25日、選挙集会で抱擁するハリス副大統領(左)と歌手のビヨンセさん(米南部ヒューストン)=ロイター
【ヒューストン=花房良祐】
米民主党大統領候補のハリス副大統領は25日、米南部テキサス州ヒューストンで集会を開いた。人気歌手のビヨンセさんも参加した。黒人の間で人気の高いビヨンセさんの応援で終盤を迎えた選挙戦のてこ入れを狙う。
テキサス州は人工妊娠中絶を事実上禁止する保守的な政策を導入したことで知られる。投票日まで2週間を切った終盤戦に同州であえて選挙集会を開催することで共和党の中絶禁止政策に焦点をあて、女性票の掘り起こしにつなげる。
ヒューストン出身のビヨンセさんは集会で「私はセレブとしてここに来たわけではない。母として来た」と述べた。中絶の権利の保護を訴えた。
ビヨンセさんは黒人や若者の間で人気が高く、会場となった収容人数約2万人のスタジアムは満員になった。「投票して新しい歌を歌うときだ」とハリス氏支持を訴えると大きな歓声が上がった。ハリス氏陣営はビヨンセさんの楽曲「フリーダム」をテーマ曲としている。
ハリス氏は演説で「トランプ(前大統領)が当選したら全国で中絶が禁止される」と話した。会場では「(妊娠・中絶の選択の)自由のために投票を」との看板が掲げられた。
開場前にはスタジアム周辺で数キロにわたる長い列ができた。最後尾から入場まで約3時間かかった。参加者の顔ぶれを見ると、ほとんどが女性、黒人、ヒスパニック系。白人男性は全体の1割程度だった。
世論調査でハリス氏とトランプ氏は接戦を繰り広げる。ハリス氏については経済・移民政策で有権者の評価が低い一方、トランプ氏については中絶政策が影響して女性の支持率が低い。
トランプ氏が大統領時代に指名した最高裁判所の保守派判事が中絶は合憲とする過去の判決を覆し、共和党が強い州で中絶を事実上禁止する政策が相次いで導入されたためだ。
2024年に実施されるアメリカ大統領選挙に向け、ハリス副大統領やトランプ氏などの候補者、各政党がどのような動きをしているかについてのニュースを一覧できます。
データや分析に基づいて米国の政治、経済、社会などに走る分断の実相に迫りつつ、大統領選の行方を追いかけます。
続きを読む
日経記事2024.10.26より引用