Que ma vie est belle!

私とは、美しいもの、美味しいもの、楽しいものの集合体。

ヤンソンス指揮、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団-マーラー交響曲第2番@バービカン、ロンドン

2009-12-13 22:00:00 | コンサート

ヤンソンス&コンセルトヘボウ、2日目はマラ2である。ロンドンシンフォニーコーラスが入るからなのか、日曜日の昼間だからなのか、チケットはSold out。リターンチケット待ちの人々が並んでいる。

一応4管編成、と言うことになるのだろうが、ステージが広くない上に、合唱、独唱者(2)用の椅子、オルガン(バービカンには備え付けのパイプオルガンがない)がステージに乗っているため、かなりぎゅうぎゅう。打楽器とコーラス席の間は極めて狭く、楽器間の移動がある打楽器奏者は辛そう。

第1楽章。今日もコンセルトヘボウのめりはりある演奏が冴える。やっぱりマーラーは生で聴くに限る。これまでiPodで聴いていたのと迫力が全く違う。金管、パーカッションが盛り上がってくるとぞくぞくする。これだけのダイナミックレンジのある音楽を家で楽しむには防音室が必要だ。第1楽章と第2楽章の間はスコアに5分以上の時間を空けるよう指示があるが滅多に守られない、とあったが、ヤンソンスはしっかり遵守。この間に独唱者が入り、遅れてきた客もついでに入る。

第2楽章、ヤンソンスの再登場でよりによって隣のおじさんが拍手!-演奏中のお行儀がよくないおじさんだったので、思わず「楽章間の拍手はNG!!」と睨んでしまった。第2楽章は緩やかな美しいヴァイオリンで始まる。途中、ヴァイオリンをマンドリンのように構えて少し長いピチカート。あ、ここなら弾ける!?最後はハープの美しい分散和音で終わり、思わず目を閉じてしまう。

第3楽章、小気味良い8分の3拍子。弦の16分音符に乗って管がメロディを奏でる、滑るような曲想、打楽器のリズムが気持ちよい。聴衆の間でもリズムに乗って体の動く人続出!フルートの信じられないような循環奏法に合わせて息を止めてみたがこちらが死にそうだった。オケの友人は、循環奏法といっても、永遠に吹き続けられるわけじゃない、と言っていたが、彼なら永遠に吹いてしまうかも?

第4楽章のメゾソプラノ、なかなか好きな声質。

第5楽章。マーラーの醍醐味。弦、管、パーカッションにソプラノ、メゾソプラノ、合唱、オルガン、さらには場外の管も加わる。弦も上手いし、管も上手い。上手いに上手いが折り重なってゆくのって素敵だ(ソプラノだけは声質といい声量といい残念だったが)。トロンボーンのとろけるような音色や場外の管の、あの遠くから聞こえてくる感じも好き。総じて明るい楽章。何でこんなに心底明るくなれたのかマーラーに聞いてみたい。

ヤンソンス、成長したなぁ。彼が23年前に地元に来たときは「田舎はムラヴィンスキーじゃないんだ」とがっかりモード(結局ムラヴィンスキーは来日できず)だったが、今思えば若きマエストロの演奏を聴いたことになる。自分も彼の成長ほどとは言わずともこの20年余りの間に何らか成長できただろうか?(相当怪しい)

今年のLondonでの最後の演奏会。今年はマーラーに始まって(最初に聴いた曲、ではなく、グスタボのマラ5ではまった、と言う意味で)マーラーに終わる年となった。来年はどんな素敵な音楽に出会えるだろうか。


ヤンソンス&ロイヤルコンセルトヘボウ@バービカン、ロンドン

2009-12-13 00:30:00 | コンサート

待ちに待った、ヤンソンス指揮ロイヤルコンセルトヘボウの演奏会。スメタナ『売られた花嫁』序曲、マルティヌー「2つの弦楽オーケストラ、ピアノ及びティンパニのための複協奏曲」、ブラームスSym第4番。

