演説するゼレンスキー大統領(15日)=ロイター
【ミュンヘン=辻隆史】
ウクライナのゼレンスキー大統領は15日、欧州がロシアから領土を守るために「欧州軍」を創設する案を提起した。バンス米副大統領が欧州との対立姿勢を明確したのを受け、安全保障面での自立が必要だと強調した。
ドイツで開催中のミュンヘン安全保障会議で発言した。米国が欧州の防衛に積極的に関与しない懸念が強まり、米国が中心的な役割を果たす北大西洋条約機構(NATO)の結束が弱まる可能性がある。欧州連合(EU)は独自の軍は持たない。
ゼレンスキー氏はロシアとの戦争が米国主導の「間違った形」で終われば、「プーチン大統領は殺りくと略奪しか知らない戦闘経験が豊富な兵士を持て余す」と訴えた。
北朝鮮がロシアに送った兵士も現代的な戦争に適応しつつあると分析した。
米国の欧州での軍事プレゼンスが低下することに懸念を示した。そのうえで欧州の防衛力を高めるために「自らの未来は自ら決めるべきだ」と指導者らに訴えた。
米欧関係が悪化するなか、欧州内の対立を避けるよう呼びかけた。
米国とロシアが、ウクライナが関与しない形で停戦を巡る「ディール(取引)」をしても「決して受け入れない」と改めて明言した。
停戦後にロシアの再侵略を防ぐ仕組みをつくるためにも欧州の交渉参画が不可欠だと説いた。
ゼレンスキー氏は14日にも登壇した。ロシアとの停戦交渉を巡り、米国や欧州と歩調をあわせた計画を策定できればプーチン氏と会う意向を表明した。同日にはバンス氏とも会談した。
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2022年2月、ロシアがウクライナに侵略しました。戦況や世界各国の動きなど、関連する最新ニュースと解説をまとめました。
日経記事2025.2.15より引用