2025.2.13
今年夏の参院選に向け、タレントの“デヴィ夫人”ことデヴィ・スカルノ氏が犬猫の愛護を訴えるワンイシュー政党「12(ワンニャン)平和党」を設立し、「ニャン・ワン・ニャン」に掛けた2月12日に都内で記者会見を開いた。
御年85歳のデヴィ夫人は、人生の集大成として犬肉食禁止法の制定を国政で目指すと宣言。選挙戦略を練る参謀として、昨年夏の東京都知事選で石丸伸二氏のブームを起こした選挙プランナー・藤川晋之助氏が合流した。 〈画像〉記者会見で上映された、国内で提供されている犬肉料理のメニュー
「一丁目一番地の政策は、犬猫食の禁止法制定です」
永田町のホテルに設けられた会見場では、犬の置物や、数十枚の犬と猫の肖像画が記者たちを出迎えた。奇異に感じられたのは、どの肖像画にも「♯ I AM NOT FOOD」の文字があったことだ。
記者会見では、この言葉の実現が新党の最大の目標だと発表された。 「犬猫は地球上に人類が誕生した時からの伴侶です。動物愛護を第一の使命として、ここに『12(ワンニャン)平和党』の設立を宣言いたします」 そう述べたデヴィ夫人は党の公約になる「犬猫政策」12箇条を発表。
その第一項目に「犬猫の食用禁止の明確な法制化」を置き、「私ども12平和党の一丁目一番地の政策は、犬猫食の禁止法制定です」と強調した。
ピンとこない反応が報道陣の間に広がるのを見越したようにデヴィ夫人は法制化が必要な理由を説明した。 「犬猫を食さないわが国にとっては関心が薄いかもしれません。しかし早急に日本で法律を成立させないといけないという理由は、韓国、台湾、中国の深圳、珠海、インドネシアのジャカルタで犬食が法律により禁止されました。
日本は先進国であるにもかかわらず、犬食禁止が法令化されていないため、(犬肉食の)抜け道、あるいは温床になる可能性があるからです」(デヴィ夫人) たしかに、伝統的に犬肉食の習慣があった韓国
では2024年に食すことを禁じる法が制定されるなど、アジアでは犬肉食をやめる動きが広がっている。 だが、日本で問題になるほど犬肉が食用に供されているのだろうか。 その答えも用意していたデヴィ夫人は「すでに犬食がかなり行なわれており、百軒以上の店舗での提供の実体も報告されております」と述べ、法制化を進めるため、自分も参院選に比例区から出馬する意向を表明した。
「最低でも2議席から3議席、参議院選で取ってみせる」
現在9匹の犬と暮らし、動物関係の慈善事業を行うなど動物愛護にはもともと熱意を見せてきたデヴィ夫人。
今になって政界入りし法制化を目指す心境を「私の人生は戦争、敗戦、クーデター、動乱とまさに波乱万丈でした。その私が人生の集大成として政界に一石を投じようと立ち上がりました」と説明する。
若くしてインドネシアに渡ったデヴィ夫人はスカルノ大統領と結婚し大統領夫人に。そのスカルノ氏は1965年の軍事クーデターで失脚した。デヴィ夫人がいう「クーデター、動乱」とはこのことを指す。
一方、結婚をした1962年にインドネシア国籍をとったデヴィ夫人は、その後の63年間をインドネシア人として生きてきた。
このままでは被選挙権がないことから「今、日本人に戻ろうとして帰化の申請をしております。日本国籍に戻った時点で立候補をしようと思っております」と明らかにした。
実際の選挙戦略に関しては、壇上の端に座った藤川氏に質問が集中した。 「参議院選挙に向けて大きな台風になるのではないかと、ワクワク期待をしています。
私の選挙のプロとしての直感、最低でも2議席から3議席、参議院選で取ってみせる。できれば5議席。
そうすれば政治の中でキャスティングボートになれる時代がきてますから」(藤川氏) 最初にそうぶち上げ、デヴィ夫人の人気で「私の中では200(万票)はなんとかなる。2議席は取ってみせる。
でないと、“選挙の神様”も地位が落ちますんで」と2議席の獲得を保証した。 参院選に出す立候補者の規模を「確実に30(人)くらいは出せるかな、と読んでいます」と説明。
愛犬家の票が多い大都市部を中心に、10人程度は選挙区から出馬させたいとし、これまでに比例・選挙区あわせデヴィ夫人を含め3人が立候補の意志を固めているという。
会見の壇上にはかつて参政党から参院選に出馬した人物も座った。藤川氏はこの人物について「こっち(12平和党)から(次の参院選に)出そうと思っている」と発言。
石丸新党も含めた新興政党の間で、過去に出馬経験があるなど一定の知名度を持つ候補者の“奪い合い”が起きる気配もある。
藤川氏は「僕なんか一時は、犬2匹と猫12匹と暮らしてた」
党の共同代表にはデヴィ夫人と愛犬保護運動を続けてきた実業家の堀池宏氏(65)の2人が就任した。
藤川氏は気になる選挙資金について、デヴィ夫人と堀川氏が党に貸し付け、支持者が増えて献金が集まれば2人に返済していくことを計画していると説明。
「保守党さんも参政党さんも、インターネット時代の政党は結構政治献金集めやすくなったんですね。だいたい平均して2億、3億円集めてるんです。
私の友人のセレブの愛犬家とか愛猫家が意外と結構出してくれそうな気がしますから、かなり集められるのではないかと想像はしています」と見通しを語った。
石丸氏のそばを離れ新党結成に手を貸したことで「石丸ファンからはぼろくそに言われてます。『石丸を捨ててなんでデヴィさんのとこへ行くんだ』って」と笑いをとった藤川氏。
その思いはどの程度のものなのか。 「(自分はプランナーとして)146回選挙やってるんですよ。はっきり言って選挙プランナーの仕事って、『50%くらいの人』を人々の前で100%に見せるという、ある意味ちょっと詐欺的な要素があるわけでしょ。
だけどもお二人だったら、これだけ価値のある人生を歩んでこられた、そしてその蓄積を持ってる人材っていないと思いますよ。
初めてお二人から『手伝ってくれ』と言われた時、これは面白い、この二人を基本にしてやるんなら、これは結構台風の目になるな、と。
これ、外れたら私はもうこの業界から離れて行かなければならないな、というくらい覚悟を決めてやっております」(藤川氏) ただ、藤川氏もデヴィ夫人に負けない犬猫好きなことも背景にあるようだ。
「僕なんか一時は、犬2匹と猫12匹と暮らしてたくらいですから。散歩すると5、6匹猫がついて来て、結構好きなんです。特に黒猫が大好き。昔付き合った女には全部黒猫を提供するんです。そうしたらほら、(女性は外で)変な遊び方しなくなるでしょ?
みんな(猫の世話をするために)家帰るでしょ? 『黒猫の藤川』と呼ばれたよ(笑)」 参院選は早くも熱くなってきた。
2025.2.13より引用