ヤンソンスの出身であるレニングラードフィルにおける『ルスランとリュドミラ』序曲ではないが、弦楽の速く細かい動きのある『売られた花嫁』序曲を一糸乱れぬ素晴らしい演奏でさっくり弾いて、観客を惹き付ける。マルティヌーで少し頭の体操-協奏曲の掛け合いを気合を入れて聞き分け、最後はお馴染みのブラ4で観客を酔わせる-良く考え抜かれた古典的演奏会プログラム構成であった。

メインのプラ4は素晴らしかった。ヤンソンスは第1楽章、第2楽章の冒頭、静かに入る部分は指揮棒を使わず(手に持ったままで)指で指揮。なんとなく、そうしたい気持ち、分かる。ちょっとヴァイオリンでミュートをつけるモードといったところか。ヤンソンスはコンセルトヘボウの常任指揮者で、気心が知れているからか、リズムを刻むことより流れを重視する部分では、打点をはっきりさせるのではなく、体と腕全体を左右に流れるように動かして指揮をする。一方、金管、木管、弦が掛け合うようなところでは入りをきちんと指示する。とても分かりやすい、見ていて動きの必然性が納得できる指揮である。

第2楽章のヴァイオリン、チェロの美しい旋律-オケで弾いた時この部分のことを余り良く記憶していない-と思ったら、ファーストは対旋律を弾いていたのであった。自分のパートを弾くのに一生懸命で、まるで聴けていなかった。でも知っていたら、こっそりセカンドを弾いてしまったかも!?それにしても弦の重なりが美しいメロディだ-昨日のブラ1の第4楽章と同様に。

第3、第4楽章はAllegroなのだが、走りすぎることなく、きちんと統率されたテンポで演奏されていた。もっと速くも弾けるけれど、このテンポで弾く、と言う感じが良い。アマチュアでは、弾けないくせに、ここから走るのだ。我がオケもここから走って崩壊しかけた。こういう安定した美しい演奏が出来るオケが身近にいるアムステルダムの人々が羨ましい。

ヤンソンスはいつもアンコールを弾いてくれる。今日もブラームスの「ハンガリー舞曲集」からとドボルザークの「スラブ舞曲集」から。大満足の演奏会。昨日のブラ1も良かったが、今日のブラ4はその上を行く。この順番で聴けて本当に良かった。


小粒な皇帝-ラドゥ・ルプー@ロイヤルフェスティバルホール、ロンドン

2009-12-12 00:00:00 | コンサート

サラステ指揮、ロンドンフィルハーモニック管弦楽団、ルプーのピアノで、ベートーベンのPf協奏曲第5番『皇帝』、ブラームスSym第1番を聴いた。

ルプーはCDでは聴いたことがあったが、生は初めて。叙情的な曲が得意な彼で『皇帝』というのはどうかとも思ったが、出かけてみた。

結果は-皇帝、といっても小粒ちゃんもいるよね、という演奏だった。ロイヤルフェスティバルホールは、普通ピアノの音が綺麗に聴こえるホールと思っていたのだが、pはともかくfが弱い、特に低音のfに全く迫力が感じられない。弦の低音はとても良く響いていたのに、ピアノの低音が響かない-と不思議に思われた。

テンポ設定もかなり遅い。特に第3楽章。第2楽章のAdagioから、第3楽章のAllegroへと、テンポ変化を期待して身構えていたのに、全然速くならない。ルプーは指揮者に左手で指揮をして、テンポ設定も決めているようだった。このゆっくりとした速度でこのテーマを歯切れ良く演奏するのは、却って大変そう。オーケストラの皆様、お疲れ様でした。

