ドゥダメル指揮、ベルリンフィルでSofia Gubaidulina: Glorious Percussionとショスタコーヴィッチ交響曲第12番「1917年」を聴いた。
Gubaidulinaの曲は、このパーカッション集団(Ensemble Glorious Percussion)とドゥダメル及びヨーテボリ交響楽団が共同で委嘱した作品で2008年にヨーテボリで初演されているとのこと。即興性の高い曲で、普段はスコアなしで振るドゥダメルもスコアを使っての演奏。非常に楽しい曲であった。日本人のパーカッショニスト(竹原美歌)がメンバーであるからかは分からないがアジア的な打楽器が使われたり、大太鼓が和太鼓のように演奏されて、花火大会を思い出したり。竹原氏によると、2011年にはドゥダメルが音楽監督になったLAフィルとも共演するとの事。
さて、勿論今日の目玉はショスタコの交響曲第12番。ムラヴィンスキーの録音で刷り込みしていたので、少々不安であったが、その不安を吹き飛ばしてくれる演奏であった。pは極限まで小さく、fffffは聴衆皆の鼓膜が破れてしまうのではないかと不安になるほど大きく、音楽はメンタルだけではなくフィジカルにも聴くものなのだと感じる。ベルリンフィルといえども極限まで力を出し切ることを要求できるドゥダメル、聴衆を熱狂に引き入れることが出来るドゥダメルの人心把握力に改めて感心。
ウィーンフィルを聴いたばかりなのでどうしても比べてしまうのだが、ベルリンフィルには機能美を感じる。一方ウィーンフィルはセクシーな音がする。今回の演奏で、ファゴットの音は素晴らしかったが、テンポがもたついているようにも思われた。ドゥダメルはもう少し早く演奏したかったのではないか?それともムラヴィンスキーの演奏で刷り込みされていた故に相対的に遅く感じたのか。ホルンはトップ奏者の音が素晴らしかっただけでなく、パート全体がpではいるところも、タイミングがぴったり、金管楽器の出だしにありがちな、「へたれ」な音を出すことなく、スムースに音が出てきて感心。
それにしても、何度行ってもフィルハーモニーは素晴らしいホールである。残響の美しいこと。曲中でもフォルテが鳴り止んだ際のホールの響きにはうっとりした。
来年、ウィーンフィルがこのフィルハーモニーで演奏をする。是非聴きに来たいものである。