ロシア軍を攻撃するウクライナの多連装ロケットシステム(11日、ドネツク州)=ロイター
米シンクタンク、戦争研究所(ISW)は16日、反転攻勢を続けるウクライナ軍が同国南部ザポロジエ州で一部前進したとの分析を公表した。交通の要衝であるトクマクへの途上にあるロボティネ近郊でロシア軍と激しい攻防があり、ウクライナ軍が前進した可能性が高いという。
ISWはウクライナ軍がロボティネの東部で優勢となり、周辺地域でもロシア軍への圧力を強めていると指摘した。ウクライナ軍はロシアが敷設した地雷原を除去し、戦車や戦闘車両が移動しやすくなっているという。
一方、ロシア国防省は通信アプリ「テレグラム」において、ロボティネ周辺でのウクライナ軍の攻撃を2回にわたり撃退したと投稿し、ウクライナの前進を否定した。
ウクライナ軍は16日、ザポロジエ州との境界に近い東部ドネツク州のウロジャイネを奪還した。参謀本部は17日、同国軍がウロジャイネの南方にさらに進軍し、陣地を構築していると明らかにした。
北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長は17日、ウクライナは時間をかけながらも、確実に領土を奪還しているとの見方を示した。
ウクライナ軍はアゾフ海に近い拠点都市メリトポリに向け、中継拠点となるトクマクの攻略を目指している。ただ、ロシア側はウクライナ側の攻撃に備え、塹壕(ざんごう)や地雷埋設など一帯の要塞化を進めており、ウクライナの前進は当初想定よりも遅れている。
東部ハリコフ州ではロシアが戦力を追加投入し、激しい攻勢に出ている。ウクライナ軍のシルスキー陸軍司令官は16日、同州のクピャンスクを巡る攻防について「戦況は厳しさを増している」と述べた。クピャンスクはウクライナ侵攻直後にロシアが占領し、2022年9月にウクライナが奪還した。
日経記事 2023.08.17より引用