ヒラリー・ハーンがプロムスに登場、とのことで聴きに行った。先日、ジョシュがムーティと演奏してロンドンに感動を巻き起こした(?)ベートーベンのVn協奏曲。
ハーンを生で聴くのは初めて。録音でも、5年位前にフランス語の先生から彼女のバッハ無伴奏ソナタとパルティータのCDを薦められて聴いたくらいで、その他には特に記憶にない。
さて、おなじみロイヤルアルバートホールであるから、あまり音質を期待することは出来ないのだが、それでも彼女が出す音の質というのか、性格というのか、は、なんとなくつかめたような気がする。
とても素直な、直線的な音だ。グラマラスではない。また、腕の動きがとても美しい-美しいフォームから美しい音が生まれる、という手本のような演奏だ。テクニックも素晴らしい。ところどころ曲の膨らめ方に違和感を感じる部分はあったものの、今まで生演奏を聴いた女流ヴァイオリニストの中では、かなり好きなタイプだ。
実は、最も魅かれたのは、アンコールで弾かれたバッハの無伴奏ソナタとパルティータからジーグ。ベートーベンでは、直線的で少し幅に欠けるかのような音だったのに、とたんにふくよかな、つやのある音になっていた。ハーンのバッハ無伴奏ソナタとパルティータ全曲を生で聴いてみたい。
ベートーベンとバッハでかなり違う音だった-あれ、結局彼女の出す音の質・性格なんて、少しも掴めていないんじゃない。