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オッペンハイマー財閥(ロスチャイルドGr)

2022-09-09 17:37:27 | 国際政治・財閥

6月が婚姻の守護神ジュノーにちなんでいることから、この月に結婚する花嫁は幸福になれるという言い伝えがヨーロッパにあり、それが「ジューン・ブライド」と呼ばれています。

その花嫁の左手の薬指に輝くマリッジないしはエンゲージ・リングは、ダイヤモンドが多く、近年、日本ではその八割方がダイヤモンドのようです。


何故、結婚するときにダイヤモンドが使われるのでしょうか? それはルネサンス時代のベネチアで、悪魔を祓う石とされていたダイヤを婚約者へ贈る習わしがあり、そこからきているという説が有力です。

日本では、戦前までこのような習慣はありませんでした。 これを日本に定着させたのは、デビアス社(本社・南アフリカ、マーケッティング本部・ロンドン)とされています。


同社は1967年頃から派手なキャンペーンを打ち、それをきっかけにして次第に定着し、1980年代前半には、早くも結婚する女性の6割がダイヤの婚約リングをしていました。 

また、通常の宝飾品でも、デビアス社は住友商事と合弁でオリエンタル・ダイヤモンド社を設立し、ダイヤを飾った指輪やネックレスなどを販売しました。 特に20代、30代の女性向け宝飾品に力を入れ、比較的低価格でデパートなどで販売し成功しています。




宝飾ダイヤの世界市場に君臨

実は、販売だけでなく世界の宝飾用ダイヤ産出額の50%以上を占めるのが、セシル・ローズが設立したデビアス社です。 

同社はまた、南アフリカ共和国に所有する同社のプレミア鉱山をはじめとする各鉱山に加え、ボツワナ、ナミビア、タンザニア各国政府と共同運営する鉱山から産出されるダイヤの原石取引をほぼ独占的に支配してきました。


そして、このデビアス本社に加え、ダイヤ原石の販売を支配する中央販売機構(CSO)、さらにアングロ・アメリカン(AAC)社など世界的に名の通った企業群を、事実上支配していたのがオッペンハイマー一族です。 

この一族は、ロスチャイルド家、シフ家と同じく、ドイツ・フランクフルトのユダヤ人ゲットー出身で彼らは婚姻関係にありますが、家の格としては、もともとオッペンハイマー家が格上です。


このAAC社は、石炭、同、金、プラチナなどを生産し、日本の三井物産などとも取引があり、オッペンハイマーは、1999年には非鉄金属業界の国際的な再編の潮流のなかで、AACと金関連企業ミノルコ社との合併を成功させ、これで一族は、総合非鉄金属業界において世界でもトップクラスの企業を有するビッグ・ファミリーとなったことになります。

「南アフリカの星」と称されるオッペンハイマー一族のリーダーは現在二人います。 一人はデビアス社会長で当主格のニコラス(通称ニッキー、1946-)。 国際的実業家として鳴らした人物ですが、彼はまた2000年に91歳で死去した前当主ハリーの息子でもあります。 


ロンドンに本拠を置くCSOは、原石の選別・評価・卸しの役割を担っており、ここではアンソニー(1937-)が社長です。

彼はCSO入社後、やはり系列のダイヤモンド貿易会社(ダイヤモンド・トレーディング・カンパニー)の責任者としてアフリカ関連業務を統括してきました。 また、ロンドンのデビアス社の社屋建設責任者も務めたという経歴の持ち主です。


1989年には、業界への貢献度が大きいとして、ボードワン・ベルギー国王の指示によって、アントワープ市長よりレオポルド2世の称号を受けています。

 




初代当主アーネスト、デビアス社のオーナーとなる

何故、南アフリカに偏在してダイヤモンド・金・白金・パラジウムなどが大量に産出するかといえば、約20億年前に地球史上最大の隕石が落ちてきて、そのエネルギーが原因です。

世界のダイヤモンド市場を押さえ、かつ南アフリカに、金をはじめとする総合非鉄ビジネス・コンツェルンを築きあげたのは、ハリーの父で、現当主ニコラスの祖父にあたるアーネスト・オッペンハイマー(1880-1957)であります。 

そもそも南アフリカにダイヤモンドの有力鉱山があるらしいという話は、18世紀後半から19世紀にかけて、欧州の人々の間で盛んに取り沙汰され、野心家たちがさかんにこの地を目指しました。 

その中の一人に、後に南ローデシア(現ジンバブエ)の国名の由来となったとされるイギリス人セシル・ローズ(1853-1902)がいました。

彼は17歳で南アフリカに渡って鉱山で働くようになり、1881年になると、ロスチャイルド家の援助を受けデビアス鉱山会社を設立しダイヤの採掘を始めました。 

さらに1888年になると、ライバルのキンバリー鉱山を買収し、今日のデビアス社を設立しました。 ローズはその後、政界に進出してケープ植民地首相にまで上りつめます。


ローズが南アフリカで権勢を誇っていたころ、ドイツ系のアーネスト・オッペンハイマーは、ロンドンのあるダイヤ取引業者に丁稚奉公のかたちで勤めました。

やがてアーネストは小金を懐に南アフリカに渡り、1917年には、37歳で前述のアングロ・アメリカン社を設立。 そして第一次大戦後には南西アフリカでダイヤモンド鉱山を入手し、ダイヤモンドの生産者に加わりました。


