「知る」こと

2008-07-30 | Weblog


昨日見たNHKの『シリーズ 証言記録 兵士たちの戦争』
素晴らしかった。

太平洋戦争でアジア各地へ送られた郷土部隊。
フィリピンでのあまりにも絶望的な市街戦。
多くのフィリピンの人々を巻き込み、追い詰められていく日本兵の姿。
とてつもない狂気と絶望。
その場を語る元日本兵の御爺さんの目を、
僕はテレビの画面越しですら直視する事が出来ませんでした。

そんな地獄から生還された方々のインタビューと
当時の映像で構成されたこの番組の意味はあまりにも大きい。
戦場を体験された方々も、既に80歳代となっている今、
こういう記録番組を作る事はとても大切な事です。

僕らは戦争なんて全く知らない。
「知らない」ままでいる事は恐ろしい。

ほんの60年前に、僕らの先輩達が一体何を見て体験したのか。
それは出来れば知りたくない「地獄」です。
でもあの時代、僕たちと同じ日本人であり、
16歳たらずの若者達が、国や家族の為に戦い死んでいったのです。

勿論、戦争は例外無く馬鹿げている。
どんな理由があろうと。

だからこそ「知らない」ままにしてはいけない。
同じ事が繰り返されない為に、僕らは「知る」事から逃げず、
地獄から生還した方々の言葉を聞かなくてはいけない。

神風特攻隊の前偵察を行ない、自分の報告次第で
子供の様な年齢の兵士達が命を落としに飛び立つ。

そんな悲しい経験を持つ知り合いの御爺さんがいまして、
もう10年位前になるけど、その方と二人でお酒を飲み、
当時の話を聞かせてもらった事があります。

「私は戦犯なんですよ、ハヤシくん…」

普段無口な大先輩が、お酒のせいも多少ありはしても、
ジッとテーブルを見つめそう言った姿は
僕はきっと、一生忘れる事は出来ない。

なんだか
とっても
いろんな事を考えた夜だった。


まっかっか

2008-07-27 | Weblog




今日は変な天気で夕焼けが異常でしたよ。
窓の外が真っ赤になったので、慌ててカメラ持って屋上へ。
どんどん色が変化して面白かったです。
因みに上の写真、修正等はしてませんのよ。

燃えてます。



あぁ日本

2008-07-26 | Weblog
只今僕の悩みは、NHKさんの『古都 三都物語/奈良・京都・鎌倉』を買うか否か。



僕の性格上、結局「買う」という結果は見えているのだけど、
一応、「ちゃんと考えてから」というフリをしてみている。

四季折々のやすらぎと華やぎに満ちた古都の花の名所約60寺社を収録した映像遺産。

だぜぇ。
花に興味は無いのに何でこんなに欲しいのか。
仏像も出てこないのに何でこんなに欲しいのか。

以前にも書きましたが、
僕は自然音CDや環境DVD類が大好物でして、
いろいろと失敗しながら見聞きあさっています。
本当に「これだ!」ってのには、なかなか出会えないのですけどね。

需要が少ないのと、演出を挟む余地の少なさで、
この手のジャンルで名作を生み出す事はとても難しいのでしょう。
予算も少ないだろうけどね。
作る側が、何となく綺麗な景色を写しとけば良い位の気持ちで
作ってるものが70%位の駄作率。
なめんなよ!!と投げた円盤の数知れず。

南国の砂浜、夕焼け、安いヒーリングミュージック。
この手のものには一切興味は無く、
まず僕のこだわりは「日本」であること。
森の音がひたすらに70分収録されたCDも、外国の森では違うのです。
かすかに聞こえる鳥の声や虫の声、川のせせらぎ、
僕の見てきた森の音が欲しいのです。
知らない鳥の鳴き声はいらんのです。

映像にしても、見知らぬ樹木を見てもダメなのです。
森のスケールも、日本離れしたものはいらんのです。

実際にそこで生活してきてはいなくても、
「日本人」として身体に沁み込んでいる感情を刺激してくれるものに
出会いたいのでございます。

そこんとこ、NHKさんはやってくれます。
やってくれなきゃいかんのです。

集金目当てで、民放どこでもやってる様な若者に媚びた番組など
作ってる場合ではないのです!

