マリリンの映画日記

エッセイスト瀧澤陽子の映画ブログです!新作映画からオールドムービーまで幅広く綴っております。

『HACHI 約束の犬』とリチャード・ギア

2009年07月08日 | 映画
 
 いい男は何歳になってもいい男である。

 リチャード・ギアは59歳。立派なおっさん年齢になっても、その色気とハンサムぶりは健在である。昨日、銀座のペニンシュラホテルで、8月8日公開される『HACHI 約束の犬』で来日した主役のリチャード・ギアの記者会見に参加して、改めてそれを実感した。

 リチャード・ギア様よりはうん歳ほど若い私だが、四捨五入すれば、立派な「アラカン」のSAME世代なので、ジョニー・デップやブラッド・ピットなどを見るよりも、心が落ち着き、年相応の安心感と親近感が湧いた。

 会見場に現れたリチャード・ギアは、ただ一言、「いちいちカッコよかった」。いちいちカッコいいということは、姿かたち、どの仕草をとっても完璧で、何から何までカッコいいということだ。「いちいちカッコいい」というセリフは、以前、テレビ番組でDAIGO君が使っていて、とても面白いセリフだからいつかは使ってやろうと思っていた。

 熟成された男の色気の自信、熟成された演技への自信、熟成された感性への自信。そして、熟成された人生への自信に満ち溢れていた。おまけに今回の作品では、「主役は自分でなくて、3匹のワンちゃん(HACHI役は2匹の男の犬と1匹の女の犬が場面場面に応じて演じていたそうだ)だった」という謙虚さ。

 そう、リチャード・ギアは本当に「いちいちカッコいいのだ」。

ということで、4年ぶりに来日したリチャード・ギアを私は舐めるように見つめていた。

 多分、映画『HACHI 約束の犬』に感動しない人はいないだろう。動物と人を描いた作品には駄作なし。興行収入だってそこそこ読める。

 動物が人に与えてくれる素晴らしさを知っている人には、普遍的なテーマであり永劫のものだからだ。今まで、動物と人間をテーマにした大味小味の作品どれを取っても涙が出なかった映画はなかった。
 
 まぁ、その動物とは、私にとっては競走馬なのだが、主人公の「HACHI」の飼い主パーカー・ウィルソン教授を演じたリチャード・ギアにとっては、犬ということなのである。

 渋谷駅ハチ公口に、ぽちょんと立っている「忠犬・ハチ公像」。飼い主が亡くなっても、いつまでも駅に迎えに来ていた伝説の犬、「ハチ公物語」を、アメリカでリメイクした作品だ。実にシンプルな内容だが、HACHIが亡き主人を待ちわびていたベッドリッジ駅は、古城のように美しく、ロマンチックで、心が洗われた。

 犬のHACHIが人間たちを見る時にだけ、スクリーンがセピアカラーからモノクロ変わる瞬間を見逃してはならない。犬から見ると人はモノクロにしか見えなかったのか!いやー、お見事!実に上手いカメラワークと演出だ。

 監督は『サイダーハウス・ルール』『ギルバート・グレイブ』を産んだスウェーデンのラッセ・ハルストレムではないか!

 なるほど、なるほど、大納得である。

「HACHI 約束の犬」公式サイト

監督: ラッセ・ハルストレム
出演:リチャード・ギア
   ジョーン・アレン
配給 松竹
 8月8日から公開