ルプーはピアノ用の椅子を使わずオケの団員が使用するのと同じスチールの椅子を用い、まるで小学生が学習机に向かって座るかのようにきちんと座った。これでは低音や高音が弾き難いのでは、と心配になった。結局、特に左右の動きには不自由していないように見えたが、フォルテが十分に出ない理由が、この座り方で腕の動きが不自由になることが理由ではないか、と思われた。ゆったりと座れば、自然に腕全体を使って弾くことで無理なくfが出るようにも思うのだが。

結論:ルプーには静かなピアノ曲を弾いてもらいたい。

後半はブラームスの交響曲第1番。これは、ブラームス様に乾杯!であった。メロディーの美しいこと。第2楽章のヴァイオリンソロは曲想をもう少し工夫できたらよかったが、音はとても美しかった。ニコロ・ベルゴンツィの楽器を使っているのだそうだ。また、オーボエ、クラリネットも良かった。フルートは、大きな音を出そうとして息が管を通る音が聞こえるのが気になった。そんなに無理に大きな音を出そうとするより、もう少し音質に拘ったらよいのに-指揮者はそういうことを指摘できないのか知らん?

サラステは見た目なかなか渋いおじさんでよいのだが、指揮はテンポが摑み難いように思われた。また、曲の最初に全く「間」をとらないので、拍手の残響があるうちに演奏が始まってしまい、聞き手も十分な準備ができず、なんとなく騒がしい中で音楽が始まる印象があった。さらに今日は会場の照明が少し明るかったことも、ざわめきがすぐに引かない理由だったかもしれない。こんなちょっとしたことも、気になる今日この頃。


南米の香り-セルジオ・ティエンポ ピアノリサイタル@ウィグモアホール、ロンドン

2009-12-06 16:30:00 | コンサート

ウィグモアホールのランチタイムコンサートへ初めて出かけた。セルジオ・ティエンポはベネズエラ生まれ(国籍はアルゼンチン)のピアニスト。日本では一時期大変ポピュラーだったらしいが、なんとなく名前に聞き覚えはあるが。。。といった程度の私。

バッハは指慣らし、といった風。でもかなり早い。ショパンに入って、なんとエキセントリックな弾き方をするのかと思った。この人もショパンコンクールに出ていたらブーニンのようになっていたのかしら。バラードト短調やラヴェルの夜のガスパールは素晴らしいテクニック、特に良く動く指であることは認めるけれど、ちょっとミスタッチが多すぎる。もう少しスピードを落として落ち着いて弾いてくれたらそれで良いのに、と自分のことを差し置いて(勿論私はこんなに難しい曲は弾けないが)思う。

また、力いっぱいに弾くので、要所のみであれば「すごい」なのだが、ラヴェルでは余りにも多く力いっぱい弾くので音が濁っていた。我が家に居るSteinwayもこういう風に弾いて欲しいのか、あるいはここまではしなくても、と思うのか、どちらだろう。本人も楽屋でエージェントやその知り合いと思しき人達に「(ホールも響きが長いし)強く弾き過ぎたかな?」と尋ねていた。

最後は(ランチタイムコンサートは1部制-結局1時間半に渡って弾き続けた)ヒナステラのアルゼンチン舞曲集作品2。これはお手の物、だろう。3つの曲からなり、Dance of the Old Cowherd, Dance of the delightful Young Girl, Dance of the Devious Cowboy。とても民族的な音楽。3つ目の曲はマランボのよう。後からティエンポに伺ったところ、やはりマランボ(アルゼンチンの民族舞曲)なのだそうだ。ヒナステラは「マランボ」というピアノ曲も別に作っているとのこと。

アンコールは2曲。「楽興の時」とピラソラの「Muerte del Angel」。ピアソラは殆どジャズナンバー、といった感じ。新宿Park HyattのNew York Barで弾いて欲しい!Wigmoreの客は年齢層が高いので、ティエンポの前衛的な演奏を受け入れ難い人も多いのか、ヒナステラの前で帰ったり、アンコールが続いているにも拘らず帰った人も多かった。アンコールの2曲目では半分くらいの客しか残っていなかった。それでもティエンポ、お構いなし。この明るさがベネズエラ、あるいは南米の人の強みだな、と思う。

