マリリンの映画日記

エッセイスト瀧澤陽子の映画ブログです!新作映画からオールドムービーまで幅広く綴っております。

『BECK』

2010年08月22日 | 映画
なぜか、40年前の高校生の頃の自分にタイムスリップしていた。

当時、ブリティッシュハードロック全盛の時代で、レッド・ツェッペリン、ディープ・パープル、ブラック・サバスを耳にタコができるほど聴いていたロック狂の女の子だった。

私の高校時代の音楽はハードロック以外の何物でもなかった。ロックがあったから、生きられた。ちょっこし不良女の子だった私が、マジの不良にならずにすんだのもロックのおかげだった。

ロックには病んだ者、悩んでいる者、孤独な者を救済するSOMETHINGと計り知れないパワーがあったからだと思う。

アマチュアロックバンドの追っかけもやっていて、小さなライブ会場でタバコと酒の味も覚えていた。高校の時、マジに惚れた男の子も、ギタリストだった。

『BECK』の5人のメンバーの中に、高校時代に惚れた男の子が突然現れた。ニューヨーク帰りの帰国子女・竜介だった。竜介演じるロン毛の水嶋ヒロ君ほどカッコ良くはなかったけど、そのライフスタイルとギターテクニックが昔の元カレそっくりだったので、時空を超えて、なんだか懐かしくなってしまい、胸がジーンとしていた。

ロケンロールは不滅。ロックは救済、ロックは平和、ロックは友情、ロックは人生そのもの。

現代の日本が舞台の『BECK』だが、音楽を愛する者にだけ共通するライフスタイルやメンタリティは、私の高校時代と全く同じだった。

涙が出た。

気絶しそうな酷暑の夏。熱中症患者続出の夏。

くそ暑い日本の夏。

しかし、『BECK』を見ている間、肉体的な暑さは消え、体中に溢れるほどの清涼感が走っていた。

音楽に青春をかけた『BECK』のメンバーの心の熱さ、友情、亀裂、哀しさ、達成感と、絵空事でない真実の声がこだまする。

水嶋ヒロと佐藤健のギターテク、向井理のベース、タイコの中村蒼、ラップ調で完璧なボーカルを務める桐谷健太。

それぞれのクオリティが高く、あまりにもカッコ良くて、第一期のディープ・パープルの全盛時代を見ているようなノリと迫力だった。

あーあ、ロックって本当にいいですね!!!最高!!!


9月4日から全国公開

【監督】堤幸彦
【出演】水嶋ヒロ、佐藤健、桐谷健太、中村蒼、向井理、忽那汐里