K-1 II/HD PENTAX-D FA☆ 50mm F1.4 SDM AW
行きつけの床屋の主人が認知症になった。
まだ推測だが、私をだれだかわかっていないし、髪を切っている間、
うるさいほど喋っていた人が、ひとこともしゃべらなくなった。
表情もおかしい。
抜け殻のように顔にまるで生気がない。
異変は前回の散髪のときに感じていた。
あのときも、あいさつの際、私の顔を見て困惑していた。
名前が出てこないという表情ではなくて、「誰?」といった顔で目が
泳いでいた。
それでも、散髪の間、多少の世間話は交わせた。
今日は、終始無言だった。
私は10年前に、このお店と裏の住宅を設計させてもらった。
それ以降ずーとこの床屋さんにお世話になっている。
人はボケると、たった半年で別人のように変わってしまうのか。
あの気さくな店主にはもう会えないのだろう。