ちょっとミスタッチが多く、また少々エキセントリックな演奏に思えたので、楽屋へ行くのは止めようかな、とも思ったがアンコール2曲目が何か知りたくて結局伺った。

会ってみると、大変な好青年。途中、フィアンセという女性が来て二言三言-フランス語で。ここからフランス語に切り替え、なぜ南米出身のあなたがフランス語なの?と聞くと、家族でベルギーに住んでもう長いのだそうだ。英語を話すときのアクセントはスペイン語系-グスタボと同じ-なのに?と言うと、グスタボを知っているの?大親友なんだ!という。なるほど、音楽の世界も狭いようだ。

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流石南米人、ポーズが決まっている。そして、勿論、恒例の-

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誰かに似ている?トーマス・キャロル、チェロリサイタル@ウィグモアホール、ロンドン

2009-12-05 00:30:00 | コンサート

折角の金曜日なので、ウィグモアホールでの演奏会に出掛けた。トーマス・キャロルというウェールズ出身のチェリスト。写真を見たときには思わなかったのだが、本人が出てきてびっくり。ジョシュア・ベルそっくりさんである。二人でブラームスのダブルコンチェルトを弾いて欲しい。

さて、曲目はオールチェロソナタで、前半がベートーベンのイ長調、シューベルトのアルペジョーネ、後半がブラームスのヘ長調。これらのチェロソナタを聴くのはとても久しぶりで、ベートーベンのイ長調って、どんなだったかしら?状態で少々心配。

が、心配は杞憂に終わる。ベートーベンの最初のフレーズを聴いて、思わず懐かしさに涙しそうになる。低音がとても深くて美しい音のする楽器だ。伺ってみたところ1737年のガダニーニとか。270年以上も昔の楽器なのに、表面の状態も音も良い。

アルペジョーネはその昔、自分も弾けるんじゃないかと錯覚するほど良く聴いていたので、これはどうやっても忘れようがない。アルペジョーネ用に書かれ、高音域を多く用いるのでチェリストが難儀するのを良く観る。今日も、ちょっと、ね。でも、第2楽章の美しさは、涙が出るほどだ。演奏家も素晴らしいけれど、シューベルト様のお陰でもある。何で31歳で死んでしまったの?D960(最後のピアノソナタ)のような曲を作ってしまったから、天上界の嫉妬を買って、地上界での存在を許されなかったの?

後半はブラームス。これも忘れようのない曲だ。ロマン派の音楽は本当にメロディが美しい-のに、トーマス君、最初のテーマの最高音を外すというミスを!ところが、である、これをなんとも上手くカバーしたのだ。まるでミスした音が経過音ででもあるように弾き、その後はまるで何事もなかったかのよう。天晴れ!流石はRoyal CollegeのProfessorだけのことはある。演奏会でのこうしたミスなど日常茶飯事だろう。それをどう上手くカバーするかも演奏家としての実力に違いない。

チェロは1音の間隔(距離)がヴァイオリンに比べて広いので、いつ見ても良くこれだけ指が動くものだと感心する。トーマスもまだ弓使いに課題はありそうだが、なかなか良い(別にジョシュに似ているからではなく。。。)。ちょっと応援したい演奏家かも、と思って楽屋へ伺って話しをしたら、コミュニケーション力に優れた大変良い人だった。

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うん、益々応援したい。

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マゼール指揮「展覧会の絵」@ロイヤルフェスティバルホール、ロンドン

