rakitarouのきままな日常

人間様の虐待で小猫の時に隻眼になったrakitarouの名を借りて政治・医療・歴史その他人間界のもやもやを語ります。

疾患の性質を見極める事が大事という話

2021-12-04 15:05:39 | 医療

新型コロナウイルスの新しい変異種「オミクロン株」については、どの専門家も「性質の見極めが重要で結論は出せない。」とするコメントが多い状況です。これはその通りと思います。しかし以前から指摘しているように「そもそも新型コロナ感染症は初代SARS型の封じ込めが必要な感染症か?」という根源的な問いについては誰も答えようとしません。

 

疾患の本質(重篤性)を見極める重要性

 

新しい病気、感染症が出現した時、それが罹患したら急いで対処、治療を要する性質なのか、必要に応じて対応すれば大事に至らないものかを見極める必要があることは異論がない事と思います。2019年12月に中国武漢でSARSに似た新しい肺炎を呈する感染症が出現し、世界に広がる懸念が生じて、私も「新型コロナウイルスとパンデミック予測」(2020年1月28日)と題してブログに記しました。この時はまだ新型コロナ感染症なるものが、エボラ出血熱の様に放置すると人類滅亡の危機に至るウイルスか、2009年の豚インフルの様に適宜対応してゆけば普通の風邪として扱えるものか不明でした。但し弱毒ウイルスによるパンデミックで世界経済が大混乱になるという2019年10月に米国Johns Hopkins大学のCenter for health securityで行われたEvent201というシミュレーションがあまりにタイミングが良かったので嫌な予感はしていましたが。

その後私は「新型コロナの収束はSARS型か豚インフル型か」(2020年3月3日)、「勝ち組となるコロナ手段免疫獲得国家群」(2020年5月2日)で既に言及した様に、新型コロナウイルスで人類が滅亡することはないし、日本国が滅びることもないと見極めてきました(これは既にほぼ全ての人が気付いている様に思う)。だから新しい感染症といっても、程度や状況によって対応すれば良い感染症であり、いずれ豚インフルエンザの様に継続はしながらも受け入れられて行く病気なのだと判断しました。これをエボラと同様に無理矢理「徹底した対処が必要な疾患」に仕立て上げたために経済の大混乱(これが目的?)が生じ、つじつま合わせのためのデタラメとも言える新しい概念「検査が陽性だけど健康なヒトを無症状感染者と定義」「ワクチンが効かないだけなのにbreakthrough感染と造語」をする羽目になっているのです。

迅速徹底した対処が必要な疾患とそうでない疾患について、解り易い例をあげて説明します。急性心筋梗塞は発症後速やかに対応しないと命に関わる病気で、治療の甲斐なく死亡する方も沢山いる事は承知と思います。胸痛などの症状が出たら救急病院を受診し、心電図異常があれば採血でトロポニンT(簡易型の陽性陰性判定キットがある)を検査して速やかに心臓カテーテル治療を行います。心カテ治療は侵襲の大きな検査で、リスクも高い(治療中心停止もある)ですが、必要な処置であり、一昔前までは冠血管の移植手術を緊急で行っていました。トロポニンTは心肺停止で心マッサージなどすると上がって擬陽性になることもありますが、心筋梗塞の診断においては+か、マイナス(50ng/ml以上を+とする)さえ解れば良く、それ以上の詳しい値は必要ありません。

一方、メタボ健診などで問題になる高脂血症はどうでしょう。コレステロール220mg/dl(もっと厳しい基準もありますが)以上を異常とした時、221から上を全て+、以下をマイナスで判定して+を全て病人として治療対象にしたらどうなるでしょう。高脂血症の患者さんも一部は心筋梗塞や脳梗塞など重篤な疾患につながりますが、多くの人は直ぐには何も起こりません。何も起きない人を入院や隔離の対象にしたら「医療崩壊」が起こるのは確実です。また高脂血症があり、心筋梗塞などの症状が出た人は「直ぐにどの医療機関でも受診」できなければ手遅れになってしまいます。いちいち保健所に相談して病院を探してもらっていたら間に合いません。エボラなどの致死性の高い感染症と、症状のない場合も多いと言われる新型コロナを一緒の扱いにしてはならない理由が理解できると思います。PCR検査を発明したキャリー・マリス博士が、陰性患者が多い感染スクリーニングにプラスマイナスしか判定できないPCRを使うべきでないと警告した理由もそこにあります。

 

高脂血症を予防する毒性の高い薬を国民全員に強制投与する愚作

 

ワクチン投与後に血栓症を発症して死に至る例が因果関係は証明されない(永久に証明などされない)が一定数ある、事は世界でもほぼ常識となっています。また若年者には心筋炎をまれに起こすはCDCやEMA(欧州医薬品局)でも周知の事実とされています。多くの人が39度の熱を出して仕事を休まねばならないワクチン(という薬)を国民全員に強制する愚作は、高脂血症を予防するために毒性の高い薬を子供を含む国民全員に強制投与する事と同じではないでしょうか。

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新型コロナウイルスは宿主細胞の抗ウイルス作用を抑えて増殖するらしい

2021-11-29 18:06:59 | 医療

日本は2021年11月現在幸いにして新型コロナの流行は抑えられていますが、諸外国は冬を迎えて爆発的に患者数が増加している地域もあります。流石に初代新型コロナ用に作ったワクチンが、既に別物である「変異ウイルスにも感染予防になる」という嘘は付ききれなくなりましたが、重症化予防になる(だろう)という一縷の望みをかけて「3回目ブースター接種」が勧められています。本音は「ワクチン接種証明義務化」による「国民のデジタル管理推進」なのですが、「皆さんのため」と言わないと従ってもらえないのでそうしています。嘘をつききれなくなって「従わなければ強制的に施設入所・隔離」という法的強制処置を始めたオーストラリアや欧州の一部の国も出始めました。いよいよ社会体制としては「陰謀論と言われていた事態の現実化」が始まったようです。

 

新型コロナウイルスが感染細胞から排出される仕組みが初めて解明

 

私は科学論文から新型コロナウイルスやワクチンについての疑問の検討を続けます。

ウイルスは宿主の細胞に入り込み、そこで宿主細胞の機構を勝手に使って自己増殖をして再び細胞から出てゆくのですが、大まかな動きは理解されていても具体的な細かい機序については判っていないというのが本当の所です。今回2020年9月のCellと言う雑誌に新型コロナウイルスを含むβコロナウイルスが宿主細胞から排出される仕組みというのが初めて明らかにされました。細胞は核から蛋白合成の指示を、mRNAを介して受けると、リボソームRNAで合成し、粗面小胞体で貯蔵されて滑面小胞体で代謝・活用されます。ホルモンやサイトカインなど細胞外へ分泌される時はゴルジ体を経由してリソゾームに取り込まれて細胞外に排出されます。これが正常生物合成経路(Normal biosynthetic pathway)で、インフルエンザなどのウイルスもこちらの経路を使って細胞外に排出されると言われています。しかしコロナウイルスはリソゾームの酸性によるウイルス障害作用を中和して不活化し、自分に都合が良いキャリアにして排出している(lysosomal trafficking)と言うのです(下図)。その結果、通常経路で排出されるとウイルスに免疫細胞が反応しやすくなるような修飾が行われるのを障害する可能性があるというのです。ちなみにリソゾームで別々に作られたウイルスの成分が再びウイルスとして形成されるのは小胞体—ゴルジ体仲介成分(ERG intermediate compartment、ERGIC)と呼ばれる所で行われるとされ、そこからある物はウイルスとして、ある物はスパイク蛋白だけが分解されて細胞外に排出されると考えられていました。(下図)

論文で用いられた模式図 下半分がコロナウイルス特異的な細胞外への排出システム

 

ワクチンで三量体のスパイク蛋白がERGICで作られる

 

mRNAワクチンの形で外から与えられたスパイク蛋白の遺伝子は同様に小胞体の膜で蛋白成分として造られて、小胞体ゴルジ体仲介成分で三次(立体)構造が3個合わさった三量体(4次構造)になって出来上がったスパイク因子として蓄積され、TGN(トランスゴルジネットワーク)で一部分解されてレセプター結合部位、N末端結合部位などに分かれて細胞外に出されるか、三量体のまま細胞外に排出されます。以前阪大の研究者らが明らかにした新型コロナウイルスの抗体依存性免疫増強のしくみで紹介した様に、ウイルスの中和抗体はスパイク蛋白内にあるいくつかの結合部位のうち、レセプター結合部位(RBD)に対する抗体であって、N末端結合部位(NTD)に対する抗体は抗体依存性免疫増強(ADE)に寄与する可能性があるのですが、RBDのみを作成するmRNAワクチンが作れないのは下図の様に宿主細胞が小胞体で蛋白の4次構造まで作らないと正しいスパイク蛋白ができず、結局有効な中和抗体が免疫として造られないからと思われます。4次構造を示す3量体が細胞内のフリンで分解されてS1とS2に分かれ、S1のRBD部分がACE2と結合し、毒性を発揮すると考えられます。だからこの構造まで作られないRBDのみのmRNAでは蛋白構造が異なるので有効な中和抗体ができないのかもしれません。

ウイルス(a)とワクチンによるスパイク蛋白(b)の合成と排出の違い   スパイク蛋白は同じものが3つ集まった三量体の状態で小胞体膜上で合成される(a) 単体の状態が(c)、場合により三量体が膜上で酵素で分解されてS1とS2の部位に分かれる(d) (Heinzらの論文2021による)

 

スパイク蛋白に多くの変異を持つオミクロン株はワクチンが効かないかも

 

既に報道されている様に、南アフリカで同定された新しい変異種であるオミクロン株は、スパイク蛋白だけで32か所の変異を持つとされます。これだけ変異するとアミノ酸の変化も多くなり、上記の蛋白の3次構造も当然変化すると考えられ、それを認識する抗体も抗原を認識しなくなる(今までのワクチンが効かなくなる)ことが予想されます。幸いBlombergの記事によると、現状ではオミクロン株は感染力は強くても毒性は低そうだとされ、症状の軽いオミクロンがαやデルタ株を駆逐してくれると新型コロナの流行は一度自然消滅するのかもしれません。そうなるとワクチンパスポートも不要になり、経済のリセットも半ばにして頓挫する結果に終わるかもしれません(すごく楽観的な予想)。

 

いずれにしてもウイルスや分子生物学は不明なことばかり

 

コロナウイルスの細胞からの排出機構が昨年初めて明らかになった様に、ウイルスや分子生物学について、我々は現在も解明できていない事が多数あります。遺伝子ワクチンの長期作用についても同じ。医師や科学者達が解っていない事を含めて科学的・医学的に解明済であるかのように「大丈夫」とか「こうした方が良い」などと言うのは誤りです。それは「学者としての学問的発言」ではなく「単なる政治的発言」です。政治的発言になることに嫌気がさして最近あまりメディアに出なくなった専門家もおられますが、情報を受ける側も、あまりに断定的に発言している専門家は「政治的発言」をしているに過ぎないと言う目で見た方が良いだろうと私は思います。

参考までに私が昔学位論文を書いていた時分(1990年代)に自身でやっていた懐かしいPCR検査の結果が、本棚整理の時に大量に出てきたのでその一つをスキャンしてみました。話題のPCR増幅回数ct値は当時の標準として30回で行っています(それ以上だと非特異的増殖が増えすぎる)。ゲルに流して目的とするバンド(cDNA)が奇麗に出ていますが、非特異的なバンドが出ている物もあり、現在のリアルタイムPCRは、RNA抽出やRNAの濃度調整もせず、またゲルで増幅された遺伝子の大きさの確認もせずに、増殖されたバンドの有無を蛍光で見ているだけなので、PCR検査を開発したキャリー・マリス氏が警告した様に、化学分析や陽性者の確率が高い集団内で陽性を確認するには適していますが、陰性前提の感染症判定スクリーニングには精度上問題がある事が分かると思います。

1-4,8-12は異なる培養細胞のEGFreceptor mRNAの発現を、5はリガンドの一つであるTGFαを見ています。プローブの設計で増幅されるcDNAの大きさが異なるので区別できます。6は非特異的なバンドが多く、検査不適格、7はサイクル数を上げると他と同様に陽性となってしまい、有意な発現か不明になります。両脇はcDNAの大きさを図るマーカー(メジャー代わり)。

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各国の超過死亡累計からみた真のコロナ被害

2021-10-27 18:27:24 | 医療

日本は幸いにして新型コロナの流行は一段落していますが、英国やシンガポールなど一部の国々は現在も多数の感染者が出ています。感染者数というのはPCR陽性者数を示しているだけで、他の疾患で数えられる真の罹患数(本当に病気になった人の数)とはかけ離れている可能性があります。またコロナ死というのも、以前から指摘されている様に検査陽性で他の疾患で死亡した場合もコロナ死に数えられており、本当に新型コロナ感染症が悪化して亡くなった数なのか不明です。近い所では米国元国務長官のパウエル氏は「新型コロナの合併症」で亡くなったと大々的に報じられましたが、多発性骨髄腫で亡くなったのであり、コロナに感染したために多発性骨髄腫になった訳ではありません。コロナによる死亡を直接反映しているのではありませんが、コロナ禍の重篤度を反映する一つの指標に例年の死亡者数と比べてどれくらい死者が増加したかを見る「超過死亡」による比較があります。いつも参照しているOur World in Dataから各国の超過死亡比較の累計が出ており、興味深い内容であったので以下に示します。

各国の100万人あたり超過死亡累計(上から米、イタリア、英、仏、イスラエル、独、シンガポール、韓、日本)。 参考までに感染爆増している英国、シンガポールの100万人あたり新規感染者数を示す(上から英、シンガポール、米、イスラエル、日本)。

 

2020年の1月からの人口100万人あたりの各国の超過死亡累計(前年の死亡者数からの増減を累積したもの)を見ると、いくつかの特徴的なパターンがある様に思われます。一つは日本を含むアジア地域で、現在感染者爆増のシンガポールを含めて実は例年と比べて国民の死亡者数は大して変わっていません。むしろ日本は亡くなる人が例年よりも減少している事が解ります。これで「新型コロナ感染症で日本の医療が崩壊」したとか、「医療がなってない」という批判は的外れであり、「失敗したのは飲食業を崩壊させたコロナ対策」の方だったのではと思います。一方でドイツやイスラエルは昨年よりも今年に入ってから(変異株流行)超過死亡が増えている事が解ります。コロナワクチンの投与開始が昨年末からなので、宣伝どおり大変ワクチンが効果的ならばこのような結果ではない様にも思います。そして一貫して超過死亡が増加しているのは当初からコロナ感染症の被害が大きかった英米イタリアであり、コロナの流行に沿って超過死亡も増加累積している事が解ります。感染患者が多かったとされるフランスはイタリアやドイツの中間のパターンの様です。

上記グラフにブラジル、ロシアを加える。ロシアが飛びぬけて多い。

やや理解できないのはロシアのグラフです。昨年末から超過死亡が米国の倍以上急速に伸びている。まるでロシアだけどこかと戦争でもしているような伸びです。新規のコロナ感染者数はロシアが飛びぬけて多い様には見えないのですが、新規死亡者数は今年に入ってロシアは多くなっている。アフリカはワクチン接種が少ないのに感染も死亡も少ない事から、もしかするとロシア製のワクチン(スプートニク)が感染を悪化させるADE(抗体依存性感染増強)を強く発揮している結果かも知れません。まあワクチン接種が少ないから感染した後悪化する人が多いのだという論法も成り立ちます。感染者に占めるワクチン接種者の割合が解ると良いです。

地域別の100万人あたり日々の新規感染者数の推移では、ロシアが特に多い様には見えない(上から欧州、ロシア、米、世界、南米、アジア、アフリカ)。 しかし日々のコロナ死亡者数では今年春以降のロシアの死者数が多くなっている(上からロシア、米、英、独、イスラエル、スウェーデン、仏、日本)。

