
朝には朝の、夕には夕のにおいがあった。
前の家が空き家になって、見に行ったらこっぴどく叱られた。
町の体育館に来る秀樹やひろみの話題が、半年間は続いた。
こっくりさんを心底信じていた。
夕方になると、お豆腐屋さんが来るので鍋を持って待ちわびた。
姉が持つものには、どんな物でも憧れた。
東京に行けば、必ず芸能人に会えると思いこんでいた。
おこづかいをもらうと、すぐに「りぼん」を買いに行った。
エイプリルフールの日に「転校するんだ」と嘘をつき、友達にショックを与えてしまいうろたえた。
9時に寝ないと、怖いおじさんが人さらいに来るとおびえていた。
雪が降ると、学校が休みになればいいね、と友達と真顔で話した。
よその家のお母さんに叱られ、シュンとなった。
携帯やパソコンがなくても満ち足りていた。
私が子供だった頃。