英国が加盟する環太平洋経済連携協定(TPP)の議定書は12月15日に発効
日英両政府は外務・経済閣僚による経済版「2プラス2」を新設する方針だ。
高関税を掲げる米国のトランプ次期政権との貿易交渉で連携する。保護主義の台頭による国際経済秩序の後退に歯止めをかける。日英政府関係者が明らかにした。
石破茂首相とスターマー英首相はブラジル・リオデジャネイロで18日から開かれる20カ国・地域(G20)首脳会議に出席する。その際に設置に向けた合意をめざす。
日本が経済版2プラス2を設けるのは2022年に立ち上げた米国に次いで2カ国目となる。
日本から岩屋毅外相と武藤容治経済産業相、英国からラミー外相とレイノルズ・ビジネス貿易相が参加する。早期に初会合を開く。
トランプ次期大統領は大統領選で、中国からの輸入品に60%、日英などほかの国々からの輸入品には10~20%の関税を課す方針を示した
。日本は23年の輸出の20%、英国は15%を米国向けが占める。関税が引き上げられれば打撃は大きい。
経済版2プラス2では戦略的・地政学的な観点から幅広く議論する。関税の引き上げを避けるための米国との貿易交渉などについても話し合う見通し。実際に関税が引き上げられた場合の対抗措置なども協議する可能性がある。
英国は20年に欧州連合(EU)から離脱した。17年に発足したトランプ前政権の時は加盟国だった。
EUはトランプ前政権による追加関税への対抗措置として米国製の鉄鋼やバイクなどに報復関税をかけた。EUを離脱した英国1カ国では交渉力が弱く、日本と連携する。
英国はEU離脱による経済への影響を補うためにインド太平洋に目を向けた。
環太平洋経済連携協定(TPP)に加盟するオーストラリアやマレーシアなど11カ国は23年7月、英国の加盟を認めた。高度な自由貿易を掲げるTPPへの加盟を後押ししたのは日本だった。
日本にとって英国はTPPを柱とする自由貿易体制を守る上で重要なパートナーだ。日英経済連携協定(EPA)も締結している。
両国は自由や民主主義といった共通の価値観を持つ。経済版2プラス2で連携を強め、自由貿易など国際経済秩序の維持を図る。
経済版2プラス2では産業政策も扱う見通し。
重要物資のサプライチェーン(供給網)の強化のほか、半導体や人工知能(AI)、量子技術といった先端技術の開発などで協力する。脱炭素やアフリカなど第三国への投資でも連携する。
日本にとって英国は同盟関係にある米国に次ぐ「準同盟」国の位置づけで、経済から安全保障まで協力の裾野を広げてきた。
日本は半導体や鉱物資源など重要物資の確保で欧州との協力を密にしており、英国は欧州の国のなかでは最も関係が深い。
(ロンドン=江渕智弘、牛込俊介、三木理恵子)
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日経記事2024.11.13より引用