瑠璃寺。
大好きな石仏。
美しい岩船寺。

最高に幸せな一日でした。







到着した岩船寺は、以前書いた鐘を打つ動画の所です。




当尾の石仏を歩くおじさん(予告)

2012-02-10 | 奈良旅記



京都と奈良の県境。
浄瑠璃寺と岩船寺の周辺に点在する石仏たち。

誤って上りコースを歩いてしまった三十後半のおっさんが、
ぜぇぜぇはぁはぁと、気味悪く息を切らせながら
のどかな景色の中を歩くだけの動画をまとめています。
細切れで録画してたのを繋げるだけだけども。

乞うご期待!

誰か2人くらい興味あるでしょ?

ない?




憧れの浄瑠璃寺へ

2012-01-14 | 奈良旅記


「360p」って所の数字を大きくすると画質もちょいと良く見れます。




ずーーっと憧れていた浄瑠璃寺。

「好きな言葉は?」と尋ねられれば「じょうるりじ」と答える浄瑠璃寺。

お金も無いのに奈良行きを決意した最大の理由。

それはここの秘仏・吉祥天像の公開期間中であった事でした。

長年、見たい見たい!と想っていたのです。

こちらも楽しみにしていた迫力の九体阿弥陀像の真ん中で、
その小さなお姿の美しさったらなかったですよ。。。

本堂内、見仏者は僕ひとり。
あまりの感動に肩震わせて泣きましたもの。。

この仏様の見せ方は、僕の理想の形でありまして、
「そこ」にいらっしゃる意味を肌で感じる事が出来ます。

とても近くで見ることが出来ました。

宝池の対岸から阿弥陀如来に来迎を願う。

僕は極楽浄土を見ました。。。



浄瑠璃寺に行く時は、朝一のバスが到着する前がオススメです。
奈良駅からタクシーを使ってでも。
交通の便が悪いので、誰も来ていませんでした。(平日ってのもありますが)

僕は、近鉄奈良駅から浄瑠璃寺の先にある岩船寺に向かう
お婆さん3人組と一緒に、タクシーに乗せて貰ったのです。

たまたまバス乗り場の係員さんに同じバスの時間を聞いていたのをきっかけに
話しているうちにそんな事になりました。
ありがたい事に、タクシー代も「あんたみたいな若いもんから貰えるか!」
という事で、おごって頂きました。

一人旅はいろいろ面白い事が起こります。



こんな場所












うちの仏像コーナー

2011-12-23 | 奈良旅記




今日は、うちの仏さまたちを初公開(たぶん)。

数年前から集まりだした仏像さんたち。
骨董店、フリーマーケット、近所のバザー、
いろいろな場所で一目惚れし、尚且つ貧乏な自分にも手の届く
優しい価格で待っていてくれた方々でございます。
お友達のお土産もいくつもございます。

うちに来てからも、箱に入ったままロフトの奥で意図せず秘仏と化していたり、
払っても払ってもの埃まみれになってしまっていたりだったのですが、
これではいけない!と、先日、安い雛人形ケースを買って並んで頂きました。

入れる仏様の数は限られておりますので、
ケースを買い足せるまでは、順番に入って頂こうと思ってます。

充電式のLEDろうそく(ちゃんとゆらゆらする優れもの)で、
夜は常にライトアップされ、眺めながら眠りにつけます。

うちには意図した「秘仏」もいらっしゃいまして、
木製の弘法太師像なのですが、毎年三月十九日のみ御開帳となります。
何故なのかは全く覚えていませんが、おそらく思い付きです。
そのわりには、もう何年も守っております。

その他の仏像たちは基本年中無休で公開中でございます。
拝観料も無料となっておりますので、興味のある方は拝みにいらしてね。











お気に入りの香炉