地域別のワクチン接種率累計の推移(上から南米、米、欧州、アジア、世界、ロシア、アフリカ)。 ロシアは国産のワクチンなのに国民の信頼がなく?さほど多くはない。日本はシンガポールに迫る75%超え。

 

超過死亡累計のグラフは日々報道される感染者数や死亡者数だけでは比較しにくいコロナ禍の実態について、別の側面を示してくれている様に思います。

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ワクチンに係わる「燻製ニシンの虚偽」

2021-10-15 20:16:20 | 医療

重要な事柄から情報の受けての注意を逸らそうとする技法をRed herring(赤いニシン)、日本語では「燻製ニシンの虚偽」と言い、大衆に信じさせる情報を操作する「スピンドクター(情報操作に長ける者)」の常套手段の一つです。Wikipediaの説明にもある様に、ミステリー作品において、無実の登場人物に疑いが向かうよう偽りの情報を強調したりする手法です。

 

拙ブログの「科学の衣を着た政治的プロパガンダ」でも言及したように、多くの人には先端科学や専門的な医学は理解できないので、新型コロナワクチンについての「解明しきれていないリスク」を科学的に説明され、ワクチン接種を躊躇してしまう人が増えるのを危惧した体制側は、キャッチーで判りやすい「偽情報」を一般の人達にあえて広めてから後で「これはトンでもない嘘」と暴いて見せることで「ワクチンリスクの疑惑全てが飛んでも情報なのだ」と否定しようとしていると思われる状況が見えてきており、サイエンスに基づいて正しい情報を発信しようと考える医療者として憂慮しています。

 

明らかな偽情報の例

1) ワクチン接種部位が磁石のように鉄が付くようになる。LEDランプが灯る。

(昔スプーンが曲がる人が続出したテレビがありましたが、中にはそのような人もいるかもしれませんが、ワクチンとは関係ないでしょう)

2) ワクチン接種をするとBlue toothの固有番号を発信するようになる(ありえません)。

3) ワクチンにマイクロチップが埋め込まれている。

(同じ製造ロットやバイアルの人は全て同じチップということ?2回接種すると2種類チップが入る?実際私や看護師が瓶から新しいディスポ注射器に分注してその場で注射しているのに)。

 

論文などでも明らかでない疑惑情報

1) ワクチンを打つと不妊になる(科学的に証明されていない、理論的には成分などからはありえない)。

2) ワクチンを打つと呼気や汗にウイルス(やその断片)が排出される(スパイク蛋白は体内で作られるので喀痰などに少し混ざるかも知れませんが、だからどうだというのでしょう)。

3) 含まれる酸化グラフェンが有害。

(微量物質がどの位有害かは未定、微量でもシアン化合物がヘモグロビンの酸素化を障害とか、ウランの1億倍放射能があってα線を出して隣接細胞を殺すポロニウム同位体などならばわかるが)

 

一方でワクチンを打たせたい体制側も大衆が良いように勘違いしてしまう情報操作をしています。その例として

1) 妊婦にも安全(安定期の中期、後期については問題ない様だが、薬剤や放射線被爆でも一番問題になるのは妊娠初期、受精から1か月位であり、それについての安全性は一切確認されていない)。

またワクチンは投与部位だけでなく、卵巣、精巣を含むからだの全臓器に血流にのって分散されることは本邦承認時に用いたファイザーの公開文書等(16ページ)からも明らかになっており、それらが諸臓器に長期にわたり何の影響も及ぼさないという実証はされていない。

2) 遺伝子に取り込まれる事はない。(以前示したようにレトロトランスポゾン化して取り込まれる可能性はある、が科学的には正しい。もともと動物の遺伝情報の多くはウイルスなどから取り込まれた物である)

3) 2回接種することで免疫が高まる。

(2回目接種の意味は、偽感染によるブースター効果で、1回接種したことで付いた細胞性免疫が賦活化されて液性免疫由来の中和抗体が無理やり大量に作られるだけであり、免疫が高まる訳ではない)

 

最近の論文化された研究でわかってきた事

1) ワクチンは免疫を乱す

ワクチンでいきなり発がんすることはないと思いますが、限られた体内の免疫機能が無理やり大量のコロナスパイク蛋白に対する中和抗体作成に駆り出されるため、眠っていたウイルスが活動を始めたり(EB, ヘルペス=帯状疱疹, サイトメガロウイルスなど)、もともとあった癌の進行が早まったりする。これは私自身、実臨床でも経験しますが、ワクチン接種後の1週間以上の発熱継続などで体調が悪化して脱水症状で入院といった例も複数経験しています(多系統炎症症状)。

 

2) ADE(抗体依存性免疫増強)について

以前から懸念されていた事項ですが、スパイク蛋白のレセプター結合部への抗体は感染抑制の中和抗体として働くが、その周囲にあるN末端部(N terminal domain)への抗体は感染を増強させる効果があると阪大などの研究で明らかになりました。Covid19に対する遺伝子ワクチンはスパイク蛋白全体をターゲットにしたものなので中和抗体だけでなく、N末端部への抗体も作られることになり、中和抗体量が低下してくると逆にコロナに罹りやすくなる可能性があります。

AMED(日本医療開発機構)のプレスリリースで示されたコロナスパイク蛋白の抗体接合ドメインから引用

変異種はワクチンによる中和抗体よりADEの方が強く出るかもという論文(Jounal of Infection 2021.8.16)からの図

 

3) 自然感染による免疫がワクチンよりも数倍効果がある

これは以下の論文で示されました。自然感染の結果、種々のドメインに対する抗体でコロナを撃退した方が強い予防効果を持つようになるのは当然の様に思います。

 

4) 細胞性免疫も考慮するとワクチン一回接種で77%、2回接種で+10%予防効果がある。

ワクチンの効果を検討する方法は種々あり、検討方法によって予防効果(~%)が変わります。ワクチン承認の際に拙速的に用いられた「単純にワクチンを投与したヒトとしていないヒトの間で一定の期間内にコロナに罹った人数を比較」してその差を予防効果とするのはやや無理があります(ワクチン使用の有無に関わらず、罹患しないヒトがあまりに多い)。これがより正しい結果と断定はできませんが、信頼できる雑誌であるNew England Journal of Medicineに罹患リスクの高い米国医療関係者で「コロナ類似症状を呈してコロナ検査を行った者」を対象に、ワクチンの有効性を検査したtest-negative case-control studyの結果は上記のとおりで、多くはファイザー製のワクチンでしたが、1回接種で77.6%、2回接種で88.8%というのは通常のインフルワクチンの効果とも類似しており、現実的な効果を表していると思いました(インフルワクチンも2回目の追加接種は+10%の効果)。

NEJMの論文抄録からワクチン効果を示した結果部分

 

これらを踏まえたrakitarouとしての考察

1) ワクチンは「感染を防がないが重症化は防ぐ効果がある」は本当か?

第五波を病院で経験した実感からは、上記は真実とも思われます。しかしこれを科学的に証明した論文はまだ見かけません。イスラエルなどではワクチン投与後でも重症化例は沢山報告されています。しかし考えられる機序として、ワクチンは増殖の速い変異種の感染自体は防げないが、体内でウイルスが増殖して重症化する事は、ワクチン接種によってT細胞免疫が既に感作されているため、素早く反応して種々の抗体が作成されて重症化は防げたのだ、という説明はありえます。

 

2) 今後の変異種には効果があるか、逆に減るか

これは変異種の性質によるので何とも言えませんが、検査をスルーする(検査用抗体の認識部位やPCRのプライマーにあたる部位が変異している)変異種が既に見つかっており、コロナ感染症が今後も継続する予感はありそうです。

 

以上、ここ2か月ほどで第五波に日本が揉まれている間に分かってきた事をまとめてみました。日本のワクチン接種率がほぼ世界一のレベルになっている事は良いとも悪いとも言えません。ただ既に古くなったワクチンの接種で、安全を保障するようなワクチンパスポートの導入は意味がないだけでなく、有害であり、個人の「行動管理」をしたい政府の意向しか反映しない政策だと私は思います。諸外国では人権侵害として反対意見も増えています。

米国におけるワクチンパスポート導入状況(青系はむしろ人権侵害として禁止している)日本では何故か導入に積極的なNYなどのニュースしか流さない。

 

ワクチンに関わる「燻製ニシンの虚偽」は理系思考で考えれば見抜くことはできると思いますが、なかなかそう行かないのは、日本の大学生の半分は理系で、本来ならば科学的思考に慣れた大人が日本人の半分はいるはずなのに、実際には実学的な技術や知識の習得ばかりを大学で教えられ、基本となる「思考法」を叩き込まれていない事が原因だと思います。私も一大学人として理系の思考法を十分教育してこなかった点を反省するべきと思っています。

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オリジナルの新型コロナパンデミックは既に終息

2021-08-13 22:18:13 | 医療

日本はデルタ株と呼ばれるインド発祥の新型コロナ変異種が猛威を奮っており、ワクチン2回接種者も普通に感染し、当初、日本人は感染しにくいと言われていた新型コロナもHLA-A24という日本人に多い組織適合抗原の予防効果(ファクターX)がデルタ株には効かない事が明らかになった事でアジア・日本も欧州並みの患者増加が懸念されています。

100万人あたりの感染者数は、現在日本はインドよりも多い。ワクチン先進国で3回目ワクチンも打っているイスラエルは爆増中

 

以下にアゴラ(加藤完司氏の記事)から引用します。

(引用開始)

まず免疫に仕組みから。ヒトの免疫には自然免疫と獲得免疫があり、獲得免疫応答のひとつが細胞性免疫で、キラーT細胞とヘルパーT細胞が感染細胞を殺す役割等を担う。(東大医科学研究所の佐藤博士らの)研究により、新型コロナウイルスのスパイクタンパク質の一部が、「HLA-A24」という日本人に多く見られる型の細胞性免疫によってきわめて強く認識されるということが、免疫学実験によって実証された。すなわち、新型コロナウイルスの侵入に対して「HLA-A24」がそれを認識、細胞性免疫機構に働きかけてウイルスを攻撃する。日本人が新型コロナに感染しにくい理由を、ファクターXとか自然免疫とか呼んできたが、実態は「HLA-A24」だった。

次にいくつかの変異株に対する反応。変異株とはスパイクタンパク質のRNAの構造に生じたわずかな違いで「インド株」と「カリフォルニア株」ではL452R変異と呼ばれる変異である。具体的にはヌクレオチドの一部のアミノ酸のL(ロイシン)がR(アルギニン)に変わっただけ。このL452R変異が、更なる免疫学実験によりHLA-A24による細胞性免疫から逃避することを実証された。これはインド株が細胞性免疫から逃避することを実証した世界で初めての成果だそうだ。

一言で言えば、インド株に対しては日本人の自然免疫は無効であることが証明され、もはや日本人は免疫に関し昨年までの欧米人と同じレベルになった、ということである。これが現在の第五波において、欧米諸国と同じ感染レベルで感染者が増えている背景である。

さらに、L452R変異は、「HLA-A24」から逃避するのみならず、コロナウイルスの感染部位である肺胞に多数存在する感染受容体ACE2への結合性を高め、ウイルスの膜融合活性を高めることによってウイルスの感染力を増強させることも明らかになった。

(引用終了)

上記から言える事は既に世界で流行している新型コロナ感染症は昨年春武漢を発祥とされて流行し、パンデミック宣言が出されたオリジナル新型コロナとは性質が別物という事です。

以下の図で現在流行している各国のコロナはオリジナルの新型コロナでは既になく、オリジナルは今年の春にほぼ収束した事が理解できると思います。一つの型が収束して感染者の数が減っている期間が短いから同じ感染症が流行し続けている様に見え、パンデミック終息宣言が出せずにいるのだと思います。数か月感染者が途絶えて季節的に別の株の感染が増加する流行り方であれば解りやすいのでしょうが。

各国で2021年8月9日時点で分離されるコロナの型(デルタが殆どでオリジナル=otherはほぼゼロ)   日本で分離されるコロナの型(otherはほぼゼロ)

 

大きな括りで新型コロナだが

毎年冬に流行する季節性インフルエンザは大きな括りでABCに分かれ、毎年ABが流行しますが、型が異なり、コロンビアとか香港とか株の名前が付けられています。それに合わせてワクチンも毎年異なる種類が作られます。コロナウイルスも旧来からある4種類の風邪ウイルスHCoV-NL63、HCoV-OC43、HCoV-HKU1、HCoV-229Eを総称して「旧型コロナ(common HCoV)」、季節に関係なく変異しながら新しい株となって流行している現在のコロナを「新型コロナ」と総称して、インフルエンザのA型B型の様な括りで呼べばよいと思います。つまり、現在の流行を第5波などと呼ばず、デルタ型の第一波と考える方が正しい。そうすれば昨年作られたコロナワクチンという「昨年のインフルワクチンを今年打つ」様な真似はしなくなるでしょうし、新型コロナを季節性インフルと同じ第5類感染症に変えて、保険診療にした上で、イベルメクチンや新規薬剤をどの医療機関でも早期から使える様に変更する方が実臨床に役立つと考えるようになるでしょう。これだけ変異を繰り返して強力な株が出現するということは、今後数年は、新型コロナは変異を続けながら季節に関わらず流行が続くと考える方が科学的です。重症化率、致死率は幸いずっと同じで低いままですから、症状のある人を全ての医療機関で検査、診療し、重症化する人を中核病院で治療する態勢を取れば「現在の様な保健所で全例管理した上で限られた医療機関のみで対応」という枠を外す事で医療崩壊を防ぐ事ができます。薄々もう国民全てが気付いて実践している様に、英国同様、普通に感染に気を付けて暮らす生活に戻り、緊急事態宣言はもう止めるのが正しい対応と言えるでしょう。

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デルタ株とCovid19の現在

2021-07-16 12:02:03 | 医療

新型コロナ感染症は新たな局面を迎えていると考えられ、現在世界中でワクチン接種は進んでいるものの、流行しているのはインドから発生したとされる変異種のデルタ株であり、この対応に世界は一貫性を欠いている状態と言えそうです。世界の現状、デルタ株の特性、ワクチンとの兼ね合いについて2021年7月初旬の段階で分かっている事をまとめます。

 

一度落ち着いた感染者数は再度増加傾向にあるが、重症化率や死亡率は増加していない。

いつも引用するCorona World MeterとDataのグラフを載せます。変異種が流行の主体となっても、同じ新型コロナウイルス感染症であり、一貫して回復率は改善、死亡率は低下し続けている事がわかります。新型コロナウイルス感染症の毒性の主体はスパイク蛋白が細血管に作用し、血栓形成などの反応を引き起こして間質性肺炎やサイトカインストームが起こる事であると判明しています。従ってスパイク蛋白の宿主細胞への親和性が変異種によって増加することで「急な重症化」や免疫的にやや強靭であった若い人も「発症」しやすくなったことは事実ですが、発症後の病態自体は同じであり、毒性自体に変化はないと言えます。

世界における感染者数の推移 7月に入って増加傾向        死亡率は下降し、回復率は上昇している傾向に変わりはない。

 