近年の傑作「映像詩 里山シリーズ 」を観ていない人は是非観て下さい。
涙が出ますから。(今のところ僕だけですが)

という流れで『古都 三都物語/奈良・京都・鎌倉』ですがね、

買うね。

明日には買うね。



AOR

2008-07-23 | 音楽のこと
先日、「哀愁」を知らない若者に、
無理矢理ビリー・ジョエルを薦めたオッサンですがね。
80年代を生きてきた僕には、
ニューヨークといえばビリー、ビリーといえばニューヨークなのでして
NYに過度なイメージを抱き、「大人」な気分になれる
初めての音楽なのでもありました。

アーヴァンな大人の匂いのする音楽。

日本では「AOR」なんて言われるジャンルがありまして、
この「Adult Oriented Rock」なるもの、
日本独自のものだと思うけど非常に分かり易い。

ザック・ワイルド位の音を出してくれないと物足りなかった
若かりし僕のイメージは、「おっさんが優しめに歌うソフトなロック」
でありまして、ケッってなもんでした。

クリストファー・クロス
ジェイムス・テイラー
ダリル・ホール
ボズ・スキャッグス
マイケル・フランクス
マイケル・マクドナルド

なんて面々が思い浮かぶわけですな。
日本では山下達郎や稲垣潤一なんかがパッと出てきます。
TOTOシカゴスティーリー・ダンなんかも入ってくるな。アメリカも好いねぇ。

この「ケッ」な面々、30代に近づくにつれ、
何故か不思議な興味が湧いてきました。
綺麗なメロディと、ホッとするボーカル。
洗練された一昔前の都会的(またはリゾート地的)な音。
休日のドライブや、夜の街でも、目を細めちゃう魅力。

そもそも「都会的な音」とはナンなのか?
これに答えられないもどかしさ。

だから結局

「ビリー・ジョエルを聴け!」

なのであります。


最後の砦、崩れる

2008-07-21 | Weblog
恒例の「健康診断ビビリ報告」です。
今回の目玉はなんと言っても尿検査!

リトマス試験紙みたいなのを渡されて、
それに尿をつけて色の変化で検査するのですがね、
これだけは、今まで何の異常も出た事の無い最後の砦なのです。
(異常がなければ紙の色は変らない)

ここだけは安心ってなもんで、
トイレに入って意気揚々と尿をかけます。
まだこの時点では鼻歌すら出てますさ。


が!


紙がみるみる変色していくではありませんか!!

鼻歌中止!!

見たこと無い色ですよ!!
見たこと無い色ですよ!!!

二回書いても伝わらない不安を胸に、
チェックするオバチャンの居る部屋へ。。

何の異常も無ければ、チラッと見ただけで
「はい、そこに捨てて、次行って」のオバチャンの目が輝きます。

「ちょっとかして!」

やっぱり?
だめ?
死ぬの?
ねぇ、死ぬの??
そんな人の尿のついた小さな紙を「かして」なんてさ、
僕は死ぬのですか!?

カラーチャートと検査紙を行ったり来たりの
オバチャンの険しい視線が、検査の結果とは別に
僕の寿命を確実に32分位縮める。

遠めからでも分かるんだ。。。
何となく見えるんだ。。。
あのチャートの一番濃い所の色、
僕の検査紙の色と一緒なんだ。。。

糖でしょ!糖なんでしょ!?

「糖がかなり出てますよ」

でしょ!
僕、何となく分かってたよオバチャン。。。

年末のストレスOLスイーツ生活のせいでしょ。
毎日、シュークリームを食べ続けたからでしょ。


という訳で、気持ちはすっかり糖尿病の僕は、
翌日の飲み会を、「林大輔・最後に好きなものを食べ飲む会」と
勝手に命名し、ビール、コーラ、油の関わる食べ物を愉しみ、
只今、摂生生活2日目突入中。





人面魚とキンキン声

2008-07-14 | Weblog
ポ~ニョ ポ~ニョ ポニョ さかなのこ~♪

ってね、日テレ推し過ぎで僕の脳にもすっかり刷り込まれ、
気付けば歌っている始末です。

陽気な幼稚園児が、かえるのこ~♪と、
僕が初期に犯したのと同じ間違えを大声で歌い、
僕はニンマリと横を通り過ぎたのであります。

で、面白いの?あれ。
「結婚したい人→ナウシカ」であった事は告白しますが、
宮崎アニメにそれ程思い入れの無い僕でも、
全ての作品は観てますし、新作は多少気になります。
でも、あの優しすぎそうな絵の人面魚。。。
誰か、観たら感想聞かせてね。


