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太陽誘電社長「AIが切り口、高性能品で反転攻勢」

2025-01-12 06:45:52 | エレクトロニクス・自動車・通信・半導体・電子部品・素材産業


インタビューに応える太陽誘電の佐瀬克也社長

 

電子部品市場に逆風が吹いている。成長分野と見込んでいた電気自動車(EV)市場が減速しているうえ、主力のスマートフォン市場の回復が遅れている。太陽誘電の佐瀬克也社長に打開策を聞いた。

 

 

――11月に2025年3月期の純利益を従来予想から110億円引き下げゼロとしました。

 

「24年は在庫調整で22年後半から急激に冷え込んだ実需が増えてくると見通していた。ただ、中国でスマートフォンや産業機器の需要が戻ってこない。電気自動車(EV)の鈍化もあり、期待するような市場の伸びがなかった」

「中国のハイエンドスマホが低調で最も打撃を受けたのがフィルターなどの通信用デバイスだ。需要がすぐには戻ってこないため、手立てをしないと厳しいとみている。売り上げ規模に合わせて他の事業などに人員を異動する」

 

 

――25年の電子部品市場の見通しは。

 

「人工知能(AI)という切り口は全部の市場にかかわるので期待したい。AIサーバー向けの大容量の積層セラミックコンデンサー(MLCC)の需要が伸びる。AI対応のパソコンでもMLCCの搭載数は通常のと比較して1.5倍になる。全市場を合わせて数%は成長するとみている」

「26年3月期は5年間の中期経営計画の最終年度となる。目標の一つである売上高4800億円の達成は相当厳しい状況だ。そのためその次の中計に向けて固定費をかなり圧縮し、体制を整える」

 

「これまでMLCCを年平均成長率に合わせて毎年10~15%生産能力を増強してきた。現在の工場稼働率が70~75%と生産能力に余力がある。

市場成長率が上振れしても対応できることを鑑みて、足元では工場の稼働率を落とし原材料や電力代などの固定費の圧縮をすることを優先する。24年3月期まで2年連続で赤字のフリーキャッシュフロー(純現金収支、FCF)も来年度には黒字にする」

 

 

――主力のMLCCでは、中韓台勢がシェアを上げています。

 

「要素技術が多い分野であるため、中韓台勢が急激に技術力の差を縮めることはないとみている。中韓台勢のMLCCは容量に関係する中の電極数が基本的に数十枚程度のローエンド(低機能・低価格)のもの。そこには参加したくない。我々が強みとするのは大容量で信頼性の高いハイエンドのところだ」

「太陽誘電はMLCCの外部電極に一般的な銅ではなくニッケルを使う。銅には柔らかさなどの強みがあるが、ニッケルは外部電極を薄くつけることができる特長を持つ。スマホの高機能化などで半導体が高速計算するために大容量のMLCCを基板の中に埋め込むようになると強みを発揮できる」

(聞き手は小西夕香)

 

 


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