rakitarouのきままな日常

人間様の虐待で小猫の時に隻眼になったrakitarouの名を借りて政治・医療・歴史その他人間界のもやもやを語ります。

Junkers Ju87 G-2 Tank Buster 1/72 Revell

2025-02-12 14:37:43 | プラモデル

ユンカースJu87の派生型であるG-2タンクバスターを作りました。ユンカース87は88と並んで第二次大戦初期のドイツ軍電撃戦の「破竹の進撃」で有名になった急降下爆撃機で、陸軍の直協機として数メートルの正確さで爆撃が可能であったことから多用されました。しかしポーランド、ノルウェー、フランス戦までは無敵であったJu87も、1940年の制空権がないバトルオブブリテンでは英国空軍のスピットファイアに面白いように撃墜され、対空戦闘力の弱さが露呈します。1960年台の映画Battle of Britainでもレーダーサイト攻撃に来たスツーカが新米のスピットファイアパイロットに次々と撃墜されて(rats in  a bottle)と揶揄されるシーンがあります。

特徴的な逆ガル型の翼を持つJu87

Junkers Ju87は1935年にアラド、ハインケル、B&W(ブルーム・ウント・フォス当時はハンブルグ航空機製作所)の4社の試作機からやや強引に実力者のウーデット大佐と空軍総監になるミルヒによって選ばれた機体でした。初期のAシリーズは600馬力のエンジンで爆弾搭載量にも限界がありましたが、ドイツが支援したスペイン内乱ではフランコ派のコンドル軍団で十分威力を発揮する事が出来ました。改良型のBシリーズ(1938年)は1200馬力のJumo210を装備して電撃戦の中心的役割を果たします。1941年の改良型Dシリーズは1400馬力の強力なエンジンを装備し、主翼の機銃も7.7mmから20mmになりましたが、重量も4,250Kgから5,720kgに増加したため、運動性や対空戦闘では期待したほどの性能向上には至りませんでした。空軍省はJu87の後継となる機体の開発を望みましたが(引き込み脚を持つJu87F)開発に至らず、Ju87は大戦後期まで様々な派生型を生みながら生産され、総生産数は5,700機に至りました。

迷彩は当時の爆撃機の標準パターン迷彩RLM70&71(ブラックグリーンとダークグリーン)、下面RLM65(ライトブルー)東部戦線1944年SG2航空団所属にしました。

G-2タンクバスターは最も量産されたD―5型(翼端を左右60cm延長)をベースに37mm高射砲2門を翼下に取り付けたタイプで、各6発の対戦車弾を発射可能でした。有名なハンス・ルデル大尉はG1型で592台のソ連軍戦車を破壊した記録を持ちます。この空から戦車の弱点であるエンジン上面を狙う攻撃は、隠れる場所の少ない大平原や砂漠の対戦車戦における革新的ゲームチェンジャーになりますが、以降の様なヘリコプターからのロケット攻撃や現代のジャベリンなどのコンピューター制御の対戦車攻撃と異なりJu87や75mm砲を装備したヘンシェルHs129からの戦車攻撃は高度な操縦技術を要するものでした。特にJu87の対戦車攻撃型は重い砲のために離着陸にも操縦が難しかったと記録されます。軟降下を行いながら疾走する敵戦車の後上方5-600mから正確に砲を発射する技術は大変なものだったと思います。また敵戦闘機に対する脆弱性は他のスツーカ以上に弱く、制空権のない戦場では飛行不可能でした。

87G1の実機 対戦車砲の細部やエアインテイクの構造が見える。D型からはオイルクーラーが機首上面から下面に移動になった。翼機銃は重いので取り外されている。

模型は古い金型ながらドイツレベル製で整合などは良好で、D-5とのコンバーチブル可能なキットでした。ハセガワ1/48のG-2も対戦車砲の砲口がないという不評がありますが、1/72の当キットもなかったのでドリルでそれらしく整形しました。また機首右側面の気化器空気取り入れ口も穴がなかったので作りました。昔作ったD-5冬季型(ハセガワだったか?)と並べてみました。対戦車砲の細部も1983年文林堂世界の傑作機(Ju87B-G)の写真を見ながら追加しました。同書によるとG型の塗装は一部資料に見られるRLM70(ブラックグリーン)一色のものはなく、通常みられる基本塗装であったとわざわざ記されているので同書の塗装指示どうりにしました。胴体の国籍標識は、大戦後期は白抜きの物が一般的であったとされるので古いD-5モデルのデカールが正しいと解ります。エンジンカウルが少し浮いているのは、取り外してエンジン部を一部見せる事が可能なためです(余り精密ではない)。

白の水性塗料で冬季塗装されたD-5 ダイブブレーキを装備した通常の爆撃機型

D型は翼端が延長されているのでスマートに見える。

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子離れ(米国)親離れ(日本、欧州、イスラエル)できるか

2025-02-08 15:37:04 | 社会

トランプ政権が開始されて2週間足らずで、各省長官人事もやっと決まりつつある状態でありながら、世界情勢が目まぐるしく展開してそれぞれの意味合いを理解するのも困難な状況です。大きくは、多極化に向かう世界で米国を多極の一極に据えるMAGA(=米国モンロー主義の復活)に進むトランプ大統領陣営と米国覇権維持グローバル(Deep state巨大資本陣営)のせめぎ合いなのですが、圧倒的に権力を持ったトランプが1期目ではできなかった改革を用意周到邪魔される前に手を打って改革を進めている物と思われます。

つまり米国は子離れ(従属国の独立)を指向、従属国は親離れを強いられているものの、それぞれで対応が異なっている状況と言えます。

トランプ大統領と最初に会談をしたのは、イスラエルのネタニヤフ首相でしたが、その反応は「勝手な事はするな」(米国独自の価値観の押し付けはイスラエル権力層=AIPACが許さない)という内容でした。欧州の反応は「我々は独立しましょう」(グリーンランドに防衛軍を送る。ウクライナは独自に対応)の方向ですが、2番目にトランプと会談をした日本は「え?対米独立?今こそ日米同盟強化でしょ?」という多分トランプ的には「それなら米国の要求は全て飲んでもらうよ」という反応でした。以下最近の動きをその観点から纏めます。

英国がウクライナ支援の主導を引き継ぐという2月6日テレグラフ紙の記事

 

〇  CIA(米中央情報局)USAID(米国際開発庁)解体

CIA解体について日本では全く知らないヒトも多いのでは?

米国政府の無駄を省く手始めはCIAとUSAIDの解体でした。CIAは全職員に辞職勧告がなされて早期辞職に応ずればボーナスも支払われるようです。CIA解体は前回のブログで示した様に至る所で反響が出てきている様です。USAIDはCIAのフロント実行組織で、移民や被災民への慈善事業を表看板にした他国政府、メディア、反政府NGOへのCIAの意向に沿ったコントロールを行う組織です。ハイチの地震、ハリケーンへの援助事業は予算の数パーセントしか実際の援助には使用されず、殆どの予算(税金)が中抜き、裏工作、キックバックに使われたと言われます。USAIDは年間6兆円(428億ドル)の予算でコロナウイルス開発を始めとする世界を混乱に陥れる役を慈善団体という名目で邪魔をされずに実行してきました。今後は国務省の一機関として「真に慈善事業に使う分のみ」の予算で運営される予定です。

CIAの手足として動いて来た従属国の(梯子を外された)ポチ達は、現在右往左往し始めている所です。命令を下し、後ろ盾になっていたCIAのボス達が荷物をまとめて母国に帰ってしまったからです。日本、欧州、中東でも国内で大きな動き(力関係の移動)がこれからあるでしょう。

 

〇  ガザを米国が所有し、リヴィエラの様なリゾートに

トランプ氏には珍しく原稿読みで会見 ネタニヤフ首相は満足そうな表情 パレスチナの人達もそこに住むよとコッソリ発言はしている

トランプ大統領と最初に正式に会談した首脳としてネタニヤフ首相と共に会見したトランプ大統領がガザを米国が所有すると言って物議をかもしました。親イスラエル派からは概ね歓迎され、BRICS始め多くの反シオニスト派からは「何だって?」「信じられない!」という予想通りの反応です。

私は頭のおかしなシオニスト「神がパレスチナを数千年前からユダヤに与えた」から何でも許されると言い放つ輩を黙らせるのはトランプが「私が神として君臨しましょう。」くらいの阿呆を宣言する必要があったのだろうと考えています。「妄想には妄想で答える」形式。なぜなら記者会見においてトランプ氏はいつものフリートークを封じて「原稿読み」に徹していました。これは具体的な計画を一切述べず、展望のみ語る作戦であり、実行性の面で「米軍は現状派遣しない」「金はサウジに出させる」「完全停戦が実現してから住民の移住を行う」「エジプトとレバノンが移住を受け入れる」というどれも現状実現不可能な具体性のない展望に徹し、雰囲気だけシオニズムに希望を抱かせる内容にしている所がミソと思われるからです。ネタニヤフ首相としては極右リクードを黙らせる土産を持って帰国できる内容だったでしょう。

会談に際してモサドがヒズボラ攻撃(24年5月19日にヘリが墜落して死亡したイランのライシ大統領もポケベルを持っていた)に使った「金のポケベル」と「普通のポケベル」をトランプに贈ったそうですが、「頭のおかしな集団にはこの答えで」というにふさわしい解答だったように思われます。

 

〇  USスチールは日本が投資する。尖閣は5条の範疇

黄金時代とか持ち上げているけど大丈夫か?

続いて二人目の会談になった石破総理ですが、こちらはネタニヤフ首相と違い、具体的事象について会見で表明、しかしながら「軽くあしらわれたね」という印象。米国は全く損をせず、150兆円の投資を呼び込み、日米安保の口約束で(5条範疇に入る入らないは今まで何度も扇の裏表の様に繰り返された)喜んで帰国するのですからイスラエルに比べて何と楽なことか。対外投資で日本円が買われる事はありません。長期円安確定の約束を日本のメディアはどう報ずるか(売国の度合いが計れる)見ものです。

 

〇  ロシアの政治的要望は受け入れてもウクライナの地下資源は欲しい

ガザ沖の天然ガス埋蔵田(パレスチナの領海にある)  ロシア占領地域に集中する埋蔵レアアース

ガザの所有も本音はパレスチナの海洋天然ガスの奪取をイスラエルが目論んだ事が発端であることはイスラエル情報省の覚書(ハマス襲撃直前に覚書発行)から明らかになっていますが、ウクライナを米国が欲しがるのは特に東部ドンバス地域に埋蔵するレアアースなどの天然資源が目的です。キエフやリヴィウがある西部は主に穀倉地帯であり、それらは既にモンサントやカーギルが利権を握っていてウクライナ国民が所有する農地など残っていません。ロシアは東部ドンバス地域をロシアに併合し、残りのウクライナに親ロシア政権を樹立して中立非武装を宣言させて欧米の利権を追い出しにかかるでしょう。後はディールで農産物やレアアースの開発利権をトランプと協議してウクライナの再建資金に充てる方向で話が進むと思われます。2月9日のニュースではゼレンスキーは慌ててウクライナのレアアース共同採掘とウクライナ支援をリンクしてトランプと協議したいと言い出していますが、「100年遅い!」阿呆です。欧州としては一刻も早くロシアからの安いエネルギー輸入再開を図って、産業復興と物価安定に向かわないと完全にBRICSに経済を奪われる結果になります。

敗北寸前の国がディールできるという発想が余りに阿呆!100年遅い!

