断片の断片(ちりとてちん野口順子譚)。

2008-03-31 19:59:02 | ■だらだら。
人それぞれに経験も成長の過程も違う。子供のときから大人みたいなやつというのが、いる。それが大人になって逆転する者もいれば変わらない人もいる。また、あの人は大人だと言うときにせよ、大局的な見地を持つ幼い人と鈍い思い込みの人が同じように見えることもある。

物を考えているようでいていそうになく婿をとれば兄弟にしか見えない父親とちょっとイッちゃって喋り過ぎる母親とからこそ自分はできてきたのだなあと幼いころからつくづく思ってきた野口順子の目には、だからなのか何でなのか、よそさま、ひとさまの物語は制作物のようにその成り立ちが見えてしまう。

何で和田友春なのかとひとは言う。自分でも正直なところ、早まるな、フサワシイ男がいるはずだと思ったこともある。小草若の分身のような友春の拗ねたような目と存在が放つコンプレックスは、子供そのもののような優しさとともにあり、順子は自分という塊が緩やかに解ける期待を、小浜の地面もろともに抱くのだ。

順子は和田喜代美の甘い涙を叱り、かつ、私はいつだって脇役と嘆く者の、豊穣な愛に育まれた素直さと自信を慈しんできた。あんたが脇役なら私はどうすりゃいいのとはかつてもこれからも口にはしない。
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