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世界大戦の主原因は石油 パナマの覇者

2023-03-31 03:33:56 | 麻薬・阿片・石油

 

世界大戦の主原因は石油 英国監督油田会社の正体
https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/11734cee89b686d7d8892f9c9a252ff5
からの続き

 

この危険地帯に於ける英国の帝国主義的野望は、既に実現の機運に向いていました。 コロンビア政府および内閣は、エイツとの契約に署名するまでになっていました。契約が成立すれば、日ならずして英国の海底の土砂をすくい取るための船は活動を開始する手配になっていました。 かねて同国に潜入していた米国のスパイが、このエイツの陰謀を見逃すはずがありません。 

彼らはアトラト河盆地が運河開削に適した土地であることも知っていましたし、しかも、エイツ借地中には石油の無い事実をも知っていました。彼らは驚いて米国政府に通牒したのです。英国は絶好の機会を掴んでいました。祖の頃米国政府は他の事に気を奪われていました。ケロッグ国務長官はメキシコのカイエス大統領に対して爆弾声明をつきつけ、米国新聞は対メキシコ開戦を煽っていました。

ニカラグアには暴動が勃発していましたし、ハイチの暴動には米国海兵さえも手を焼いていました。そればかりかリオ・グランデからティエラ・デル・フェゴに至るラテン・アメリカ諸国は、米国の侵略的政策に対抗して騒然としていました。

この間、英国側から投げるプロパガンダもあって、ラテン・アメリカの小国の不穏状態はいよいよ濃くなり、米国はコスタ・リカに於けるように、対英威嚇のために軍艦を派遣することもできませんでした。 しかも米国の圧迫に悩むラテン・アメリカ諸国の立場に対し、民族的に同情を抱いているコロンビアです。 もし米国が従来のように実力を行使したら、コロンビアもまた反米の火の手を上げる危険性が多分にありました。

賢明な米国は決して自分から火中の栗を拾うような愚をしませんでした。 コロンビアに於いては、大統領も閣僚もエイツとの契約締結を急いでいましたが、同国の憲法によると、この種の契約の締結には上院の協賛を必要としています。 そして、上院議員に反対派の者がいると知るや、米国国務省は反対派の巨頭、全土木省大臣ラウレノ・ゴメス博士を動かして、エイツ契約に対する猛然と反対の火の手をあげさせました。

ゴメス博士はエイツ契約中に「交通機」建設に関する条文のあるのを指摘し、英国がアトラト運河を計画していることを暴露し、反対論を弁じました。彼が反対の論点を運河開削問題に集中したのは賢明でした。 

コロンビア国民は、以前に運河問題では手痛い目に会っています。 彼らは米国の圧力にあって、パナマ運河地帯を奪い取られた恨みを忘れていませんでした。 そして、その当時の米国大統領の吐いた、次のような不遜な言葉もまだ記憶に残っていました。

 

『余は運河地帯を奪い、これを会議に諮っているが、会議に於いて議論が進められている間も、運河の工事もまた進められているのである。・・・もし必要とあれば、余はコロンビアの反対を無視して工事を進コロン日sのを会議に提出する用意を持つ者である』

 

コロンビアの国境は、現在より遥か北にありました。 パナマ運河よりも北にありました。それが米国大統領セオドア・ルーズベルトの野心によりパナマ諸県に独立の火の手が上がったのです。 そして米国の援助によってパナマ諸県はコロンビアから奪い取られ、そこに新たにパナマ共和国が成立したのです。

パナマ共和国はその独立を援助してくれた代償として、運河地帯を米国に譲渡したのです。 この日の恨みはコロンビア国民にとって、永遠に忘れる事の出来ないものでありました。 コロンビア国民の反米感情はここに根差しています。

米国のオイルマンはこの反米感情のためにコロンビアで活躍できないので、ハーディング大統領に進めて2,500万ドルの賠償金を送って機嫌をとりましたが、依然として従来の感情が氷解したとは言えませんでした。米国にとって、パナマ付近に他の敵対的運河が建設されることは黙視できないことでした。

ましてや、相手が英国であるとはいえ、外国政府の支配権がパナマ運河に近接して存在することには我慢が出来ません。それより数年前のこと、日本政府がメキシコのマグダレナ港に借地権を得ようとしている報が入った時、米国政府はむきになって反対しました。

『重大なる利益関係にに臨みとか』『国家間の友諠を脅し』とかいう語句を持った声明を発表しました。

運河から遠く離れてマグダレナ湾についてさえ、こうであるのに、眼と鼻の先にあるコロンビアの問題について関心を持っていない筈がありません。 米国が先にニカラグアに武力的圧迫を加え、英国およびデターディングに扇動されて蜂起したというサンディノを抑えニカラグア運が解説の権利を得たのも、これを建設する事よりに外国に権利を奪われることを恐れたためでした。

こうした従来の米国の政策から見ると、米国は当然コロンビアの対英租借地問題について、一言挨拶がありそうなところですが、米国は奇怪な沈黙を守り続けました。 『ゴメスに任せておけ』といわんばかりに傍観的態度をとりました。

この米国の不可解な沈黙に、英国は作戦の裏をかかれた形で、次の手を打つことができませんでした。 もし予想したように米国が高圧的手段に出て武力を行使する態度に出れば、コロンビア国内の世論を反米に導き、その間にあって英国は漁夫の利を占めることが出来た筈でした。

しかし、予想外な米国の態度に、英国はコロンビア国内の世論を有利に導くために別の手段を取ったのです。 それは金の力でコロンビア政府を動かすことでした。ちょうどその頃、ある英国会社とコロンビア政府との間に、鉱山の損失に関する賠償問題が将棋されていました。

会社側は1200万ドルを要求しているのですが、もしエイツ契約の締結に合意するなら、半額の600万ドルで手を打つ条件を持ち出したのです。 しかし、コロンビア国民はこの屈辱的申し出に対して憤激しました。 ゴメス博士はこれを利用して再び猛然たる反英運動をおこしました。 英国はまたしても、この提言を撤回しなければならなくなりました。そして、エイツ契約を断念せざるを得なかったのです。

 

次の投稿 「カリブ海のバルカン化」に続く

 

 

 

 

(参考 本件、石油の話、今までの投稿)

 

世界大戦の主原因は石油 英国監督油田会社の正体https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/11734cee89b686d7d8892f9c9a252ff5
世界大戦の主原因は石油 パナマ運河 英国 vs 米国

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