デルタ株の特性

変異種で問題になるもの(Variant of Concern VOCと呼ばれる)は全て細胞と結合するスパイクタンパク質のアミノ酸構造が変化を起こしたものです。現在猛威を振るっているのはデルタ株と呼ばれるもので、米国CDCのサイトによると伝搬力は高く、既存の抗体治療、ワクチンにより誘導された中和抗体いずれも効果が落ちるとされています。昨年10月に初めて検出された変異種で、スパイク蛋白中のE484QとL452Rという感染に関わる部位2か所が同時に変異しているのが特徴とされます。ただ今年3-4月頃酸素が足りなくなるほど発症者が増加していたインドでは、世界では「安い薬が効いてしまうのは困る」という理由で禁止されている「イベルメクチン」を多用し始めてから最下の図の様に急速に患者数が減少し、ほぼ収束に向かっています。You tubeなどではイベルメクチンの効用は「不都合な真実」として削除されまくっていますが、重傷者には効かないものの、初期に使えば効果があるイベルメクチンの効果は、いずれ「隠しきれない」として世界に広まって行くでしょう。

CDCサイトのVOCに相当する株のまとめ 最近はWHOの名称が使われることが多い。

 

免疫で大切なのは細胞性免疫

今までの拙ブログで、免疫機構で大切なのは感染してから液性免疫を動員して重症化対応をする基礎となる細胞性免疫である、中和抗体の多寡を議論する液性免疫にだけ注目してはいけないという点を説明してきました。感染症による死から守ってくれるのはT細胞を主体とする細胞性免疫であって、無理やり2回目のワクチンブースターで大量生産された中和抗体はいずれ減少してゆくものであって、大量にある時は感染そのものから守ってくれるかもしれませんが、抗体の作用部位が菌やウイルスの蛋白変異によって変わってしまえば効果が薄れてしまう事は免疫学を知る者であれば基本的な常識です。ワクチンの効果として紹介されているものは判定の難しい細胞性免疫の効果ではなく、下論文に示す様に、全て検体血清内にある中和抗体の量を反映した評価になっていることに注目してください。この論文でも最後の考察の所で「抗体量で比較したに過ぎず、細胞性免疫についての比較は行われていない」点を強調しています。

ワクチンの効果として権威ある雑誌からの引用で使われるNatureの論文(2021年7月8日発行)

 

イギリスの対応とワクチンの効果

イギリスは感染者数が日本の10倍近く増加しているものの、重症化を抑制するワクチンの効果があるので大事にはならないというボリス・ジョンソン首相の判断で新型コロナに対する社会的規制を7月19日から撤廃するという英断を下しました。現に新規感染者数は連日3万人を超えていますが、死者数は40人未満の低い水準で推移しています。

英国政府は定期的に国内のコロナ感染症の状態をレポートの形で公開していますが、最新の#18にはデルタ株による死者とその内訳としてワクチン接種後に感染して重症化したり死亡した人数も公開されています。同報告によると、デルタ株の死亡率は0.2%とα株1.9%、β株1.4%と比較して特に大きくないことが解ります。一方ワクチン2回接種後に救急治療を要したか死亡した例は10384名/123620名(8.4%)、1回接種後3週以上経過は17933/123620(14.5%)、非接種者は71932/123620(58%)で全体の母集団数は未定ながら、ワクチン接種しても重症化したり亡くなる人はいますが、1回でも接種するとデルタ株であってもそれなりに効果はありそうだと言えます。ワクチン接種をすればパンデミックが収まるというのは既にフェイクニュースとなっていますが、重症化を予防する上で1回でも接種をすれば効果がある(細胞性免疫が感作されるので)というのは現状サイエンスとして説得力がありそうです。

上記レポート内にある変異株毎の死亡率の表とワクチン接種者と非接種者の救急治療を要したか死亡した例数を比較した表

国別の感染者数(100万人あたり)の推移 7月に入って英国の伸びが目立つ。イスラエルも増加中でデルタ発祥のインドは減少著しい。   国別ワクチン接種率 英国、イスラエルのワクチン接種率は60%を超える

国別死亡者数の推移 英国も感染者は増加しても死亡者数は増えていない。

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尾身会長の講演

2021-06-08 12:50:05 | 医療

I. 尾身会長の講演

 

2021年6月4日から6日に横浜で開催されている日本透析医学会に参加しました。6月5日に政府のコロナ対策分科会の会長である尾身茂氏の「Covid-19感染症のいままでとこれから」と題した講演がありました。「この状況でオリンピック開催は普通しないのではないか」といった発言が政府の公式見解と異なり、波紋を広げている中どのような講演をされるのか注目されました。私は実際に現地で参加したのですが、緊急事態宣言下であり地方からの参加は殆どなく発表もWeb上で行われるものも多く、現地参加の場合も体温測定やワクチン接種後かを問う健康票の提出など行って入場するというものでした。現地参加者は普段の大にぎわいの学会(通常1万人以上参加)に比べると1/10位だったと思います。尾身氏の講演は特に目新しい内容はなかった(公の場なので)と思いましたが、普段政府の会合でどのようなデータを元にコロナ政策を決めているかが解る生データも見られた事が参考になりました。以下に印象に強く残った所を備忘録的に記します。

 

〇 感染者数の増加は若者から始まる

 感染拡大は若い人が原因である、という「若者悪役論」が広がってしまった論拠でもあります。これは、感染自体は若者も高齢者も同じように罹患するけれども、基礎疾患や体力で劣る高齢者は発病しやすいのに対して若年者は「発症しても軽症で済む」ことが圧倒的に多いので、「発症しているにもかかわらずそのまま生活してしまって感染を広げる」結果になっているという事実があります。示されたデータで、総感染者数増加の波が起こる直前に若年者のコロナ陽性例の増加の波が記録され、それが炭鉱のカナリアの様に全体の感染者増の予兆になっているのです。

 その理由は講演でも触れられましたが、長崎県で使用が推奨されるNCHATという健康管理アプリでも示されました。若い層の人たちは微熱や軽い風邪症状があっても10%程度の人は普通に出勤して仕事をしている事がそのアプリで解ったのです。そして風邪症状のある人のPCR陽性率は9%近くあり、特に味覚嗅覚異常があった人のPCR陽性率は40%だったそうです。これら発症しても軽い症状の人たちが感染を広めて、家庭や施設でより発症すると重症化する基礎疾患がある人や高齢者が感染するクラスターの原因になったと言えます。これは日本だけでなく、全世界的な現象と言えるでしょう。従って軽い風邪症状の人がPCRや抗原検査を受ける敷居(どこのクリニックでも無料で)が低ければ感染拡大やクラスターを早期に防ぐ事ができたであろう、と氏も反省を込めて述懐していました(全員検査は科学的に無意味で論外であることは言うまでもありませんが)。

 

〇 変異株の影響は

 現在昨年春に流行した初期型のCovid-19ウイルスは殆ど存在せず、現在流行しているウイルスは、ほぼイギリス型の変異種などに置き換わっていると考えられている。変異種は感染力が強い事は確かで、屋外での感染例、マスクをしていても感染した例、三密とまで行かない状態で感染した例が既に見られている。重症化率も初期のウイルスよりも高そうであることは判ってきた。

 

〇 コロナ感染症の問題は都市部のみ

 これは五輪開催問題にも関係してくる。クラスターを追求して隔離する感染コントロールは地方では90%以上可能であり、ほぼ完成している。大都市部だけは未だに50%そこそこであり、コロナ感染症のコントロールができていないのは「大都市部のみ」である。だからコロナの問題は既に大都市部だけの問題と言っても過言ではない。東京で開催される五輪は会場でコロナが拡散することはあまりないと考えられるが、会場周辺や交通機関、連休や盆で帰省することによる感染拡大が問題なのであり、そこのコントロールができるなら五輪開催に何の問題もない。(これは6日のサンデージャポンで爆笑の太田光が尾身氏の懸念として解説していた内容の通りでした)

 

〇 ワクチンの期待される効果

 ワクチンで感染が完全に抑えられるかは未知数、欧米では自然減による感染収束傾向とワクチン接種率増加が重なっている可能性もある。但し、高齢重症者はワクチン接種が進むと確実に減ると期待できる。変異種に対しては、今の所効果が期待できるが、今後は判らない。

 

〇 今後のあるべき展開

 若い人へのワクチン接種(どうすればベストかは決め難い)。都市部に対してはICTをより活用した感染コントロールのシステム作り(個人情報を深追いせず、区の縦割りをなくした広域の情報管理体制が1年経ってもできる気配すらない)。下水のPCR検査を活用したサーベイランス(科学的に流行予測の有用性が確認されている)をやりたい。店内などでCO2濃度をモニターしつつ、換気を促進して営業できるシステムを作る。

 

私の感想としては、限られた条件・情報で科学的に取り得る最善の政策を行えるよう提言していて、大きく反対する部分はない、よくやっておられるというのが率直な感想でした。対して尾身氏と比較された上にやたら日本では持ち上げられる米国のアンソニー・ファウチ氏ですが、私は昨年の時点から「彼の本質は眉唾」であると考えてきました。30年以上組織のトップにいる時点で「後塵を育てて譲る」というリーダーとして必須の適格条件から外れていて、正しい判断のみを30年も続ける事はヒトとして不可能であるという当たり前の事実を理解できていない点で「こざかしいが阿呆」の部類に入ると私は考えます。案の定今回のパンデミックの何割かは彼の責任であることが露見されつつあります(ウイルスの機能獲得研究の危険性を自分でも知りながらCDCの公金を使って武漢の研究所にSARS1の変異種を作らせていて、その事実を必死に隠そうとした)。私がコーネル大に米国留学した時の師匠はE. Darracott Vaughan教授でしたが、泌尿器科のバイブルと言われるCampbellの編者にもなっておられる方ながら、しっかりと後塵を育てて退官されました。米国のトップエリート達はいくらでも優秀な人達がいると留学の時感じました。

 

II. 厚労省政策局 伊原氏の講演

学会では他にも「コロナと社会保障」「2040年に向けての医療政策」と題した厚労省政策局 伊原氏の講演もあり、大いに参考になりました。以下に印象に残った点を記します。

 

〇 2021年4月の休業者数は500万人超だが、失業率は3.1%でコロナ前(2.4%)とあまり変わらない。

これは雇用調整助成金をリーマンショック時の10倍以上拠出した結果で、国民の平均給与総額や生活保護受給者数はコロナ前とあまり変わっていないのが現状。ただしいつまで財政が続くかは不明とも。

 

〇 コロナ禍は女性に多くのしわ寄せが来ている。

男女共に非正規雇用者の休業者が激増しているが、特に女性の自殺者が増加している。またこの1年の出生率が減少し丙午の様な状況。DV被害や育児についての相談も増加している。

 

〇 コロナで国民医療費が10%減少

年間43兆円(2019年)のうち、医科の医療費は31兆円だが、コロナによる受診控えなどから10-20%近く医科医療費の減少が見込まれ、その分病院やクリニックの収入減が見込まれる。コロナ対応をしっかり行った施設にはその分手厚く補助を出す様に予算組みし、ほぼ平年並みの収益になるようにした。

 

〇 2040年問題は高齢人口増加ではなく、就労人口減少が主たる課題

介護を含めた総医療関連費用は2000年が78兆円(対GDP14.8%)、2020年は120兆円(対GDP21%)と増大した。これは高齢人口の増加による。一方2040年は190兆円(対GDP24%)と2000年からの20年に比べると伸びは少ないものの、就労者人口は現在6500万人だが、2040年は5500から6000万人に減る。この先20年の問題は、高齢人口はあまり変わらないが若年者が減る事が問題。だから女性を含む高齢者にいかに働き続けてもらうかが課題となる。60代前半の就労率は1990年が50%であったが、2020年は70%に増えている。65歳が100歳まで生きる率が1990年には2%だったが、2020年は20-40%と10倍になっている。

 

〇 今後の政策的対応

ITを生かした連携社会(プライバシーを守りながらしかも生活ヘルプや救急時の対応ができる)。効果的な財政、徴税システムの確立。就労環境改善のためのタスクシフト、タスクシェアの工夫、ワークライフバランスの確立(医療については2021年5月の医療法改正で医師・看護師からパラメディカルへのタスクシフトを行った)。

 

専門の医療については、普段論文などを読めば知識の吸収ができますが、政策などについてのアップデートな話題はやはり学会で直接話が聴けるのが有用であると感じました。

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Covid-19ワクチンとアネルギー

2021-05-15 18:33:07 | 医療

アネルギーと言う言葉はアレルギーならば聞いたことがあるでしょうが、一般的には余り知られていません。Wikipediaによると、「アネルギー(英: anergy)とは、異物に対する生体の防御機構による応答の欠如を示す免疫生物学の用語で、末梢性リンパ球寛容(peripheral lymphocyte tolerance)の直接的な誘導からなります。アネルギー状態(免疫不応答とも呼ばれる)にあるヒトは、免疫系が特定の抗原(通常は自己抗原)に対して正常な免疫応答を開始できないことが多くあります。リンパ球が特異的な抗原に応答しない場合は、アネルギー性があると言われています。アネルギーは、寛容を誘導する3つのプロセスのうちの1つで、免疫系を変更して自己破壊を防ぐ(他のプロセスはクローン除去(英語版)と免疫制御)[1]。」と説明されています。要は自己の免疫機構によって排除するべきものを排除させなくする機能の事をアネルギーと言うのです。

Covid19に対する免疫的記憶による反応の概念図

 

1) アネルギー機構の必要性

免疫系では、リンパ球と呼ばれる循環細胞が一次軍隊を形成して、病原性ウイルスや細菌、寄生生物から体を守っています。リンパ球には大きく分けてTリンパ球とBリンパ球の2種類があり、人体に存在する数百万個のリンパ球のうち、特定の感染性病原体に特異的に作用するものは実際にはわずかしかありません。感染時には、この数少ない細胞を動員して、急速に増殖させる必要があって、「クローン増殖」(clonal expansion)と呼ばれます。この特定のクローン軍は、体が感染から解放されるまで病原体と戦い、感染が解消されると、自然に消滅します。

しかし、体内のリンパ球軍隊の中には、健康な体に通常存在するタンパク質と反応する能力をもつものが存在し、上記のクローン増殖の際にも、30%位は病原体だけでなく自分の細胞にまで有害な作用を持つリンパ球が増殖することがあります。これらの細胞がクローン増殖すると、体が自分自身を攻撃する自己免疫疾患を引き起こす可能性があるため、このプロセスを防ぐために、リンパ球は固有の品質管理機構を持っているのです。

 

2) ウイルスによるアネルギーの悪用

宿主の細胞に感染して生きながらえるために、ウイルスの中にはこのアネルギーを悪用して、自身への免疫機構を麻痺させ、永続的に宿主細胞に感染させ続けるものがあります。ウイルス以外にも胃腸にいる常在菌や、多くの寄生虫は宿主の免疫機構を逃れて、慢性的に宿主内に留まることができる術を持っています。また常在菌の存在が宿主にとって有益であることも多い事が最近の研究では明らかになっています。

ウイルスによるアネルギーの悪用は所謂「慢性感染」の際に見られ、有名なところでは慢性肝炎(B型、C型)やHIV感染症、体調が悪くなると神経細胞から出てくる帯状疱疹ウイルス(水疱瘡ウイルス)など多数あります。本来ならばいついて欲しくないウイルスが体内に大量に居残ってしまうのは歓迎すべきものではありません。

 

3) 抗原原罪(Original antigenic sin)とワクチン

抗原原罪(こうげんげんざい original antigenic sin)とは、一度インフルエンザに感染した人がその時のインフルエンザ株の持っていたエピトープ(抗原性を示す蛋白構造)以外のエピトープに対し、その免疫原性に関わらず反応できなくなっている現象のことです。これは類似部分が多いインフルエンザウイルスに限らず、全てのウイルスに見られる現象で、ある種のワクチンによって、類似の蛋白を持つ同種ウイルスへの反応が抑えられて、かえって感染が制御できなくなることがあるのです。ジカウイルスやデング熱ウイルスへのワクチンで同様の機構のためにかえって感染増強が起こって犠牲者が増加、ワクチン失敗に至った歴史があります。だからこそ十分な検討をせず安易なワクチン導入は危険だと言われているのです。

 

