世界大戦の主原因は石油 南米の独裁者・ゴメス
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からの続き
キュラソー島にそびえるシェル製油所は、カリブ海沿岸の石油地帯のみならず、米国との前哨戦であるパナマ運河に対する、英国攻勢の散兵線’(さんぺいせん:敵弾による損害を避けるため、散兵で形成する戦闘線)となりました。
デターディングが、この航海上の要衝に石油販売の網を広げようとしている時、英国の後援者達はそれより遥かに野心的な計画めぐらせていました。 彼らは、この運河を軍事的に利用しようとしていました。 万が一、戦争が勃発し英・米が敵味方となって戦うことは、誰も考えませんが、しかし明らかに一つの計画が進められていた事実は否定できません。
事実、カリブ海は石油業界のバルカンでした。石油をめぐる利権争いが、英・米戦争を勃発させる危機点にまで沸騰させてた一時期があったことは忘れてはなりません。 パナマ運河に対する英国の態勢は世界大戦直後,米国の眼が他に向けられている時、先ずコスタリカにおいて示されました。
コスタ・リカとは「富める海岸」という意味を持っていて、同国に石油が豊富であることは、英・米ともに知っていました。 米国の技師や官史は既に10年前から探索に従事していましたし、英国人は1914年頃に眼をつけ始めました。 そして米国人は、まだ事業は開始していませんでしたが、重要な開発権を獲得していました。
1918年、米国の試掘者に対抗するため、アングロ・ペルシャン(英・イラン)会社の姉妹会社というべき不思議な会社が設立されました。英国監督油田会社(ブリティッシュ・コントロールド・オイルフィールド)とう名前を持った会社です。
これは、アングロ・ペルシャン石油会社と同じく、英国政府直轄の会社ですが、アングロ・ペルシャンが直接政府に支配されているのに対し、新会社にヴォンティング・トラストという簡単な機構下に政府の監督を受けていました。 評議員が会社の監督にあたり、その評議員は政府によって任命されるという仕組みです。
この新会社はコスタ・リカ大統領ティノコを動かし、パナマ国境に接している地方に700万エーカーにわたる米国は、英国の利権獲得を目して、モンロー主義の侵犯であるとし、特に英国の獲得した地域が、以前米国人が開発権を得ていると抗議を提出しました。
しかし、抗議は何の効果をも、もたらしません。そこで米国は別の手段を講じました。ティノコ大統領は非立憲的手これに対して英国はささとティノコ政権承認の態度に出ました。 そして英国の艦隊はコスタ・リカ諸港を訪れて愛嬌を不利まけば、米国は黙然として睨みつけてるという状態でした。
もちろん、英・米両国民は戦争のことなど夢にも考えていませんでしたが、両国海軍は黙々と睨みあっていました。ワシントン政府は巧妙な手を打ちました。 ラテン・アメリカ諸国で幾度か成功した手ですが、ティノコの反対派を動かして革命を起こさせtのでした。
愛国主義、立憲主義、これはいつも反逆の好名目となります革命は成功しました。そして、コスタ・リカ政権は、英国に対する開発権を取り消してしまいました。
英国の艦隊はどこかに立ち去りました。おそらく英国は米国のモンロー主義に抗することが不利であることを認識したものと思われます。 そして、米国の艦隊もまた引き揚げてしまいましたが、それから二年の後、パナマ共和圏とコスタ・リカの間に国境紛争が勃発しました。
両軍は衝突して砲火は国境に赤く上がりました。そして米国は自ら調停に乗り出しましたが、胸に一物ある米国はコスタ・リカの要求を受け容れて国境を画定しました。 コスタ・リカは米国の寛大な措置に感謝し、その代償でもあるかのようにオイルマン・ドーニーに対しては900万エーカー、ハリー・シンクレアに対しては、やや小範囲の開発権を与えました。
パナマ劇の一幕は、これであっけなく幕となります。英国進撃の方向は、明らかにパナマ運河であったにもかかわらず、表面はあくまで石油と関係があるようになっています。 英国に言わせれば、この作戦はメキシコあら中部アメリカに伸び、チリ、アルゼンチンのアンデス山脈に至るまでの開発権獲得の一部をなすものであると言いますしかし、米国海軍ではそう簡単に片づける訳にはいきません。
しかも、今まで正体がはっきりしない英国監督油田会社は、その正体をおし隠すことができなくなり、遂に1925年、その仮面を脱ぎ捨てざるを得なくなりました。 そして、その結果、この会社は単に石油のよって利益を得るだけでなく、それ以上の大英帝国主義的色彩を持っていたことが明らかになってきました。
次の投稿は、英国監督油田の正体です。
(参考 本件、石油の話、今までの投稿)
世界大戦の主原因は石油 南米の独裁者・ゴメス
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世界大戦の主原因は石油 メキシコは燃えているか 血と金と女を求めるタンピコ
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世界大戦の主原因は石油 サン・レモ協定、米国の危機
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世界大戦の主原因は石油 英米 vs ソ連(ロシア)
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第一次世界大戦 本当の主原因は石油
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