Renaissancejapan

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デュポン財閥-8 原子力爆弾そして水爆

2023-12-10 20:21:50 | 国際政治・財閥


デュポン財閥の創始者 エルテール・イレーネ・デュポン(1771-1834)

 

 

ナチス・ドイツのヒトラーが自殺し、共和党のバックにいる、ロックフェラーGrの兵器会社・ボーイングのB-29が、二hンの全土そして東京全体を焼け野原にし、ボーイーングの機種名・エノラゲイが日本の広島・長崎に原子爆弾が投下され第二次世界大戦は終わりました。

ちなみにB-29のBはボーイング社の意味です。

 

第二次大戦が終わって国際連合(国連)が、ロックフェラー主導で設立されます。 現在、ニューヨーク(NY)に建っている国連本部ビルの土地はロックフェラー財閥のもので、一部NY市が提供した土地です。

そして、何故か国連の安全保障常任理事国にはソ連と中国の共産主義国家を入れ、彼らに拒否権を与えて今日の世界政治の混乱をもたらしています。

何度も言いますが、第二次大戦で中国の果たした役割は???であり、世界の最貧国の中国に巨額の資金援助を行ない今日のような化け物のような中国を創ったのは共和党とそのバックにいるロックフェラー財閥です。 

1972年2月、共和党のニクソン大統領が訪中し、毛沢東主席と北京で首脳会談を行い、巨額の資金援助・技術援助・一つの中国(台湾は中国の領土)を認めたのが起点です。

 

 

しかし、戦争は終わりましたが、アメリカの「死の商人」の前には、新しい道が開けました。それは核兵器英産の分野です。

1946年に「原子力法」が制定され、この法律に基づいて「原子力委員会」(AEC)という国家機関が創設されました。

 

1947年1月、AECは陸軍から「マンハッタン・ディストリクト」計画を受け継ぎました。引き継ぎの際、明らかになったことは、過去7年間に原爆生産に投下された経費が22億ドルという巨額に達していた事です。

その後、「米ソ・冷戦」が展開されるに及びますが、原子力予算は、先ず年額10億ドル台になり、20億ドルをも超えました。

「一つの新しい巨大産業が出現した。それは初めてヴェールを脱いだその時から既に巨体であったが、やがて体全体が成長し,単一の産業としては、現代最大の産業に成長いている」と1948年末、当時のAECの委員W・W・ウェイマックは原子六産業の巨大なスケールについて述べています。

 

原子力産業は、「死の商人」にとっては、もっともすばらしい活動分野でありました。 何しろ、その規模の大きさです。年額20億ドル以上もの巨費が建設や運営のためにばら撒かれます。

その設備と言えば、USスチール、ジェネラル・モーターズ(GM)、フォード。クライスラーの4つの巨大企業を合わせたよりも大きく、数十万の技術者、労働者を擁しています。

 

ところで、この土地・建物・機械などの固定設備はもちろん、AEC、つまりアメリカ国家がまかないます。 その建設・運営はデュポン、ユニオン・カーバイド・アンド・カーボン(ロックフェラー財閥系)やジェネラル・エレクトリック(GE、モルガン財閥系)のような巨大企業に任せられます。 

ちなみに、ロックフェラー、モルガン共に、共和とバックにいる財閥で、俗にいうアメリカを支配しているWASP(ホワイト・アングロサクソン・プロテスタント)です。


建設・運営を引き受ける会社は自社製品を優先的に売り込み、据え付ける特権を持ち、運営の代償として「生産費+手数料」の原則でAECに請求して支払いを受けます。 この「手数料」は純然たる利潤であるとAEC担当者ですら認めています。

 

このほか、運営に当たっていれば、科学技術上の機密が自然に入手できます。これらの機密は、将来原子力産業が民間に開放される場合には、ごっそり頂くことが出来ます。

「死の商人」にとって、こんなぼろ儲けの分野がかつてあったでしょうか。 ジェイムズ・アレンが「原爆崇拝の陰で景気の良い一つの商売が行われている。それは国家の権威をまとい、えせ愛国主義の霊気に包まれているが、いうなれば『ぼろ儲けの商売』である。 しかも、この事業の目的たるや殺人でしかない」と慨嘆していているのも当然です。

(James Allen: "Atomic Imperialism - the State, Monopoly and the Bomb ", New Yor,1952)

 