4) 新型コロナウイルスに対するワクチンの功罪

抗原となる蛋白を長期間(DNAウイルスベクターは半永久的?)作り続ける遺伝子ワクチンは、変異していないコロナウイルスに対しては有益である事は間違いないのですが、変異を繰り返す将来の新型コロナにも有効であるかはまだ結論が出ていません。アネルギー或は抗原原罪の作用でかえって将来の変異に対して効きにくくなる可能性も懸念されています。最悪の事態として、コロナウイルスが慢性肝炎の様に体内に留まり、体調により劇症化して死に至るという事になりかねません。今まっとうなサイエンスの分野ではこの議論が盛んに行われていますが、中学生が理解できる以上の報道はしない日本のテレビ番組などでは一切触れることがありません(ワクチンで全て解決という根拠のない言質ばかり)。そこで参考までにSTATと言う医薬品関係のサイト(オリジナルはここ)からの比較的解り易い記者の総説(review)を翻訳したものを以下に載せます。結論としてはワクチンが吉と出るか凶と出るかはまだ結論は出ていない、という事に尽きます。

 

(引用初め)

次世代のCovid-19ワクチンはより改善されるだろうか、一部の専門家の懸念。

STAT(医薬品関連のサイトから)

ヘレン・ブランズウェル 2021年4月16日

世界はCovid-19ワクチンでこの病気を引き起こすウイルスを打ち負かしたいと考えています。しかし、一部の科学者は、私たち人類の生物学的特性のため、ワクチンを繰り返して打つことは次第に効果が減弱するかもしれないと懸念しています。

この懸念は、インプリンティング(免疫的記憶)と呼ばれる現象に由来し、時には抗原原罪(original antigenic sin)と呼ばれ、一部の病原体への免疫反応に関わると考えられています。つまり、感染やワクチンを介して、体が初めて特定の病原体に接した時、免疫系はその病原体を認識して記憶に留め、将来その病原体に立ち向かうよう準備されます。

その免疫的記憶は普通役に立ちます。例えば、2009年のH1N1インフルエンザ大流行では、高齢の成人は半世紀以上前の小児期に、関連ウイルスとの遭遇経験が免疫的にあったために発症せずに済んだ人が多数いました。しかし、最初に広がった病原体の株から変異した株に対する応答には十分対応できなかった可能性もあるのです。

Covid-19の場合、一部の科学者は、現在展開されているワクチンに対する免疫系の反応が消えない免疫的記憶を残す可能性があり、SARS-CoV-2の新しい変異体に対応するために作られた次世代ワクチンは効果が発揮できない可能性があると懸念しています。

インフルエンザの免疫的記憶に関する画期的な研究に携わっていたマイケル・ウォロベイは、第一世代のCovid-19ワクチンに対する反応が、免疫応答の「最高水準点」(不必要なまでに過剰)であることを心配していると語りました。

アリゾナ大学の生物進化学の教授であるウオロベイ氏はSTATに対し、「人類が最初のSARS2に対する抗原に対抗することばかりにこだわる続けると、5年後にはもう効かなくなっている可能性が懸念されます。」と語りました。

シカゴ大学の計理生物学准教授であるサラ・コビーは、彼と同様の懸念を表明しています。「古い抗体と新しい抗体との間に競合関係があると考えると、抗原原罪がおこりえる環境にあると思えます。抗原原罪はインフルエンザに限定すべき理由は考えられない」と付け加えました。

しかし、誰もが問題があると確信しているわけではありません。

Covid-19パンデミック以前からコロナウイルスを研究していたテキサス大学医学部ヴィネット ・メナチェリー は、SARS-2スパイクタンパク質は、インフルエンザウイルスのヘマグルチニンタンパク質ほど変化する余地がないだろうと指摘しました。

スパイクとヘマグルチニンタンパク質の両方は、それぞれのウイルスが感染しようとしている宿主細胞に結合する部位です。SARS-2ウイルスの場合、細胞への接触はACE2として知られている受容体を介して起こります。しかし、インフルエンザウイルスはコロナウイルスよりもはるかに速い速度で突然変異し、変異しても感染能力を変えることがありません。

「[SARS-2]変異種で見られる変更は、スパイク蛋白全体の変化ではありません」と彼は言います。免疫的記憶は、インフルエンザワクチンが期待したほど効果がない理由の1つです。インフルエンザは変異しやすいことで有名であり、絶え間く形態が変化することで、インフルエンザウイルスがワクチン接種や以前の感染によって生成された免疫的保護を回避させてしまうのです。例えば、H1N1ウイルスに初めて遭遇した人は、インフルエンザの予防接種のH3N2成分で得られる免疫的保護が効かないのです。

シカゴ大学のコビー氏は「基本的に、私は抗原原罪(Original antigenic sin)とは、抗原に対して新たに1から免疫を構築する替わりに、以前の類似した抗原記憶を呼び出して簡易的に増殖させる免疫記憶の階層構造と考えています。この機構は将来のCovidワクチンの有効性に影響を与える可能性があります。」

コビーの共同研究者であるスコット・ヘンズリーは、実際に彼の研究でコロナウイルスの免疫的記憶の証拠を見てきました。ペンシルベニア大学、微生物学准教授であるヘンズリーたちは、パンデミックの初期にCovid-19抗体検査の開発に取り組んでいました。この研究では、Covidに感染した人々からの血液サンプルを使用した研究が含まれました。彼らは、感染後のサンプルをパンデミックの前に同じ個体から採取した血液と比較しました。

前後の血液サンプルを比較すると、感染後のサンプルで、一般的な風邪の原因の一つであるヒトコロナウイルスの1つに対する抗体の「劇的な」上昇が見られました。これは、SARS-2と同じコロナウイルスファミリーにあるOC43と呼ばれるウイルスと、SARSおよびMERSを引き起こすウイルスのものでした。(rakitarou註:前回のブログでも紹介した内容ですが、同様の研究は次々と論文として発表されている)言い換えれば、Covid19の感染は宿主免疫系がすでに持っていた別のウイルスに対する免疫系を活性化させて対応させたと言えます。

ヘンズリー氏は、mRNAワクチンで予防接種を受けた人に対しては、免疫的記憶は問題にならないだろうと予想しています。モデルナとファイザービオンテックワクチンによって生ずる免疫応答は非常に強いので、SARS-2変異にもワクチンを接種すれば、以前の記憶を上書きしてしまうだろうと、彼は言いました。しかし、ワクチン接種ではなく通常の感染で免疫を得た場合は、免疫的記憶が抗原原罪として働いて変異型ウイルスへの対応がより困難になるかもしれないと懸念しています。

ロチェスター大学医療センターの免疫学者で、ニューヨークインフルエンザセンターの所長を務めているデビッド・トパム博士も、同様の可能性を想定しています。

彼は、SARS-2感染の初期段階では、免疫系がS2と呼ばれるスパイクタンパク質の一部に応答することを指摘しました。その後、免疫系はスパイクの他の部分、特にウイルスが侵入する細胞に付着するタンパク質の部分、受容体結合ドメイン(RBD)として知られている部分に対応します。

ウイルスが変異してもあまり変わらないS2の部位に感染初期に焦点が当たり、スパイクタンパク質の他の場所が変化することで、その後免疫系が効かなくなるかどうかはまだ分かっていない、と トパムは言います。トパム は、現行使用されているワクチンの設計状況から、変異については予防接種を受けた人々にとって問題になるとは思わない。彼らが産生を引き起こすスパイクタンパク質は、S2領域を隠してしまっているようで、見えないものへ免疫反応が固定してしまうことはないだろう、と彼は言いました。

免疫が自然感染で得られた人の場合について 、トパム氏は3つの可能なシナリオを想定しています。「S2に特異的な免疫細胞は、排除するために本当に必要なスパイクタンパク質の他の成分に対して免疫細胞に優先されてしまい、問題になってしまう可能性があります。または最終的に他のタンパク質の部分に対する応答が追いつき、何とかなる可能性もあります。さらには、免疫システムがより迅速に回復し、実際には良い方に働く可能性もあります。

トパム氏 は、現在使われている初代のCovidワクチンが変異型ウイルスを標的としてブースター投与されると、さらなる免疫応答の強化につながるかも知れないと推測します。

「より広範なウイルス変異をカバーする免疫応答になるかもしれません」ニューヨークのマウントサイナイ病院アイカーン医学部のワクチン学教授フロリアン・クラマーは言いました。

クラマー 教授は、H5N1鳥インフルエンザに対するワクチン接種に関するフィンランド保健福祉研究所とトゥルク大学の科学者によって行われた研究を例としてあげました。学術誌「ワクチン」に掲載された論文では、「ブースター効果を持つアジュバント」を含まないH5N1ワクチンは、良い免疫応答が見られなかったが、異なるH5N1ウイルスの株で2つワクチンをプライミング(初期感作用)とブースト(増強用)に分けて使用すると、強く長期的な反応を引き起こしたと報告されています。

この事実が役立つかは、予想より早く解るかもしれません。モデルナ社は 、現在Covidワクチンの設計に協力した国立アレルギー・感染症研究所と共に、南アフリカで最初に発見された亜種B.1.351を対象としたワクチンの更新版をテストしています。その変異体は、ウイルスの以前のバージョンによって引き起こされた免疫応答を回避してしまうようなのです。

モデルナとNIAIDが実施したフェーズ1(最初に行うヒトを対象とした研究)の検討で「この問題に対処する免疫原性データを蒐集しています」と、NIAIDのワクチン研究センターの所長ジョン・マスコラは電子メールでSTATに語りました。「この問題に直接関係するデータは、今後数週間から数ヶ月の間に出るであろう。」と

ヘレン・ ブランズウェル記

ヘレンは、感染爆発、予防、研究、ワクチン開発など、感染症に関する幅広い問題を取り扱っています。

(引用終了)

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新型コロナウイルスの起源は?

2021-04-22 11:51:56 | 医療

大都市圏での新型コロナウイルス感染者数が拡大しており、政府は再度の緊急事態宣言の発令を検討し始めています。感染力が強い変異種による感染拡大であり、自粛をしようが強硬な対策を取ろうが、昨年同様ある程度広がってから再び終息に向かうのは仕方がない事だと思います。私がよく参考にしている米国の保守系ブログAmerican Thinkerにロシアの報道を研究しているリン・コルム氏の筆による「Covid-19の起源」について興味深い論考がありましたので翻訳したものを以下に載せます。原文はこちらにあるので読みたい方はどうぞ。

(引用開始)

American thinker  2021年4月18日

COVID-19ウイルスが、米国が支援した中国の研究室由来であるというのは本当か?

リン・コルム筆

 

COVIDの流行に関して大きな疑問が残っています。 一体そのウイルスはどこから来たのか? 何故拡散したのか?それらの責任はだれにあるのか ? 重要な問題は、「研究室で作成された病原体」が意図的であるかどうかは別として、何等かの原因で拡散してしまった可能性があることです。 ロシアと中国の報道機関は、「アメリカに責任がある」としている記事を送り出し続けていますが、それは中国の研究室における失策を隠す目的もありそうです。

 

2020年3月、ロシアの月刊ズベズダ([Red]Star)は、ジョージ・ソロスが「2019年後半にコロナウイルスを開発して放出した中国の武漢の研究所」に資金を提供し、アメリカもそれに協力したと非難しました 。 主流のアメリカのメディアは、その主張を「虚報である」と素早く却下します。 しかし、おそらくそれは中国の実験室で実際に起こった何らかの事故について、現実に人々の間に起こった風評を「プロパガンダ」の形でニュースとして報道したものだろうと思われます。この報道は、新しいコロナウイルスが中国の武漢にある、アメリカが資金提供をしていた研究施設における「実験室の事故」で放出されてしまった可能性について、調査するに値します。

 

2020年7月、2人の研究者、ジョナサン・レイサムとアリソン・ウィルソンがSARS-CoV-2(COVID-19)の遺伝子的起源に関する調査結果を発表しました。 発表されたCOVID-19のゲノム解析を行った結果、それは2012-2013年に中国雲南省の鉱山採掘抗から武漢ウイルス研究所のZheng-li Shiの下で働く科学者達によって採取された、生きたコウモリから得られたBtCoV  /4991(98.7%遺伝子が相同)とRaTG13(96.2%遺伝子相同)というウイルスに最も近似していることを発見しました。 彼らの研究目的は、Covidが2012年春にそこで働く6人の鉱夫が罹患し、3名が死亡した感染症との関連を特定することでした。 彼らの治療を監督した中国の医師は、レイサムとウィルソンの翻訳を原資として博士論文を作りました。

一方で、SARS-CoV-2は、これらの近似する2つのウイルスと異なり、ヒト体内で広範にウイルスが広がりやすくなるような、「アンギオテンシン変換酵素受容体」に取り込まれやすいスパイクタンパク質の変異領域を有していました。 もう一つの不可解な特徴は、SARS-CoV-2がコロナウイルスでは珍しい肺を標的としていることでした。

武漢ウイルス研究所のZhen-li Shi研究室は、コウモリのコロナウイルスを扱う武漢にある2つの研究施設の1つです。 ジョージ・ソロスやゲイツ財団ではなく、アンソニー・ファウチのNIAIDは、2014年6月1日から2020年4月24日を終了期限とする「コウモリ由来のコロナウイルスが人類に与え得るリスクについての研究」に、EcoHealthアライアンスを通じて助成金を補助していました。 2014年から2017年の間に、189.4万ドル(約2億円)の資金がShiの研究室に与えられました。その上、2015年には5年間で合計325万ドル(約3.5億円)のEcoHealth経由のNIH助成金が武漢ウイルス研究所に与えられ、2019年にはさらに370万ドルが次の5年間に与えられるよう契約更新されていました。 これらの研究の一環として、武漢ウイルス研究所は、試験管内および生体を用いた実験により、スパイクタンパク質の配列、感染性を自由に変革する技術、および他の遺伝子組換え実験を用いて、これらの新しいコウモリ由来コロナウイルスがパンデミックを起こす可能性を研究していました。

 

2020年1月下旬に湖北省から避難する前に武漢研究所で働いていたロシアのウイルス学者のグループは、トランプ氏が言うところのChineseコロナウイルスが、1.大きなゲノムからなること、2.潜伏期間が長いこと、3.それが引き起こす肺水腫が重度であることなどすべての条件が、このウイルスがパンデミック病原体となり得る要因であると確信していました。彼らは、2015年に雑誌ネイチャーメディシンに掲載された「ヒト細胞に感染可能になった遺伝子変異(キメラ)またはその様に実験室で遺伝子操作されたコウモリ由来のコロナウイルス」についての研究記事に注目していました。これら 15人のロシア人研究者全員が、2019-nCoV(COVID)ウイルスパンデミックの震源地となった武漢にあるウイルス研究施設で働いていました。 これらの研究者によると、彼らはマウスに感染するSARS-CoVとコウモリ由来のコロナウイルスSHC014を組み合わせました。 その結果、ヒトの気道で効率的に複製できる新しいウイルスが得られたという事です。 マウスを用いた生体実験では、肺組織における「顕著な病態を有する」疾患の発症を確認しました。 1つの特徴は、彼らの新しいコロナウイルスに感染した若いマウスはあまり重症化せずに回復する一方、高齢のマウスがサイトカインの嵐により重症化したということです - まさにCOVIDの人間の犠牲者のように。

 

