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刻まれない明日


三崎亜記 詳伝社

小説は創りモノですから
その嘘に、聞いている人がどれだけのめり込むか..が問題です。
この作家さんの作品を何冊か読んだ感想は..
設定の面白さに対する内容の薄さです(個人的に)
「....なりました。」と言われて受けた側に味がないのです。
水を飲んでいるような無味無臭感が正直な感想です。

もし読まれるなら「失われた町」を読んでからがいいと思います。

★☆☆
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失われた町


三崎亜記 集英社

「となり町戦争」で町同士が戦争を起こす..
「失われた町」で理不尽な消滅を起こす..
国民の中の町の消滅はなかったことにしたい..
なるべく関わりたくないと言う思い..
これを太平洋戦争に置き換えたらそれは怖い話..

SFとしてよりも理不尽な現実に合わせて読むと厚みが増すと思いました。

初めは..「しまった!」『となり町戦争』で感じた理由亡き大嘘に
惑わされた記憶が蘇りましたが今回は最後まで読めました..(ヒャ~偉そう..)

★★☆
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アントキノイノチ


さだまさし 幻冬舍

さだまさしさんの詩に感動したのは小6から中1の頃だったでしょうか
日テレの連続ドラマ「ひまわりの詩」の主題歌で出会いました..
「無縁坂」はグレープの最後のシングルカットで
「精霊流し」よりも好きな詩です。

母がまだ若い頃 僕の手をひいて
この坂を登るたび いつもため息をついた
ため息をつけば それで済む
うしろだけは見ちゃだめと
笑ってた白い手は とてもやわらかだった
運がいいとか 悪いとか
人は時々口にするけど
そういうことって確かにあると
あなたを見ててそう思う
しのぶ しのばず 無縁坂 かみしめる様な
ささやかな 僕の母の人生

ドラマの中で息子役の「三浦友和」は母親の「池内淳子」に
「かあさん」という言い方をしていて
その頃自分は、母に「お母さん」と言っていたので
何となく「お」を付けない..この「かあさん」が、少年から青年に成長した響きに思えて
ある日 母に「かあさん」と言って笑われた記憶があります。
それからいまだに「お母さん」と呼んでいます..w

昔から さださんは「物語の様な詩」を唄ってらっしゃるので
小説は書けるんだろうと思っていましたが思った以上の作品だと思いました。

ただ..「おくりびと」の後だったのでどうしても感じてしまう
スピンオフ感が惜しかった気がします。

最近では一気読み感の一番ある良い作品だったです。
みそ汁はつきませんが..w

★★★


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照柿


高村 薫 講談社

は~疲れた..w
夏期休暇でなかったら貸し出し期間中に読み切れなかったかな
約500頁の2段組みですから重くて(重量)通勤の友にもならないでしょう..w

だけど夏に読むのは辛い..
読んでいて汗の出る小説でした..
高村さんは『マークスの山』で知っていましたけれど読んだ事なかったです。
友情と嫉妬の愛憎ものですが男二人の延々と続く物語と比べて
美保子の影は薄く逆に効果をもたらしている気がしました。

1996年 第12刷発行 しおりも切れて結構ぼろぼろ
何人の人がチャレンジしたのかな?
その割には今は予約者0だけど..
今は上下巻で文庫本がでてるからかな..

★★☆



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ファミリーポートレイト


桜庭一樹 講談社

桜庭さんの世界にどれだけついて来れるか..
溢れる文章を映像にできるか..
自分が試されているようだと感じました。
物語に出てくる駅は逃げる手段と次を選ぶ手段
駒子にとっての読書は、そこで過ごせる唯一の居場所
「寂しさを紛らわす手段」「時を進める手段」
そして写真はメモリーであり句読点でもある。

逃避というリセットするが
今の..この場所で生きている上での唯一の
小さな生き甲斐さえ捨てる事だと物語は語る

そして神話時代の終わり
眞子と駒子のはがれる瞬間の描写がすごいです。

++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
その瞬間、あたしは自分が羽をもがれたと感じた。
ママとお揃いで持っていた羽を。
地上をあてどなく旅するあいだ、落ちまいとしてずっとうごめかしていた羽を。
虫みたいな、つまんない、でもあたしたちにとって大切な、
あのぼろぼろの貧しい羽を
++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

眞子は死んだのではなく逃げ切ったのだと思った..
駒子は生き残ったのではなく捕まったのだ..
そして 十七歳 物語は終わらない..
彼女にとっての余生が始まった..

「恋って突然の旅..もしくは予期せぬ心の失踪」
「女の子って不思議なお菓子」
心を撫でられる文字がいっぱい落ちています..

三十一歳 初の長編小説 「セルフポートレート」刊行
塒の無い駒子は週に2回出版社に来る事を命じられる..
それは深い水の中で肺呼吸する魚が週に2回呼吸をする事を義務づけられ
水面に上がってくるよう。後は黒い水中に身を潜める..

なのに「候補」と言う隠れられない網にかかる..
桜庭さんにとって直木賞は「今後の期待」という
自分の心地よい闇を奪う網だったのかもしれない。
後半は駒子が桜庭さんにどんどん重なります..過ぎるくらいです。

★★★
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東京島


桐野夏生 新潮社

図書館で人気があるのに評価の低い変な作品
物語は色々な装飾があるけれど
本質はそぎ落とした人間の生きるための「欲」がテーマ
東京島なんて脱出できない島ですが
日本という島国と何が違うのか..
考えさせられた作品です..

