小林真 ブログ―カロンタンのいない部屋から since 2006

2006年開設の雑記ブログを2022年1月に市議当選でタイトル更新しました。カロンタンは40歳の時に飼い始めたねこです

『あの頃、マリーローランサン』、「この頃、アマリウランサンマ」

2007-12-05 17:37:52 | 週間日記
なんと、もはや一月前日記に。でも、このまま続けます。

5日(月)たぶんずっと仕事
6日(火)昼から校正のため築地へ。途中、マロニエ通り梟でラーメンは悪くない~夕食は編集Oさんが「ジャパニーズ中華の名店」と評するふぢのでタンメンはその言葉通り~バーミヤン、最近の餃子の王将など、帰路このテーマで話しながら~終わって電車中池内紀『読書見本帖』読了
7日(水)晩は出張授業~
8日(木)原稿一つ終了~晩は同級生Mト君宅に
9日(金)最終日のため熊谷マイカルで『グッド・シェパード』~大麻生・四華郷の味噌ラーメンは、最近よく思うとくに味噌ラーメンのテーマ、「濁り」をうまく活かしていてボン~晩は授業
10日(土)昼、撮影~晩は授業
11日(日)昼、撮影

そんなこんなで、日記は11月だけど早くも世の中は12月。冬が来て、忙しいらしい時期だ。
陽が出ていても樹々の枝とのコンビネーションに冷たい上空を感じさせる日々、帰りにできたばかりのスーパーベルクで小さな事件に気づく。

「さんま(解凍) 北海道」。
なんと、ついに「かいとう」ルパンが。
見かけは同じようにとんがってはいても、こいつらはこの間まで氷の中でうようよしていた「生さんま98円」のやつらじゃない。わかっていたんだ、やつらの扱いは、最近どうでもよくなって、細いからだはそれこそ肩身が狭そうだった。真新しいベルクの店内は、冷凍庫の凍りついた風が流れているようだ。
だけど、秋のルールは「生さんま」限定。すまんおまえら、あんなに冷たいところから出てきたってのに、こたえるわけにはいかないんだ。
「きみには罪はない、罪はないんだよ」と『夜明けの停車馬』を歌いながら、しかたなく土佐鶴新酒だけ買ってベルクを後にする。そう、この毎年年末から正月にかけて飲むジューシーな逸品が出回る季節なんだ。愚かにも気づかなかっただけじゃないか。住宅街にはクリスマスイルミネーションもきらめき、ラジオからは『ルドルフ・ザ・レッドノーズ』。もうやつらの季節じゃないのかも知れない。でもまだ、サバとかシャケなんぞとなかよくするわけにはいくもんか。

『あの頃、マリーローランサン』。
加藤和彦が83年に発表したアルバムのタイトルだ。たぶん、ちゃんときいたことはない。
83年といえば大学の仏文科に入った年だが、何となくかっこいいと思ったカミュにあこがれて入ったくらいの学生だったから、20世紀初めのこの女流画家であり詩人であり、アポリネールが『ミラボー橋』を捧げたという彼女の名を知ったのは、このタイトルが最初だったろう。
そして、マリーローランサンといえば『鎮痛剤 Le Calman』。

Plus que morte Oubliee.
死んだ女より もっと哀れなのは 忘れられた女です(堀口大學訳)

有名なこのフレーズを知ったのはさすがに学生の頃。ただ、この言葉が何をいいたいのかは当時はよくわからず、今になってもまだよくわかるとはいえないまでも、忘れたくないと思うことはだんだん増えている。

だからまだ11月だというのに、あんなにちやほやした秋のことなど忘れてクリスマスデコレーションにうかれるのははしたないと思う。楽しそうなだけ、新しいだけの何かに飛びつくより、慣れ親しんだものとの別れを惜しむ魂の方を、決して「楽しい」とは思わないけれど、少なくとも「美しい」と思う。
あんなになかよくしたさんまを、かんたんに忘れられるものか。

……
もうやつらには来年まで会えないのかと思って出かけた、国道がぶつかる交差点、24時間営業の西友。無意味に高い天井が映画でみるアメリカのスーパーのみたいな、ほとんど客のいない店内はまるでSF映画のようで奇妙な居心地のよさがある。
ここだってこの前2尾178円と安かったからな、もうみんな「かいとう」にやられちゃったろう、と思いながらポテトサラダやコロッケなんかの間を店内奥に入っていくと、そこには黒潮が流れていた。

「千葉 生さんま 198円」。
もう秋の最初みたいに活きがいいわけじゃない。魚売り場の真ん中で、青いビニールの氷の海でがちゃがちゃいってみんなが集まっていたりもしない。でも、お前たちが千葉の海からこの内陸まで運ばれてくるのだから、早12月だけど、もう少しだけなかよくしよう。

「この頃、あまり売らんさんま」を忘れない。

……でも、こいつら本当に「生」だよな。内陸育ちだし、「かいとう」だって区別つかないぞ。

(Phは窓から外を見るスラッシュ<本日撮影>。BGMは80年代英国ペイル・ファウンテンズから00年代アメリカ、ニュージージーのヨ・ラ・テンゴ。さんまは食べたことあるか)

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