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膨らむ軍事費、防衛株押し上げ 世界330兆円過去最大

2024-02-19 05:12:51 | 安全保障、戦争・軍事・テロ・ハニトラ、マフィア、スパイ・犯罪・詐欺


    ロシアのウクライナ侵攻は丸2年を迎える=ロイター

 

 

英シンクタンクの国際戦略研究所(IISS)は世界の軍事情勢を分析した「ミリタリー・バランス」の2024年版を公表した。

23年の世界の軍事費は前年比9%増の2兆1999億ドル(約330兆円)と過去最大を更新した。全体の77%にあたる118カ国・地域が増やした。

 

ロシアのウクライナ侵攻や米中対立、中東情勢の緊迫で、抑止力の確保に向けた兵器の増強が進む。

23年の世界の軍事費はウクライナ侵攻前の21年から15%増えた。IISSは24年も最大を更新するとみる。

 

ロシアの脅威で欧州の増加目立つ

全体の4割を占める米国は9054億ドルで8%増やした。2位は2194億ドルの中国、3位は747億ドルのロシアでいずれもドルベースではほぼ横ばい。それぞれ人民元とルーブルに換算すると、5%と25%の増加となった。

増額が目立ったのは欧州だ。ロシアの脅威の高まりを受け、ウクライナに兵器を提供しながら自国の防衛力の強化も必要になった。国防費を国内総生産(GDP)の2%に引き上げると宣言したドイツは20%増やした。フランスは11%、英国は2%増加した。

 

ロシアがウクライナ南部のクリミア半島を併合した14年以降、北大西洋条約機構(NATO)に加盟する欧州諸国の軍事費は累計32%増えている。

IISSは「ロシアの行為がいかに西側諸国を突き動かしたかを示している」と指摘する。

 

長年の投資不足で低下していた欧州の防衛産業の生産能力は回復しつつある。

ウクライナ支援の打ち切りやNATO加盟国の防衛義務を順守しない可能性に言及したトランプ前米大統領が復帰すれば、欧州にさらなる軍事費の増額圧力がかかる。

 

米欧の支援を受けて戦闘を続けるウクライナは8.7倍の308億ドルに増やした。22年の50位圏外から13位に浮上した。

日本は4%増の490億ドルだった。防衛力整備計画の初年度の23年度予算で大幅に積み増したものの、円安の影響でドルベースでは伸びが縮んだ。サウジアラビアに抜かれ、8位から9位に後退した。

 

21〜23年の軍事費を比較できる153カ国・地域を分析すると、22年に前年比で増やしたのは53%の81カ国だった。23年は77%の118カ国・地域に広がった。

冷戦の終結後、世界的に軍縮機運が高まったが、米国は01年の同時多発テロ以降、テロ対策として増強に転じた。ウクライナ戦争や東アジア情勢の緊迫で増強が世界に広がる。

 

23年は世界的なインフレが押し上げた面もある。それでもIISSによるとインフレの影響を除いた実質ベースでも5.7%伸びた。

 

スウェーデンのサーブ株は上昇基調

 

 

世界の防衛関連株の株価は欧州を中心に上昇基調が続く。

ロシアのウクライナ侵攻前の22年1月末と24年1月末の株価を比べると、戦闘機を手がけるスウェーデンのサーブが3.1倍、イタリアのヘリコプターのレオナルドや独レーダーのヘンソルトが2.3〜2.5倍となった。

 

軍需品は発注から納入までに時間がかかり、点検や修理をしながら長期間使い続ける。

多くの国は複数年にわたって予算を組むという構造的な要因もあり、投資家は長期にわたる業績拡大を期待している。

 

23年4月には防衛関連株を組み入れた欧州で初めての上場投資信託(ETF)が登場するなど、マネーが入りやすくなっている。

欧州では製品が人を殺傷する役割を持つ防衛産業に対して否定的な見方が多かった。

 

ただロシアの理不尽な攻撃に抵抗するための武器の供与は、民主主義や人権を守るために必要な手段だとの認識が広がった。

スウェーデンやデンマークといったESGを重視する北欧諸国が、ロシアの脅威をより身近に感じることで武器支援を後押しする立場に変わっている。

(ロンドン=江渕智弘、大西康平)

[日経ヴェリタス2024年2月18日号]

 

日経記事 2024.02.19より引用

 

 


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