2015年、武漢ウイルス研究所は管理レベル4の病原体を用いた研究を発表し、SHC014/SARS-CoVの人工合成ウイルスの作成について公表したことで、同研究所は中国初のBSL-4施設となりました。 本来はそこで初めて、武漢ウイルス研究所はコロナウイルスのような管理レベル4の病原体の研究のための施設と認定されるべきなのです。 2018年1月、BSL-4施設として必要な研究室の施設監視をするために、北京の米国大使館はアメリカの科学担当外交官を武漢ウイルス研究所に派遣しました。 彼らの最初の訪問の後、米国の視察チームはすぐに2つの「極秘ではないが重要」とされる経路でワシントンに調査結果を報告しました。 2018年1月19日の報告は、「武漢ウイルス研究所の科学者との交流を行なった結果、この新しい研究所は、“微生物に対して高度の機密性を要する実験室”を安全に操作するために必要な適切な訓練を受けた技術者と研究者が圧倒的に不足している」と警告しました。 彼らの最初の報告はさらに「武漢ウイルス研究所が行なっているコウモリ由来コロナウイルスの人間への感染可能性についての研究は、新しいSARSのようなパンデミックの出現を招くリスクがある」と警告しました。

 

NIHは、EcoHealthを経由して武漢ウイルス研究所に依頼した研究は「NIHが求めた優先事項と一致しなかった」と主張して、助成金を終了すると警告しました。 しかし、マイク・ポンペオ国務長官が指摘したように、伝統ある中国の生物医学研究所である武漢ウイルス学研究所にNIAIDが資金を提供し、提携し続ける全目的は、「安全基準が標準に達していない研究室からアメリカ国民を守るため」でした。 中国復旦大学遺伝学部の元学部長であるジャスティン・フェンドス教授は、中国の多くの研究施設を訪問し、「安全基準は、多くの場合、米国で期待されるものを下回るものであろう」と述べています。この事により、2020年8月、NIAIDは、武漢ウイルス研究所が行なう「コウモリ由来のコロナウイルスの機能獲得研究」に対して、Liの研究室に新たな助成金授与を決定しました。

 

多くの科学者は、武漢ウイルス研究所が行なっているウイルスの機能獲得についての研究は方法論として「得るものが少ない」と批判しています。ウイルスの 機能獲得研究は、遺伝子組み換え技術を含む実験室でのウイルス操作により、ヒトに感染する可能性を探ることで、結果として今までにないウイルスが偶発的に放出されてしまい、新規ウイルスによるパンデミックが発生する危険があるのです。「ウイルスの機能獲得」研究に関して、ジョンズ・ホプキンス保健安全保障センターのトーマス・イングルスビー所長は、「世界で最も偉大な研究所でさえ、間違いを起こす可能性がある」と認めています。 軍備管理・不拡散センターのマーティン・フルマンスキー博士は、実験室からの流出で発生した「パンデミックにいたる可能性を持った事故」の歴史的総括を発表しました。 それには3回にわたる別々のSARSウイルス(初代SARS)の流出事故が含まれていました。つまり1)2003年8月にシンガポール国立大学から、2)2003年12月にシンガポールで開かれた医学会議で研究契約を結んだ台湾のSARS研究者、3)そして2004年3月に病気になった中国国立ウイルス学研究所(NIV)の実験室研究者を治療した北京の病院看護師からです。 2003年の初代SARS流行の追跡調査において、2004年2月にNIVで2件の未公表の実験室内SARS感染が確認されました。 WHOは、他にもNIVにおけるSARSウイルスの取り扱いについて問題点を発見し、また実験室内感染に対する職員の監視体制の不備も指摘しています。

 

実験室の安全性に関する国際的な問題と、ウイルスの機能獲得研究に関する真の懸念を考えると、これらの米国が資金提供する研究所の徹底的な調査が求められます。 米国の調査は、メディアによる先入観を植え付ける霍乱に惑わされず、純粋に真実を探求する必要があります。

 

リン・ コルム は、アメリカの国益に影響を与えるロシアの報道内容を調査する翻訳者です。 彼女は2009年からプーチンの政策について研究している専門家です。

 

(引用終了)

 

上記を読むと、武漢ウイルス研究所の事故でウイルスが流出したなら、世界と米国に借りを作った点で「米国の援助を容易く引き受けた中国の失策」であり、米国も国益としては「いい加減な施設に研究をアウトソーシングした失策」と言えます。しかし経済Great resetを目論むDSの意図があったとすればDSにとって「Covid流出は大成功」であったと言えるでしょう。

また4月20日付けの読売新聞によると、日本の大学でも2週間ほどでCovid-19ウイルスを大量に培養する技術が開発されたというニュースがありました。遺伝子改変による変異種への対応(新しいウイルス合成)も可能ということで、日本でも実験室レベルからの新たな展開(リスクを含む)が可能という事です。また前のブログで中国の不活化ワクチン開発が早すぎるという指摘をしましたが、「従来数ヶ月かかった」という下の記事からも納得できると思います。

 

(引用開始)

新型コロナ「2週間で人工合成」可能、変異ウイルス解析が容易に

その他 2021年4月20日 (火)配信読売新聞

 

 新型コロナウイルスを短期間で人工合成する方法を開発したと、大阪大や北海道大などのチームが発表した。従来は合成に数か月かかったが、この方法を使うと2週間に短縮できるという。ウイルス遺伝子の改変も容易にでき、世界で拡散する変異ウイルスの解析に役立つとしている。論文が国際科学誌に掲載された。

 

 ウイルスの人工合成は、大腸菌にウイルスの遺伝子を組み込んで複製を作る方法が一般的だ。しかし、新型コロナは遺伝情報が多く、そのままの状態で複製すると予期しない変異が起きやすい。このため限られた研究者しか合成できず、時間もかかっていた。

 

 大阪大微生物病研究所の松浦善治特任教授らのチームは、感染の有無の検査にも使われる遺伝子増幅技術「PCR法」を活用。九つに分割した新型コロナの遺伝子と、つなぎ目となる遺伝子をPCR法で大量に増やし、最後に、元の並び順で環状につなぎ直した。環状の遺伝子を人の細胞に入れると、短時間でウイルスを合成できた。

 

 この方法では、遺伝子の特定の部分だけを自由に編集できるため、変異ウイルスを合成することも可能だという。

 

 朝長啓造・京都大ウイルス・再生医科学研究所教授(ウイルス学)の話「遺伝子の組み換えが容易にでき、治療薬候補の探索など様々な使い方ができる。遺伝情報が多い別のウイルスの合成にも使え、さらなる応用も期待できる」

 

(引用終了)

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変異種に対する免疫的多様性とワクチン

2021-04-16 22:52:46 | 医療

2021年4月に入ってから、落ち着きを見せていた新型コロナ感染症の新規感染者が世界的に増加傾向にあり、日本でも大阪府を筆頭に関東一円で新型コロナ感染症患者が増加しています。その理由は感染性が高い「変異種」の出現にあると言われています。報道によると、大阪府では変異株PCR検査陽性率は73.7%と、感染スピードが速いとされるイギリス型の変異株の感染が急拡大しているとされます。大阪府の分析によると、第4波は第3波と比べ、発症から重症化するまでの日数が7日と1日短くなっており、変異株陽性者は6日とさらに短くなっているそうです。重症化率も従来株で3%、変異株で5%程度となっており、「母数の少なさ等から単純比較は困難」としつつ、「重症化率は従来株と比べて高い傾向」と指摘しています。また、大阪府内の10万人当たりの新規陽性者数は週47人で、感染状況を示すステージ4の目安となる25人を既に大幅に上回っている由です。

 

今回報道をそのまま引用したのは、今まで新型コロナ感染症の脅威を必要以上に煽るために「医療ひっ迫」をオオカミ少年の様に何度も訴え続けてきたのが、本当に重傷者が増加する傾向が見え始めて、「今度は本当の脅威」になる可能性が出てきたからです。いつも引用するCorona world meterの集計では、全体としての死亡率、治癒率には変化はありません(図)。しかし日々の感染者数と特に重傷者数の推移をみると明らかに増加していて、特に変異種は従来種よりも若年者に感染する確率が高い事は確かなので、重症化した場合の勝負所も長期に渡る可能性が高く、結果的に重傷者が蓄積してしまう可能性があります。軽症者用の病棟の拡充は比較的簡単にできますが、ICUなど重傷者を扱える病床は簡単に増やせません。それは新型コロナだけが病気ではなく、他の疾患による重症対応も今まで通りに行わねばならず、ICUの病床もほぼいままで通りの疾患による患者数に合わせて全国的に作られているからです。私は毎日県内の感染者数や重傷者数を知り得る立場にいますが、明らかに変異種が増加し始めてから重傷化する率や重傷者が増加傾向にあることは明らかです。

世界における新規患者数は3月に一度減少してからまた冬場の様に増加しつつある   死亡率、回復率は全体としては変わらない

そうは言っても、上記図の様に、全体の患者数から見れば、変異種といえども無症状や軽い症状の患者さんが圧倒的に多いのであって、「人類が絶滅するような病気ではない」ことも確かではあります。だから医療者を含む一般の人は今まで通りの「三密を避けて、マスク・手洗い・うがい」以上の事をする必要はありません。

現在治療中の患者は全体としてやはり増加している。感染しないように注意は必要だろう。

 

〇 なぜ特定の変異種が注目されだしたか

 

以前から指摘している様に、新型コロナウイルスSARS Cov2 virusは2019年秋の発生以来、数百種類の変異種に分かれてきました。しかし科学誌Science(1)やNature(2)に特定の変異種の感染性や重症化率が高いことが報告され、WHOは 特定の変異種を2021年になってVariants of concern(VOC) 「懸念される変異種」と定義づけるようになりました。これらはイギリス型とされるB,1.1.7南アフリカ型とされるB,1.351ブラジル/日本型とされるP1などがあります(図)。他にも注意すべき変異種(variant of interest)、医学的に異なる結果をもたらす変異種(variant of high consequence)などの定義があります。

これらの懸念される所は、感染力や重症化率のちがいのみでなく、世界中で施行されているワクチンが効かない可能性がある事で、既にいくつかの報告(3)があります。

本来遺伝子的な変異は1か所ではないが、ウイルス自体の特徴が変わった原因と推定されるものを代表してB,1.1.7の様な表記でなく、N501Yと表しているようだ。

 

〇 なぜワクチンが効かなくなるのか

 

現在世界中で施行されている遺伝子ワクチンは単一のスパイク蛋白に対する抗体を作成します。その抗体は1種類ではありませんが、鋳型となるタンパク質は1種類であり、変異種となってアミノ酸の成分が変わるとタンパク質の立体構造に微妙な変化が生じます。その変化に関係なく宿主の既存抗体が反応してくれれば「交叉免疫」として有効になるのですが、反応しない場合は新たに鋳型を宿主の免疫細胞が認識して新規B細胞に抗体の作成を命じないといけなくなります。しかしワクチンによって宿主免疫細胞が役に立たない従来型のスパイク蛋白に対する抗体を全力で作成し続けていると、本当に必要な変異種に対する抗体を作る余裕がなくなり、かえってワクチンを打ったために他のウイルスに感染しやすくなってしまいます(図)。猫の遺伝子ワクチン投与の実験が失敗に終わって宿主の猫が全て自然のウイルス感染で死亡してしまったのはこのような経過であったと思われます。

従来のワクチンも必ずしも全てが有効ではありませんが、交叉免疫的に有効な例として表示しました。

 

〇 細胞性免疫の重要性

 

遺伝子ワクチンを推奨するにあたって、私が懸念したのは、前回のブログでも紹介した様に「中和抗体の産生量」ばかりが有効性の指標として喧伝されている事で、本当に大事なのは前ブログ内で紹介した論文に述べられていた様に(メモリー)T細胞があらゆる種類のコロナウイルスに対しても反応しえる多様性(図)を維持して存在する事(ファクターX)なのです。だから単一の抗原を作り続ける遺伝子をブースター投与(複数回投与)したり、DNAウイルスを感染させて半永久的に宿主に抗原を作り続ける事は「自然な免疫反応に対して邪道」だと考えます。私は生理的状態より異常に長く蛋白を作り続けるのが不安でしたが、いずれは消えると予想されるmRNAを1回投与なら良いだろうと考えてファイザーのワクチンを1回だけ打ち、2回目は打ちませんでした。私の外来に通ってくれる高齢の患者さんたちから、最近ワクチンの相談を受ける機会が増えましたが、私を信頼してくれる患者さんには、「副反応が強い可能性があるから1回だけ受けたら良いですよ」と余計な説明はせずにお話しています。

遺伝子再構成による10(12乗)種可能と言われる多様性獲得のメカニズム(Kotai bioさんのページから)

 

〇 コロナパンデミックは終息しないのか

前回のブログでは、世界においてはもうある程度集団免疫に達しつつあるのではないか、という見通しを述べましたが、それは今も変わりません。日本が欧米の様な大量感染発生に至る事は今後もないだろうと見込んでいます。また世界における流行もあと1-2回はピークを迎えるかも知れませんが、大きくは終息に向かってゆくだろうと予想します。既にテキサス州のように一切の制限を撤廃して1か月以上経過しても感染者が増加していない地域も出てきています。もっとも「新・新型コロナCovid-21」の様なものが新たに出現したらその限りではありませんが。

参考

(1)Davies, N.G., et al., Estimated transmissibility and impact of SARS-CoV-2 lineage B.1.1.7 in England. Science, 2021.

(2)Davies, N.G., et al., Increased mortality in community-tested cases of SARS-CoV-2 lineage B.1.1.7. Nature, 2021.

(3)Kustin T., et al., Evidence for increased breakthrough rates of SARS-CoV-2 variants of concern in BNT162b2 mRNA vaccinated individuals medRxiv preprint doi: https://doi.org/10.1101/2021.04.06.21254882

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混乱する新型コロナパンデミックのゆくえ

2021-03-27 00:56:25 | 医療

新型コロナ感染症による緊急事態宣言は終了しましたが、新規感染者数は「下げ止まり」であるとか、「緩やかに増加傾向」などとされ、早くも第4波に備えよとせっかちに煽り立てるメディアも出てきました。世界の動向も北半球の冬場のピークは明らかに過ぎましたが、欧州の一部やブラジルなどの南半球は増加傾向を示しています。

いつも引用しているworld meterの図にもその傾向が見て取れますが、変異種がどうであれ回復率や死亡率は変動しておらず、新型コロナ感染症の肝の部分に変化はないと考えます。

世界における感染者、回復者の数の推移 一度低下してやや増加      ウイルスの悪性度は変異種だろうと変化なし

国別の100万人あたりの感染者はワクチン投与が進むイスラエルでは確かに抑えられつつあるようだが一部欧州や南米は増加傾向

 

〇  パンデミックは終息するか

 

2009年の豚インフルエンザパンデミックは翌年の8月にはWHOが終息宣言を出しましたが、決してそれ以降H1N1感染症が0になった訳ではなく、前にも示した様に毎年季節性インフルエンザの一部として流行を繰り返しています。したがって新型コロナ感染症もパンデミック終息のためには感染者が0になる必要はなく、人々が集団免疫(herd immunity)に達したと考えられれば終息として問題ありません。この基本を勘違い、または全く分かっていない人たちが沢山いるようです。2020年のパンデミック初期に集団免疫を獲得することで「感染力は強いが毒性が弱い」この「流行り病」を乗り切ることは何故か「非人道的」と非難されました。人類史上、エボラやペストの様な死亡率の高い「流行り病」は「隔離による抑え込み」で対応するしかありませんでしたが、所謂「流感」に相当する物は多くの者が罹る事で免疫を獲得する「集団免疫」によって乗り切ってきました。だから今回の新型コロナ感染症も私が3月の段階で断言した様に「集団免疫による感染症の克服」が唯一の正しい選択だったのです。しかし誤った「隔離による抑え込み」政策が議論もされずに選択され、感染症による被害と比べ物にならないほど大きなダメージが「経済と人々の生活」にもたらされました。これは仕方がない事ではなく、明らかな選択の誤りですが、もう誰も責任を取る事はないでしょう。

 

そして最近になって「ワクチンによる集団免疫の獲得」という、結局「集団免疫による克服」作戦にこっそり目標がすり替えられ、「だから全ての人はワクチンを接種せよ」というワクチン推進論の根拠にもされてしまいました。

 

〇  誤った液性免疫主導の免疫論

 

ワクチンの有効性や集団免疫の達成度合いを論ずる際に話題になるのは「ウイルスに対する抗体の量」ですが、基本的に誤りではないものの、免疫にはB細胞が作る抗体を中心にした液性免疫とT細胞やNK細胞を主体とする細胞性免疫の二本立てで論じなければ片手落ちです。免疫には自然免疫、獲得免疫があり(それも解らない人は以前簡単に説明した項を見てください)、感染や腫瘍に対する初期の免疫機構は昆虫にもある自然免疫で対応しますが、全力で対処するには細胞性免疫と液性免疫が共同でその異物に特化した獲得免疫の機構を動員して対応します。現在感染症に罹っていれば「治癒」のためには抗体の量が問題になりますが。感染予防や細菌に対する抵抗力を論ずる場合は、抗体の量だけでなく異物に対応する能力を免疫機構が既に持っているか、メモリーT細胞の有無が問題になります。つまり抗体はなくても、T細胞がその細菌やウイルスが侵入してきた時に対応する能力があれば、感染を成立させずに排除できるから「免疫がある」と言えるのです。ただ抗体量の測定と異なり、T細胞の検査は煩雑で集団での検査が困難であるため、論文化にもなりにくい欠点はあります。しかし抗体の有無だけで免疫を論ずるのは誤りなのです。

 

〇  日本やアジアで新型コロナ感染症の感染や死亡が少ないファクターXは何だったか?

