優しいひと。

区別と差別は違うなどとしたり顔して言えるひとはさいわいである。身内にかなしみがなかったかあるいはかなしみに気づかずに過ごせたからである。

しようとしてもできないと言うと優しいひとはあなたはできるのにしようとしないだけよと優しく言い私はその優しさにこうべを垂れかなしみをしまいこむ。

みずから得ぬことを少ない言葉で互いに学び世界をひろげる方便にみんなが乗る。乗れないのに生きているというおかしみに身を温める。