2015年の3月9日から2日間の日程で7年ぶりに急遽来日しました。理由はいろいろと取りざたされましたが、6月にドイツで開かれるG7サミットの議長国としてウクライナ情勢やEU内のギリシャ支援問題などについての意見調整という説、戦後70年を迎えるにあたって何を考えているか解りにくい安倍首相の真意を確かめにきた(戦後秩序についての認識の確認)、といったことが挙げられるでしょう。
来日中に朝日新聞社で講演を行って、過去との向き合い方や慰安婦問題なども言及したということなので、後者が来日の理由の一つであったことは間違いないようです。ただ本当にそれだけの理由でわざわざ日本まで来るでしょうか。戦争責任の問題は日本国内においても種々の意見があって天皇制などの繊細な内容を含むものであって、急遽2日間だけやってきて自分の意見だけ述べて引っ掻き回して帰って行くような拙速な行動をドイツ人(しかも首相)がするとは思えません。私は、もっと切迫した何らかの事態があって、欧州の盟主として直接安倍さんに意見を伝えに来たのではないかと思います。それはやはりウクライナとロシアの情勢ではないでしょうか。ドイツにおいても全ての通信は米国に筒抜けになっていることは既にメルケル首相も身に染みて理解しているでしょうから、アメリカに知られたくない事は直接会って話す他手段はないはずです。オランド氏や前任のサルコジ氏とは得意のフランス語で直接会って意思を確かめ合ってきたメルケル首相ですから、安倍首相と直接話す内容が戦後秩序の話だけのはずがありません。
もっとも二人は旧知の仲という訳でもなく、通訳を介しての会話でしょうから、基本的な意見の交換程度でどこまで本音で話ができるかは未知数と思われます。しかし会見後の安倍首相があまり多くを語らない所を見ると、安倍首相にとってあまり歓迎できる内容ではなかったのだろうと推測されます。今後の世界の動きについては、米国のオバマ・国務省系の思惑、ネオコン+共和党・イスラエル系(戦争始めたい系)の思惑、旧欧州財閥系の思惑など種々あるでしょう。安倍首相はネオコンイスラエル系に取り込まれて米国でネタニヤフに続いて議会演説まで設定されている有様ですから、旧欧州財閥系を代表するメルケル氏からすれば、安倍氏が世界戦争開始のとっかかりに使われそうで極めて危なっかしい存在に見えたのではないでしょうか。つまりネオコン系が画策するロシアやイスラム国関連の何らかの具体的な策謀を察知して「あなた本当に戦争させられてしまうわよ。」と釘を刺すために急遽来日して、敢えて戦後秩序や慰安婦問題など安倍氏が向こうに行きにくいような言動を残して去って行ったというのが本当の所ではないかと愚考するのですが、どうでしょうか。
昨日のCNN newsroomではロシアの爆撃機が大西洋まで進出して巡航ミサイルを発射する画像を流して「今程ロシアが米国本土に対して危機になっている時は冷戦以来なかったことだ」などと盛んに危機をあおっていました。CNN何を突然トチ狂ってしまったのだろう、という感じです。またこの一週間プーチン大統領が公の席に出現していないことも大きく報じていました。どうも何か大きな動きがあるような嫌な予感もします。