一時欧米に比べて日本やアジアで新型コロナ感染が少なく、死亡者も少ない何等かの因子が話題になりましたが、2020年4月の段階で私はT細胞の機能であろうと予測しました。最近各種の論文で、従来からある感冒性コロナウイルスに対する獲得免疫によるT細胞が新型コロナのウイルス感染予防にも役立っている事を証明する論文が出される様になりました。それらの発表を受けて世界は既に集団免疫獲得の段階に達しているのではないか、つまりパンデミック収束に近づいているのではないかという論考も出てきています。以下にBritish Medical Journalのassociate editorであるPeter Doshi博士の論説の要約を載せます。

やや長くなり、意訳になりますが、私がブログで記している内容が根拠のある事であると解ると思います。BMJは英国における権威ある雑誌でくだらない日本のメディアの何十倍も信用できる内容です。よろしければ読んで見て下さい。

(以下引用要約)

BMJ 2020;370:m3563 http://dx.doi.org/10.1136/bmj.m3563 Published: 17 September 2020

 

コロナウイルス:Covid-19 既に多くの人に既得免疫があるのではないか?

SARS-CoV-2は人類が初めて遭遇するウイルスであると信じられているが、それは本当だろうか?Peter Doshiが最近のウイルスへの免疫反応の研究論文から明らかにする

 

COVID19のパンデミックで多くの方が亡くなったニューヨークなどの地域でも人口の20%ほどしかSARS-C0V-2の抗体を持っていません。それ以外の一般人口の中では抗体保有率は一桁代と報告されています。世界中で公衆衛生上この感染症にどう対応するかを検討するにあたって、ウイルスがパンデミックの前に既存の免疫を持たないヒト集団に入った、つまり「全く新しいウイルス」と仮定してWHOの緊急事態の責任者であるマイク・ライアンは考えました。そしてウイルスが「燃えつきて収束するには時間がかかるだろう」と結論づけました。しかし、ウイルスに感染していない人々のSARS-CoV-2へのT細胞の反応を研究した論文の多くは、パンデミックウイルスが人類にとって全く対応できない新種のウイルスであるのかという問いに疑問を呈しています。

 

〇 新型コロナウイルスはそれほど斬新なウイルスではない?

 

世界各地からの6本以上の論文による報告で、ウイルスへの暴露がなかった人達の「20-50%のT細胞」がSARS-C0V-2に免疫的に反応する事が証明されています。しかしこれらの研究は対象にした症例数がまだ少なく、SARS-C0V-2に対する免疫学的反応の正確な推定値を提供するには至っていません。しかし雑誌CellやNatureに発表されたこれら内容は無視できない貴重な証拠であり、これらの事実はウイルスの成り立ちを知る上でも大事な知識となります。

 

〇 豚インフルエンザで見られた例

 

世界保健機関(WHO)がH1N1「豚インフルエンザ」ウイルスを世界的なパンデミックと宣言してから数ヶ月後の2009年後半、アレッサンドロ・セッテは、この豚インフルは特段人類にとって新しいウイルスではないのではないか、という研究をしていました。

彼らの答えは、成人集団における既存の免疫学的応答、特にT細胞は、「疾患の重症度を鈍くする」ことが解りました。つまり既存の反応性T細胞を持つ人々は、H1N1が重症化しにくいという臨床的特徴を持っていたのです。さらに、米国疾病管理予防センター(CDC)が2009年の流行の間に行った研究では、60歳以上の人々の33%が2009年のH1N1ウイルスに対して交差反応性の抗体を持っていたと報告され、CDCは新しいH1N1株に対する「ある程度の既存の免疫」が存在すると結論付けたのです。

このデータは、2009年以前のWHOとCDCの見解を「パンデミックウイルスに対する免疫を持たない」という仮定から、「パンデミックウイルスに対する集団の脆弱性は、ウイルスに対する既存の免疫のレベルの有無に関連している」と認めたものに変えました。

しかし、2020年には、その教訓は忘れられていたようです。

 

〇 新型コロナウイルスは既存の風邪ウイルスの一種か?

 

新型コロナウイルスに暴露していない人が持つ「免疫反応の起源は、構造的に密接に関連しているいわゆる一般的な風邪コロナウイルスである」と、この仮説を確認した論文の上級著者ダニエラ・ワイスコフは述べています。これとは別に、シンガポールの研究者は、一般的な風邪のコロナウイルスの役割について同様の結論に達しましたが、T細胞の反応性の一部は、動物由来のコロナウイルスであっても、他の未知のコロナウイルスから来る可能性があることを指摘しました。要はSARS-C0V-2のパンデミックへの対応はこれらの免疫反応を考慮して、基本的な仮定のいくつかを再検討する必要性があるのです。

 

〇 集団免疫を過小評価していないだろうか?

 

抗体保有率を測定する血清調査は、SARS-C0V-2に感染した集団の割合を評価するには好ましい方法ですが、集団免疫閾値(どこで集団免疫に達したか)の検討には向いていないかも知れません。というのは、最も大きな被害を受けた地域であっても、少数の人々しかSARS-CoV-2に対する抗体を持っていないと言う事実は、ほとんどの疫学者が「パンデミックは終わっていない」と結論する結果になってしまっているからです。調査対象者の5分の1以上が抗体を持っていたニューヨーク市では、保健局は「現状は集団免疫のレベルに達しておらず、監視、検査、接触追跡が依然として不可欠な公衆衛生戦略である」と結論付けました。「その数が何であれ、私たちは集団免疫達成に近い状態はどこにもありません」と、WHOのライアンは7月下旬に言及しました。

 

〇 集団免疫の閾値について

 

理論的には、伝染病の発生は特定の経過に従います。 免疫力を欠く集団では、新しい感染症が急速に成長します。ある時点で 、この成長のピークが発生し、発生率が 低下し始めます。

1970年代には、この変曲点を集団免疫閾値(HIT)と定義し、その大きさを推定するための簡単な式を提供しました:HIT=1-1/R0(R0は病気の基本的な再生産数、または感染性の影響を受けやすい個人によって生成された二次症例の平均数)。この単純な計算は、多くの予防接種キャンペーンを導き、予防接種の目標レベルを定義するために使用されました。

この式は、特定の集団において免疫が均等に分配され、メンバーがランダムに混合するという2つの仮定に基づいています。しかし現実には人びとはランダムに混合することはないことが解り、本当は人々の接触には濃淡があり、集団免疫はもっと早期に達成されることが解ったのです。

ほとんどの専門家はSARS-CoV-2(一般的に2〜3の間であると推定される)のR0を取り、集団免疫に達する前に少なくとも50%の人々が免疫を持つ必要があると結論付けましたが、Gomesたちは10%から20%が本来の閾値だろうと推測しています。

ドイツのミュンスター大学のウルリッヒ・ケイル名誉教授(疫学)は、無作為に分布する免疫の概念は、集団の健康格差の大きなちがいを無視する「非常に乱暴な仮定」であり、「また、社会状況がウイルスの因子よりも感染拡大因子に重要であるかもしれないことを完全に無視している」と言います。

オックスフォード大学のスネトラ・グプタ率いる別のグループは、人々には既存の免疫があることを考慮して、集団免疫閾値は下げて良いと結論しています。人類に既存の免疫を持つ人々が存在する場合、T細胞が反応する可能性があるため、R0が2.5であると仮定する集団免疫閾値は、人々の間で持つ既存の免疫の量と分布に応じて、感染する人口の60%という値を10%まで減少させることができる、とグプタのグループは計算しました。

メモリーT細胞は、「将来の感染に対する臨床的重症度および感受性に影響を与える能力」で知られており、また「20〜50%の人々がSARS-CoV-2に対して既存の免疫的反応性を持っている」事を論文化したT細胞についての研究は、抗体を持つかどうかが免疫反応の全てではないことを示唆しています。

「私たちが血清検査などの測定を行って、ウイルスに感染した人の数だと結論づけたのは、感染の真の姿を検討する上で無頓着でした」と、カロリンスカ研究所の免疫学者マーカス・バガートはBMJに語りました。「免疫反応はより多彩であり、抗体価を調べるだけの研究は、免疫反応を過小評価する結果につながります。生理学的応答は、一般的に想像する免疫的な反応よりも少ないかもしれません。つまり暴露は必ずしも感染につながるとは限りませんし、感染は必ずしも病気につながるとは限りません、そして病気は必ずしも検出可能な抗体を産生しません。そして、体内では、様々な免疫系コンポーネントの役割は複雑であり、相互に関連しています。B細胞は抗体を産生するが、B細胞はT細胞によって調節され、T細胞と抗体は共に体内のウイルスに反応する一方、T細胞は感染した細胞に対して反応し、抗体は細胞が感染するのを防ぐのに役立つのです。」

 

〇 カーブの予期しない変動

 

バガート博士の母国スウエーデンは集団免疫論争の最前線にあり、スウェーデンのウイルスに対する甘い戦略は多くの議論をもたらしました。バガードは2020年8月にこう述べました。「現在、感染者の数は大幅に減っています。200万人の都市で約50人がCOVID-19で入院しています。流行のピーク時には何千もの症例がありました。ソシアルディスタンシングがスウエーデンにおいて常に不十分だったことを考えると、何かが他に起こったに違いない。」

この「何か」を理解することは、既存の疾患への抵抗性と新しい疾患への交叉耐性の変数を組み込んだ集団免疫閾値を計算する方法を開発したオックスフォード大学の疫学者、スネトラ・グプタにとって中心的な問題となりました。 彼女のグループは、集団免疫閾値は「集団の一部がウイルスを伝染させることができない場合、大幅に減少する可能性がある」と主張しています。

「従来の考え方では、流行曲線の上昇に従ってロックダウンが必要になる」ということですと、グプタは説明しました。「だから、いったんロックダウンを解除すると、そのカーブは上昇し続ける」はずです。しかし、それはニューヨーク、ロンドン、ストックホルムのような場所では起こっていません。問題は、なぜ「ロンドンで病気がそれほど広がっておらず、血清学検査が示すようにウイルス感染を経験したのは全体の15%に過ぎないのか」ということです。「そのような状況下で、ロックダウンを解除すると、他の多くの設定で予想されているように、感染症例数の即時かつ相応の増加が見られるはずです」と、グプタはBMJに語りました。それは単純な事実です。問題は、他に考えられる理由が多いという事です、と彼女は言います。一つは、ソシアルディスタンスが行き届いて、人々が広がりを抑えているということです。もう一つの可能性は、多くの人々がT細胞応答または何か他の免疫があるということです。「それが何であれ、感染に対して脆弱でない人々が人口のかなりの割合であるならば、SARS-CoV-2がさほど広がっていない状況についての説明が付くのです。」とグプタは付け加えました。バガートのスウェーデンでの研究は、この立場を支持しているようです。covid-19が確認された患者の親しい家族を調査すると、血清陰性または無症候性である人にT細胞応答を発見しました。(他の研究も同様の結果を報告している。)

「非常に多くの人々は感染したにも関わらず、抗体を作成しませんでした」とバガートは結論付けています。

 

〇 より深い議論

 

T細胞免疫についての研究は、ニュースを支配しているように見える抗体の研究とは対照的に、メディアの注目は集めていません(バガートの推測は、抗体研究の方がT細胞よりも研究が容易で、速く、より安価であるため)。最近の2つの研究では、SARS-CoV-2に対する自然に獲得した抗体がわずか2〜3ヶ月後に衰え始め、繰り返し感染する可能性があるとの憶測が煽られていると報告されています。

しかし、T細胞免疫の研究は、実質的に異なる、より楽観的な解釈を可能にします。シンガポールの研究では、例えば、SARS-CoV-1に対する 反応性T細胞が感染の17年後にもその患者で発見されています。「我々の知見はまた、関連したウイルスに感染した後に生成された長期的なメモリーT細胞が、SARS-CoV-2による感染に対して保護的または改変することができる可能性を高めている」と研究者は報告しています。

T細胞研究はまた、子供たちが驚くほどパンデミックから除かれた理由、なぜそれが人々に異なって影響を与えるのか、そして子供と若い成人の無症候性感染症の割合が高いなど、covid-19ウイルスの他の謎に光を当てるのに役立つかもしれません。

私が話した免疫学者は、T細胞がニューヨーク、ロンドン、ストックホルムのような場所が感染症の波を経験し、その後の再流行を経験していない理由を説明する重要な要因となり得ることに同意しました。これは、血清学だけで測定できるものではなく、既存の免疫応答と新たに形成された免疫応答の組み合わせの結果である免疫の保護のしくみが、現在集団に存在し、新しい感染症の流行を防ぐことができるからであると説明されます。

しかし、彼らはこれが憶測であると注意喚起もしています。正式には、既存のT細胞反応性の臨床への影響は依然として未解決の問題です。「人々はまだエビデンスがないと言いますが、彼らの主張は正しいです」とバガートは言います。彼の研究の過去に集められた献血者標本はすべて匿名化され、時間系列的なフォローアップを妨げていると付け加えました。

T細胞応答は有害である可能性があり、疾患の重篤化につながるという考えがあります。「私はその可能性があるとは思わない」と、セッテは完全否定ではないことを強調しながら言いました。「これは誤りである可能性もあります。交叉免疫の能力が小さすぎるか、ウイルスには弱い影響しかないかもしれません。もう一つの結論は、交叉免疫が違う結果を生み出し、より良い反応を生み出すことです。ヴァイスコプフ博士は次のように付け加えました。「今、私はあらゆる可能性があると思います。私たちは知らないだけです。私たちが楽観的な理由は、(T細胞応答が)実際にあなたを助ける事を他のウイルスの例に見てきたからです。その一例が豚インフルエンザで、既存の反応性T細胞を持つ人々が臨床的に軽症化された事が研究で示されているのです。」

ヴァイスコプフとセッテ博士は、SARS-CoV-2への暴露前に登録された人々の集団に継続的に適切に計画された前向きの研究を行う事で、説得力のあるエビデンスが得られ、既存のT細胞応答の有無にかかわらずそれらの臨床過程を比較することができるだろうと主張している。