 

〇  対米自立をテーマにした「紙の爆弾」

目まぐるしく変わる世界情勢と対米自立をテーマにした「紙の爆弾」2025年3月号が発売中です。rakitarouも「日本だけ続く超過死亡増大」について論考を加えていますので是非お読みください。扉にカラーで掲載された各国の超過死亡統計表を示します。

また来る2025年3月9日(日曜)品川区スクエア荏原(武蔵小山商店街、戸越銀座商店街)にて13:30-15:50「メディア廃棄宣言」を執筆された(反)ジャーナリスト高橋清隆氏を招いて「温暖化とコロナに流されない市民の会」勉強会を行います。参加費1500円でこちらから申し込めます。rakitarouも前座としてワクチンと超過死亡の関連、トランプ後の世界情勢について解説します。交通の便が良い所ですので関心を持っていただける諸兄は是非ご参加下さい。

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トランプ効果とCIA、FBIの衰退

2025-02-03 14:21:00 | 政治

トランプ氏が大統領に返り咲いてから2週間足らずのうちに、メディアは批判ばかりしているものの既に多くの事が世界で変わりつつあると思います。持続的効果は未定ながらガザでの一時停戦と人質交換は一部実現しました。公務員の削減と在宅勤務の禁止も発令。カナダ、メキシコ、中国への関税発動も行われ、早速世界の株価に影響を与えています。現在閣僚人事の議会承認手続きが進められていますが、民主党・グローバリズム陣営にとって不都合極まりない「RFK.Jr.の保健福祉省長官、トュルシー・ギャバード国家情報長官、カシュ・パテルFBI長官」の人事は、見苦しい程紛糾を極めています。そのような中でケネディ大統領暗殺についての機密文書の開示命令は目立たないながら大きな意味がありそうです。第一期目のトランプ政権でもケネディ文書の公開が約束されましたが、CIA、FBIの反対で結局重要な部分開示が見送られた経緯があるからです。国家保安上のリスクがあるからと説明されましたが、1960年代の事件で現在の米国の安全にリスクなどあるはずもなく、「CIAとFBIが犯人です」と自白しているに等しい。今回これが明らかになることで今までCIAとFBIの明らかな悪事に関わってきた連中が現在「逃亡モード」に入っているという事でしょう。以下に妄想を含めて最近の出来事からこれらの関連を推察します。

FBIを普通の警察組織に戻すと公言するパテル氏を必死に攻撃する民主党議員

 

〇 突然CIA悪事の暴露を再放送NHK映像の世紀

2025年2月26日、NHK映像の世紀バタフライエフェクトは、「CIA世界を変えた秘密工作」をアンコール放送しました。内容は「アメリカ大統領直轄の情報機関「CIA」は、戦後のアメリカ外交を陰で支えてきた。世界の民主化支援という大義の下、他国へ工作員を派遣、秘密工作を仕掛けてきた。イランでは、巧みな世論操作で政権を転覆させ、莫大な石油利権をアメリカにもたらした。ソ連の衛星国ハンガリーでは、ラジオを使って反体制運動をあおった。南米チリでは、社会主義政権を親米政権に転換させたクーデターに関与した。」(番組紹介から転載)というもので古い題材でありながら「アメリカはCIAを使って悪い事を秘密工作として堂々としてきた」と暴露したもの。次の「ベトナム勝利の代償」の回でもトンキン湾事件を仕掛けて北爆を開始したと暴露。要はイラク戦争、コソボ内戦、中東のカラー革命、ウクライナのマイダン革命から現在の戦争まで全部こいつら(CIA)の工作ですよ、とどんな阿呆でも解る様に説明したに等しい。

 

〇 ウクライナはCIA傀儡ゼレンスキーを変えて終戦へ

プーチン大統領は繰り返し「正式な大統領ではないゼレンスキーと交渉するつもりはない」と明言しており、米ロの調整で停戦した後に最終合意には正式に選ばれた大統領と条約を結ぶ事を考えていると思われます。2022年の4月、一度双方が合意した停戦協定をウクライナ側が一方的に破棄し、しかも圧倒的にロシア側が勝利していることから同じ相手と停戦協議をすることはないのは当然と思います。NATO各国の首脳の殆どは反グローバル側に替わる勢いであり、落日のダボス会議2025にゼレンスキーは出席したもののほぼ相手にされずに終わっているのが現実です。

 

〇 CIA主導の北朝鮮デマ終了

クルスク北西部の北朝鮮軍陣地

3か月かけて繰り返し「ウクライナ諜報部発信」として続けられた北朝鮮軍がウクライナ戦争に参戦して多大な損害、というデマは続ける意味合いがなくなり「北朝鮮軍は撤退した」という形で収束させる様です。以下状況を説明したMoon of Alabama氏からの引用です。

(引用開始)

2024年10月14日、ゼレンスキー元大統領は、ウクライナへの支持を高めるための情報作戦を開始。彼は、ロシアが北朝鮮を戦争に巻き込む計画を立てている、と証拠もなく主張した。メディアはすぐに「ウクライナの特殊部隊の情報源」を引用してこれらの噂を広め、さらに匿名の「情報源」が加わり、すぐに北朝鮮の兵士3,000人が戦闘に参加するという話になった。しかし、そのようなことが計画されたり起こったりしたという証拠はまったくなかった。

しかし、今日、米国のメディアは、このナンセンスを誇張して報道している。

北朝鮮がロシアの前線に兵士を派遣する理由-ワシントンポスト
ロシアの対ウクライナ戦争を支援するために兵士を派遣することは、金正恩政権に貴重な外貨をもたらし、両国間の関係強化を促進する可能性がある

ウクライナ軍の情報機関の主張だけを根拠とするこのナンセンスを、西側の政治家や軍人が信じるとは思えない。しかし、この問題を定着させようとするウクライナ政府のキャンペーンは明らかだ。その望みは何だろうか? ロシアとのウクライナ国境で北朝鮮と戦うために韓国に軍隊を派遣させることか?

数日後、ウクライナの「北朝鮮」情報作戦全体が米国の計画に基づいていたことが明らかになった。

上記を書いた時点では、このキャンペーンのアイデアが、しばしば戦略的なアイデアを提案する国防総省のシンクタンクであるRANDから出たものだった。

(引用終了)

その後シベリア地方出身のブリヤート人の捕虜を北朝鮮軍の負傷者としてメディアに引き出したりしていましたが、韓国の似非戒厳令失敗により、新たな戦争状態を作る事にも失敗したCIAは北朝鮮軍デマを収束させる他ないと判断したのでしょう。北朝鮮軍はウクライナがロシア領土のクルスクに進軍した突出部の北西の一角の防衛に当たっていると報道されていましたが、重厚な火砲とドローンの連携で攻撃する戦法が現在のロシア軍の戦術であるのに、その一角を火砲のない北朝鮮軍に任せることはあり得ません。しかもウクライナが当初奪取目標としたクルスク原発が後方にある場所です。第二次大戦のドイツ軍のソ連攻略、いわゆるバルバロッサ作戦において、ソ連が弱点として突いたのは強力なドイツ軍前線ではなく、同盟国のハンガリーやスロバキアが守備する一角であり、今回の戦争でもロシアが弱点となる北朝鮮軍をそのような場所に置くはずがないのは多少の軍事知識があれば誰でもわかる事です。

 

〇 日本の動きもCIA弱体化が背景か?

でれでれ草さんのブログから引用

米国は戦後「対日心理戦略計画PSB-D27」に沿って100人態勢でメディア、政治家、教育関係者、学者などをCIAの支配下に置くべく諜報員とその下で働くエージェントを使ってきたことは知る人ぞ知ることではあります。朝日新聞出身の緒方竹虎(コードネームポカポン)、船橋洋一、読売新聞(日テレ)の正力松太郎(ポダム)、先日亡くなった渡辺恒雄、CIA下部組織のS学会の印刷物で赤字をしのいだ毎日新聞(TBS)などCIAが許可しない米国批判は一切できない日本のメディアの仕組み作り上げたのはCIAに他なりません。また民放の生命線であるCMを差配する電通をCIAが抑えている事も当然です。

2025年1月30日東京地裁は電通グループとその幹部に東京オリンピックに際しての談合事件に有罪判決を出しました。また創業者でもないのに40年もサラリーマン上がりのまま人事権を握り続けるフジの日枝氏の責任追及が行われています。

日本の天皇制は3代で潰す(ヒロヒト、アキヒト、ナルヒトで終わらせる。文仁親王、悠仁親王には継がせない)というマッカーサー以来の米国の計画があります。国連による執拗な愛子天皇推し勧告はその一角ですが、外務省による「内政干渉するな!外野は黙っていろ。」という珍しい反論もグローバリズム奴隷番組のサンモニは発狂状態だったようですが、世の中の力関係の微妙な変化を表している様に感じました。

ちなみに鬼塚英昭著の「天皇のロザリオ」によると、戦後日本キリスト教化計画は1949年トルーマン大統領の正式な承認の下陸軍長官の「ロイヤル文書」に基づいて計画化され、昭和天皇が洗礼を受ける様仕向けられたが結果的には失敗に終わる経緯が記されています。元々「日本のキリスト教国化」は、「神道に基づく大日本帝国の精神」が残ると「米国へ復讐戦争を起こす恐れがある」とマッカーサーが戦後統治の一環として取り入れた政策です。天皇制を潰す事も日本を再軍備させて米国の鉄砲玉として朝鮮戦争(後のベトナム、中東、現在の対中国)で使う上で必須の政策になります。米国はアキヒトの家庭教師にクリスチャンの小泉信三やヴァイニング夫人を充てる事に成功、後にイエズス会が1916年に設立した聖心女子大学出身の正田美智子との「テニスコートの恋」を演出させることに成功します。アキヒトの妃候補は小泉信三がかなり前から美智子に決めていたことは種々の記録からも明らかで宮内庁の宇佐美長官、田島前長官、小泉の三者で決めてしまってからテニスコート事件を起こした事も明らかになっています。ナルヒトの妃は元宮家から、北白川家3姉妹、久邇晃子、伏見章子らの候補がいたにも関わらず、米国の指示で当時の福田総理らがS学会から小和田雅子を選んで国民が知らない内に皇太子が選んだ事にしてしまいました。その後神事を徹底的にサボタージュして現在に至った事は誰でも知っている事実です。この後は一人娘愛子を無理やり天皇にして、真子さんの様に外国籍の男性と恋愛結婚させれば皇室を3代で終わらせる計画が達成できるという訳です。

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「偽情報・誤情報、キャンセルカルチャーと忖度」=現代メディア

2025-01-30 16:12:22 | 社会

中居正広氏の女性問題から派生したフジテレビバッシングは、局の執行部退陣のみならず存続まで危ぶまれる事態になりました。しかし混乱の文春が報じた元情報である「フジテレビ幹部のA氏が食事会をセットしてドタキャンすることで中居氏と女性のみが残る設定をした」が全く偽情報であったことが明らかとなると、10時間に及ぶ「吊し上げ中継会見が必要なモノだったのか?」を含めて出席していたジャーナリスト全員が情報の確認(ファクトチェック)さえせずに責任追及をしていた事が露呈してしまいました。正にフジから広告撤退した空き時間に放映されている「ACジャパン、決めつけ刑事」(嶋田久作氏出演、ハイ人生終了!というキャンセルカルチャー問題も盛り込まれている)の実写版が繰り広げられるという大型バラエティになってしまいました。しかも会見が長引いて中止になったものの記者会見後の番組が「全国女子アナ選手権」的な特番が予定されていたというから完璧です。

