rakitarouのきままな日常

人間様の虐待で小猫の時に隻眼になったrakitarouの名を借りて政治・医療・歴史その他人間界のもやもやを語ります。

裏金批判で政権交代目指す野党、「政治とカネ」が争点?

2024-10-10 13:48:53 | 政治

2024年10月9日、石破首相は記者会見で今回の衆院解散を「日本創生解散」と命名、「地方創生の再起動、大改革を思い切って実行する」と強調しました。それに対して野党はこの半年、国民の生活と直結しない裏金問題の追及をこれからも行う事を争点にして「政権交代」まで目指すとか。呆れて物が言えません。円安にともなう物価上昇が街頭インタビューでも国民の関心事であることは明らかなのですから、具体的な目標「1ドル120円を目指す」とか「物価上昇を1%以内にして賃金上昇を2%以上にする。」と言った解りやすい目標を掲げた上でその具体的な実現方法を演説で示す位の気合がなければ国民は振り向いてもくれないでしょう。地方創生の具体的政策は石破本を読んでみようと思いますが、円安解消などについては必死で勉強して政策立案をしないと解決策は出てこない難物です。しかし野党はこれをやらねば存在意義がありません。

野党は国民生活と関係ない問題では選挙に勝てない位の知能は持て!

 

I.  円安の原因は「新時代の貿易赤字」(弱い円の正体 唐鎌大輔 著)

 

燃料や穀物などの輸入品が値上がりして、日本の物価は上昇を続けています。年度単位では日本の貿易経常収支は2023年+21兆3810億円の黒字であり、前年の2022年における世界黒字国比較ではスイスを抜いて9位(845億ドル)で、一位の中国4019億ドル、2位ロシア2380億ドルには遠く及ばないものの、決して大幅な円安局面に落ちる必要性はない様に見えます。購買力平価(purchasing power parity)からみたドル/円相場は、特に消費者物価ベースで2023年は30%以上円安に振れていて、実際の円相場は120円台で良いはずです。みずほ銀行勤務で経済関係の著作が豊富な唐鎌大輔氏の近著「弱い円の正体・仮面の黒字国 日本」(2024年7月刊 日経BP)は、分かりやすく国際通貨の強弱を解説した良書でお勧めです。この本によると円安の原因は日常生活に深く浸透したIT関係の莫大なサービス収支赤字が原因であり、経常収支の黒字は過去に行った投資の「あがり」である一次所得収支の大きな黒字が反映した結果に過ぎず、一次所得の黒字は毎年円に買い戻される事がなく、ドル円取引に影響されないから莫大なサービス赤字を支払うためにドルが買われて円安になっていると説明されます。

日本の経常収支推移、    購買力平価(PPP)とドル円相場の乖離(1973年起点)この2-3年(赤まる)の日本の相対的物価安感が良く分かる(弱い円の正体から引用)

日常生活におけるIT決済を始めとする全てのやり取りのコンピューター化で、それらのソフトウエアはほぼ外国製であり、ドル建て使用料を必要とします。企業もグローバル化、集約化して本社が外国にあり、日本における取引の多くがライセンス料などで外国へドル建て送金されます。GDPの10%を占める医療介護製品も、労賃以外はメガファーマなどの高額薬剤・商品を使用していて多くはドル建て輸入に頼っています。これらサービス収支の変遷は、2014年円が1ドル100-120円で推移していた時代に3兆円の赤字であったものが、2023年には7兆円に倍増しています。2023年は外国人の旅行が増加してインバウンド景気が期待されましたが、それを大きく上回る赤字増大です。日本は対外的な特許など知的財産権の使用量増加が僅かであるのに、外国に払う使用量は増加し続けています。日本の企業が円安のためにドル建てで売り上げを伸ばした黒字は、円に換える事無くドルのまま海外で貯蓄されます。貿易収支で円を買う必要性(キャッシュフロー)が増えなければ、円が安くなるのは当然と言えます。

サービス収支から旅行などの収支を抜いた「その他のサービス収支」推移 「弱い円の正体」から引用

 

II.  円キャリートレードの影響より大切なもの

 

借りるほど、返す金は少なくて済むマイナス金利の円で、金利の高いFRBからドルを買う事で円が益々安くなる状態が続き、FRBが金利を引き下げ、日銀が金利を上げた事で一機に円高に振れた事がありました。しかし上記の様に金利差のみが円安の原因ではないので、影響は一時的なものでした。政策金利が国内の設備投資やインフレに影響し、景気を変化させる一つの因子になることは確かです。しかし大きな産業構造の基本設計、ITを生かして人口の少ない地方を活性化するとか、食料自給率を50%に引き上げる農業政策を推進するとか、実益に偏らない基礎研究を行う教育研究機関に国家規模で資金を出すといった10年先を見据えた政策こそが、現在膨らみ続けている新時代の赤字、サービス収支の黒字化につながるものと思います。また現在のグローバリズム一辺倒の政策は結局日本人の労働成果を外資に吸収され続ける結果を産むものであり、BRICS諸国がグローバリズム経済から独立した経済圏を作り、多極化を進めている中で、日本がどちらともうまく付き合う「良い所取り」をしてゆくしたたかさを身に着ける必要があります。日本国のユーラシア大陸の東端という地勢は西端の英国が欧州と米国を手玉に取る様に、中ロと米国両方とうまく付き合う必要性があり、その機会(チャンス)を生かす事が日本を今までの二千年と同様、今後千年自立した文化と繁栄を持つ独立国であり続ける原動力になると確信します。

貿易収支が2013年以降顕著に赤字に転じてから円の価値が下がっている。(弱い円の正体から引用)

上図の様に経常収支は黒字を続けても、モノの移動、サービスの移動では日本は赤字続きであり、日本の国力自体が衰えてきている事が明白です。80年代に日本が米国経済を席捲した時から、米国は日本の官僚、政治家に年次要望書を突きつけ、規制を排して米国を中心とするグローバル経済に飲み込まれる様策謀。日本は先進国だと思い込んで油断している間に、20年かけて日本の国力は着実に低下してきました。グローバル化から多極化への大きな波を利用して日本の国力を復活させる野望を今の30-40歳台の若者が持たなければ日本の将来はありません。米中ロが戦争経済に現(うつつ)を抜かす現在が実は日本のチャンスなのです。一緒に戦争に加わるとか、米英の鉄砲玉になって中朝と戦争するなど阿呆の極致、今こそ真の賢さを日本は持たなければいけません。

野党はこれくらいの大きな視野で政権奪取に挑まなければ、石破氏の地方創生案に対抗する事は不可能だと思います。

コメント (5)
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