既存のSARS-CoV-2 T細胞反応性の保護値を理解することは「ワクチンの状況と同じです」と、シンガポールのデュークNUS医学部の感染症教授アントニオ・ベルトレッティは述べています。「ワクチン接種を通じて、抗体とT細胞産生を刺激することを目指し、このような免疫の誘導が保護されることを願っています。しかし、実際に効果を発揮するには、第III相臨床試験が必要です。」ドイツの研究者は、彼らのT細胞所見は、既存の反応性を臨床結果にマッピングする「世界的な前向きな研究を開始する決定的な根拠」を表していると主張し、同じ結論に達しました。他のグループも同じことを求めています。「パンデミックの開始時に、重要な全体図は、誰が感染し、何人が保護されたかを理解するために抗体データだけを調べる事から脱却する思考が必要だったということです」と、インペリアル・カレッジ・ロンドンの2人の免疫学者は7月中旬の雑誌サイエンスの免疫学の解説で書いています。「この新型コロナ感染症という困難な感染についてより多くのことを学んだので、T細胞データも本当に必要だと認める時が来たのです」

理論的には、covid-19ワクチン試験のプラセボアームは、既存のT細胞反応性を持たない人々とSARS-CoV-2の臨床結果を比較することによって、このような研究を行う簡単な方法を提供することができると推測されます。しかし、2つの大規模なプラセボ対照第III相試験で研究されているすべての一次および二次的な結果尺度のBMJによるレビューは、そのような分析が行われていないことを示しています。

既存の免疫は、将来のワクチンよりも新しいウイルス感染から身体を守ることができるでしょうか? 「T細胞の集団的データを解析する」という研究をしなければ、私たちはその答えを知り得ないでしょう。

 

(引用終わり)

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新型コロナワクチンについての諸々

2021-03-25 14:07:26 | 医療

日本では医療従事者に対して、ファイザー社製mRNAを用いた新型コロナワクチン(コミナティ)の投与が開始され、既に30万人以上に1回以上投与されています。幸い生死に係わるアナフィラキシー反応は報告されておらず、急性期反応に関しては「安全そうだ」という結論です。私も3月中旬に1回目の投与を受け、他の人にも数十人投与しました。私の病院においては、周辺医療圏の医療従事者を含む数百名に投与しましたが、1回投与目においては重篤な副反応は見られませんでした。自分個人について、通販製品の使用感想のような報告になりますが、投与直後はややぼうっとした感じでふらふら感があり、椅子に座っていましたが、30分くらいで普通に歩けるようになって業務に戻りました。1-2日投与された左肩に痛みはありましたが、腕が上がらない程の腫脹はなく現在に至っています。私個人としては、以前からブログで解説しているように2回目の投与は必要性のエビデンスがなく、副作用が強くなり、永続的な障害につながるリスクが高いので受けません。まわりの医療従事者間でもワクチンに対しては「仕方なく受ける」「明確な意思を持って受けない」「積極的に受ける」に分かれており、それぞれ自己判断で決めれば良いと思います。成人していますが、自分の子供達には「まだ受けないほうが良い」と話しています。

 

以下に世界で報道された種々のワクチンの最近の話題についてまとめます。

 

1) Sinovac(中国)製不活化ワクチン

多くの論文でヒトに対する第1相試験が2019年4月に開始されたことが明らかになっています(参考1)。また全人代を前に先日Sinovacの幹部達が2019年3月に社内で先行投与を受け、現在も高い抗体価を維持していると「自慢」する報道がありました。

Covid-19は全ゲノムの配列が明らかになったのは2019年1月中旬です。不活化ワクチンを工業製品として製品化するには、確実なウイルスの同定、分離培養、適切な不活化、効果の確認(適切に不活化されているかを含む)、vero細胞(アカゲザルの株化した腎上皮細胞)など(インフルワクチンは鶏卵を用いるが、ウイルス全体を培養するコロナはveroを用いたと書いてある)を用いたウイルスの工業的純粋大量培養と不活化した製品化、という過程を経る必要があり、これを2ヶ月で行なうことは「不可能」です。論文では「ワクチンに使用したウイルスは武漢の患者から得た」と記載されていますが、時間経過として物理的に不可能であり、ウイルスは2019年秋の段階で分離同定されていた、つまり「武漢のウイルス研究施設で既に分離培養されたウイルスがあった」と考えざるを得ないのです。この素人でもわかる明確な事実をメディアが取り上げないのは何故なのか不思議です。

この武漢ウイルス研究施設で同定された「原種Covid-19」は、パンデミック以降の段階で既に800以上の変異種に変化しています。Sinovac製不活化ワクチンの効きが悪いという評判があり、ADE(抗体依存性免疫増強)による感染の悪化さえ危惧されている原因はこの「原種を不活化」したという点にありそうです。日本で毎年投与される季節性インフルエンザ不活化ワクチンがA、Bの大きなくくりが一緒でもHやNといった変異型が違うと効果がなく、毎年投与が必要になることからも理解できると思います。

 

2) アストラゼネカ製DNAワクチン

チンパンジーのアデノウイルスをベクターにしてその中にコロナウイルスのスパイク蛋白の遺伝子を組み込んでヒトに感染させ、スパイク蛋白の抗体を作らせるという仕組みですが、ウイルスは増殖しないものの感染細胞は蛋白を作り続ける事になるので作られたスパイク蛋白が血栓症の原因になる可能性が否定できないという点で一時欧州の国々で使用中止になりました。コロナウイルスのスパイク蛋白が血管内皮にあるアンジオテンシン変換酵素(ACE)に接着してそこから血栓形成が惹起される事は多くの論文(参考3)で証明されています。EMA欧州医薬品庁は「ワクチンのメリットはリスクを上回る」という特に広範なエビデンスを示さない「決意」ともとれる異例のメッセージを公布して、ワクチン投与を再開させましたが、勿論誰も責任はとりません。

 

3) ファイザー製mRNAワクチン

コミナティワクチンについては、前回のブログなどでもその危険性や不可解な部分について説明してきました。新型コロナワクチンとしての効果はあるだろう、と思っています。不活化ワクチン(正しく作られたものであれば)の方が安全性は高いと思いますが、DNAワクチンの様にずっと抗原が作られ続けるリスクや、1度しか投与できない(ベクターに対する抗体もできるから)という物よりは安全かもしれないとは思っています。しかし

  • 細胞外に大量の非生理的なmRNAが存在する状態は、「全生物の進化」の過程において一度も経験したことがない事象である、という事実。
  • 細胞内で通常数時間以内に分解され、消滅するmRNAが「2週間以上存在し続けて蛋白を作り続ける」などという異常に生物細胞は「正常状態」を保ち続けられるのか、について一切の検証がなされていないことには大きな懸念があります。

 

現在自分の体内で上記の事が起こっており、自分の身体を使ってどのような異常が起こるかを検証中でもあります。

 

参考1 Zhang Y et al. Safety, tolerability, and immunogenicity of an inactivated SARS-CoV-2 vaccine in healthy adults aged 18–59 years: a randomised, double-blind, placebo-controlled, phase 1/2 clinical trial Lancet infect disease 2021,21, 181-192

https://doi.org/10.1016/ S1473-3099(20)30843-4

 

参考2 Xia S et al Effect of an inactivated vaccine against SARS CoV2 on safety and immunology outcomes. JAMA 2020 324 (19) 1-10 doi: 10.1001/jama.2020.15543: 10.1001/jama.2020.15543

 

参考3 Rodoriguez C et al. Pulmonary endothelial dysfunction and thorombotic complication in COVID-19 Patients. AJRCMB 2020 12 10.1165/rcmb.2020-0359PS

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新型コロナ変異種は脅威か?

2021-03-16 19:09:43 | 医療

新型コロナ感染症の感染者数が春の訪れとともに世界的に減少しています。延長した非常事態宣言も終了の方向になりつつありますが、新型コロナウイルスの変異種による感染が広がりつつあり、その変異種の毒性が強いという「触れ込み」で新たな恐怖を煽る行為がメディアによって続けられています。論文名やジャーナル(専門誌)も紹介して死亡率が高いといったアジテーションが行われています。また旧来型よりも若年者の感染が増加している事も変異種の脅威を強調する原因として使われています。私も基になった論文を読んでみて、メディアで紹介されている事は「事実」であると確認しました。但し、事実記載のどこを紹介するかによって「脅威が事実」かどうかは変わります。以下に医学論文を「脅威に見せるマジック」について科学者の目で種明かしします。

 

〇 死亡率は1.64倍だが、生存率が99.7%から99.6%になっただけ。

 

変異種と元の種の死亡率を比較したBritish medical journalの論文(参考1)では要旨(abstract)の結果に示した様に「95%の信頼区間をもって感染者の死亡率が1.64倍増加した」(図の黄線)とあります。しかしそれは倍率の比較であって、死亡者の実数はそれぞれ5.5万人の患者のうち、死者141人と227人の比較であって、生存率は99.7%であったものが99.6%になっただけだということも論文で示されています(下図)。100人の患者のうち、0.3人が死亡していたのが0.4人になったのが天下の一大事でしょうか?しかも後に示すように、この増加も「統計的なマジック」である可能性があるのです。

BMJの論文研究のデザインがMatched cohort studyと明記されている事も注目  結果に旧型生存率(99.7%左コラム)と変異種生存率(99.6%右コラム)を示す

 

〇 変異種は感染力と若年層への感染は増加したが、死亡率や毒性は変わらない。

 

やはり変異種と元の種の感染性と毒性を比較したCellの論文(参考2)では、要旨に「変異種の感染例には死亡率と臨床的な重症度の増加は認めないが、感染力と若年層への感染増加を認めた」(図の黄線)と明記されています。BMJもCellも世界的に一流の雑誌ですが、何故片方は死亡率が増加し、片方は死亡率や毒性は変わらないという結論になるのでしょう?それは統計を取るための母集団の調整にあります。やや面倒くさい内容になりますが、興味のある方は読んでみてください。本来科学論文を正しく解釈するのは面倒くさいものですし、それができない人、嫌な人は元々専門的な科学・医学を語る資格がないのです。

論文要旨に死亡率と重症度は変わらないと明記されている

 

〇 Cellの論文は実数の比較で論じている。

 

Cell論文の図3として示されているものを示します。図Eは診断後28日以内に死亡する率の変化をグレーの旧型とオレンジの変異型に分けて示したもので、どちらも変わらない事が図上で解ります。一方で図Fに示す様にオレンジの変異種に感染する年齢層が60代以下に多いことが解ります。図Gではゲノムコピーが614Gの変異種で(ゲノム量を測れるリアルタイムPCR上)多く見つかった事が示され、変異種の感染力の高さが示唆されています。これらの結果から「感染力(ウイルス増殖)と若年者への感染は増加したが、死亡率や毒性は変わらない」という結論が導かれたのです。

感染確認から4週以内の死亡率(オレンジが変異種)    感染者の平均年齢の推移(オレンジが変異種)    感染確認時のウイルス量の比較(これはグレーが変異種)

 

〇 BMJの論文はmatched cohort studyと断っている。

 

一方で死亡率を比較したBMJの論文は比較した集団の条件を厳密に一致させた上で死亡率を比較した論文です、と見出しの部分にわざわざ記載しています。これは「医学論文において、ある治療法や薬物の効果、死亡率を比較する時は比較する集団の条件を一致させる必要がある」という大原則に従っている事を示しています。一方が元気な若い人ばかり、もう一方が80歳以上の高齢者で死亡率を比較すれば同じ100人の比較でも高齢者の死亡率が高いのは当然です。だから年齢、性別、人種、医療サービスのレベルなどを一致した上で旧来型と新種の死亡率を比較したのがこのBMJ論文です。しかし全体の母集団から同じ条件の集団を選別してゆく過程で実は「現実」からの乖離が起こってしまうリスクがどうしてもあるのです。図は191万人の患者から条件を合わせるために旧来型54,906名、変異種54,906名に数を絞ってゆく過程を示したもので、母集団のわずか5.7%の集団について検討して、死亡率を比較した事を示しています。もう一方の図に示す用に、年齢、性別、民族は両群間でほぼ一致していることが解るので、比較試験としては適切であると言えます。

母集団から比較する集団を絞り込んでゆく過程     絞り込んだ結果、各集団の条件が年齢、性別、人種間で合っている事を示す

 

〇 matched cohort studyで死亡率に差がでる仕組み

 

この集団を調整する過程で死亡率に差が出る仕組みを非常に単純化した図で説明します。10人中3人が死亡する死亡率30%のウイルスで変異種Aは50歳以下が3名、Bは若年層にやや多い6名が感染したとします。生死は0か1で0.5人死亡はありえないので、本当はx100倍の人数で計算するべきかもしれませんが、単純化のため敢えて10人で計算します。51歳以上の高齢者の死亡率は共に半分位で42%、50%です。死亡率のマジックは、病気で死亡したとは限らない事です。世界中のコロナ死亡の多くは元々ある合併症の悪化であったり、老衰であったり、中には交通事故でなくなった人も感染陽性であればコロナ死亡になっている事は良く知られています。これは医学統計では常識であって、overall survival(総生存率)はdisease specific survival(疾患特異的生存率)よりも常に低いのが当たり前なのです。上記の参考論文では、いずれもコロナ感染による死亡を「感染判明後4週目までに亡くなった人の数」で定義していますが、これでは頑張って治療したけど6週間目に死亡した人は「生存者」に、元々心不全で死にそうだった人がたまたま感染陽性と診断されて2週間目に亡くなっても「コロナで死亡」にカウントされて統計化されてしまいます。これは感染判明後4週間までに亡くなった人を「コロナ感染症が悪化して死亡」とカウントするのが実際の感染症による「疾患特異的死亡」の実数に近い、という論文化された中国武漢での研究結果を踏まえたものだと論文内に説明されています。一般的には世界の「新型コロナ感染症の統計」で感染者の死亡は2-4%とされていますが(日本は2%前後)、発症して重体になり死亡する「疾患特異的」な死亡は全死者の6-7%とCDCも発表していますので、論文で示されている生存率99.7%程度というのは感染判明者の疾患特異的な生存率の近似値として正しいだろうという事になるのです。

ここで、集団を合わせる事で死亡率が変わる説明になります。変異Aと変異Bの死亡率を比較するためにmatched cohort studyをするため、50歳以下と51歳以上の人数を合わせます。Aの50歳以下は3名なのでBも3名にするほかなく、51歳以上のBは4名なのでAも4名で合わせるほかありません。ではそれぞれの人数に調整した後、死亡率を比較すると、Aは24%、Bは35.8%と変異Bの死亡率が上がってしまいます。これはかなり解りやすく単純化したものなので極端な例と言えますが、母集団における死亡者数は変わらないのに集団の調整をした段階で死亡率だけが変わってしまった事が解ると思います。

 

比較をするには集団の条件を合わせる必要があるので、変異Bの死亡率はAより高いという結果は嘘ではありません。しかし、全体の死亡者数が同じである、というのも真実なのです。これが統計やサイエンスの限界であると言えるでしょう。要は論文をどう読み解いて、それを実際の政策や治療に生かすかという「ヒト」の意図や能力が問題なのだと理解いただけたでしょうか。

 

参考1 Challen R et al. Risk of mortality in patients infected with SARS-C0V-2 variant of concern 202012/1: matched cohort study. BMJ 2021 372n579

 http://dx.doi.org/10.1136/bmj.n579

 