ACジャパンの傑作 決めつけ刑事

ヒトも組織も「良い点」「悪い点」があるのは言わば社会の常識に当たるモノですが、一部の悪い点をあげつらう事で対象の存在全てを否定する「キャンセルカルチャー」の流行は社会の幼稚化を表す現象です。上記決めつけ刑事の「ハイ、人生終了!」のセリフに象徴される批判される内容の意義付けや改善の機会などを考慮せずに「全否定」というのは善悪二元論に基づくものであり、携帯という小さい情報提供メディアで結論だけを得る事に慣れた現代人の知性劣化を物語るものでしょう。

 

〇 失敗を社会全体の改善につなげる根本原因分析

Root cause analysisの手法 Fishbone diagram

東京大学名誉教授の石川馨氏は、世界の見本となった日本のQCサークルの生みの親とも言われて、品質管理の向上に多用される根本原因分析(Root cause analysis)を1960年台に築き、それが世界中で建設、航空、医療などの安全管理にも応用されています。To err is human「ヒトは誰でも間違いを犯す」という前提で、個人の責任を問う事はせずに、間違いを犯しても大事に至らないシステムを作るFail safeとかFool proofといった改善が社会の安全に繋がるという思想が大事にされています。ブレーキが自然にかかるとか、逆の接続は端子自体がつながらない仕組みになっているといった事で至る所で応用されています。個人の責任を問わない文化が伸びた一方で「一事を持って全否定につなげるキャンセルカルチャー」が何故全盛になってきたかは主に政治的社会的理由が背景にありそうです。

 

〇  司法の政治利用 娯楽としての公開裁判(炎上)

キャンセルカルチャーは善悪二元論による全否定と安易な娯楽としての公開裁判の意味を持つ

巨大資本でメディアと米国民主党を牛耳るグローバリスト権力層にとって、米国をグローバリズムの中心ではなく、多極化を認め、米国を極の一つとして再構築しようとするトランプ大統領は「政治生命を消したい対象」でしかありませんでした。2020年選挙時の「議事堂襲撃扇動問題」や「機密書類持ち出し」、「ロシア疑惑」、果ては「ポルノ女優口止め料問題」と数々の無理筋提訴でトランプ氏の政治生命を絶つ事をグローバル陣営は試みましたが結局失敗、暗殺も2回試みて失敗し結局トランプ氏は大統領に返り咲きました。CNNのファリード・ザカリアはハリスの敗因の一つが「司法の武器化」に米国市民が拒否反応を示した事だと明確に評しましたが、こういった指摘は日本のメディアで聞いたことがありません。「トランプはレイシスト」「トランプはヒトラーと同じファシスト」「分断を煽る」などという「社会正義に反する」という印象操作による政敵排除を目的としたキャンセルカルチャー発動をメディアは繰り返してきましたが結局失敗に終わっています。

日本のメディアも同様の印象操作を繰り返してきましたが、「社会正義に反する」と規定した「芸能人」や「贅沢な立場にある者」を公開の場で吊るし上げる「公開裁判」は日本のメディアにとって「金のかからないバラエティ」としてワイドショーの時間つぶしにこの10年以上使われてきたネタと言えるでしょう。今回のフジテレビの一件はその「悪しき集大成」と言えるように思います。メディア全体が「安易な自らの在り方」を真剣に反省し、新たな「ジャーナリズムの規範」を作って立ち直れるか否かに既存メディア再生存続の可能性が問われていると私は思います。

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NHK映像の世紀 戦争のトラウマ 感想

2025-01-23 14:02:43 | その他

2025年1月20日に放送されたNHK映像の世紀「兵士達の消えない悪夢」は内容、編集ともに素晴らしい番組であり、どんな戦争番組よりも戦争の実態を伝える内容であったと思います。備忘録を兼ねて医師の視点を交えて感想を記します。

内容は一般の国民、民衆が徴兵によって、国家の要請で兵士となり戦争をさせられる結果各国共通に生ずる精神的障害を、精神科医学の発達の視点、殺される側の視点、殺す側の視点から考察した内容です。メンタルヘルス全盛の現在からは想像がつきませんが、精神医学が発達していなかった20世紀初頭の第一次大戦の世界戦争で多くの兵士に生じた「砲弾病」と言われる外傷を伴わない原因不明の痙攣や自己喪失状態は「詐病」なのか「真の病」かも分らず、軍も医師も対応に苦慮するものであったことは明らかです。

 

I.  殺される側の戦争神経症 Shell shock(砲弾病)

 

第一次大戦は戦線が膠着したまま年単位で動かない「消耗戦」(war of attrition)で塹壕に兵士達は籠って何日も続く砲弾の雨を耐え続けて、攻撃になると昔ながらの列をなして突撃を繰り返していました。死や手足を失う恐怖が終わりなく続く状態を強いられる事でshell shockと言われる不随意運動や痙攣、夢遊病や茫然自失状態が多発する様になりました。この塹壕に籠る消耗戦は21世紀の現在もウクライナで再現され、陣地を守らされるウクライナ兵のみが体験しています。砲爆撃の量は1:10でロシアが一方的に優勢であり、現在のウクライナにおける砲弾病の実態がいかなるものか報道が待たれます。

激しい痙攣と不随意運動の症状 電気ショックによる治療

Shell shockの治療法として外力による強制的な運動や電気ショックといった当時の治療法が紹介されます。軍はより強い恐怖「戦場離脱による銃殺」で対応し、その犠牲者が21世紀にやっと名誉回復するニュースも紹介されます。精神心理学の泰斗であるフロイトはこれらの反応を「心因性疾患」と考えて「戦争神経症」という病名を付けます。

 

II.  生き残る者の罪悪感survivor’s guilt

日中戦争において、皇軍は戦争神経症がないことになっていましたが、実際は同様の患者が出現しており、陸軍国府台病院で治療と研究が行われていた事が紹介されます。私は自衛隊病院の精神科病棟も受け持った事がありますが、当然ながら戦争神経症の患者はおらず、通常の精神疾患の患者だけでした。市川市にある国立国府台病院は戦後も戦争神経症の患者が入院を続けていて、朝になると起床ラッパを吹く患者がいるという話を聞いたことがあります。日本の国府台病院で治療された例で紹介されたのは、激戦で一人生き残ることで罪悪感を感じて立ち直れなくなるsurvivor’s guiltという症状でこれも戦争神経症の形態とされます。戦争のトラウマは殺される側から戦う側、殺す側のトラウマに焦点が移ります。

 

III.  殺す側の戦争神経症 PTSD

国家の存立危機と関係ない戦争に駆り出されて、精神を病む帰還兵   ソンミ村虐殺を伝えるメディア

第二次大戦の沖縄戦では、抵抗する民間人を米軍軍が殺戮します。女性や子供を殺すことにまっとうな米兵達は「罪悪感」を覚えます。また一方的な殺戮にも嫌悪感を示します。これは敵を殺してほしい「軍」にとっては邪魔な感情です。「人間は同じ人間を殺したくない」という自然の感情を持つのが普通なのです。1947年、米軍のマーシャル将軍は戦闘で実際に敵に銃を撃つのは兵の25%だと記して物議をかもします。そこで米軍は新兵の訓練方法を変え、「敵は同じ人間ではなく家畜以下」標的も動かない的ではなく「人形をした動く物」にして銃を撃つ抵抗を無くすようにします。

自殺したシンプソン氏  冬の兵士の聴聞会(1971)で想いを語る帰還兵

しかしベトナム戦争ではゲリラ戦法を採るベトコンに対して、一般人虐殺であるソンミ村虐殺事件などが起きてしまいます。その時19歳の黒人兵であったシンプソンは無抵抗の民間人25人を殺した罪悪感のPTSDで30年後に自殺をしたことが紹介されます。ベトナム帰還兵達の証言からPTSDという病名が1980年の精神医学の病名に追加されました。

 

IV.  兵士脳、娑婆脳を共存させる21世紀の戦争

 

2023年6月に自衛隊教育隊で候補生が銃を乱射した事件を受けて、軍の教育隊における教育の基本は「娑婆脳を一度棄てさせること」だと説明しました。軍務経験のない日本人にはこれを理解することは難しいと思いました。余分な知性、知恵を一度全て棄てて頭を白紙に戻し、教範と教官の言う事だけで動ける体にする事は、二等兵にとって作戦上も部隊にとっても重要なことです。

しかし21世紀の「テロとの戦争」においては、本来警察が行うべき「犯罪者と一般人を見分けた上で発砲する」という状況判断の連続を強いられます。これはイラク・アフガン戦争に従軍したペトレイアス将軍が策定したCOIN(counterinsurgency)という戦闘教範に即した戦い方で、イスラエルの「ハマスも民間人もまとめて虐殺する」現在のガザ紛争を彼が批判したことでも有名です。COINは本来の軍の戦い方(任務)ではない事は、かねてから私は主張してきましたが、この戦場において兵士脳と娑婆脳を共存させる事は多くの兵士達の精神を破壊する結果になり、この番組でもイラク・アフガン戦争における戦闘による米軍の死者が7,057名であるのにPTSDによる自殺が3万人を超えていることが紹介されました。クリント・イーストウッドの映画「アメリカン・スナイパー」は伝説的狙撃兵としてイラクに従軍したクリス・カイルが自らのPTSDを克服しながら、最後は心を病む帰還兵に銃殺されてしまう実話の映画化でした。2008年のグラン・トリノでは朝鮮戦争で朝鮮の少年を殺してしまい罪の意識に悩む老人を演じ、硫黄島2部作は米軍の「殺す側の論理」がこれ(星条旗)でよいのか?という問いかけを日本側から描いた「手紙」との対比で描きました。彼は兵士の立場からの「心の葛藤」と向き合った監督と言えます。

番組は現代の戦争における実相を暴き出します。イスラエルはガザにおけるハマス攻撃にAIを活用することでヒトが攻撃の命令を下す心理的負担を減らしていると紹介。一方でウクライナ戦争ではロシアは今回の戦争で10万人のPTSD患者を産んだ(英国国防省)と言い、ウクライナは民間人を含め1,000万人のPTSDを産んだ(WHO)と紹介して番組を閉じました。

罪悪感をなくすためAIによる殺人を活用  パレスチナ人はhuman animalとして扱うという国防相の発言

 

V.  国家という共通幻想はヒトとしての道徳より優先するか

法は道徳に優先するものではなく一部であるのが法学の基本中の基本 イスラエルでも帰還兵の自殺が増加という記事

貨幣が経済を成り立たせるための人類の共通幻想であるのと同様、国家は社会を機能させるための人類の共通幻想でしかありません。また「社会」は「個人の我欲煩悩を調整」するための決まり事として存在しているに過ぎません。尽きるところ「個人の我欲煩悩の調整」であり、調整するための共通幻想としての国家の要求が絶対的なものと言えるか疑問です。法は道徳の一部であることは法学の基本であることは述べましたが、法で「ヒトを殺せ」と命じられても道徳として「ヒトは殺せない」と心が命じてその葛藤で神経症になるとすれば間違っているのは「我欲の調整を行う社会の法」の側です。戦争は外交上万策尽きた最期の手段であり、一刻も早く終わらせるために最低でも「出口を決めて行う」事が、人類が決めた知恵であったはずです。現在のガザ紛争、ウクライナ、始まりそうなイランや中国との紛争は本当に万策尽きた結果でしょうか。自分の心身は傷つかない人間に限って「戦争やむなし」と気軽に口にしていると私には思われます。