2009-12-04 00:00:00 | コンサート

ロリン・マゼール指揮、フィルハーモニア・オーケストラでコダーイ「ガランタ舞曲」、チャイコPf協奏曲、ムソルグスキー作曲ラヴェル編曲、組曲「展覧会の絵」を聴いた。

マゼール、上手い。あと3ヶ月で80歳だというのに。舞台袖から指揮台までを歩く様子は「大丈夫かな、この人?」なのだが、なぜか指揮が始まると、断然元気になる。多分、とても指揮すること、まとめることが好きなのだろう。主要楽器の入りは必ず指差しで指示。音を急に止めるところ、小さくするところの身振り、手振り-背中を見ていると曲が聴こえる。

指揮者とシェフは似ている、と思う(フランス語で指揮者はchef d'orchestreなので当たり前かもしれないが)。素材やレシピは同じでも、誰が作るかで出来上がる料理がかなり違うのと同様、音楽もオケや曲目が同じでも指揮者によって聴こえてくるものはまるで違う。シェフが塩の振り方一つ、熱の入れ方一つで、大変素晴らしい料理を作り上げるように、曲の構造の捉え方、それを明確にするための表現-クレッシェンド、デクレッシェンド、アクセントのつけ方-等、何ら特別なテクニックをオケに要求せずともポイントを抑えるだけで、こんなにもメリハリのある、また今まで聴いていた時には気がつかなかったような音楽を聴かせてくれる。これだから、何回演奏会に行って何度同じ曲を聴いても、少しも飽きることがないのだ。

ピアノソロはシモン・トルプチェスキ。30歳のマケドニア人ピアニスト。テクニックも素晴らしく、指が良く動く。大変大柄で、この曲やラフマニノフなど、体格勝負と思われる曲を容易に弾きこなせそうに思われる。先日のマツーエフなどと同様だ。注文と言えば、第1楽章のカデンツァがしっくり来なかったことと、第2楽章の入りの音をもう少しやわらかくしてもらえると良かった点だろうか-ちょっと尖り目の音で、びっくりしてしまった-ピアノの音が美しく聴こえるホールなだけに少し残念。

「展覧会の絵」。席は1階後方中央だったが、金管やパーカッション(特にシンバル)の聴こえが良くなかった。もっと華やかで厚みのある音が聴こえるかと期待していたのだが期待したほどの音の波が押し寄せることはなかった。それでもラヴェルのオーケストレーションの美しさは、まるでシャンパンの泡がはじけるような、美しい花火が舞うような、そんなイリュージョンを見せてくれた。

そうそう、マエストロ・マゼール、全ての曲を暗譜で指揮。Hさん、やっぱり暗譜は必要条件(十分条件ではない)のように思われますが、いかが?


吉田都&スティーブン・マックレー「くるみ割り人形」@ロイヤルオペラハウス、ロンドン

2009-12-03 00:30:00 | バレエ

昨日の演奏会についてMailをやり取りしていたMさんが、今日はロイヤルオペラで「くるみ割り人形」をご覧になるという(ご紹介ありがとう)。もしやプリンシパルの吉田さんが踊られるのかしら、と見てみるとその通り!

舞台横£30の席か立ち見席£10の2席しか空きがない。年寄りは座りたいわ、と舞台横を選択。行ってみると、多少視界が限られる部分もあるものの、殆どかぶりつきの素晴らしい席であった。

ロイヤルオペラハウスは、オペラハウスなのにいまひとつ音響がよくない。今日の席はオーケストラピットの横なのでやむをえないが、ヴァイオリンの一人一人の音まで聴こえる(混ざって聴こえない)。フルートがなんとなく「もたっ」とした演奏に思われる。バレエの伴奏とはいえ、もう少しがんばろう!