原子力産業は「死の商人」にとって、このように魅力的なものであったから、その分け前をめぐる「死の商人」の癒着、競争は激烈を極めました。 デュポンは「マンハッタン・ディスティンクト」では原子力産業に先鞭をつけましたが、戦後モルガン財閥の激しい食い込みにあって、一時は苦杯をなめました。 

モルガン系のGEはハンフォードのプルトニウム工場の経営権をデュポンから奪取したからです。

 

 

水爆工場建設とビキニでの実験

しかし、デュポンに再び春がめぐってくる日がやってきました。 1950年1月31日、トルーマン大統領は。アメリカの原爆所有独占を打ち破ったソ連に目に物をみせようと水爆製造命令を下しました。

その年(1950年)の8月2日、AECはデュポン・ド・ヌムール会社に水爆製造工場の設計、建設、運営を一手に任せる決定をおこないました。

デュポンが引き受けたこの水爆工場は、アメリカ南部のサウス・カロナイナ州のサヴァンナ河流域に建設されました。この「サヴァンナ・リヴァー・プラント」は、同州アイケン、パーンウェル両部にまたがる25万エーカーの広大な土地に、実に10億ドルの巨費を投じてつくられたものです。

こうしてつくられた水爆が1954年3月1日、ビキニで爆発実験成功。

 

 

 

(関連情報)

 

・デュポン財閥-1  概要
https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/5226329b578cb7902e701c57de715b54

・デュポン財閥-2 フランス革命とデュポン
https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/7211f4344bd946895ce4ad7ebc3960b6

・デュポン財閥-3 大化学会社への成功
https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/6f831974d28087140f9c05d7d2cef1ca

・デュポン財閥ー4  火薬トラスト
https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/07f92b3459f7715d44c1e0b82d049c4e

・デュポン財閥-5 吊るしあげられたデュポン
https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/a7f93c98d714c8a95aa4a0b750c568ac

・デュポン財閥ー6 デュポンはナチスを助けたか
https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/95f2faf8b9eef20d697850d4b17e80ce

・デュポン財閥-7  一年一ドルで国家に奉仕
https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/e0a8b6bfc2a62e31574a9e9d603b6844

・デュポン財閥-8 原子力爆弾そして水爆https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/375baf137700633acd6eb73fb735fb98

 

・風と共に去りぬ(映画)風と共に去りぬ(映画)と「死の商人」https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/2a19d81e462bc6efd2808d9312146efd

 

 

 

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リンテックやAGC、先端半導体材料を開発 後発組が猛追

2023-12-10 20:04:33 | エレクトロニクス・自動車・通信・半導体・電子部品・素材産業

粘着紙大手のリンテックは高度な半導体の製造に必要な保護膜の分野に参入する。AGCは微細な電子回路を作るのに使う絶縁フィルムを開発し事業化を目指している。最先端の半導体向け材料では技術力に優れた先発企業が寡占状態にあるが、耐久性などを向上させた後発組がシェア獲得を狙う。

 

 

リンテックが開発したのは半導体の回路の原版(フォトマスク)を保護する「ペリクル」向けの新素材。

半導体ウエハーに回路を描く際、原版に傷やホコリが付着するのを防ぐ役割を担う。この工程の生産性向上に欠かせない部材だ。

極端紫外線(EUV)露光装置は回路の線幅が微細な半導体を製造するのに使う。生産性の向上や微細化には光の高出力化が必要で高熱が発生することから、ペリクルの耐熱性を高める必要がある。

リンテックは高温で化学変化や強度低下が起こりにくいカーボンナノチューブ(CNT)を使うことで、耐熱性をポリシリコンを使った従来品よりも2倍超に高めた。2025年度までに約50億円を投じて量産体制を確立し、周辺材料と合わせて数年で300億円の売り上げを目指す。

 

ペリクルは1984年に参入した三井化学が世界シェア首位で、22年に競合の旭化成から事業を取得したことで先端品向け市場をほぼ独占している。リンテックは性能をアピールし、後発ながらシェア獲得を狙う。

味の素がほぼ独占する、回路を多層化する際に使う絶縁フィルムに参入を検討しているのがAGCだ。このほど従来のエポキシ樹脂ではない素材を使ったフィルムを開発した。

 

絶縁フィルムは多層化した半導体基板で電気を精緻に流すために必要な材料だ。AGCの開発品は電気を通しやすくする伝送性能を高め、通信規格「5G」など向けの高性能半導体での伝送ロスを抑えられるという。26〜27年ごろの事業化を目指し、取引先企業と商談を進める。