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米国の外交は米国が決める(by Trump)

2025-01-18 14:01:24 | 社会

次期米国大統領のトランプ氏就任まであと数日になり、就任式の会場が急に屋内に変更になるなど無事に就任自体が行われるか注目される所です。またLame duck状態のバイデン政権が、ウクライナにロシア本土攻撃を米国製ミサイルやドローンで行う事を許可する(米軍情報機関のバックアップが必須)などトランプ就任後の行政へ様々な妨害工作をしている一方で、パレスチナ停戦合意、カナダやパナマ運河を合衆国の管轄にするとか、グリーンランドを買収するとか既に多くの話題を次期トランプ政権は打ち出しています。それらの実効性は未定ですが、これらの新たな外交政策に共通して見られる根本思想は「米国の外交は米国が決める」という事だと思います。イスラエルへの無条件の支援は主権の放棄だという論考で述べた様に、バイデン政権のイスラエル支援は自国内のみならず国際社会を敵に回し、国益を無視した「イスラエル隷従」でしかないものです。他国を支援・干渉するにしてもそこに米国の国益がなければ意味がありませんし、隷従支援のために国内の反対意見を取り締まる法律まで作るようでは完全な主権放棄と見なされても良いでしょう。これらトランプ外交の実効性については、メディアなどでは様々な意見が出されています。多くは悲観的(どうせうまく行かないという反トランプ的期待もある)なものですが、昨年7月の暗殺を免れて「神がかり」の啓示を感じたトランプ氏が失敗を恐れずにレガシィを残す偉業を画策することは大いに考えられます。また反対勢力側もある意味「一定の諦観」を持ってトランプ政権を迎えるであろうことは、選挙結果を見ても明らかだと思います。そこで種々の懸案事項についての見通しをrakitarou視点からまとめておこうと思います。

イスラエル虐殺に武器を送り続けたブリンケン国務長官は退任記者会見で(虐殺長官)などと揶揄される始末

I.  パレスチナ停戦合意

停戦合意についての3段階の概要  この狭い地域を15か月かかってもイスラエルは非武装住民の虐殺しかできず、ハマスの人数は不変という

2025年1月16日イスラエルは正式にハマスとの停戦に合意したことが伝えられました。第一段階は6週間続き、ハマスはイスラエル人人質33人を解放し、イスラエルは最大1,000人のパレスチナ囚人を解放することになっています。トランプ就任式前日から発行される停戦初日には、イスラエル軍はガザの人口密集地から撤退して7日目にはガザ北部への住民帰還が許可されます。また食料や医薬品を積んだトラックの毎日600台ガザ搬入が許可されます。

第二段階でイスラエルはガザから撤退を完了し、エジプトとの国境間のフィラデルフィア回廊に駐留を続ける一方ラファ国境検問所は明け渡す。第三段階では戦争の恒久的終結への交渉を行うことになっています。

トランプ次期大統領は「この壮大な停戦合意は、11月の歴史的勝利の結果としてのみ実現した。この合意は、我が政権が平和を追求し、すべての米国人と同盟国の安全を確保するための協定を交渉するというメッセージを全世界に送ったものだ」と彼はトゥルース・ソーシャルの投稿で述べた、とされます。

彼は、ウィトコフ特使と彼の次期国家安全保障チームは「ガザが二度とテロリストの避難場所にならないようにするためにイスラエルと同盟国と緊密に協力し続ける」と述べ「我々は、この停戦の勢いを基盤に歴史的なアブラハム合意をさらに拡大し、地域全体で力による平和を推進していきます。これは、アメリカ、そして世界にとって素晴らしい未来の始まりに過ぎません!」と付け加えました。イスラエルとしては、トランプの就任式に花を添える形での停戦は「あり」と考えたということでしょう。

 

ベギン、ラビン、ネタニヤフの系譜

イスラエルの二枚舌外交(というより約束を守らない国民性)は歴史では定番

1979年に、エジプトのサダト大統領とイスラエルのメナヒム・ベギン首相はカーター大統領の仲介でキャンプ・デービッド合意に達しましたが、パレスチナに対する自治容認は実行されませんでした。1993年のオスロ合意ではビル・クリントン大統領の仲介で、イスラエルのイツハク・ラビン首相とPLOのアラファト議長がヨルダン川西岸からのイスラエル撤退やパレスチナ国家の成立が合意されましたが、ラビン首相、アラファト議長は暗殺され闘争は継続されました。

一段落置くには良いタイミングか?

今回も恒久的停戦と2国家並存はないだろうと十分予測可能ですが、15か月戦争を続けて1万人の戦傷病者と891名の戦死(うち38名は自殺)、経済は回復に数年かかるほど下降し、米を除く世界から犯罪国家として扱われている現在、ネタニヤフは使用期限切れとして排除し、一度矛を収める事をユダヤの陰の支配者達が決断することもあり得るでしょう。シリアの半分はイスラエルが占領できそうで、トルコと新たな支配者ジョラニらの軍をいなして地盤を固める事も「大イスラエル建国」の準備段階としては重要と考えそうです。

大イスラエル国の範囲(先は長いがシリア領土獲得は大きかった) シリア反政府軍は味方にあらず、早速攻撃対象とするイスラエル

 

2.ウクライナ停戦

 

ウクライナとの戦争に勝ちつつあるプーチン大統領にとって、今譲歩を伴う停戦交渉をするメリットは全くありません。北朝鮮兵の目くらましに西側メディアが翻弄されているうちに粛々と東部戦線で支配領域を広げてゆけば良いと考えているでしょう。北朝鮮兵のニュースについては、未だにメディアの報道どおりではない様に私は思っています。毎日600-800名の戦死者が出ているウクライナで(政府は年間20万人のリクルートが必要と正式に認めている)2-3人の北朝鮮兵と見られる(言葉が話せない負傷をしている)捕虜の映像が、それほど意味があるものには思えません。多数のNATO諸国国籍の義勇兵(一部正規兵)捕虜が明らかにされる方が西側メディア的には怖れている内容ではと思います。

その意味でトランプが「就任24時間で停戦は無理だ」と言ったのは現実でしょう。早期にトランプが大幅な譲歩をして停戦したとなると沽券にかかわります。武器弾薬の供給の窓口を目立たない様に狭めつつ、ロシアの自然な進撃でドネツク・ルガンスク共和国を占領しきった所で残った領土での米国の権益を認めさせた上で脱NATO、非ナチ化、中立化した新ウクライナの存続をプーチンとディールすることになる様に思います。

砲爆撃力の差で消耗戦におけるロシア、ウクライナの戦傷病数は1:8でロシアが圧倒的に勝利しているのが現実

 

3.NATO、EU、グリーンランド

 

プーチンはウクライナの次はバルト三国、ポーランド、西ヨーロッパ諸国にも攻め込むつもりだ、などと威勢の良いヨタを飛ばしていたEU首脳達はトランプが「グリーンランドをよこせ」と逆侵略の意図を聞かされて驚いたことでしょう。各国首脳達は「もごもご・・」と歯切れの悪い反応を示すのが精一杯でした。選挙で国民から選ばれないEU首脳や官僚は単なるグローバリスト権力層の駒でしかなく、昨年来各国で正式に選挙で選ばれる「極右とレッテルを貼られる国民目線の政治家」達に徐々に排除されてゆくでしょう。

グリーンランドについては、領有するデンマークが「住民の意思で決めてゆけば良い」と言い、住民は「売り物ではない」と言いつつ協力関係は拒まないと言っているので、今後協定を結んで基地などの建設が進むだろうと思います。カナダが米国になることはないでしょうが、隣同士の国は協力して経済を盛り上げるのが最も両国の繁栄につながる事は古今東西問わない真実なのでカナダは妥協しつつも良い関係を続けるでしょう(医療保険制度などはカナダが明らかに良いし、住みやすい)。中日、ウクライナ・ロシアも隣国同士経済協力関係が良い方が両国にとって繁栄と幸福につながるのは米国・カナダと同じ。隣国同士を地球の裏側からけしかけて戦争をさせる(divide & rule)のが薄汚い英米欧の常套手段。油断すると飲み込まれるからけじめは大事ですが、他国の鉄砲玉として隣国同士で戦争させられるのは最悪の選択です。

 

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Felixtowe F.2A 1/72 Roden

2025-01-12 17:23:12 | プラモデル

第一次大戦時の英国海軍航空隊(RNAS)の飛行艇Felixtowe F.2A1/72を作りました。1/32モデルはニュージーランドのWingnut wingsから非常に精密な量産キットが発売されているのですが、1/72はウクライナのRodenが唯一作っていて、希少で非常に良い多くのキットを作るメーカーであり、現在まだ会社が存続できているか危惧されるところです。F2AはアメリカのカーチスH8飛行艇を基に345馬力のロールスロイス・イーグルVIII十二気筒エンジンを2基搭載して1918年から実践に投入されました。最高速度は154km、航続距離は950km(約6時間飛行可能)で、230ポンド爆弾(104kg)2発を翼下に搭載可能でした。北海哨戒任務に就く際目立つダズルペイント(赤白の縞模様とか)が用いられました。第一次大戦中に約100機が製造され、その後も70機が製造され、スーパーマリン・サザンプトン、スーパーマリン・ストランラーに引き継がれるまで中心となる飛行艇として活躍したと言われます。

ゆっくりと海上を飛ぶ飛行艇はドイツ水上戦闘機の獲物になりやすく、回転銃座を前後2丁、胴体横に各1丁ルイス7.7mm機銃を装備する他、上翼中央に追加の回転銃座を持つ機体もありました。このキットはその3丁回転銃座を持つタイプだったのですが、ダズルペイントではない機体を作りたいと思ったので胴体は後期型のまま銃座を持たないタイプにしました。

箱絵はダズルペイントの機体 細かいリギングの資料も豊富

モデルは決して作りやすい設計ではないのですが、ゆっくり作れば合わない部品は余りありません。問題は主翼や尾翼の昇降舵まで細かく張られた鋼線をどこまで再現するかです。最後までリギングとの戦いになることを覚悟して組み立ててゆく必要がありました。1/32キットもあるので細かなリギングの図解や綺麗に張った模型を展示したサイトなど多数あって資料には事欠かないのですが、この多数のリギングに何を使うかで悩みました。結局韓国のインフィニ・モデル製の0.05mmナイロン糸を使いました。これは2-3倍まで伸びるので長さの融通は効くのですが、一度丸まると形が崩れてしまうので、出来上がりの見た目は非常に良いのですが張るには慣れとコツが要ります。とにかく長めに切ってから使う方が良さそうです。

翼上面はダークグリーン、下面はダークイエローと肌色を混ぜた物、胴体下面はレッドブラウン、上面はミドルストーンとダークアースにしました。乗員は付いていないのでハセガワ製の海軍要員を流用しました。主翼幅が大きいので、翼と胴体はリギング張りまで別々に作って最後に接着。それでも翼を猫にタ大破されて作り直しなど苦心作となりました。好敵手はハンザ・ブランデンブルグと言われますが、アルバトロスの海軍版と並べてみました。アルバトロスは0.2mmの真鍮線でリギングしたのでやはり太さが目立ちます。

