落書き日記のススメ

毎日、日記をつけるのもいいけど 簡単な絵を描き続けるのもいいですよ。絵のある生活(落書き)のすすめ。

とびきり高いトコロ…

2010-08-08 01:21:36 | Weblog
(つづき)
合鴨は きょとんとしたまま「…高いトコロ?」とつぶやいた。

「そう。高いトコロ。しかもとびきりの高さ」
僕は話を続けた。

「実は消防団の先輩に東京スカイツリーの建築に携わっている人がいるんだ。
その人に頼みこめば、現時点での 一番高いトコロまで上がらせてもらえるかもしれないよ。

まだまだ製作途中だけど、すでに400Mをこえたらしいから かなり高いはずだよ」

今度は合鴨がだまりこむ。

またも沈黙が続いたあと、合鴨がぼそりと「そんなに高いトコロからなら 飛べるかもしれないな?」とつぶやいた。

合鴨はどうしても“飛ぶ”ことにこだわっているようだ。
そこで僕は 飛んでどこかに行くつもりなのかとたずねてみた…

(つづく)
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ある思いつき…

2010-08-07 09:22:49 | Weblog
(つづき)
自ら“飛べない”と告げたあと“飛びたい”という合鴨の矛盾した話に返す言葉なく黙っていると…

合鴨は沈黙に耐え兼ねて また話しはじめた。

「鳥として生まれたのですから、飛んでみたいのです。
もちろん飛べない鳥が数多くいる事は知ってます。

…けれどワタシたちは“飛べた”可能性があったにも関わらず“飛べなく”なったのです。

それが悔しい…悔しいのです。

どうか望みを聞いていただけませんか?」

望みを聞いてくれといっても、僕は神様でもなければ獣医や飛行機のパイロットでもない。

「僕じゃ 力になれないよ…」

そう告げると、合鴨が落胆するのがはっきりわかった。

「でも…とびきり高いトコロへ案内する事は出来るかもしれない」

僕はある事を思いついた。

(つづく)
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最後の望み…

2010-08-06 22:43:53 | Weblog
(つづき)
合鴨は僕の足元までくると、軽く頭を下げたあと話しはじめた。

「出てきてくれて、本当にありがとうございます。
どうかワタシの話しをしばしお聞きください。

ご存じの通り、ワタシは合鴨であるがゆえに、飛ぶ能力がありません。

仲間たちの中には 少しばかり飛べるのもいるようですが…私たち兄弟は 飼い主に飛べないよう細工されたおかげで全くもって飛ぶコトができません。

…矛盾した事を言うようですが最後に一度だけ“空を飛んでみたい”というのが望みなのです」

僕は合鴨の話をだまって聞いていた。

(つづく)
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番犬は目覚めることなく…

2010-08-01 10:24:14 | Weblog
(つづき)
家族が起きてしまわぬよう、気をつけながら勝手口より外へ出た。

日中の猛烈な暑さも、この時間になると ようやく和らいできて軒先の老犬は冷えたコンクリートの上で気持ち良さそうに眠っている。
番犬なのだから僕の気配に感づいて、少しは反応してほしいのだが、身動きひとつせず熟睡している。

裏の庭の方までくると、小さな影が向こうから近づいてきた。背格好から考えても、やはり合鴨に間違いなさそうだ…

(つづく)
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