半導体部品の保護材の分野に参入するのが東洋インキSCホールディングスだ。先行する米化学大手のダウや独日用品大手のヘンケルなどは液状の保護材を手掛けるが、東洋インキはフィルム状にしたのが特徴だ。

 

電磁波がもれるのを防ぐために折り畳み式携帯のヒンジ部に使っていたフィルムで培った技術を応用した。

液体で加工する場合は基板全体に塗布する必要があったが、フィルムだと部品ごとに保護することができる。米国の半導体メーカーに24年にも採用される見込みで、26年度に売上高20億円を目指す。

 

 

半導体向けの材料は性能評価に時間がかかり、半導体メーカーが抜本的に見直すハードルは高い。

技術の蓄積が肝になるため後発での参入が難しい面もある。ただ、半導体製造の高度化や回路の微細化などが製造方法や材料の大胆な見直しを迫る可能性もあり、後発組にも商機がある。

 

富士経済(東京・中央)は、半導体材料(主要36品目)の23年の市場規模を465億ドルと見込む。そのうち5割を日本勢が占めるとみられる。

日本勢が半導体製造で後退したが、素材各社は世界でもなお存在感を維持している。先発組と後発組の競争が激化すれば、半導体製造技術の発展を後押しすることになりそうだ。

(鈴木麻佑子、藤生貴子)

 

 

半導体

<button class="buttonStyle_bnsd047 button_b1npj8pm lightFollow_l1htvmtg withIcon_wmdj4sp button_b112zex0 text_tmkk1ga icon_iq9yvql" title="トピックをフォローする" data-follow-button="" data-popover-target="follow-button" aria-pressed="false" aria-label="トピックをフォローする"></button>パソコンやスマホの半導体や、電気自動車(EV)に使われるパワー半導体とは。TSMCやラピダス、キオクシアなどのメーカーの動向や供給不足、シェア推移など関連業界や市場の最新ニュース・解説をタイムリーに発信します。

 

 

日経記事 2023.12.10より引用

 

 

 

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絶滅危機の生物、細胞あれば復活? 「箱舟」もとに繁殖

2023-12-10 19:19:09 | 科学技術・宇宙・量子・物理化学・生命・医学・生物学・脳科学・意識・人類史

世界では4万種以上の生物が絶滅の危機にあるといわれる。現代の「ノアの箱舟」を作り、そこにのせた「種」をもとに子孫を育もうという取り組みが進む。環境を壊して絶滅に追い込みながら、先端技術で守ろうとする。人類のエゴはどんな未来を作るのだろう。

 

 

環境省によると、国内には絶滅危惧種が3700以上いる。中でも汽水・淡水魚は開発など環境変化の影響を受けやすく、評価対象の約4割が指定されている。海洋に生息する魚では絶滅危惧種は1%以下であるのと比べて非常に多い。

「生息環境を戻すまでの間をつなぐ『タイムカプセル』を作れば、そこにいた魚を戻せる」。東京海洋大学の吉崎悟朗教授があらゆる魚類を保全する切り札と考えるのが、卵や精子のもととなる「生殖幹細胞」の凍結保存だ。

これまで希少な魚を保護するには、個体そのものを残すしかなかった。ヒトの不妊治療などでは卵子を凍結して保存する方法が使われているが、魚類には適していない。イクラやカズノコのように卵が目に見えるほど大きく、中心まで凍るのに時間差が生じるため凍結保存がうまくできない。

そこで卵になる前の生殖幹細胞に目を付けた。大きさが10マイクロ(マイクロは100万分の1)メートルにとどまり、凍結に支障がない。これをおなかに注入すると、自力で卵巣や精巣に移動して卵や精子になる。近い仲間の魚に移植し、代理の親になってもらうこともできる。

吉崎教授らは絶滅危惧種のミヤコタナゴで生殖幹細胞の凍結保存に成功した。近い仲間のアブラボテという魚に移植すると、ミヤコタナゴの卵や精子ができ、受精すると正常な次世代が生まれた。

 

別の実験では、生殖幹細胞は死後でも24時間以内ならば採取できた。培養でほぼ無限に増えるため、最後の1匹からでも採取すれば種をつなげるかもしれない。乱獲や環境破壊などで絶滅の危機にひんするとき、環境を復旧するまでの時間をかせげる。