この頃になると、すでに勢いがなくなっていたデビアス社の有力鉱山の買収にとりかかり、1926年にはデビアス社の役員になり、さらに1929年、ついにアーネストはデビアス社のトップの地位を得て、今日のオッペンハイマー流統治の原形を整えました。




ダイヤの格付けシステムを確立

当然のことですが、ダイヤも鉱山から掘り出した原石のときは、単なる石ころにすぎず、文字通りダイヤモンドとなるには研磨・選別・流通という過程を欠かすことはできません。 

これらのプロセスを通して初めて宝飾用ダイヤとなります。しかも、それには信用が求められ、そのためにしかるべき機関の保証書のようなものが必要となります。 

この機関が前述のCSOであり、その基礎をつくったのがアーネストです。 これによって、新しい鉱山が発見され多量のダイヤモンド市場に出回っても値崩れを起こすことがなく一定の価値を維持できます。


CSOは、ダイヤの原石を年間10回行われる「サイト」と呼ばれる独特の取引で、世界の限られたディーラーに販売します。 ロンドンの本社で開かれるこのサイトでは価格はCSOが決め、ディーラーは原石の入った箱を買うか買わないかだけを選ぶことが出来ます。

「ノー」という事は可能ですが、その場合は、次回のサイトに招待されないことを覚悟しなければならないと言われます。CSOはダイヤの価格維持をそれだけ徹底して行っているということであります。 さらに、世界中のダイヤ市場を監視し、市場外取引にも目を光らせ注意を怠りませんでした。

アーネストは、こうしてダイヤや金など貴金属を、鉱山から市場まで一手に握るシステムをつくりあげましたが、これをより高度化させたのが、二代目当主ハリーです。

ハリーは、南アフリカのキンバリー生まれですが、ロンドン育ちでオックスフォード大学出身というエリートです。 第二次世界大戦中は軍務に就きましたが戦後、下院議員となり政界にに入りました。

 アーネストの死去にともない1958年には政界を引退し、ハリーは実業界入りします。 世界を見渡してもダイヤや金の産出国は限られますが、ロシア・オーストラリア・ブラジル・カナダ・インドなどでも有望鉱山が発見されています。


ハリーがとくに気遣ったのが旧ソ連の動きでした。

ロシアとなった現在でも産出量は多いですが、旧ソ連時代は国内経済が不振になると、ダミー企業などを使って、ロンドン、ドバイ、シンガポールなどで保有のダイヤや金を密かに売却するケースが多かったからであります。

ときには、ダイヤ研磨技術の練度を上げるため、非公式に旧ソ連の技術者がハリーを訪れることもあったようです。


ハリーは国際的な実業家として活躍する一方、国内で非鉄金属関連企業をはじめ銀行や化学会社の株式を積極的に買い集め所有しました。

一時はヨハネスブルグ株式市場の時価総額の40%をオッペンハイマー一族系企業が占めるといわれました。 

また、ハリーは事業家としてばかりでなく、ケープタウン大学の学長に就任したり、人種差別政策(アパルトヘイト)に一貫して反対したことでも知られています。



ダイヤをめぐる国際情勢が流動化

こうして世界のダイヤモンド市場を支配してきたオッペンハイマー一族およびデビアス社ですが、近年、彼らにとって頭の痛い課題がでてきました。 

それは世界四大カッティング・トレーディングセンターの一つであるベルギーのアントワープで、アンゴラ産原石などが出回っているという懸念です。 


事実、2000年に国連の安保理で明らかになったところによれば、アンゴラの反政府勢力が非公式ルートでアントワープにダイヤを流入させているといいます。 

アンゴラ産ダイヤは良質で加工業者からの需要も大きいため、この動きが広まると、長年安定的に推移してきたダイヤの価格体系に悪影響が出かねません。 

このように、近年ではダイヤをめぐる動きが複雑化し、またカナダやオーストラリアなどの産出量も増えてきました。

そのため、かつてはダイヤ原石取引市場のほぼ90%を占めていたデビアス社およびCSOのシェアが70%を大きく割り込むようになり、独占的に支配していた供給体制が機能しなくなりました。 

こうした新しい状況に対して当主であったニコラスは2000年7月に「デビアス社はダイヤの供給量を調整する市場の後見人の立場を降りる」と宣言しています。



しかし、この新たな事態に対し、デビアス社も手をこまねいていたわけでもありません。 

一つは自社ブランドを確立するために2001年はじめには、フランスの「ブランド帝国」として知られるLVMH (ルイヴィトン・モエ・ヘネシー) 社と提携して合弁会社を設立したことであります。 

これは宝飾品の小売り分野に進出することを意味し、これまでのダイヤ原石だけの商売だけでなく一般消費者向けのビジネスも志向することを意味しています。

また、同年5月には、「デビアス社が再び同族会社に」というニュースが流れて一般投資家を驚かせました。

デビアス社は1893年から株式を上場していましたが、108年ぶりに同族会社に戻ることが決まり、ロンドンとヨハネスブルグの証券取引所から姿が消えることになりました。


これはオッペンハイマー家がAAC社などと共同で187億ドル(約2兆円)の巨費を投じてデビアス社を買い戻したものです。 

この奇策は、株価の低迷に対応するだけでなく、デビアス社を一族の事業として原点に戻すことをも意味し、それだけに。今後のデビアス社ならびにオッペンハイマー家の動向には注目が集まっています。

人々が目を輝かせるダイヤモンドの背景では、企業や国家や財閥 思惑が複雑に絡み合い、今後もさまざまなストーリーが生まれる事でしょう。



 

LVMH (ロスチャイルドGr)
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デュポン財閥
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