Que ma vie est belle!

私とは、美しいもの、美味しいもの、楽しいものの集合体。

南米の香り-セルジオ・ティエンポ ピアノリサイタル@ウィグモアホール、ロンドン

2009-12-06 16:30:00 | コンサート

ウィグモアホールのランチタイムコンサートへ初めて出かけた。セルジオ・ティエンポはベネズエラ生まれ(国籍はアルゼンチン)のピアニスト。日本では一時期大変ポピュラーだったらしいが、なんとなく名前に聞き覚えはあるが。。。といった程度の私。

バッハは指慣らし、といった風。でもかなり早い。ショパンに入って、なんとエキセントリックな弾き方をするのかと思った。この人もショパンコンクールに出ていたらブーニンのようになっていたのかしら。バラードト短調やラヴェルの夜のガスパールは素晴らしいテクニック、特に良く動く指であることは認めるけれど、ちょっとミスタッチが多すぎる。もう少しスピードを落として落ち着いて弾いてくれたらそれで良いのに、と自分のことを差し置いて(勿論私はこんなに難しい曲は弾けないが)思う。

また、力いっぱいに弾くので、要所のみであれば「すごい」なのだが、ラヴェルでは余りにも多く力いっぱい弾くので音が濁っていた。我が家に居るSteinwayもこういう風に弾いて欲しいのか、あるいはここまではしなくても、と思うのか、どちらだろう。本人も楽屋でエージェントやその知り合いと思しき人達に「(ホールも響きが長いし)強く弾き過ぎたかな?」と尋ねていた。

最後は(ランチタイムコンサートは1部制-結局1時間半に渡って弾き続けた)ヒナステラのアルゼンチン舞曲集作品2。これはお手の物、だろう。3つの曲からなり、Dance of the Old Cowherd, Dance of the delightful Young Girl, Dance of the Devious Cowboy。とても民族的な音楽。3つ目の曲はマランボのよう。後からティエンポに伺ったところ、やはりマランボ(アルゼンチンの民族舞曲)なのだそうだ。ヒナステラは「マランボ」というピアノ曲も別に作っているとのこと。

アンコールは2曲。「楽興の時」とピラソラの「Muerte del Angel」。ピアソラは殆どジャズナンバー、といった感じ。新宿Park HyattのNew York Barで弾いて欲しい!Wigmoreの客は年齢層が高いので、ティエンポの前衛的な演奏を受け入れ難い人も多いのか、ヒナステラの前で帰ったり、アンコールが続いているにも拘らず帰った人も多かった。アンコールの2曲目では半分くらいの客しか残っていなかった。それでもティエンポ、お構いなし。この明るさがベネズエラ、あるいは南米の人の強みだな、と思う。

ちょっとミスタッチが多く、また少々エキセントリックな演奏に思えたので、楽屋へ行くのは止めようかな、とも思ったがアンコール2曲目が何か知りたくて結局伺った。

会ってみると、大変な好青年。途中、フィアンセという女性が来て二言三言-フランス語で。ここからフランス語に切り替え、なぜ南米出身のあなたがフランス語なの?と聞くと、家族でベルギーに住んでもう長いのだそうだ。英語を話すときのアクセントはスペイン語系-グスタボと同じ-なのに?と言うと、グスタボを知っているの?大親友なんだ!という。なるほど、音楽の世界も狭いようだ。

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流石南米人、ポーズが決まっている。そして、勿論、恒例の-

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