参考2 Volz E et al. Evaluating the effects of SARS-C0V-2 spike mutation D614G on transmissibility and pathogenicity. Cell 184, 654-75 2021 (Jan 7)

https://doi.org/10.1016/j.cell.2020.11.020

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Covid-19ワクチンに対する疑問に答える

2021-03-10 18:16:14 | 医療

前回の医療系の話題である「コロナワクチンの接種は打つとしても1回でよいだろう」でも言及しましたが、コロナワクチンについて説明するべき内容について具体的に指摘しました。今回in deepさんのブログでドイツにおいてCovid-19感染症への対応に批判的な科学者達の団体が企画したワクチンについての専門家(ヴァネッサSクリューガー博士、ほか)を招いた公聴会が紹介されていて、ファイザー/BioNTech製のワクチン(コミナティ)について同社がリリースした資料に基づく説明がなされていて疑問を解く参考になったので紹介します。尚、コミナティについての厚労省の説明はここで示されています。

 

以下にrakitarouが提示した疑問に対する、聴聞会などで示された答えに相当する部分と、その答えについての感想を示します。

 

〇  mRNAとして体内に注入される遺伝子配列(AUGCかATGCからなる)の明示

 

トジナメラン(ヒトの細胞膜に結合する働きを持つスパイクタンパク質の全長体をコードするmRNA)  厚労省による説明ではスパイク蛋白の全長が含まれるとされます。但し、聴聞会で明らかにされたように、製品であるコミナティにこの有効成分がどれだけ確実に含まれるか、夾雑物(増殖用大腸菌のDNAやmRNAの断片)がどの程度あるかは明らかではありません。製品の品質を調べる「標準製品」が現在作られていない由です。

 

〇  投与されたmRNAに反応する宿主側の細胞の特定

 

主たる細胞は注入部位の筋細胞ですが、注入後15分で20%は肝臓内でも特定され、脾臓や生殖器細胞でも血流で運ばれた事が発光酵素ルシフェラーゼmRNAを用いた実験(使用量はワクチンで用いられる30マイクログラムの15分の1である2マイクログラムで実験)で証明されている。つまり体内いずれの細胞にも作用し得ると言える。

 

〇  反応して作られるタンパク質の機能と構造

 

mRNAの設計上はスパイク蛋白の全長が作られる事が企図されているが、断片化されている場合は異なる3次構造を持つ蛋白が作られることになり、それに反応する抗体も本来のスパイク蛋白とは異なる物が作られ得る。タンパク質は4次構造まであることは高校以降の生物学で習うと思う。聴聞会ではこの誤った蛋白が宿主免疫に悪影響を及ぼす可能性は少ないと分析している。

 

〇  蛋白を異物として認識する宿主の免疫細胞の特定(メモリーT細胞までの道のり)

 

クリューガー博士が公聴会で説明しており以下になります。抗原提示細胞(APC マクロファージ、樹状細胞、B細胞)がmRNAに反応して異常蛋白を作った細胞が発する何等かのサイトカインを認識してT細胞を連れて異物蛋白を作る細胞の所に行き、反応した細胞が作って放出したスパイク蛋白を捕食したり、蛋白自体を分解して提示している反応細胞に対応することで、APC細胞表面のクラスII MHC分子にスパイク蛋白(や破片)を乗せてヘルパーT細胞に免疫応答するよう指示します。このT細胞がB細胞や他のT細胞に抗体産生や細胞攻撃の指令を出して獲得免疫が形成されます。ただこの機序は単純ではなく、特に本来自己である(筋)細胞が異物を提示することでキラーT細胞からアポトーシスを命じられたり、遺伝子の媒体である陽性荷電したLNP(脂質ナノ粒子)が細胞毒として機能する事も考慮する必要があります。参考の図はコロナ制圧タスクフォースのサイトから引用しました。

参考図はワクチンに対する反応ではなく、一般的なウイルスに対する免疫反応の機序を示す

 

この機序については極めて重要ながら、複雑系で個人差もおこり得る内容であり、将来自己免疫疾患やアレルギーに発展する可能性がある部分です。本来ならばこの機序について安全性の見極めに数年かけるのが常識であって、「とりあえずやっちゃえ!」が今回のワクチン接種であることは知っておくべきだと公聴会でも説明されます。「mRNAワクチンは安全」などと自信満々で話す人は明らかな「嘘つき」あるいは、「科学は無知」のどちらかと断定して良さそうです。

 

〇  宿主が作る中和抗体が多種なのかモノクローナル(1種類)に近いのか

 

スパイク蛋白以外の部位への抗体ではない、と言う点ではポリクローナルながら目標は一つという事。但し、大量に注入される媒体であるLNPに対する抗体も作られる可能性が高い。またLNPが肝機能障害(門脈血管周囲細胞の空胞化という組織障害が動物実験で見られた)を起こす可能性も指摘されている。

 

〇  作られた抗体のウイルスへの効果

 

これについては示されていない。いくつかの論文では作られたIgG抗体の量が測定されている。

 

〇  反応した宿主細胞がいつまで抗原を作り続け、反応した中和抗体がいつまで体内に存続するか

 

数時間で蛋白は作られ始めて、抗原は1-4週間後も作られ続ける、主にmRNAの安定性によるが、スパイク蛋白のmRNA安定性の細胞内評価のデータはない。中和抗体は他の論文では1回投与で90日後にも存在したとされる。

 

〇  注入された遺伝子がレトロトランスポゾン化して宿主DNAに取り込まれる可能性の有無

 

公聴会ではクリューガー博士は明言を避けているが、注入されたRNAが細胞内のどこに落ち着くか(核、ミトコンドリア、細胞質)によるとだけ答えている。但し、筋肉注射されたワクチンは生殖細胞にも移行する事は証明されているし、胎児への影響・移行についての情報は全く皆無と言ってよい。ファイザー自体が世界からの副反応などの情報提供を希望している。

 

 

他にも興味深い情報として、今回のコミナティワクチンは1回30マイクログラムのmRNA注入を基本としているが、臨床試験では10マイクロ、20マイクロ、30マイクログラムがテストされ、免疫的な反応の強さはそれぞれでほぼ同じであったが、副反応は量を増やすほど増加したという結果が出ている。しかし何故か製品化された段階で最も副反応が強い1回30マイクログラム投与と決められた。この理由は明らかにされていないが、試験用はかなり純度の高いmRNAが用いられたが、工場で大量生産されている製品化されたコミナティは純度が40-50%の物もあり、ロットによって一様ではない(そもそも検定されていない)ので効果としての安全策で最大の30マイクロが選択されたという工業製品としての純度の問題が背景にありそうだ。また2回打ちの間隔3週間というのも明確な科学的根拠を基に決められたわけではないと明らかにされた。

また基質の一部として使用されるポリエチレングリコール(PEG)に対するアレルギーの危険性も指摘されています。PEGは化粧品や保湿剤としても汎用されていて、女性が日常的に化粧品として使用しています。世界中のアナフィラキシー例に女性が多い事、日本において先行接種された医療関係者のアナフィラキシー例11例中9例が女性であったことも(日本は全例重篤にならず救命しえている)化粧品などに含まれるPEGに対する抗体が既に存在したために起こったアナフィラキシーである可能性があります。

粗製乱造ではない、通常の医薬品の様な製薬基準を満たした純度の高い製品であれば、量によって増加する副反応が少ない10マイクログラム投与で十分であり、最近の研究からも1回投与で十分な免疫的効果が得られると私は考えている。それでも量にかかわらずアナフィラキシーは起こるので注意が必要と思いますが。

 

欧米の数十分の一の患者しかいないのに、同じ程度のGDP低下という経済損失を招き、慌てて粗製乱造のワクチンを言い値で購入して言われた通りの投与方法で健康な日本人に次々と投与する「なんとあっぱれな国民ではないか!」

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コロナワクチンの接種は打つとしても1回でよいだろう

2021-02-26 14:43:01 | 医療

〇 通販の宣伝に出てくる様な体験談を語り始めた専門家達

 

いよいよ日本でも新型コロナワクチンの投与がまず医療従事者に対して開始されました。テレビなどでは国民の未知のワクチンに対する「まっとうな警戒心」をなくそうと、投与された医師などの「どうってことありませんでした。」みたいな感想をしきりと流しています。先行する世界からの今までの報告から、投与初期の副反応(健常な人へのワクチンによる副作用を副反応というそうです)は今までの不活化ワクチンなどよりははるかに大きいものの、何とか乗り切れるようだと分ってきました。拙ブログでも紹介している米国VAERSによる副反応集計では投与後死者が2月初旬時点で1,000名近くになってきましたが、数千万人投与後の結果であり、直接ワクチン投与と結びつくとは限らない(コロナ死者統計と同じ)と思われ、むしろ神経麻痺の様なワクチン投与に結びつく副反応が問題だろうと私は考えています。

2月12日集計の副作用報告の集計結果(VAERSのサイトから)数千万人投与して1.5万の副作用報告があったうち5.8%が死亡報告だった。

 

〇  本来医師などの専門家が、コロナワクチンについて説明するべき内容とは、以下の様になるべきだと私は思います。

  • mRNAとして体内に注入される遺伝子配列(AUGCかATGCからなる)の明示(企業秘密らしいが、「明示しないなら承認しない位」の強気を国民への責任がある各国政府は示せ)
  • 投与されたmRNAに反応する宿主側の細胞の特定(筋肉注射なので一応筋肉細胞主体とされる)
  • 反応して作られるタンパク質の機能と構造(mRNA全体が翻訳されるとは限らない。スパイク蛋白の一部なのか全体か)
  • 蛋白を異物として認識する宿主の免疫細胞の特定(メモリーT細胞までの道のり、作成放出された異物蛋白のみでなく、宿主細胞表面の蛋白を異物として認識する事が大事ともいわれている)
  • 宿主が作る中和抗体が多種なのかモノクローナル(1種類)に近いのか
  • 作られた抗体のウイルスへの効果
  • 反応した宿主細胞がいつまで抗原を作り続け、反応した中和抗体がいつまで体内に存続するか(後術するように論文が出始めてはいるが)
  • 注入された遺伝子がレトロトランスポゾン化(以下に説明)して宿主DNAに取り込まれる可能性の有無(ないと明言するならばサイエンスとして実験結果か論文を明示する必要がある)

 

などを解りやすく説明して初めて専門家のワクチン評価と言えます。今メディアで述べられている内容は「通販の使用体験談」以上のものではなく、国民に範を示す専門家として恥ずかしくないのかと疑問に思います。

 

 

それでも、以下に説明するような長期的な遺伝子ワクチンによる影響は「未知」であることは変わらず、「できることなら受ける機会は少なくしたい」と考えている人は少なくないでしょう。しかしながら立場や仕事上「ワクチンは打たない」と断言できない人もいると思います。特に2回目の副反応の強さから、ワクチンは1回で済ませたい、と思うのは誰しも望むところです。ここに来て先行する諸外国からワクチンの有効性についての論文が出始め、中でも「初回のみのワクチン投与で十分に感染予防効果が得られているようだ」とする報告も出始めています。

 

以下に単回接種でも十分有効ではないかとされる報告を載せます。

 

〇  ワクチン1回接種、発症が85%減 イスラエルの研究者

 

(21/02/20記事:朝日新聞提供の記事引用)

 

 新型コロナウイルスのファイザー製ワクチンの効果をめぐり、イスラエルの研究者らが医療従事者を対象にした研究で、1回のワクチン接種により発症を85%減らす効果があるとの論文を発表した。接種1回でも高い効果が得られれば、ワクチン不足に悩む国が2回目の接種を遅らせる判断をとることも選択肢となってくる。

論文は18日、英医学誌ランセット(電子版)で公開された。執筆したのは、国立シェバ・メディカルセンターのエヤル・レシェム教授ら。9109人の医療従事者を対象に、ワクチン接種前と接種後の感染や発症状況を調べた。

調査対象者のうち、昨年12月19日から1月24日までの間に170人が感染した。ワクチン未接種の場合と比較すると、接種から15~28日が経過した場合における感染率には、75%の減少がみられた。また、発症率でみると、接種から15~28日後には85%の減少がみられたという。

論文は「1回の接種後に、感染や発症に相当な早期の減少があることを我々のデータは示している」と結論づけた。調査対象者には2回目の接種まで受けた人も含まれるが、感染や発症が減少した効果の大部分は、1回目の接種の結果だと考えられるという。

(引用おわり)

〇  単回接種後の免疫原性の獲得とブースター接種の時期と効果について

Lancet 2021年2月19日号 Voysey M ら(https://doi.org/10.1016/S0140-6736(21)00432-3

 

17,000名のワクチン投与群とコントロール群の比較解析から、1回接種後14日から90日後までの感染予防効果は76.0%(59.3-85.9)であった。また単回投与後の中和抗体レベルは90日後まで下降することはなかったが、90日以降はブースター投与として2回目の接種が行われたのでいつまで単回投与の効果が続くかは不明である。2回目のブースター投与は3週目よりも時間を空けて90日後に行った方が、作られる中和抗体量は2倍近く多い傾向であった。(rakitarou意訳)

上記についてのLancetの論文

 

〇  遺伝子ワクチンとして投与された外来遺伝子が宿主の遺伝子内に取り込まれる可能性(レトロトランスポゾン化)について

遺伝子のレトロトランスポゾン化についてはwikipediaなどが解りやすく説明されていますが、簡単に述べると、「本来自分自身が持っていない遺伝子がウイルス感染等の形で体内に入ってくるとそれを自身の遺伝子の中に組み込んでゆく機構が元々生物には備わっている」という事です。ヒト遺伝子の少なくとも46%、犬の31%、マウスの37%の遺伝子はこのような外来性の意味のない遺伝子だろうと言われていて、考古学的にはヒト遺伝子の70%近くが元々外来性だった可能性があるという事です(参考1)。中には内在性レトロウイルス(HERVs)と呼ばれる遺伝的に受け継がれるウイルス疾患(HIVとか成人T細胞性白血病とか)もあり、これは自己の遺伝子の一部というよりもウイルスのまま精細胞内に組み込まれて遺伝してゆくタイプの物です(参考2)。2007年にProbstらは外から与えたmRNAが体細胞内に取り込まれる可能性について発表しています(参考3)。つまり、外来性のmRNAワクチンが投与されたヒトの細胞内で機能するからには、それが(必ずとは言えないまでも条件によっては)下図のようにヒトの遺伝子に組み込まれてゆく可能性は否定できないということです。問題は外来の遺伝子が自分の遺伝子の一部になってしまった場合、自分の免疫が反応すれば「自己免疫疾患」に、反応しなければ同じウイルスが将来侵入しても「免疫が働かない」事になってしまう事です。

胎児に組み込まれた外来遺伝子がその子にも遺伝する場合(A)、精細胞のみに限られ、体細胞には出ない場合(B)、体細胞にだけ出て遺伝しない場合(c)の模式図(文献1から)

 

1回ならば長期合併症は大丈夫という保証はどこにもありませんが、できれば打たないで済ませたいながら、仕方なく打とうという方は、種々のリスクは少ない方が良い事は言うまでもありません。2回目投与後の副反応は1回目と比べ物にならないほど強いことは世界中で指摘されています。その点だけでも1回投与で免疫的記憶が付いている証拠です。治験に必要とされるような、十分な中和抗体を得るには2回目のブースター投与が必要でしょうが、エボラの様な致死性の高いウイルス蔓延の地域に乗り込んでゆくわけではないのですし、今の日本の感染状況を考えれば1回のみの投与で充分免疫的記憶は付くと予想される(2回投与でも保証しているのはイスラエルで6か月のみ)と思います。皆さまの参考になれば幸いです。

参考1 Richardson SR et al. The influence of LINE-1 and SINE retrotransposons on mammalian genoms. Microbiol Spectr. 2015 April ; 3(2): . doi:10.1128/microbiolspec.MDNA3-0061-2014.

参考2 Nelson PN et al. Demystiied... Human endogenous retroviruses.  J Clin Pathol: Mol Pathol 2003;56:11–18

参考3 Probst J et al. Spontaneous cellular uptake of exogenous messenger RNA in vivo is nucleic acid-specific, saturable and ion dependent. Gene therapy 2007, 14, 1175-1180.

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