アルバトロスのリギングが太く見えます

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トランプ、プーチン、習近平の第二ヤルタ会談

2025-01-09 15:26:09 | 政治

I.  2025年はやはり波乱の年になるのか

2025年は核戦争を含む第三次大戦が本格的に始まるとか、大きな災害が発生して日本を含む世界が大被害を被るとか、いろいろ言われてきました。確かに世界の情勢は波乱含みで、ウクライナ、シリア、イスラエルなどは戦乱が続き、欧州やカナダも今までの体制に民衆がノーを突きつけて新しい自国に目を向けた体制を作り直そうとしています。1月20日には米国でトランプ体制が始まり、早速既存の権力体制を破壊する転換が始まろうとしています。ドイツの新体制はロシアとの融和による産業再興とNATOからの脱退も視野に入れていると言われます(歴史的にはそちらが正統)。

1945年2月、クリミア半島のヤルタにおいて、第二次大戦後の世界の在り方を決定づけたチャーチル、ルーズベルト、スターリンによる3者の会談が開かれた事は有名です。この会談によって東部、中部の欧州におけるソ連、米国の棲み分けとなるヤルタ協定や戦後日本の体制を決めたポツダム体制が決定づけられたとも言えます。当時は現在の様なヴィルダーバーグ会議やダボス会議でグローバルな金持ち権力者のみで世界の情勢が勝手に決まる事はなく、勿論各国の政治指導者の背後にはスポンサーがいたはずですが、現在よりは「誰が決めたか」の責任の所在が明らかであったと思います。ジャーナリストの渡辺惣樹氏によると、ヤルタ会談の時には2か月後に死亡するルーズベルトは既に現在のバイデン大統領と同等の知的状態に陥っていて、会談ではただ座っていただけで、実務はソ連のスパイとされた国務省のアルジャー・ヒスが担ったと言われ、かなりスターリンに都合が良い結論が出されたとも考えられます。

2025年はグローバル経済の権力者を中心とした利益誘導ではなく、大国の指導者が各国の利益を第一に政治を行う方向に舵が切られようとしています。それをグローバル権力者達は「極右勢力」として蛇蝎の様に嫌い、彼らが支配する大手メディアに「民主主義の敵」「独裁専制政治」とレッテルを貼って批判させています。しかし未だに大手メディアしか情報源とせず、自ら考える事を放棄した人達は別として、多くの「目覚めた民衆達」は、自分達で社会の在り方を決める「真の民主主義」の方向に再度向かいつつあり、ドイツのAfD(ドイツのための選択肢―現在勢力2位アリス・ヴァイデル氏が率いる)、フランス国民連合(RN-ルペン氏率いる。24年国民議会選挙で第一党になる勢いだった)、スペインVOX、イタリアの同胞(FDI)のメローニ首相、英国のリフォームUK(トランプ氏を支持するナイジェル・ファラージ党首)が支持を伸ばしています。クロアチアは現職のゾラン・ミラノヴィッチ氏が親グローバリズムのプリモラツ氏を大差で破り大統領を継続、ハンガリーのオルバン氏と親ロシア路線を継続するでしょう。カナダはグローバリストのトルドー首相が辞任を表明、反グローバリズムのポワリヴル氏が次期首相候補と言われています。

マスク氏が応援するドイツAFDのヴェイデル氏 再選されたクロアチアミラノヴィチ氏

 

II.  2025年は第四転換期の中心になるか

コンドラチェフの経済循環(これから良い方向に向かうかも)

種々の歴史循環理論は科学的証明や反証ができず、非科学的とされますが、現実の事象としては当てはまる事が多く、帰納法的には真実に近いものです。レイ・ダリオ氏の「変わりゆく世界秩序」における覇権国の推移(覇権は、(1)教育、(2)イノベーション・技術、(3)競争力、(4)軍事力、(5)貿易、(6)産出、(7)金融センター、(8)準備通貨という8つの要素から構成され、覇権のピークに対して、(1)、(2)、(3)は先行、(4)、(5)、(6)は一致、(7)、(8)は遅行すると分析)とか、経済ではロシアのコンドラチェフの波による60-70年周期の経済循環もあります。米国の作家ウイリアム・ストラウスとニール・ハウによるストラウス・ハウ理論は、アメリカや西洋史が21年ごとに4つの世代でサイクルを形成して80-90年周期で入れ替わるというもので、よく言われるZ世代という語彙もこの理論を発祥にしています。実際に「The Fourth Turning第四転換期」という本を訳した奥山真司氏の興味深い解説によると、1958年生まれのrakitarouは預言者世代として時代を送り、ゆとり世代の70-80年台生まれの人達は遊牧民(ノマド)として飄々とした諦観の世代ということになります。90年台以降の生まれは、現在は潜伏期ながら英雄としてこれからの乱世の時代を切り抜ける戦士として活躍が期待され、2010年以降生まれ(Z世代?)になると芸術家(適応者)として次サイクルの社会を実りあるものにすることが期待されます。

 

奥山真司氏の解説図 冬の時代の現在、預言者世代の1950-60年台生まれは老年期にいる。

日本について言うと現在のサイクルは第二次大戦終了が開始点となっていて、その前のサイクルは明治維新が開始点でした。前サイクルの英雄世代は第二次大戦を戦った若者達の世代で、社会の破壊に抵抗しようとする世代として私の父親も入っていました。預言者(理想主義)として老年期にある我々世代は、次の乱世を見据えた的確な理想を経験に基づいて実現しようとするのが仕事と思われ、今行っているブログや雑誌の記事もその一環かと思っています。

2025年はグローバリストのバカ達が核戦争を起こさなければ、トランプ、プーチン、習近平と多極主義と自国(の平和と繁栄)第一を掲げる各国の愛国者達が次のサイクルに向けて動き出す鬨と思いますが、そうスムーズに次のサイクルに移るとも思われず、今後自然災害、人災を含む大きな出来事が起こりそうな予感がします。

各時代サイクル(サキュラム)は80年周期で混乱と繁栄を繰り返すという。これから2030年に向けて混乱に入り、ミレニアル世代が英雄として自己犠牲的に活躍?

 

III.  抵抗の核は米国のメディアと経済官僚機構か

 

 グローバリズムの強固な機構は、米国のドル基軸体制、超富裕層と巨大企業による政治とメディア支配が簡単に崩せないほど構築されている現状だと思います。その支配はFBIやCIAなどの情報機関、国務省などの官僚機構も取り込んでいるために、この官僚機構をいかに整理するかというイーロン・マスク氏の政府効率化省(DOGE)の働きにかかってくるでしょう。「DOGEによって福祉が削られるという虚報・宣伝」をグローバリスト達が広めていますが「政府から君たちクズを排除するのが目的なのだ。」というのがよほど怖いのでしょう。言論の自由については、検閲産業複合体(Censorship Industrial Complex)がメディアのみならずSNSなどのプラットフォームを自由に検閲削除することでグローバリズム体制の維持と民衆の愚民化に貢献してきましたが、マスクのXのみならず、フェイスブックのザッカーバーグもバイデン政権からの検閲強制をメタのCEOとして正式に24年8月24日に暴露した上で大統領選挙には前回の様に露骨な民主党支援(4億2000万ドル)はしないと発表し、今回はあからさまな選挙不正が阻まれた結果になりました。そして25年の1月8日にメタの検閲は終了すると宣言したようです。いずれにしても次の大国のリーダーたちは、核戦争を起こさないようにさえしてくれれば何とか次の社会機構にソフトランディングができる様に他の中小国リーダー達が協力できるのではと夢想します。

 2024年12月4日にドバイで核保有国5か国の代表が中国の仲介で「核兵器の在り方」(nuclear doctrines)を相談したと報じられました。詳細は不明ながら米国とEUの政治中枢がグローバリストに握られて核戦争を起こそうと狂ってしまっている現在、多少はまともな核保有国である中ロが調整役を買って出る事は悪い事ではありません。

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BSスペシャル欲望の資本主義2025「成長神話の虚実」感想

2025-01-06 14:45:05 | その他

新年恒例の番組である「欲望の資本主義2025」を見たので感想をまとめます。最終章は「まとめ的」な内容がなく、スパッと終わってしまったので一回視聴しただけでは掴みどころがないように感じたのではないかと思いますが、全体を見直してみると、「量的な成長の持続には多極主義(グローバルサウス)の台頭を認める他はない。先進国が経済成長を続けるには、<量の成長>から<価値の成長>に成長の定義を広げねばならない。」という事です。

出演はフィナンシャルタイムズ記者のロビン・ウイグルワース、ロンドン大学経済学者ハジュン・チャン、ニュースクール大学クララ・マッティ、ケンブリッジ大学アンタラ・ハルダル、MITノーベル賞学者ダロン・アセモグル、サイモン・ジョンソンといった識者が代わる代わる出演していますが、余りにコマ切れなのでまとまった論説として捉えがたいものがありました。今回も以下各章ごとに内容を、感想を含めてまとめます。

 

第一章 全てがディールになるとき

 資本主義の勝者が報酬と権利を独り占めしすぎて民衆に再配分をする段階で不平等感が出てしまった。それは先進国と後進国の間でも起こり不満が強くなった。再配分の不手際が成長を抑圧する元にもなった。

 

第二章 合言葉は世界分散(グローバリズムから多極主義へ)

 先進国のみでなく、新興国の株式を含めたオールカントリー(オルカン)インデックス投資が世界の潮流になりつつある。それは「量の成長」からみると量が成長する余地がある新興国を含むから安全投資に見えるが、量の成長は必ずしも一方通行とは限らない。

 

第三章 成長をめぐる迷宮の中で

 各国や社会の制度によって、技術革新が成長につながる内容が異なってきた。AIの発達によって技能が低い仕事の効率化は図れるが、高度な技能の効率化は行われない。今までは中流層の雇用喪失が消費成長の障害になってきた。AIやITが雇用を奪うか創出するかの境界は、先進国産業の3/4を占めるサービス業の生産性にどのようにITが食い込むかにかかる。サイバー空間の様な「無形資産」の成長は無限大なので成長の余地は十分にある。

 

第四章 グローバル化の果ての光景

 人口ボーナスが後進国に移るにつれて、世界のなかで経済成長が起こる地域が移動してきた。グローバリズムは資本、資源、労働といった国際分業によってより安く、より多くの経済成長をビジネスモデルとしてきた。しかしそれは先進国のエゴを生み、後進国社会の成長を阻んできた。米国自体が欧州に対抗して工業成長する際に国家主体の保護主義をアレキサンダー・ハミルトンが取ってきたはず。「国家資本主義」によるグローバルサウスの成長は受け入れざるを得ないのである。

 

第五章 倫理が企業を救う?

