江藤拓農相は7日の閣議後記者会見で、コメ価格の高騰を踏まえ、政府備蓄米を早期に放出する考えを表明した。
「ここまできたら行わないということは現実的にあり得ない」と話した。売り渡し数量といった入札の実施概要については「早ければ14日にも発表する」と述べた。
コメの流通円滑化を目的とした政府備蓄米の放出は、実施すれば初めてとなる。
石破茂首相から4日に政府備蓄米放出の早期実行を促されたことを受け、江藤氏は「条件の提示が終わった後はコメを渡す手続きを急ぎたい」と説明した。
足元では米価が高騰しており、江藤氏は「極端な値上がりは消費者のコメ離れにつながってしまう」との危機感も示した。
政府は1月31日に全国農業協同組合連合会(JA全農)などの集荷業者を対象に、国が買い戻し条件付きで販売できるよう運用を見直した。
政府備蓄米は食料危機に備えて一定量のコメを国が保管する制度で、1993年の大凶作を受けて95年に制度化した。10年に1度の不作にも耐えられるよう、100万トンを目安に備蓄している。
これまで政府備蓄米の放出は不作による供給不足が生じた時や、地震といった緊急時に限っていた。
24年産米の生産量は679万トンと前年比18万トン(3%)増だったが、足元の流通量は不足している。
JAを含む大手の集荷業者が農家から買い集めた24年産米は24年12月末時点で前年同月比20.6万トン減った。