哺乳類や鳥類などでも卵子の凍結保存は難しい。受精卵にしてから保存するなどしているが、老いた個体しか残っていないと、繁殖に適した精子や卵子を採取できなくなる。卵子の数には限りもある。

 

 

体の細胞から生殖細胞を作り出せないか――。大阪大学の林克彦教授らはキタシロサイの体の細胞から万能細胞のiPS細胞を経て、卵子や精子のもとになる細胞を作った。そこから卵子を作ろうとしている。

ケニアに生息するキタシロサイは密猟や環境破壊によって野生では絶滅し、保護区にメス2頭が残るに過ぎない。ただ、死んだ個体の体の細胞や精子は保存されている。ここから卵子を増やすことができれば、近縁のミナミシロサイを代理母にして次世代につながる。ミナミシロサイは19世紀に100頭以下まで減ったが、保護活動によって今では2万頭まで回復した。キタシロサイが復活する可能性もまだある。

iPS細胞を使う手法の応用は幅広い。種によって培養条件を整えたり、遺伝子組み換えに当たらない方法を使ったりする必要があるが、多くの生物に応用できる可能性がある。鳥類でも国立環境研究所がヤンバルクイナやライチョウなどで作っている。

気になるのは遺伝的な多様性だろう。数が少ないと偏りがでて問題が起きないのか。林教授は「1頭分の材料しかなかったら、復活できたとしても全てクローンになる。遺伝的な多様性を維持しながら増やすことが大事だ」と話す。

 

 

細胞を凍結保存し「箱舟」を作る取り組みは一部で始まっている。国立環境研究所は02年から絶滅危惧種の細胞を凍結保存する「タイムカプセル化事業」を進めている。すでに環境省のレッドリストに載る127種、約5千個体を保存した。ただ体の細胞がほとんどで生殖細胞はあまりない。様々な種の回復にはiPS細胞を自在に使いこなす必要があるだろう。

絶滅した生物を復活させることは倫理的に正しいのだろうか。「たとえ人の営みによって絶滅したとしても、それで成り立っている生態系に放てば悪影響を及ぼす可能性もある」(林教授)。償いは簡単ではない。  (下野谷涼子、藤井寛子)

 

生物の細胞バンク

動物から採取した体の細胞や生殖に関わる細胞などの試料(サンプル)を保存する施設のこと。世界では、米サンディエゴ動物園野生動物同盟が1975年に設立した施設「フローズン・ズー」が最大で、これまでに約1200種、1万個体以上の体の細胞や生殖に関わる細胞を保存している。
細胞バンクが登場する前は、剝製や標本などで生物のサンプルを残していた。細胞を凍結保存できるようになり、サンプルの使い道は広がってきた。フローズン・ズーを設立した故カート・ベニルシュケ博士は「70年代には想像できなかった利用方法が将来生まれる」と予測していたという。
 
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西村経産相「職責を全うする」 政治資金問題で辞任否定

2023-12-10 17:50:25 | 日本政治・外交


 茨城県那珂市内で記者団の質問に答える西村経産相(10日午後)

 

西村康稔経済産業相は10日、自民党安倍派(清和政策研究会)の政治資金パーティー問題を巡り、自身の進退について「今の時点で何か言われているわけではないので、与えられた職責を全うしたい」と述べた。茨城県那珂市で記者団の質問に答えた。

西村氏は過去に同派の事務総長を務めた経験がある。今回の問題に関しては「責任を感じている。政治不信につながっていることについて、おわびしたい」と語った。その上で「自身の政治資金収支報告書の精査を続けている。いずれかの時点で説明したい」と話した。

 


政治資金のあり方「将来的に見直し」 自民参院幹部

2023-12-10 17:47:32 | 日本政治・外交

自民党の福岡資麿参院政審会長は10日のNHK番組で、自民党安倍派(清和政策研究会)の政治資金パーティー問題を受けて「政治資金のあり方も将来的にしっかり見直していく」と話した。

「自民党の信頼を揺るがす大きな問題だ。抜本的な改革につなげていくため、まずは事実関係を精査していきたい」と述べた。

安倍派の松野博一官房長官らには派閥のパーティー券収入に関する政治資金規正法違反(不記載・虚偽記入)の疑いが出ている。

立憲民主党の田名部匡代参院幹事長は「国民を裏切る行為だ。長年にわたって裏金作りが常態化していると疑われても仕方がない」と指摘した。「捜査を待つのではなく、しっかり自ら説明責任を果たすべきだ」と訴えた。

 
 
日経記事 2023.12.10より引用