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日鉄、設備・雇用でトランプ氏説得へ 近日中に直接対話

2025-02-09 17:57:44 | トランプ政権


 

日本製鉄によるUSスチール買収計画はトランプ米大統領との直接対話という新段階に入る。

7日の石破茂首相とトランプ氏の記者会見では双方が「買収ではなく投資」と強調。首脳間の合意が一般的な投資を意味するのであれば、日鉄が目指す完全子会社化とは開きがある。近日中に予定されているトランプ氏と日鉄幹部の面会の行方が注目される。

 

「単なる買収ではない。米国の会社であり続けることに得心がいくかどうかだ」。石破首相は9日、日本経済新聞の取材に対しこう答えた。ただ、具体的な枠組みをどうするかはなお不透明だ。

首相は近日中に日鉄の橋本英二最高経営責任者(CEO)がトランプ氏と会うとの見通しを示し、枠組みの詳細はその場で詰める可能性が高い。

 

ある日鉄幹部は「枠組みは同じという捉え方だ。USスチールを買っても日鉄の色に染めるわけではない。そもそも本件はUSスチールを成長させるための投資だ」と述べた。

別の関係者は「日鉄米国子会社とUSスチールが合併し、そこに巨額投資することを日本政府に強調してもらった」と話す。USスチールを統合する従来方針は変わらず、打ち出し方を工夫をしたというのが日鉄側の認識だ。

 

首脳会談に向けて日鉄側は、買収額とは別に約束してきた老朽高炉の更新など総額27億ドルの設備投資の上積みを含むとみられる新提案を用意し事前に政府関係者と考えを擦り合わせた。

その考えを石破氏がトランプ氏に伝えたもようだ。伝言ゲームの中で日本側の真意がトランプ氏に伝わったのかは不明だ。

 

一般的に「投資」と言えば、株式を部分的に取得する資本提携や特定事業での合弁を指す場合が多い。日鉄はこれまで部分出資の可能性などを問われると一貫して否定。

6日には森高弘副会長兼副社長が「スキームを変える選択肢はない」と強調したばかりだった。日鉄は100%出資を目指しており、これは過半出資を意味する「買収」にあたる。

 

日鉄が完全子会社化にこだわってきたのは、買収で目指すのが単純な営業エリアの獲得だけではなく、USスチールに対する技術供与を含むためだ。

これが部分出資にとどまり、USスチールが完全に身内にならないのであれば情報漏洩の恐れから技術供与が限定的になり相乗効果が大幅に薄れる。

 

装置産業の製鉄業は設備投資が先端技術に直結する。製造設備をまねされるとすぐに技術で追いつかれる可能性がある。日鉄は、電磁鋼板の技術が流出したとして中国宝山鋼鉄との訴訟を今も続けている。

日鉄は24年3月、USスチールが当時の労働協約で約束した金額の2.4倍にあたる14億ドルを26年までに投資するとの声明を出した。同年8月には27年以降も老朽化した高炉の改修などに13億ドルを追加で投じると発表した。

 

生命線ともいえる自動車鋼板や、環境負荷低減の切り札とされる水素還元製鉄の技術をUSスチールに供与するとしており、総額27億ドルの設備投資にはこうした技術も視野に入れていたとみられる。

今回の首脳会談ではさらに投資の積み増しを提案したもようだ。

 

資金拠出以外にも米国側への配慮は徹底している。公表済みのガバナンス方針では取締役の過半を米国籍として、経営陣の中枢メンバーは米国籍とするとしている。

社外取3人は対米外国投資委員会(CFIUS)に任命権限がある。

 

2024年末に打ち出した主要設備を10年維持するとした約束も、装置産業の鉄鋼業において長期の雇用維持につながる。

雇用維持に直接言及できないのは、米国では医療保険や年金を含む労働協約について労働組合と綿密に交渉する必要があるためだ。

 

仮にトランプ氏の「投資」が部分的な資本提携や合弁事業を意味していた場合、日鉄の買収計画は従来と大きく変わってしまう。

首脳会談での新提案を含めて設備投資計画や脱炭素技術の提供も限定的になる可能性がある。

 

これまで買収に賛同していたUSスチール幹部や従業員、USスチールの立地自治体など多くのステークホルダー(利害関係者)を再度、説得する必要が出てくるかもしれない。

部分出資で日鉄への利益貢献が少なくなれば自社の株主の理解も得にくくなる。

 

とはいえバイデン前大統領が買収中止命令を出し暗礁に乗り上げていた案件に、一貫して反対表明してきたトランプ氏が関心を抱いた時点で一定の成果があったと、日鉄内は前向きに捉えているもようだ。

トランプ氏にとどめを刺されずに日鉄の望みはつながった。交渉の第2ラウンドが始まる。

 

 
 
 
 
日鉄のUSスチール買収

2023年12月18日、日本製鉄が米鉄鋼大手USスチールを買収すると発表しました。買収額は約2兆円で実現すれば日米企業の大型再編となりますが、米国で政治問題となり、バイデン大統領は25年1月3日に買収中止命令を出しました。最新ニュースと解説をまとめました。

 

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日経記事2025.2.9より引用

 

 

 



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