舞台は後半の吉田さんとスティーブン・マックレーが出てきてから素晴らしい。思わず見入ってしまう、とはこれだ。バレエの流儀なのだろうが、ちょっとしたシーンごとに(そこそこの演技でも)拍手をするのは煩わしく思えて、拍手は省略していたのだが、彼らの演技には迷わず大きな拍手。アンコールで出てきてくれないかとちょっと長めに拍手。でも、次にも踊りがあったのね(くるみ割り人形を観るのは実は初めてで、何も分かっていない)。ロシアンダンスの人たちにも拍手。コサックダンスのような踊りは相当きついはずだが、そんな様子を見せない。流石、そうでなくっちゃ。

吉田さんは44歳だそうだ。プロなのだから年齢と比較して物を言ってはいけないのだろうけれど、やっぱりすごい。44歳であれだけ舞台をくるくる、くるくる回って、それでもにっこり笑ってポーズ。足を後ろにそらせても、筋肉をぷるぷるいかにも震わせたりしない。どれだけの努力と才能があれば、ここでこうして笑えるのだろう。

スティーブンは、プログラムの写真を見て、この素敵なお方はどなた?と思っていたら登場-感激いたしました。彼は見た目がソフトで私好み(ミーハー)。踊りも悪くない。何と、まだ23歳だそうだ。44歳の吉田さんと踊って、全く遜色のない風格がある。ちょっと注目してしまおうかしら。

いけない、いけない。はまるのは音楽だけにしておかないと。

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なお、今日の演技はOpus Arteから2010年にリリースされるDVDと映画のために録画されているとのこと。


ゴーティエ・カプソン他チャイコ「偉大な芸術家の想い出に」@クイーンエリザベスホール、ロンドン

2009-12-01 23:30:00 | コンサート

カヴァコス(Vn)、タメスティ(Va)、カプソン(Vc)、ルガンスキー(Pf)による演奏会。

3曲目が目当てのチャイコフスキー「偉大な芸術家の想い出に」。ピアノの難曲。まるでピアノコンチェルトのように難しそう。ヴァイオリンやチェロが比較的単純な動きをするのに、ピアノは一人で必死に弾かなくてはならない。気の毒なことに、会場が悪いのか(多分これが一番ありそう-まるで多目的ホールのようなクイーンエリザベスホール)、ピアノが繊細なのか(Steinway-ロンドンなので、まず間違いなくハンブルク製)、ヴァイオリン、チェロがffになると埋没してしまう。

カヴァコスのヴァイオリンは、ところどころ走ったり、ffになると音が濁ったり金属音が混じったり。先生に言われない?ffでも音が汚くなってはいけない!!って?演奏するのに一杯一杯で、三重奏をしている気配がない。さらに、低音に深みがないのはガダニーニの限界か。

一方、今日一番楽しめたのはチェロ。出だしから「音が大きすぎる!」と思うくらい音が出ていたゴーティエ。思い起こせばSalle Pleyelのような大ホールの2階席でも音が明瞭に聴こえていた。この楽器、相当音が出るのだ。。。彼は演奏中も楽しそう。第七変奏曲とか、私もついつい楽しくなってしまうコーダの42小節目からとか、微笑みながら演奏。ま、たしかにこの曲、チェロが一番技術的に難しくはなさそうだけれど、それにしてもこういう風に余裕をもって演奏して欲しい。「新」百万ドルトリオをヴァイオリンは勿論ジョシュ、ピアノはキーシンにしようと思っているのだけれど、チェロにゴーティエを任命するのはまだちょっと早いかしら?

演奏途中、彼がチェロのボディの上でビブラートをかけるような仕草をした。ビブラート、なんだろうな?と思って、楽屋へ行き尋ねてみると、果たしてビブラートであった。でも、ヴァイオリン族のボディは共鳴体なのに、そこに指を当ててビブラートなんて、音が減衰するんじゃない?と思って聞いたら、「絶対ビブラートが掛かる、I promise」と言われてしまった。あー、今から思えば弾かせてもらえばよかった(ってチェロは弾いたことないけれど)。

楽屋へ伺うと開口一番、「あなたの顔、見覚えがある」。すごい、この間Parisで会っただけなのに、何という記憶力。せめてその記憶力だけでも譲って欲しい。チェロの才能まで欲しい、なんて欲張りは言わないから。

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