 ボン大学のマルクス・ガブリエルは、企業の倫理を重視して、道徳と経済の融合が必要と説きます。一橋ビジネススクールの名和高司教授は、日本は「巧み」に優れ、海外は「しくみ」に優れて海外の方がスピードとスケールで優位なので、いかに「巧み」を仕組みに付け替えてゆくかが大事だと説きます。他番組でやっていた「餃子の王将」が「調理法を巧みに改善」してそれを「制度として全国のチェーン店に拡散徹底」させてゆくやり方はまさにそれかと思いました。また経営者デビッド・アトキンソン氏は、日本は「巧みを価格」に反映できていない、と価値を価格に反映させることをしない事で「成長を自らあきらめている」と解説します。マルクス・ガブリエル氏も量でなく質を成長とみなす転換が必要と説きます。

 

第六章 本当の価値の作り方

 アメリカ型資本主義(グローバリズム)以外の価値をアジアやイスラムなどの異文化の中で見つけてゆくことで新たな価値が生まれる。ヴェトナムの例は労働供給地から消費地としてヴェトナムを成長の土壌とみなす例が紹介。

 

第七章 成長神話は歴史の勝者が作る?

 これは第一章の後くらいに位置付けた方が分かりやすい内容。第二次大戦の勝者がマーシャルプランで欧州の戦後復興の歴史を作り、ワシントン・コンセンサスで民営化や規制緩和などの既定路線を決めて世界に従わせてきた。これは結局権力を持った者が他者の成長を押さえつける役にたってきた。だからこの規制にこだわることなく、新たな成長の定義を行ってよいだろう。

 

最終章 反転する成長の物語

 中国の経済成長を見ても、量の成長は民主主義や自由主義に必ずしもつながらない。量(数値)の成長のみの資本主義は「正義」や「倫理」を重視しない傾向がある。

 ヒトは他者の欲する物を見てそれを模倣して、自分も欲しいと思う。これはルネ・ジラールが提唱する「欲望の三角形」といい、ソースタイン・ヴェブレンも「ヒトは他者の眼で欲望を形作る」と説いた。量でなく、「価値や倫理を欲する事による成長は無限」であって、ヒトがこれらを欲する事で経済の原動力となる道があるのではないか。量や効率性のみを重視したAIやITのみに拘っていたら成長や雇用に限りが生ずる事は必定だろう。

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高齢者が沢山亡くなるなら問題ないか?

2024-12-26 14:34:44 | 医療

前回のブログで2023年とそれ以降の超過死亡の推移について記しました。今回はその補足的内容になります。厚労省が高齢者に対して「新型コロナ感染症の重要化予防効果」のみを頼りに定期的ワクチン接種を勧めていることは前回報告した通りですが、その根拠は非常に頼りないものです。統計上の重症化予防効果を維持するには、定期的にワクチンを打ち続けなければならず、打てば打つほど総合的免疫力が低下して他の原因で死亡する率が増加するのであれば、深読みするとワクチン接種で結果的に高齢者人口が減少することを厚労省が推奨していることになります。

厚労省の「使命は国民の命と健康を守ること」と大臣は明確に答えていますが・・・2023年以降も高齢者はワクチンを接種し続けている。

2023年の人口動態統計のまとめによる、年齢別死亡者率の推移表を見ると、22-23年で死亡者数が伸びているのは75歳以上の高齢者層(一番上のカラム)であることが一目瞭然で解ります。23年以降も定期的にワクチンを接種している人は65歳以上の高齢者では53%になることが12月17日参議院における川田龍平議員の国会質疑でも明らかになっています。前回のブログでも明らかな様に死因はがん、老衰と心疾患が増加しています。高齢で軽い風邪をこじらしたり、食欲が減って分からないうちに亡くなった場合はほぼ老衰と診断されます。老衰とつけがたい年齢の人が急に亡くなった場合は急性心不全です。

日本は死亡者数が増加したまま続いている。死因の内訳は、がん、老衰、心疾患が増加

死亡者の年齢分布は人口千人あたりの棒グラフで76歳以上の高齢者の増加が目立っていることが解る。

日本の死亡統計は2024年7月まで結果が出ていますが、Our World in Dataで示された最新の統計で、2015年から2019年までの5年間の死亡者数平均から、以降の各時期の超過死亡者数を出したものが、以下の図になります。米英、豪州、独仏は初期コロナ流行時の超過死亡が派手ですが、2023年以降は徐々に落ち着いてきている事が解ります。豪州は24年前半も超過死亡がありますが、23年から24年にかけては緑の日本の超過死亡が群を抜いている様に見えます。

日本以外の国はコロナ流行に伴う超過死亡が著明であったので2020年からの図が一般的

これを年毎に日米英独仏で比較したものが次の図になります。20年21年はコロナもワクチンも各国で盛んに投与されましたが、日本を除く各国は22年をピークにコロナ自体の流行はあっても超過死亡は減少しています。2024年のデータは年度途中のものの平均ですが、今後大きく変化する事はないでしょう。この明確な違いを高齢者へのワクチン投与以外の何で説明可能か知りたいところです。

2024年(途中まで)の平均を含む各国超過死亡の年毎推移は日本と明らかに異なる

参議院予算委員会で明らかにされたワクチン接種による被害認定数「何故これをトップニュースで報じないのだろうか?メディアで金をもらう諸兄は恥ずかしくないのか?」

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厚労省のワクチン有効性を読み解く

2024-12-21 11:56:15 | 医療

厚生労働省は2024年10月からコロナワクチン定期接種として5種類のJN1変異種対応の新型コロナウイルスワクチンを、65歳以上などを対象に接種を進めています。ホームページには掲示用のパンフレットも掲載されていて、「ワクチンの効果」と題する項目には、オミクロンXBB1.5対応ワクチンの効果として、新型コロナ感染症による入院を40-70%抑制する効果があった様な歯切れの悪い記載があります。

そこでワクチン有効性についてわざわざ例示されているJAMAに掲載された論文を読み解いてみました。

JAMAはアメリカ内科学会の学会誌で非常に権威のある雑誌であり、記載された内容は信用に値します。この論文の著者が主張したいのはどうもワクチンの有効性ではないと考えます。以下に読み解いた内容を示します。

目的はXBBワクチンの有用性だが・・

著者は新型コロナ感染症に対して、変異を繰り返して流行が何度も起こる現実は、「以前のワクチン接種が全く無効だから新たにワクチンを接種しましょう」と言いたかった様ですが、結論を得るまでに行った解析からは違う結論が出てしまいます。

 

ワクチン接種者のコロナ以外の入院率が増加

左の図データをわかりやすく表に読み込むと右の様になる。

対象となったのは18,199名の急性呼吸器症状で救急外来を受診した患者で、2,977名が入院加療を要しました。これらのうちコロナ検査陽性だったのは2,854名で、15,345名がコロナ以外の呼吸器感染症と診断され、入院はそれぞれ391名がコロナ、2,586名がコロナ以外の誤嚥性肺炎とかマイコプラズマ、インフルエンザとかによる入院と考えます。

この時点でコロナに対するワクチンの有効性が391名の中での比較で元々の18,000名の母集団に比べて「え?」というレベルの対象数の小ささであることが解ります。

表に示す様に、XBBワクチンを投与した患者の入院比率は12%でワクチン未接種者の13%よりも低いことは事実です。しかしXBBワクチン以外の古いワクチンを接種した(XBBは打っていない)人達のコロナによる入院比率はワクチン未接種者よりも多く、むしろ悪影響しか出ていないことが解ります。これは抗体依存性感染増強を証明したデータと言えます。

またコロナ感染症による発熱で救急受診をした率(コロナ陽性率)もXBBまで接種した人は9.4%で未接種者の15%よりは少ない率ですが、武漢型やBA4.5の接種既往は既にコロナ感染予防には役立っていない事が明らかです。むしろ抗原原罪により新たな変異種を排除する抗体はできにくくなっている可能性もあります。(ブレイクスルー感染の誘発)

問題は対象患者が圧倒的に多い「コロナ以外の呼吸器疾患の入院比率」で、ワクチン接種者は軒並みワクチン未接種者よりも高率に入院しています。統計的有意差では、コロナ以外の入院についてのワクチン接種の有害性を確実に証明した論文と言えます。

ワクチン接種は確実に免疫を低下させていると結論づけられます。

この論文の著者が本当に言いたかったのはむしろ接種者の易感染性ではないでしょうか。JAMAと言えどもワクチンが有害と結論づけた論文は掲載が困難な現状です。解析しやすい元データを載せて「こっそり事実を記載して解る人に気づいてもらう」のが現在世界中の科学者達が行い得る抵抗です。もしかしたらこの論文を引用した厚労省のお役人たちも「論文を読んでワクチンの現実に気づいてくれ!」という思いだったかも知れません。

 

追記

パンフレットにはJAMA以外にも長崎大学のXBB予防接種の効果分析、オランダの分析、CDCの分析が載っているのですが、JAMAほどの正確性がありません。単純にコロナ陽性者の中でXBBを投与したかどうかを比較しているだけで、一切ワクチンを打っていない人との比較が不十分です。分かりにくくなるので敢えて載せませんでしたが、長崎大の分析では、入院に関してはワクチン接種の方が効果があることになっていますが、投与しても時間が経つと未接種のほうがマシという結果でした。(下図)

発症予防について、あらゆる年齢で接種後時間が経つと効果がなくなり、未接種者と同様の状況、65歳以上についてはむしろ接種していない方が良いという事?(論文内に説明はない)

入院予防については接種者に効果ありでデータとして面目を保つ。但し武漢型とかは全く効果なし。

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中東はなぜ民主化しない?フクヤマ、ハンチントンの問う民主化の順番

2024-12-19 15:16:55 | 社会

シリアはアサド政権が崩壊し、米国がテロリストと認定したアルカイダ・アル・ヌスラ戦線系のムハンマド・ジャウラニ氏指揮下のシリア解放機構が占領しています。彼はイスラム原理主義とは距離を置いて国際社会に受け入れられる路線に変更し、全てのシリア人のためのシリア国を作ると言っていますが、彼以外の戦闘員たちにそのつもりはなく、早速アサド政権側についていた国民の虐殺、迫害が至る所で起きています。イスラム原理主義を信奉する彼らは、異教徒が支配する聖都エルサレムを解放すると叫ぶ者も多いようです。

ダマスカスからエルサレム解放を叫ぶ戦士達

 

I.  シリア国の消滅、地域の今後

 

イスラエル軍は12月10日、シリアに備蓄されている戦略兵器の大半を爆撃したと発表、同国全土に480回以上の空爆を実施したと主張しています。イスラエル空軍は約350回の有人機による空爆を遂行。飛行場や対空砲、ミサイル、ドローン(無人機)、戦闘機、戦車、兵器製造施設を標的にダマスカス、ホムス、タルトゥース、ラタキア、パルミラの各地を攻撃しました。さらに追加の空爆を130回、地上作戦中に行い、兵器の保管庫、軍事施設、発射装置、砲撃用の陣地を標的にしたということです。また船舶からは15隻の艦船が配備された海軍の施設2カ所を攻撃。対艦ミサイル数十発を破壊したとし、イスラエル海軍はシリアの艦隊を壊滅したとカッツ国防相が発表していました。イスラエルは、シリアの反政府組織がいずれイスラエルに歯を剥くことが無いよう、シリアの国土を非軍事化する意図があったと言えます。そしてゴラン高原から東北にのびる砂漠地帯を実質イスラエルの領土(非武装地帯)にする目的があったと言えます。

アサドを追放する事を目的とし、シリア内戦でイスラエルはアルカイダを支援していたとするエルサレムポストの記事

2024年12月8日現在のシリア地区を支配する勢力(アル・ジャジーラによる)

一方トルコが支援するシリア国民軍はトルコ国境からダマスカス近郊までを支配し、トルコ領内の500万人とも言われるシリア難民を押し返す方策をとると思われます。シリア北東部を支配するクルド人勢力(SDF)は、米国が支援していましたが、今後イスラエル、米国が敵視するイランと交戦する場合に限って支援を継続する可能性はあるものの、クルド人の独立国建設を支援することはない様に思います。ユーゴスラビアが分割された様に、シリアは、「国は消滅」して「旧シリア地域がいくつかの勢力に分割」されて今後紛争を続けながら残ってゆくというのが現在の見通しと言えます。

各勢力の思惑が錯綜するシリア情勢、日本人的な義理や人情では理解できない。今自国を激しく爆撃しているイスラエルと手を取り合って生きる?本当ですか?

