ひさしぶりに『燃えよ剣』(司馬遼太郎著)を読んだ。
2日で一気読み。
やっぱり最高に面白い。
数多くある司馬遼の作品の中でも間違いなく5本の指に入る傑作。
なぜこれほどまでに面白いのか。
それは・・・とにかくかっこいいのだ、歳という男の生き様が。そして死に様が。
この物語、端的に言えば新撰組副長・土方歳三の‘男っぷり’を描いたもの。
幕末という激動の時代の中で、彼だけはまわりに流されずただ‘男とはこうあるべきもの’という確固たる信念のもとで時代の流れに逆行していく。
たしかに、時代遅れかもしれないし、先見の明がないかもしれない。
しかし、戦いの天才である彼は一種の職人でありアーティストであり、そこに彼なりの美学を見出したのだろう。
だからそれ以外のことには興味がない。
ただ戦いあるのみ。
だから新撰組という高度に組織化された剣客集団が存在し得た。
逆に言えば、彼がいなければ新撰組というものは間違いなく存在しなかったであろう。
とにかくブレない生き様といい、最期の死に様といい、同じ幕末を描いた傑作『竜馬がゆく』とはまた違った面白さがこの作品にはある。
最後に彼が作中沖田総司に言った言葉
「男の一生というものは・・・美しさを作るためのものだ、自分の。そう信じている。」