Que ma vie est belle!

私とは、美しいもの、美味しいもの、楽しいものの集合体。

誰かに似ている?トーマス・キャロル、チェロリサイタル@ウィグモアホール、ロンドン

2009-12-05 00:30:00 | コンサート

折角の金曜日なので、ウィグモアホールでの演奏会に出掛けた。トーマス・キャロルというウェールズ出身のチェリスト。写真を見たときには思わなかったのだが、本人が出てきてびっくり。ジョシュア・ベルそっくりさんである。二人でブラームスのダブルコンチェルトを弾いて欲しい。

さて、曲目はオールチェロソナタで、前半がベートーベンのイ長調、シューベルトのアルペジョーネ、後半がブラームスのヘ長調。これらのチェロソナタを聴くのはとても久しぶりで、ベートーベンのイ長調って、どんなだったかしら?状態で少々心配。

が、心配は杞憂に終わる。ベートーベンの最初のフレーズを聴いて、思わず懐かしさに涙しそうになる。低音がとても深くて美しい音のする楽器だ。伺ってみたところ1737年のガダニーニとか。270年以上も昔の楽器なのに、表面の状態も音も良い。

アルペジョーネはその昔、自分も弾けるんじゃないかと錯覚するほど良く聴いていたので、これはどうやっても忘れようがない。アルペジョーネ用に書かれ、高音域を多く用いるのでチェリストが難儀するのを良く観る。今日も、ちょっと、ね。でも、第2楽章の美しさは、涙が出るほどだ。演奏家も素晴らしいけれど、シューベルト様のお陰でもある。何で31歳で死んでしまったの?D960(最後のピアノソナタ)のような曲を作ってしまったから、天上界の嫉妬を買って、地上界での存在を許されなかったの?

後半はブラームス。これも忘れようのない曲だ。ロマン派の音楽は本当にメロディが美しい-のに、トーマス君、最初のテーマの最高音を外すというミスを!ところが、である、これをなんとも上手くカバーしたのだ。まるでミスした音が経過音ででもあるように弾き、その後はまるで何事もなかったかのよう。天晴れ!流石はRoyal CollegeのProfessorだけのことはある。演奏会でのこうしたミスなど日常茶飯事だろう。それをどう上手くカバーするかも演奏家としての実力に違いない。

チェロは1音の間隔(距離)がヴァイオリンに比べて広いので、いつ見ても良くこれだけ指が動くものだと感心する。トーマスもまだ弓使いに課題はありそうだが、なかなか良い(別にジョシュに似ているからではなく。。。)。ちょっと応援したい演奏家かも、と思って楽屋へ伺って話しをしたら、コミュニケーション力に優れた大変良い人だった。

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うん、益々応援したい。

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