 

II.  原理主義の台頭を調整してきたアラウイ派

西欧的生活を実践してきたアサド大統領

シリアは古代キリスト教が栄えた地域でもあり、現在も多くのキリスト教徒がイスラム教と共存しています。周囲のアラブ諸国が厳格なイスラム主義を採る中、少数派であるアラウイ派は比較的穏健で世俗的な対応を取って来たために、シリアのダマスカスは観光地としても栄えてきました。親子で大統領を務めたアサド家の家族写真を見ても、女性たちがイスラムの規範に捕らわれない自由な服装をしています。それに対立する反政府勢力はイスラム原理主義を信奉する勢力であり、本来西側諸国が「テロリスト」と規定するもので支援などあり得ない勢力です。つまりアフガニスタンのタリバンと同じと言って良いでしょう。

米国のジャーナリスト、シーモア・ハーシュ氏によると、アサド大統領(子)は温厚な人柄で、強圧的な弾圧は好まないのだが、権力を持つ近親者たちの腐敗は著しく、結果的に反体制派への非人道的な弾圧にもつながっていったと大統領自身との会談などから述懐しています。2011年にシリア内戦が激化する前、アサド大統領はより民主化した制度を導入することを反体制派や西側諸国に提案しましたが、アサド政権自体を崩壊させたい西側陣営は受け入れず内戦激化につなげてゆきました。「アラブの春」は民主化が目的などではなく、単に「西側に都合が良い政権を作る」が目的であったことが明らかです。現安全保障担当大統領補佐官のジェイク・サリバン氏はオバマ政権時にヒラリー・クリントンに宛てて「シリアではアルカイダAQは我々の味方だ」とメールを送っています。2001年にアルカイダを匿ったとしてイラクを武力で崩壊させたのは米軍だったはずですが。

イラク、リビア、ソマリア、スーダン、エジプトなどの中東やアフリカの諸国で、フクヤマが「歴史は民主主義で終わる」と規定したにも関わらず西欧的民主主義がなぜ根付かないのかについて、後の著書「政治の起源」でフクヤマおよび師のハンチントンもある条件が整わないと正しく民主主義が根付くことはないと説明しています。

政治が機能するには三つの政治制度、すなわち「国家」、「法の支配」、民主的「政府の説明責任」が整い、これらがある種の均衡を持たなければならないという主張です。またこの三つにも優先順位があり、実効性のある「強力な国家機構」、次いで「法の支配」、民主的説明責任に基づく「抑制の制度」という順で社会が進む必要があると説きます。フクヤマによると、中国や日本には古来強力な国家機構があり、法の支配も比較的行きとどいていたとされます。中国には民主主義制度はありませんが、台湾や日本は憲法に基づく権力者の自己抑制の制度があるから民主主義が根付く土台があると説きます。中南米のコスタリカは人口500万の小国ながら一人当たりGDP1.2万ドルの豊な国であり、その秘密は1949年に施行された憲法が軍を持たず(クーデターがない)、権力者にも抑制を効かせる制度を作っていることにあると説明します。専制制度の下でも「法の支配」に民衆が慣れていないと、外から与えられた民主主義は突然与えられた平等を幸いとする「身内の利権確保」にしか使われず、後進国にありがちな腐敗と利権の社会にしかつながらないと解説します。社会主義から解放されたロシアやウクライナ、東欧の国々が表面的に民主主義的でありながら腐敗と利権が蔓延る社会である理由はその辺にありそうです。まあ現在の米国の様に強者が「法さえ守れば自分の利権追求をいくらやっても良い」と考える社会もいびつな民主主義だと思いますが、それはフクヤマも指摘しています。

 

表面的な善悪でしか報じない小学生並みの日本のメディアでは現在の中東・世界情勢を理解することは全く不可能でしょう。グローバリスト御用達の池上彰氏でも「西欧諸国のご都合主義」に触れなければ現在の状況をわかりやすく説明など不可能と思いますがいかがでしょう?

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2023年とそれ以降の超過死亡推移

2024-12-14 09:36:50 | 医療

日本の死亡者数が2021年以降増加し、それまでと比較した超過死亡が増大していたことは国会でも議論され話題になりました。世界でも同じ傾向が見られ、その原因は「新型コロナ感染症」と「コロナワクチン」で100%間違いないのですが、多くの人はそれが科学的真実であっても認めたがりません。ワクチンについての批判的論説が未だにSNS上で「禁忌」とされている事自体が「ワクチン犯人説」を自ら証明していることになります(全く根拠がないなら禁止する必要もない)。

 

I.  ワクチン投与が2022年に終了した国々では超過死亡は減少しつつある

名古屋大学名誉教授の小島勢二氏が引用したOECDの各国の超過死亡のまとめではワクチン投与を続ける日本だけが超過死亡が増加したままであることが解ります。一時非常に増加していた米国の超過死亡も図の様に収束しつつあるように見えます。このようにワクチン投与が終了した多くの国では超過死亡が収まりつつある所もあるようですが、遺伝子ワクチン接種や変異種による新型コロナ感染症には、免疫機能を弱める作用があると考えられ、「がんの罹患数」は増加しているデータが出ています。

米国のがんによる死亡者数が2021年以降想定よりも増加し続けているというCDCの集計

ワクチン推進派の人達には都合が悪いデータですが、英国の保健省が集計した2021年7-9月期の死亡者数でワクチン非接種者と接種者(一度以上)を比較した図は、母集団で80%の国民が接種者であるという背景を含めても右側カラムの接種者の比率が異常に多い事が明白です。これは前後の月の統計も同じです。

 

II.  死亡者数は2024年現在も増加したままである。

2018年から2024年7月までの死亡者数月別推移を示します。この図で明らかな様に、2016年から新型コロナ感染症が流行し始めた2020年までは日本の死亡者数は、微増傾向はあったもののほぼ一定であったと言えます。しかしコロナに多くの国民が罹患し、しかもワクチン接種が本格的に始まった2021年4月以降日本の死亡者数が増加を始め、毎月1万人単位で増加したままであることが図から明らかです。22年23年は8月にも死亡者数が跳ね上がっており、「熱中症で」という言い訳がなされましたが、私は病院で救急外来を含む死亡診断書を全例確認してきた経験からそれだけで説明はできないと考えます。ワクチン接種をやめた他の国々で超過死亡が減少しつつある現実をどう説明するのでしょう。

 

III.  ワクチン接種回数と超過死亡が相関している証明

ワクチン接種率と超過死亡の多さの相関についてweb論壇のUnz reviewにおいて、ユージン・クスミアク氏がOur world in dataで利用可能であった57か国の一人あたりのワクチン接種回数と翌年の超過死亡率に相関があるかを計算して報告したものを示します。2021年に国民一人が接種した回数に対する2022年のその国の超過死亡率(赤プロット)と、2022年に国民一人が接種した回数に対する2023年のその国の超過死亡率(緑プロット)(計114プロット)を合わせて示したものです。日本を除く多くの国は既に2022年にワクチン接種は行われておらず、超過死亡が2021年の各国のプロット(赤)より減少していることが解ります。この図から国民一人1回のワクチン接種で翌年の超過死亡率が6.2%増加するという結果であり、この結果がランダムに発生する可能性は0.0%(P値)で明らかにワクチン接種と超過死亡の増加は統計的に有意性があります。

以下厚労省の人口動態統計のまとめから日本の死亡者数とその内訳についての推移を記します。

 

IV.  2023年死亡の内訳は悪性腫瘍、心疾患、老衰が増加

厚労省の死亡統計から1947年から2023年までの人口10万人あたりの各疾患の死亡者数を示します。超過死亡が増加した直近の2-3年においては、悪性腫瘍は緩やかな伸び、心疾患と老衰が著明に増加していることが解ります。多忙な救急外来の現場において、心肺停止で搬送されてきた患者の死体検案書用の死因判定にかける時間は5分がせいぜいです。明らかな基礎疾患が悪化して死亡したことが明らかでなければ、事件性がないと判断されたお年寄りは「老衰」、中年以下の人は「急性心不全」と死体検案書に記入します。それが救急現場の現実です。良く分からない状態で亡くなっても全員CT検査や病理解剖を行うわけではありません。ワクチン接種後の体力低下、易感染性、無症候性の心筋炎による心不全の増加など因果関係を特定しにくい中長期の合併症がこれらに関係している可能性は否定できないと考えます。勿論公に認めることはしないでしょうが。

同じく死亡統計の中のがん死の内訳を示します。がん全体では緩やかな増加でしたが、図の様に胃がん、肝臓がんなどは男女共に減少傾向にあります。一方で肺がん大腸がんすい臓がんなどは明らかに増加しています。非常に進行が速い悪性度の高い癌がワクチン接種とともに増加した傾向はありましたが、全ての癌が罹患してその年に亡くなる訳ではありません。ワクチン接種が終了してもがんによる死亡が増加しつづける理由がそこにあります。

 

V.  遺伝子ワクチンの問題点を記事にしています

Noteなどの現在発売中の雑誌記事の内容の一部を閲覧できるwebがありますので、公開されていた「紙の爆弾2025年1月号」に掲載されたrakitarouの記事の一部を載せますので続きを読みたい方は是非ご購入の上お読みください。

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シリア情勢を決めたプレーヤーたち

2024-12-10 10:09:41 | 政治

2024年12月9日、ロシアはシリア大統領のバッシャール・アサド氏の亡命を受け入れたことを認め、実質的にアサド政権は崩壊し、シリアの実権は反政府勢力のシリア解放機構ジャウラニ指導者の指揮下に入った様です。予想外の速い展開に専門家と称する人達含めて世界中の誰もついてゆけない状況だったのではないかと思います。

米国が懸賞金付きテロリストと指定した男が新国家代表になってしまった。

今までの経過や今後の展開について、種々の考察がなされていますが、余りに多くの勢力とそれぞれの利害が絡み合っているので予測不可能にも思います。そこでわかる範囲でこれらのプレーヤーについてまとめてみます。

関与したプレーヤーと内容・利害

アサド政権側

反政府勢力側

〇アサド大統領

2024年11月頃から政権基盤が揺らいでいた事を認識、家族にロシアへの亡命を進めていた。

政府軍を率いる弟のマーヒル・アサド少将は、第4機甲師団などを支配地域から抵抗させることなく撤収。大統領と共に亡命。

 

〇ロシア

地中海への拠点となるヘメイミム空軍基地、ラタキア海軍基地を保有。アサド政権を支援してきたが、今後はその存続をめぐって新政権と交渉する予定。

敢えて強力な攻撃を今回行わなかった背景には米国などとの協定があった可能性も。

 

〇イラン

イスラエル、米国と本格的戦争に入りたくない状況があり、シリア国内の革命防衛隊は既に撤収したと見られる。

 

〇シリア解放機構

アル・カイダ、アル・ヌスラ戦線が前身。3万人の兵を有する今回の政変の主役。イスラム原理主義のスンニ派。

 

〇シリア国民軍(トルコが支援、スンニ派)

 

〇クルド人勢力である(SDF)もシリア北東部を支配しており、5-6万人の戦闘員がいる。

 

〇イスラエル

今回の政変で最も得をしたと言われる。イランからヒズボラへの支援を切り、シリア国内のヒズボラの存在をなくすことに成功。ゴラン高原の安全確保、勢力拡大?