あとね、話し変るけど志田未来の演技力はとんでもない。
「自然風雰囲気役者」が巧い!とされる昨今、
あれ程しっかりした演技は気持ち良いです。
観ていて楽しいもの。


それと、週末の大切な時間をガッツリ無駄にした
恋するマドリ」という映画。
新垣結衣の「可愛さ」だけではどうにもならない事は存在したよ。
中盤からは、その「可愛さ」から発せられるキンキン声すら不快になる始末。

おかげで、その後観たタイトルも覚えてない映画、
雰囲気女優・蒼井優の演技の静かさに、癒されちゃったじゃない。。

なんなんだ週末。


黄門枠

2008-07-07 | Weblog


大嫌いなTBSでありますが、
月曜20時の「ナショナル劇場」を頑固なまでに貫く姿勢はありがたい。

ほぼ「水戸黄門枠」ではありますが、隙間に挟んでくるドラマ陣も、
今時この時間帯にこの内容!?という「ほっこり人情物」への拘り。

最近では、「こちら本池上署」「特命!刑事どん亀」
「浅草ふくまる旅館」等があり、その拘りがはっきりと形になっている。

元々「水戸黄門or大岡越前枠」であるのだから、
その辺の視聴者層を放さずに、いかにして
フジの「HEY!HEY!HEY!」や、日テレの「世界まる見え」、
NHKの「鶴瓶の家族に乾杯」、テレ朝の「Qさま」と戦うか。

そこで出されたこの「ほっこり人情系」の選択は賢明だと思う。
だって、他にどうしようもないもんね。

「水戸黄門層」が「鶴瓶」に多少流れる危険はありますが、
西田敏行の人情物を流しておけば、他に流れる事はないでしょう。

僕もたまーに「家族に乾杯」には流れてますけど。。
若くして、バッチリこの「水戸黄門/大岡越前層」に属する私も、
やっぱり「ふくまる旅館」に号泣してましたしよ。


そんな「ナショナル劇場」も、今年10月の松下電器産業の社名変更で、
どうなってしまうのか心配されている。(誰に?僕に)
「ナショナル・ブランド」は消滅する為、
新社名「パナソニック劇場」でいくのが有力だが、
1956年に始まった歴史には、ひとまず幕が下りる。

「ナショナル劇場」の冠では最後となる番組が今週から始まっている。

『あんどーなつ』…浅草の老舗和菓子店「満月堂」を舞台にした人情ドラマ。

頑固な和菓子職人→國村隼。
あぁ、大丈夫だ。。。安心だ。。。

ナショナル劇場バンザイ!!

やるな

2008-07-07 | 映画のこと


観てみた。
私、この原作は一度も読んだ事がございません。
ので、なんの思い入れも先入観も無く観ましたが、
なかなかでした。

実はもっとバカバカしい面白漫画かと思ってたんだけどね。

なんて重いんだ。。。
あまりも絶望的な登場人物達に苦しみながら、
何とか最後まで観終えましたよ。

最近の大人アニメに多い、哲学的(ふわふわな)なセリフの羅列もなく、
子供の口から出るドキッとさせられる簡素な言葉の中で、
深い闇と光を語ろうとする演出がとても良かった。
観念的と言ってしまえばそうなんですが、
それを「観せる」事にしっかりと成功しています。

アニメとしても、意味無く新しい手法を取り入れたりせず、
独特な街の色彩、スピード感、内世界の表現等、
場面ごとにぴったりな絵・手法で見せてくれるので、
安心して「お話」に集中出来ました。

蒼井優の声優っぷりが凄い。
監督、日本人じゃないのね。。


01:26:35

2008-07-05 | Weblog
例えばあの日の明け方、
僕がどんな気持ちで外苑西通りを走っていたか。
少しだけ明るくなった街は、僕の目にどう映り、
ラジオから流れるオーティス・レディングが、
どれだけ僕の心に刺さったか。

そんな事は、どう説明したって他人には伝わらない。
でも、少しでも良いから、あの時間を誰かと共有したい。

そういう気持ちから、絵や写真が生まれてくる
複雑で難解なところからではなく、
毎日の生活の中での心の景色。

きっと今も、外苑西通りのどこかで、
あの日の僕に近い思いをしている人は居るはずなんだ。


暑さで気がおかしくなる前に、涼しげな写真を一枚。