rakitarouのきままな日常

人間様の虐待で小猫の時に隻眼になったrakitarouの名を借りて政治・医療・歴史その他人間界のもやもやを語ります。

NHKBS欲望の資本主義2021特別編「生き残るための倫理」が問われる時

2021-10-16 19:31:39 | その他

BS1スペシャル 欲望の資本主義 特別編 「生き残るための倫理」が問われる時

BS1スペシャルとして定期的に放送されている優れた番組で、いつも楽しみに見ています。今回コロナ禍を過ごす中で資本主義のグレーとリセットを強要された世界がどのように生き残るべきかに焦点を当てた内容が放送されたのでサマライズして紹介します。今世界はエネルギー不足とインフレを迎えています。次は食料危機が計画されている様です。その事実も踏まえて視聴しました。

二極化を象徴するK字回復の先に見える世界は?資金繰りが苦しい中小を尻目に巨大資本は業績を伸ばす。そんな中、企業に「倫理」性を求める声も高まっている。パーパス=目的経営の意味とは?そしてGAFAM、中国経済の行方は?「監視資本主義」でデジタル革命の罪を問うズボフ、「資本主義だけ残った」で世界秩序の行方を説くミラノヴィッチほか、個性的な世界の知性たちと、減速から回復へと舵を切る経済と社会の今を考える。

出演

ランディ・ザッカーバーグ 、ショシャナ・ズボフ 、ミノーシュ・シャフィク 、ブランコ・ミラノヴィッチ 、コリン・メイヤー 、トーマス・セドラチェク 、早川英男 、神田慶司

2021年9月23日放送 (以上NHKのホームページから)

 

第一章「遠い世界の(コロナ)収束」

アフリカにもワクチンを(世銀ミノシュ)、そして富の再配分をまず目指し、バランスと豊かさを大切にするべき(NY市立大教授ミラノヴィッチ)。負債を増やして利益を得るのでなく、仕事をして価値を作る日本の様に「働く事に価値」を見いだし、日本的な労働規範を世界は見習うべき(経済学者セドラチェク)。

 

第二章 宴なき祭りのあと

オリンピックの後は負債と不景気が残っただけだった。90年代以降観光やサービス業は投資をした分の発展をしてこなかった、つまり目指す方向が間違っている(大和総研、神田慶司)。大企業は交際費がなくなった分収益増だがその分サービス業の利益が激減(日銀理事、早川英男)。

 

第三章 パンデミックが加速させるパーパス(企業の存在目的の明確化)

パンデミックという世界戦争を経験した世界は、企業においては自分の企業の社会における存在意義、目的を明確化させる必要がある。SDGsやESGといった中での目的化が必要だろう(オックスフォード大、コリン・メイヤー)。ミルトン・フリードマンは収益が目的で良いとしたが、今は倫理に基づく問題解決への貢献を収益との兼ね合いをどこで境界線を引くかが問われている(投資家ザッカーバーグ)。

 

第四章 デジタル頼みの中、進む監視

AIを駆使して大衆を監視し、そのデータを勝手に利用する「監視資本主義」が出現している(ハーバード、ショシャナ・ズボフ)。Big techはBig dataを独占し、情報資本を集積してそれを一部企業が自由に使い莫大な収益につなげている。全ての経済活動が監視経済になってしまっている。

 

第五章 資本主義だけが残った

形は違えど、世界には資本主義しか残っていない。資本家と労働者が分断されて、資本家は資本所得ばかり追うようになっている。しかも米国は中国化して同じ手法を取りつつあり、多極主義による政治的(国家)資本主義に向かっている(NY市立大ミラノヴィッチ)。下図

番組で紹介された図を一部rakitarouが改変

第六章 企業家がファシストになる時

企業家はゲーマーとしてモノポリー(独占)を目指す(セドラチェク)。利益を上げる中で起こした問題は得た利益から払うのが企業倫理だ(コリン・メイヤー)。データを扱うアルゴリズムはAIが自動で行うが、それをプログラムするのは人間であり、プログラマーの倫理が求められる(セドラチェク)。情報を支配したい企業家を統制する法が必要、新たなヒトラーは政治家からでなく企業家から出る(セドラチェク)。

 

第七章 監督官はどこに

銀行は金の流し方を倫理的に統制することで経済の監督官として君臨した(アロイス・シュンペーター)。しかし資本を動かしているのは今は銀行ではなく巨大資本家や投資家であり、彼らを統制する敵は存在しない(日銀 早川英男)。かつての日本、ドイツの銀行の様な産業金融(半沢直樹的)としての銀行のあり方が再度求められているかも。それを国家がやると政治資本主義になるが。

 

第八章 信用が失われた世界で

銀行は預金という負債を信用に変えて金融機関としての役割を果たした。現在のビットコインの様なデジタル貨幣や「有り余った資産の使い道としての株や投資」のありかたは「融資の倫理」を働かせる余地が既に亡くなっている。

 

第九章 善と悪のパラドックス 最終章—今後のあり方を模索する

企業は一時的でないサステナブルな存在意義(パーパス)を求めるべき(コリン・メイヤー)。古典的な資本主義は民主主義に基づく法によって制限を受けて来た(ハーバード、ズボフ)。今巨大資本は法を支配するために政治に金をつぎ込んでいる。これを許すべきではない。監視資本主義に法の制限を設けるべき(ズボフ)。資本主義を飼いならす時(早川英男)。金を出し合って事故による損を補う「保険」のしくみは共産主義的であり、社会は共産主義の良い所は見直すべき(セドラチェク)。全ての民衆が資本家であり労働者でもある民衆資本主義といえる世界(下図)を作れ(ミラノヴィッチ)。

 

最終章は、実現性はともかく示唆に富む興味深い内容だと思いました。

コメント (8)
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