 

〇トルコ

イスラエルとガザ情勢では対峙していた様で、石油輸出などでは連携していた。今回の政変で大量のシリア難民とクルド人勢力との対立を何とかしたい。

 

〇米国

イスラエルと何等かの連携があった。イラン封じ込めを含めてイスラエル支持の次期トランプ政権も何等かのディールで関与か。おそらくロシアともウクライナ情勢の決着を含めてディールがあったと思われる。

 

背景

そもそもの背景は、2011年のアラブの春の際のシリア内戦ぼっ発で、2009年アサド政権がカタールからトルコへ抜けるパイプライン設置を拒否し、イランからレバノンへのイスラムパイプラインを認めたことからCIAは反政府勢力(アルカイダとかISなど)を支援してアサド政権転覆を画策したことに始まります。表面的にテロ組織ISなどを掃討するふりをしていた米国は、2015年ロシアがアサド政権支援に本格介入して空軍基地をアサド国際空港に隣接して建設するなどし、ISは一掃されてしまっていた。

トランプ次期政権を含めて各国の様々な思惑が入り乱れる。

多くの予想では、今後10年シリアは各勢力が入り乱れて荒れ続けると言われています。

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紛争拡大を狙う勢力

2024-12-05 14:20:09 | 社会

I.  指揮官のいない米国

 ずっと拒否していたロシア国内への長距離ミサイル使用許可を2024年11月19日バイデン不在中に米国は決定、同21日には英国のストームシャドウを、23日にはフランスがスカルプ(フランス版ストームシャドウ)の使用を容認する決定を行いました。もっともATACMSは60基(既に10基使用)、ストームシャドウは各10基ほどしかウクライナにはなく、戦局を変える力はありません。ゼレンスキーはドイツの長距離ミサイル(射程500km)タウルスの供与を希望し、米国製の陸上発射トマホーク(射程3000km)の供与を切望しています。これらが使用されれば間違いなくロシアはNATOに対して核の使用も辞さない戦争拡大を進めてくるでしょう。これは紛争終結を狙うトランプ就任の2025年1月20日までに紛争拡大を狙う米国ネオコン勢力が画策した結果生じている動きと思われます。

 来年1月までの米国政治は誰が責任を持って取り仕切っているのか、誰も答えられません。イエレン財務長官は10月23日に200億ドル(3兆円)の追加支援をロシアの凍結資産を活用して行うと表明していますが、凍結資産の現金化など誰が具体的に行えるのか不明です(米国が買い上げて現金化するとなると結局税金)。現在大統領失格と民主党から烙印を押されたバイデン大統領がアフリカを訪問して6億ドルの支援を表明(ウクライナに比べてちゃちい)していますが、CNNではその内容説明をCSIS(戦略国際問題研究所)の解説員がしていた所からも、政権に通じたネオコンシンクタンクの一部が政策を決めている様です。当然終わりを迎える政権が行ったことなど誰も責任を取らないでしょう。

 

II.  ウクライナの行方

領土割譲に言及しはじめたゼレンスキー  ロシアが検討しているとされるウクライナ分割案

 ゼレンスキーは最近やっと領土割譲の上での和平交渉の可能性に言及し始めましたが、戦争に負けている側が口にする内容ではありません。プーチンが提案するウクライナの未来図は図の様な3分割で、西から「紛争地域」「親ロシア国」「ロシア領」の3つに分かれます。戦勝国のウクライナ統治の出発点はこれであり、ここからどこまでロシア側から譲歩を引き出せるかです。西の紛争地域はポーランドやルーマニアなどが分割統治する決着になる可能性もあります。ウクライナ国民が平和に暮らすには、親ロシア国で欧米の資本を排除した上で自分達が統治できる態勢を作ることが大事でしょう。

 一時北朝鮮の兵がクルスク戦線に一万人投入などというヨタ記事が西側諜報部経由で盛んに流されましたが、前線のウクライナ兵で朝鮮軍を見た兵士は一人もいないそうです。この北朝鮮フェイクニュースが今回の韓国戒厳令騒ぎにも一枚かんでいることが解ってきました。

 エコノミスト誌などによると、ウクライナは毎月約19,000人の「兵士」を募集していると述べているため、1か月あたり23,000人の死傷者と推定できるが、これには脱走兵も含まれるようです。ウクライナの脱走兵の多さは救いようがないほどですが、今年の脱走兵が10万人(一説には20万人)だとすると、1日あたり274人、つまり1か月あたり約8,300人となる。これを23,000人から引くと14,700人になる。これを30で割ると、1日あたり約500人の死傷者となる。言い換えれば、ウクライナ兵の1日の損失は、死者250人、重傷者250人、脱走兵274人で、1日あたり約770人の「死傷者」、つまり1か月あたり23,000人の損失となる。この中には軽傷の死傷者は含まれていません。一日も早く戦争を終わらせる(無条件降伏でも)事がウクライナの国民を守る唯一の方策であることが解ると思います。

 

III.  突然のシリア内戦の再燃

シリア情勢を解説したmiddle east eyeの記事   レバノンからアレッポへの反政府軍の動きヒズボラも関与か

 2024年11月、ハヤト・タリハール・アル・シャム(HTS)などの反政府勢力がシリア第二の都市アレッポとその空港、軍事基地などを突然占領したというニュースは世界を驚かせました。シリア内戦はロシアがISなどを掃討した結果ある程度沈静化していたと思われたからです。米国が間接的にIS他の反政府勢力を支援していた事は明らかでしたが、ウクライナ戦争やイスラエルへの支援でそれどころではない状況でした。今回イスラエルがヒズボラと停戦に至ったタイミングでシリア内戦の激化に至ったのは偶然ではない様です。この4年間500万人のシリア難民がシリア北部の反政府勢力の支配地域で過ごしていましたが、極度の貧困と生活苦で困窮していたことは知られていません。またトルコにも300万人のシリア難民がいて、シリア北部のクルド人支配地域がトルコと対立しているため、今回の攻撃にはトルコの後押しもあるとされます。イラン、ロシア、シリア政府(アサド政権)は、反政府勢力と対峙していますが、今回の内戦再燃が組織立って行われていない、資金の出所と流れが明確でない事などからアサド政権を倒すほどの広がりは見せないと思われます。

 数週間前、イスラエルのギデオン・サール外相は、トルコとイランを弱体化させるために、クルド人やドゥルーズ派など、この地域の無国籍少数派との正式な同盟 構想してい た、と言われます。この試みはうまく行かないと思います。

 

IV.  グルジア(ジョージア)内紛

 ジョージアのコバヒゼ首相は政府がEUへの加盟交渉を中断(延期)すると表明し、首都トビリシほか複数の都市で親欧米派の市民が抗議行動を起こす事態になっています。米国は12月1日に独裁的傾向(親ロシア傾向の言い換え)が強まるジョージアとの戦略的パートナーシップを停止すると通告したとされ、3000人以上の公務員らがEU加盟手続きの延期に抗議する署名が出ています。親欧米派のサロメ・ズラビシヴィリ大統領は、あと数週間で任期満了により辞任するため、その後継の如何でジョージアの親欧米か親ロシアかの行方が変わります。つまり2014年のウクライナマイダン革命の再現が行われていると考えると分りやすいです。CIAやソロス財団は親欧米グループに反体制騒乱を仕掛ける試みを、金をかけて行っている最中でしょう。今後の展開が注目されます。政府側が民主化勢力(親欧米)のデモに発砲(CIAが金を出して政府側を装った民間軍事会社などにやらせるのがウクライナ方式)などするとCIAネオコン好みの展開になること必至です。

 

V.  韓国のクーデター失敗

 2024年12月3日午後10時に韓国尹大統領は緊急談話で45年ぶりとなる戒厳令を宣布し、突然の発表に世界が騒然となりました。午後11時には韓国軍が国会に突入し、議事堂周辺には軍が出動し、市民と対峙する状況になりました。これは1978年の朴政権が民主化運動に対して発した戒厳令以来でしたが、何故今戒厳令かが疑問とされました。

 まだ推測の域を出ませんが、少数与党の尹政権は、予算や種々の法案が通らず、次の選挙でも勝つ見込みがない状況から切羽詰まった状態であったという背景はありそうです。北朝鮮ウクライナ参戦デマを韓国軍諜報経由で盛んに出して危機感を煽りましたが、韓国民衆は乗ってきませんでした。米ネオコン、CIAとしては、韓国軍もウクライナに派兵させることを念頭に尹政権に揺さぶりをかけていましたが、米国覇権からの独立を主張する「共に民主党」多数派は反対していました。今回の戒厳令は、米国黙認(推奨)の軍主導(国防相は大統領の高校の同窓、金龍顕)クーデターであった公算が強いです。消息筋は「今回の戒厳令は『清岩派』が画策したものとみられ、金国防長官が尹大統領と直接調整している」と言われます。(「清岩派」とは、ソウルの清岩高校の卒業生)これらの情報は前から流出していたらしく、国会民主党側の反応は異常に早く、韓国国民の抗議のための集合も非常に速やかであり、6時間で戒厳令無効決議が議決されて解除される結果になりました。大統領の発表からわずか150分後、国会議員300人のうち191人が戒厳令の即時解除に投票した。軍隊と警察が議会に突入したが、戒厳令反対の投票はすでに行われていました。労働組合はストライキを行うと発表し、人々は大統領の行動に抗議するために街頭に繰り出していました。尹氏の側近たちは総辞職を申し出、譲歩する以外に賢明な道は残されていなかったと言えます。

 バイデン政権のアジア担当副国務長官カート・キャンベル氏は次のように述べました。

「したがって、我々は韓国の最近の動向を深刻な懸念をもって注視しています。我々はこことソウルの両方で、あらゆるレベルで韓国のカウンターパートと連携を図っています。大統領、国家安全保障担当大統領補佐官、国務長官はいずれも状況の進展について報告を受けており、状況の進展について随時報告を受けています。韓国との同盟関係は堅固であり、不安定な時期に韓国の側に立つことを強調したい。また、いかなる政治的紛争も平和的に、法の支配に従って解決されることを強く望み、期待していることも強調したい。」

ほぼ同じ内容を石破首相も国会で答弁していたようです。

クーデターが続く中、韓国の米国大使館は法の支配や民主主義については何も語りませんでした。注目すべきは、駐韓国米国大使フィリップ・ゴールドバーグ氏が、ボリビアとフィリピンの現政権転覆を企てたとして、以前に両国から追放されていたことです。同氏は1月に韓国を離れる予定です。ゴールドバーグとワシントンDCはユン氏の戒厳令計画についてCIAと下部組織のKCIA経由で知らされていたと思われます。

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