rakitarouのきままな日常

人間様の虐待で小猫の時に隻眼になったrakitarouの名を借りて政治・医療・歴史その他人間界のもやもやを語ります。

地震の記録2(各人ができることをやるのみ)

2011-03-21 18:39:06 | 社会

東北地方太平洋沖地震から1週間以上が過ぎました。私の病院はほぼ震災前の通常機能を回復していますが、県北ではまだライフラインが機能しておらず、崩壊状態の病院が多数あります。病院の近隣の施設には福島県や東北から避難してきた方達が多数収容されています。我々の病院からも交代で避難所の医療支援を行い、また被災地の病院からの転院をヘリ輸送や車両輸送で受け入れています。

 

私の病院は被災地扱いで計画停電からは除外されているので、もともと計画されていた手術やCT検査などは全て予定通り行われています。また震災後できなかった悪性疾患などの予定手術をこの連休を使って消化しています。従って本日も明日も手術のために出勤しています。この一週間で6件の手術をこなさないといけません。まだ震度4近くの余震が一日一回はあるのですが、手術中でもそれくらいの地震では驚かなくなりました。

 

千葉や埼玉では計画停電が実施されていますが、私が手伝い(パート勤務)で行っている透析クリニックは計画停電の時間を避けて透析を行なわないといけないため、朝5時から夜中1時過ぎまでかかって3クールの透析患者さんを治療しています。朝5時にクリニックに来ないといけない患者さんも大変ですが、治療するスタッフの苦労も大変なものです。それに計画していながら取りやめになることも多く、その際は急いで全ての患者さんに連絡して時間の変更を行なわねばならず、連絡の付かない患者さんもいて種々のトラブルが生じています。

 

透析クリニックではミニバスで患者さんの送迎をしている所が多いのですが、このガソリン不足で送迎ができなくなり、しかも電車の本数も少ない朝や夜中に当院しないといけない状態というのではそのうち対応しきれなくて死亡する患者さんが出ると予想されます。計画停電というのはその程度の犠牲はしかたがないという前提で行われているのでしょう。

 

神戸の震災の時に3ヶ月避難所で救護所の医師をした私の経験からは、避難後1週間ころから酷い風邪の患者さんが増加してきます。また入浴できない、同じ所でじっとしているといった不満、清潔なトイレがないといったことから皆自制心は旺盛なのですがそれでも様々な身体症状を訴えるようになってきます。そんな時に、避難所の中を一人ひとり回ってくれる保健婦さんや看護師さんが患者さんを見つけたり励ましたりしてくれたことが大変助かりました。

 

2週間目位からは慢性疾患が悪化してくる患者さんが増加してきます。糖尿病や高血圧など放置状態で、腎不全が悪化して(検査はできないので理学所見だけですが)病院に送った患者さんも随分経験しました。その頃からは全国から医師の避難所への派遣も増えて、医薬品も大分潤沢になり、周りの病院医院も復活してきたのでこちらも楽になったのですが、今回は被災地域があまりにも広いから神戸のように復刻がはかどらないのではと危惧します。

 

原発の事故は未だに終息する気配がないのですが、自らを危険にさらして作業をしておられる東電、消防、自衛隊の皆さんには頭が下る思いで一杯です。特に消防、自衛隊は本来の任務ではない所で命をかけておられることに心から敬服します。私もインターネット等で調べてにわか原発博士になった今日この頃ですが、ご父君が原発の技術系幹部で勤めておられたという病院の同僚医師から話しを聞くと、福島第一原発は地震についてはかなり安全対策を講じていたけれども大津波は全く想定していなかったそうです。つまり「想定外の津波」ではなく、「津波が想定外」というのが本当だそうです。ご父君によると事故の初日から、得られる情報から判断してメルトダウンを含むかなり深刻な事態に発展することは明らかだと解ったそうです。想定していなかったことを非常に反省している、という言でした。

 

政府の説明も「大丈夫」を連呼するものの、素人には実態としてわからない数値を読み上げて見たりするだけで、原発のどこがどのように障害を受けて今後

どのようになる危険性があり、それを回避するためにどうする予定なのかを解りやすく説明しないから国民が余計に不安に思ってしまうのです。当初から原子炉部分の問題と使用済み核燃料の問題を全て明らかにしていればもっと政府の発表も信頼できたと思うのですが、あとから問題が次々に出てくるのでは発表を信用されなくなるのも当然でしょう。政府は「国民はバカだ」という前提で説明しているようにしか思えませんが、バカなのはマスコミと国民をバカだと思っている政府だけで、日本国民はよほど冷静で賢いと私は思います。これがこうなったら危険度がこのようになるのでこう対処してください、といった具体的な説明を初めからするべきでした。空間線量率も胸部レントゲンと比較してみたり、被曝量の多いCT検査との比較になったりどうも「適当に安心させよう」という魂胆が見えている。放射線など浴びなければ浴びない方が良いに決まっているし、空間線量と放射性物質の飛散による問題はイコールではない事くらい解っているはずなのに。具体的な数値を示してこれ以上になったら雨に濡れないように、とか子供や妊婦さんは外に出ないようにといった具体的な指示を出せばよいではないかと思うのは私だけでしょうか。

 

震災の復興については、前の滅私奉公論に重なりますが、日本人各人が自分のやらねばならない仕事を淡々と確実に行なってゆくことに尽きるだろうと思います。必ずしもボランティアで現地に行く必要はない。物流でも販売でも例え娯楽であっても自分の勤務地で休み返上ででも働き続けることが一番日本国全体の復興につながるのではないかと思います。勿論休み返上で健康を害してしまっては何もならないので休むことも大事ですが。

 

そのような訳で3月6日以来26日まで休みが取れず働き詰めの予定でしかも27日は当直の予定ですが頑張って働きます。その頃はガソリンが楽に買えるようになっていると良いのですが。

 

コメント (2)
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