風の生まれる場所

海藍のような言ノ葉の世界

空や雲や海や星や月や風との語らいを
言葉へ置き換えていけたら・・・

さまよえる本屋

2008年06月08日 00時55分10秒 | エッセイ、随筆、小説





“この18年間、1日も欠かすことなく”
―で優等生の母親を目指していたわけではないが、
今日は連日の朝5時置き、体育祭の応援幕の作成など、
それを体育祭前夜の午後8時から着手して、乾かし、
朝4時には完成しておかないと、体育祭ははじまらない。

指先を油性マジックの7色に染めて、
その後に炭字でクールに力強い応援をイメージする文字をあて
私と娘が納得のいく仕上がりに出来上がったのは、
午前3時をすこし越したところだった。

一時間寝て、娘のお弁当と朝食をつくって、送り出して、二度寝した。
が、学校へ行くまでの体力も気力もすでに前日までで消耗していたし、
なにしろ、お母さんたちとこれからはじまる大学受験や役員きめなどの話につきあえるのか?
疑問だ。

いつもの私なら完ぺき主義だったので「逃げてたまるか!!」の勢いで
体調が悪かろうがなにがあろうが、学校には必ず顔を出して、イベントに参加してきた。
けれど、今回はそこに危険な香りや予感がしていたことも事実なので
学校に行くふりをしながら、繁華街で放浪する学生やサラリーマンの一群に入った。
体調が治りかけの時期、家でゆっくりと寝ていればいいのだと思われるでしょうが、
娘にとっては今後を左右する母子の信頼関係にまで発展してしまうので、
どんな手をつかっても“行ったことに”しなければ崩壊してしまうのです。

さて、こう書くと、さも時間つぶしは容易なことではないですよ・・・と
思われる方も多いかと存じます。
はい、私も当初は、4時間程度という微妙な時間の中で、読書にふけるには長い、
ウィンドーショッピングには体力がもたない、
健康ランドでは、すっぴんとなり、シャンプーの香りを漂わせて帰宅すると、
”体育祭で汗を流すために立ち寄った”などという嘘が安っぽく聞こえ、
おまけに健康ランドのシャンプーだと鼻利きまでされてしまうのがオチだ。

前置きはこのくらいにして、要はさぼったのだ。
“18年間1日も欠かすことなく”―で優等生の母親を目指していただけではないが、
一度行ってみたかった手打ち蕎麦屋でランチコースを食べて、
20分という体力を考慮した制限付きのウィンドーショッピングに浮かれ、
本屋に1時間とちょっと。

そもそも外出した時間が遅かったことは事実だったが、
「体育祭、人がたくさんい過ぎてよーくみれなかった・・・」と第一声を掲げて帰宅すると、
な・な・なんと、娘がすでに帰っていて、自分の椅子に胡坐をかいて
『どこからみた? そこにかかっていた音楽は?」とつっ込みをいれてきたのだ。

いかん、いかん、ここで慌てた素振りをみせてしまうと嘘がばれる。
それも、体育祭に行かなかったならはだしも、
ショッピングモールで満喫していたことがばれてしまったら
母と子の18年間地道に築き上げた絆は台無しになってしまう。

「あっそうそう、本屋で○○君が○○ちゃんと彷徨っていたよ!」と娘の友達の話題に振ると
想像以上に食らい付いてきて『今日が初デートのはずだよ、目撃しちゃったのね?」と
体育祭の話題は嘘のように、どこかに吹き飛ばされていった。

さすがB型。
その扱いが上手いのもB型気質のA型の特技だ。うっはっは!!

『なんで本屋にいたの?」とさすがにつっ込みを入れられたので
「手に入らない本を入荷したと連絡が入ったから帰りに寄ってきた」と答えると
嫌な汗が背中をたらたらと流れていったので、
「B型、もしこの話題を明日まで覚えていたなら、続きしようぜ!!」といって退散した。


よほど疲れたのだろう。
B型娘は白紙状態に戻って目覚めることは間違いない。
あとは私から体育祭や本屋の話題を振らなければいいのだろうが、
口からぺろっと余計なことを言ってしまいそうで注意しなければ・・・だ。



 


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