1年前から2階のトイレを使っている。
正確には2階のトイレだけを使っている。
1階のトイレは使わないことにしている。
理由は二つある。
ひとつは2階のトイレの便座が新しくなったからである。
もうひとつは運動のため。
とりわけ後者の理由が大きい。
いかなるときも2階まで上がって用を足す。
結果、1日5~6回は階段を上り下りすることになる。
最近動きの少なくなった私には得難い運動になる。
1階のトイレには悪いが、当分使うことはないだろう。
とはいえ、たまには1階のトイレをのぞくことがある。
用を足すわけでもなく便座に座り漠然とトイレの中を見渡す。
1年の間、放置されたままの本や雑誌に目がいく。
半分は私の本である。
使っていない手洗器の中で無造作に重なり合っている。
一番上にあるのは、つげ義春の特集本である。
あのとき置いたままの本が同じ状態で積まれている。
ヤクルトのカレンダーは今月のページがめくられている。
それ以外、なにも変っていない。
取り残された過去を振り返るようである。
わびしさとほんのり懐かしさがこみ上げてくる。
元妻や元夫に久しぶり会うというのはこういう感覚ではないだろうか。
薄汚い黄ばんだ便器を見ながらしみじみそう思う。
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