落書き日記のススメ

毎日、日記をつけるのもいいけど 簡単な絵を描き続けるのもいいですよ。絵のある生活(落書き)のすすめ。

夜の高速道…

2010-08-16 07:47:01 | Weblog
(つづき)
激しい揺れで目が覚めた。
どうやら荷台で熟睡してしまったらしく、すでにIさんが運転する車は現場である東京スカイツリーに向かい高速道を走っていた。

夜の高速道は行き交う車もまばら。

都心に近づいてくると…前方に無数の“赤い光”が見えてきた。
それはビルの上に取り付けられた航空障害灯の光で ビル群の黒い影、そしてそこに灯る無数の赤い光は“風の谷のナウシカ”に出てくる“王蟲”の群れのように思えた。

運転席からはIさんが好きなヒップホップが流れてきて、その音は一瞬で闇夜に吸収されていく…

東の空がぼんやり明るくなってきた頃、スカイツリーがある押上に到着した。
(つづく)
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Iさん宅…

2010-08-15 23:56:09 | Weblog
(つづき)
門をくぐると、2階のIさんの部屋だけ明かりがついていた。

Iさんはすでに起きていて、仕事の支度を始めているようだ。

建築関係の仕事は朝早い。
どんな現場であろうと朝一番に仕事が始まる。朝涼しいうちに作業した方が効率がいいからかもしれない…
むかし短期間だけバイトした事があるが 肉体労働云々より、この朝早い事が一番大変だった。

Iさんが家を出てくるまで 合鴨とともに、トラックの荷台で一眠りする事にした…
(つづく)
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ゆるやかな追い風…

2010-08-14 10:18:15 | Weblog
(つづき)
裏庭から田んぼに出て、草を刈ったばかりの畦道を北に向かう。
ゆるやかな風がイネの上を通り サラサラという優しい音とともにゆるやかな波を作る。
その風を背中に受けて、歩くスピードはどんどん上がり、いつしか小走りになっていた。

畦道から農道へ出て、農道から幹線道路へ出る。
この時期、毎晩のように出没する暴走族も こんな時間までは起きてられないらしく、僕ら以外は誰もいない。
全てが寝静まった道を合鴨とともに走り抜ける。

気まぐれ営業の酒屋を通り過ぎ、三差路にあるポストを右に曲がると消防団の先輩であるIさんの自宅がある。

(つづく)
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グライダー…

2010-08-11 23:56:04 | Weblog
(つづき)
合鴨は何かを考えながら空を見上げた。

ぼんやり光る月。
その下を細々とした雲が流れていく。

合鴨は何かを決意したように はっきりとした口調で話しだした。

「今日は いい風が吹いてます。
きっとスカイツリーの上なら十分すぎる程の風が吹いているはず……

こんな(飛べないよう)細工された羽でもグライダーの様に風にのれば、遠いトコロまで飛んでいけるはずです」

合鴨は自分自身に言い聞かせるようにそう言うと僕をじっと見つめた。

「幸せの青い鳥か…
そんな鳥が本当にいるのか わからないけど……
どちらにせよ僕が出来る事といえば、君をスカイツリーに案内する事くらいだからね。
それくらいは協力させてもらうよ!」

僕はそう答え、合鴨とともに家を出た。

(つづく)
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青い鳥…

2010-08-09 01:25:18 | Weblog
(つづき)
合鴨は僕の問いに、すぐには答えなかった。

どうやら“飛びたいのには理由がある”それは確実なように思えた。
そこで僕は合鴨が本当の事を話し始めるまで だんまりをきめこんだ。

三度めの長い沈黙。
やはり合鴨は その沈黙に耐え兼ねて重いクチを開いた。

「飛びたいのには理由があります。
実は海の彼方にあるという 神の島を目指したいのです」

間髪を容れず、僕の問いは続く。

「なんで神の島に向かうんだい?」

合鴨は観念したらしく、隠す事なく正直に話し始めた。

「神の島へ行き、神様にお願いをしに行くのです」

「お願い?」と僕。

「ワタシを“青い鳥”にして欲しいのです。
利用されるだけの合鴨でなく、幸福の象徴であり人々に求められる“青い鳥”になりたいのです」
そういうと合鴨は小さなため息をついた。

(つづく)
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