連休中にyou tubeでアメリカの番組でインタビューを受けるイラン大統領のアフマディネジャド氏と殺害されたカダフィ氏を見ました。アフマディネジャド氏は「ユダヤのホロコーストはなかった」との発言は問題であるという司会者の追求にそれでは3つの質問をこちらから発してみます、と返しています。
1) 第二次大戦で6千万人が亡くなったと言われるのに何故ユダヤ人の600万人だけを問題視するのか。兵士が200万人亡くなったとして残りの5千万人は一般市民が犠牲になっている。こちらをもっと問題視するべきではないのか。
2) 数世紀も前の事件は現在でも様々な検証が行われ、より正確な事実の解明がなされているのに、何故ホロコーストを再検証しようとすることは禁じられているのか。教訓として後世に正しく伝えるには何度でも検証を加えることでより正しい歴史が残るはずではないのか。
3) ホロコーストは一体どこで行われたのか。少なくともパレスチナではないはずである。何故パレスチナの人々が国を追われ、悲惨な生活を強いられてホロコーストの償いをしないといけないのか。
1については戦争の犠牲とホロコーストの犠牲は別であると苦しい答弁を司会者はしていましたが、以降の問いには答えようがなかったようです。同じくyou tubeではジュネーブで国連主催の人種差別撤廃についての会合で、アフマディネジャド氏が演説している際、やはりホロコーストに疑義を呈してパレスチナの人達が虐げられているのは人種差別であると言い出したとたんに西欧諸国の代表達が一斉に席を立って退場するという場面がありました。マッカーサーは日本人を小学生と揶揄しましたが、欧米ユダヤ・キリスト教圏の人達が「おとな」になるための超えなければならない壁がここにある、と見せつけられる瞬間でした。
歯に衣着せぬ発言で有名な米国のイスラム指導者ファラカーン氏は、ナイジェリアの政権が腐敗しているから欧米からの干渉が必要なのだというコメントに「ナイジェリアの政権は腐敗しているけれども、アメリカほどではない。広島や長崎に原爆を落としていない。自国の原住民を根絶やしにしてなどいない。一番世界を不幸にし、一番腐敗しているアメリカが偉そうに彼らを指導する資格などない。」と明言。全くその通りです。
カダフィ氏は「アルカイダはニューヨークにいる」というインタビューで、911で貿易センタービルに突入した飛行機はサウジから飛び立ったのではなく、NYから飛んだのだ。犯人が訓練をしたのはアメリカだ。ビンラディンの指示だと言うが、アルカイダの司令官と称するゲリラを10人以上捉えているが、ビンラディンを頂点とする指揮命令系統などないではないか。と冷静に答えています。カダフィは狂犬のように恐れられていましたが、ある時から欧米政権に歩み寄るようになり、石油利権によって国民を豊かな生活に導くようになっていました。そしてアフリカで誰よりもアルカイダ系のゲリラに対抗していたのがカダフィだったので欧米からの信頼も一時は篤かった訳です。しかしアラブの春で反政府側(メインはアルカイダ)が勢力を延ばすと最終的に殺されてしまう結果になりました。その際、反政府側に武器支援をしていたのがアメリカのリビア大使館であり、昨年の911でカダフィ支持の民衆(とされる部隊)にリビアの大使が暗殺されて市中引き回しになりました。アメリカがアルカイダに武器を渡して支援していたことを追求されそうになったCIA長官のDペトレイアス(アフガニスタン派遣米軍の元司令官)は醜聞問題を理由に辞任、国務長官のクリントンも倒れて政界から実質的に去るということで蓋をしました。
リビア反体制派のアルカイダはその後ナイジェリアやシリアの反体制派として戦争継続をしていますが、シリアの反体制派支援のために米軍を送る事、武器援助をすることをアメリカが嫌がるのは「アルカイダを支援しているタリバンと戦争するためにアフガンに出兵しているのにシリアでアルカイダに武器援助するの?アルカイダと一緒に戦うの?」という矛盾にさすがに耐えられないからだと思われます。
「煩悩に支配され、何をしても自分が正しい」で済ませている「こども」はいつか自分で自分のクビを締める結果になり、いつかは「こんなことではいけない」と気がついて「おとな」になってゆくのでしょうが、「こども」が世界を支配できる「金と武器」をもってしまっている現状をどうすれば良いのか、私には答えが見つかりません。一つ言えるのは「当たり前の事」を普通に皆が言えるようになることが大事であることは確かです。しかし現在の日本のマスコミは益々当たり前の事が言えなくなっているのが悲しい現実です。