★☆☆
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向日葵の咲かない夏


道尾 秀介 新潮文庫

「このミステリーがすごい!2009年版」です..
ウ~ン..怖がらせるための文字が怖くないです..
なぜS君なのか..なぜ最後までS君のままなのか..
なぜ蜘蛛なのか..

怖くない..普通..

★☆☆
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ゆれる


西川美和 ポプラ社

この作品は先に映画化でしたか..たしか..
映画監督らしい作品..
何日もかけてゆっくり読まないで
映画を観る様に一気に読む作品だと思います。
私も数時間で読みました..

ひとまわり年下の綺麗な作家さんに
こんなに怖い思いをさせられるなんて..W

どうして年上の..
特に異性の積み重ねて来たモノの中に澱む心が書けるのか..
なぜ女性に書けるのか..謎ですが..
他の作品も読んでみたいです。

★★★


第141回直木賞は残念でした..相手が悪かった..

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銀の砂


柴田よしき 光文社

水底の森 聖なる黒夜と音楽のからむ柴田さんの小説をまた読みました。
「青い部屋の章」に登場した濃青い花の殺しの匂いが..どこに再び登場するのか..その地雷は不発のままに終わって残念..
なんだかもっと構想があったのに慌てて終わった感があります..
ちょっと..いや柴田さんだけに相当消化不良...

★☆☆


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恋愛の解体と北区の滅亡


前田司郎 講談社

この人の小説面白いって聞いたのですけどね..
好き嫌いの要素が大きい
独り言の多い小説は始めは良いけれど飽きてきます。
162Pたらずですが読んでて飽きました。

★☆☆
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とんび


重松清 角川書店

重松清さんと同い年です。
初めて読んだ「流星ワゴン」よりも泣けました。
参った..降参..

他界した父も今年で七回忌です。
ヤスさんほどではないけれど
大工だった父も不器用な人でした。

「ニンニクと焼酎のカレー」は泣きながら笑いました。

★★★
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1Q84


村上春樹 新潮社

Book1を読んで連休を待っていました。
一気に読みたかったので..w
ねじまき鳥(同じ1984年が舞台)以来の村上春樹でした。
大騒ぎしているモノに手を出さない派の僕としては珍しい..w
たしかに200万部売れたから2万部よりも100倍面白いわけではないですが
過去の1984年に成りえたかもしれないもう1つの1Q84..
スプートニクの恋人以来のBoy Meets Girl小説の枠を超えた名作だと思います。
僕にとっての1984年も単なる1983年の翌年や1985年の前年ではない1984年があります。
その年は学校という教育現場から会社という職場に出て行った年。
アップルがマックを発表し、ロス五輪が成功し、グリコ森永事件が起こった
21世紀に向かって突き進む年でした。

この作品で感じたのは「永遠に巡り会う事のない人」と「もう二度と会えない人」の
圧倒的な違いによる悲しさでした。
何度もルビコン川を渡りながら青豆は天吾を求めた..
公園のシーンは悲しかったです。


最後にBook2 終わりと書いてあります..
(上)(下)ではなく Book1 Book2
1Q84が終わったのかBook 2が終わったのか..

★★★


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新世界より(上)(下)


貴志祐介 講談社

「ハリーポッター」の好きな人は似ていると×
「ハリーポッター」の嫌いな人は似ていると×
グロテスクな生き物が苦手な人も×
僕の様なSFに慣れていなくて、あまりにも大嘘で
なかなか頭の中に絵が描ききれない人も苦手かも..

良い作品なんでしょうけどね..

★☆☆




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1Q84 Book 1


村上春樹 新潮社

Book 1を読みました。
スッと入れて読みやすいです。
奇数の章「青豆」偶数の章「天吾」ふたつの物語が交互に進みます。
普段は苦手なパターンです..
試しに奇数の章だけ読んでみましたが、なんとなくしっくりこない..
青豆を読んでいる時に天吾の章を..
天吾を読んでいる時に青豆の章を消化しているのでしょうか..
いずれ物語が繋がる予感を感じながら..

「村上風に飽きた..」とか「角が取れてつまらない..」「がっかり..」とか
印税8億円として見たら「そうでもない..」と言う感想かも知れませんが
ベストセラーでも売れない本でも一冊の本に個人が払う価格は同じ..
その一冊の本の価格に対しての評価でいいと思います。

小さな嘘をつかない大嘘の中のリアル感はさすがです。

★★☆





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IN


桐野夏生 集英社

マスクの次はネットでも入手困難な「1Q84」
64冊所蔵していても神戸の図書館は1155人待ち...W
でも別の図書館では1冊しかないのに110人待ち..W

大騒ぎしている「1Q84」とほぼ同時に発売された小説
桐野さんとの出会いは衝撃の「OUT」でした。
ドラマにも映画にもなった私の中の名作
外に向かって行く「OUT」の正反対で自分の中に向かって行く内容
※注意同じ荒涼たる魂の遍路ですが続編ではありません

真実は、真実ではない。真実と思えたものを書いた時点で、
それはフィクションになる。
それを知っている作家は、真実と思える物を魅力的に、そして面白く書く
そのために真実に間違えられるフィクションが必要、
だから作品はすべてフィクションである..

作品の中の一文です..
この部分が余計に桐野さんと主人公「鈴木タマキ」が重なります...W
「○子」をA子としない事で顔の真ん中にぽっかり開いた空間の様で
リアル感のある..そして存在感の無い人物になっていて
上手いなと感じました。

面白かったです。

★★★
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