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WFP事務局長、ロシアの合意離脱で「3億人に食料不安」

2023-08-17 14:38:07 | NATO・ウクライナ・ロシア・中国・中東情勢


   シンディ・マケインWFP事務局長はロシアが食料を武器にしている批判した(15日、シドニー)

 

【シドニー=今橋瑠璃華】オーストラリアを訪問中のシンディ・マケイン国連世界食糧計画(WFP)事務局長が15日、日本経済新聞の取材に応じた。ロシアの穀物合意離脱により、世界で食料不安に直面している3億4500万人に一層の影響が及ぶ可能性があると警告した。

ロシアは7月、黒海で穀物を輸送する船舶の航行を認める合意から離脱した。17日で離脱から1カ月を迎える。ウクライナ産小麦などの輸出が阻まれ、アフリカ諸国を含む穀物輸入国で食料危機の懸念が高まっている。

マケイン氏は「ロシアは食料を戦争の武器として使っている」と批判した。WFPによると、3億4500万人のうち約4000万人は飢餓の一歩手前にあり、ウクライナ戦争による穀物価格高騰に最も脆弱だという。

ロシアの合意離脱は「世界的な穀物不足だけでなく、栄養失調や深刻な飢餓につながっている」と指摘。「緊急のニーズに対応しつつ長期的な回復も支援し続けられるよう、資金提供の水準を維持することが課題だ」と述べた。

WFPは国連の食料支援機関で、世界から飢餓をなくすことを目的としている。2020年にはノーベル平和賞を受賞した。

アフリカの政情不安も懸念材料だ。7月に軍事クーデターが起きた西アフリカのニジェールについて、マケイン氏は「非常に深刻な事態」と懸念を表明した。

WFPによると、ニジェールではクーデター前に430万人が人道支援を必要としていた。マケイン氏は人々が政情不安から逃れようと北上すれば、欧州や他の地域にも影響が広がりうると述べた。

燃料や食料価格高騰で支援コストは上昇している。マケイン氏は穀物不足により、一部で食料支援を削減せざるを得なかったと明らかにした。国際社会に「紛争や気候変動の影響を直接受ける最も脆弱な人々を守るため、世界は一丸となって取り組むべきだ」と継続的な支援を訴えた。

深刻化する気候変動も食料供給の脅威だ。マケイン氏は豪州訪問前にフィジーを訪れた。島しょ国では海面や水温の上昇、頻発する異常気象で村や小規模農家が被害を受けている。南太平洋ではサイクロンが頻発する10月を控え、災害対応に関心が高まっている。

WFPは太平洋地域で食料を直接提供していない。政府の災害対応支援のほか、水位上昇の影響を受けにくい場所に作物を植えるよう農家に促すといった支援を行っている。マケイン氏は「島しょ国が災害へ備え、自力で対処できるよう手助けしている」と語った。

島しょ国では大国の影響力争いが激化し、様々な国が気候変動対策支援を打ち出している。マケイン氏は太平洋における覇権争いを巡っては「政治は政治家に任せる」と述べるにとどめた。

そのうえで「気候変動の影響がますます目に見えるようになってきた」ことが各国の関心の背景にあると指摘した。

Cindy McCain 外交官として活動し、2023年4月にWFPの事務局長に就任した。米共和党重鎮の故ジョン・マケイン氏の妻としても知られる。バイデン米大統領の政権移行チームの諮問委員会にも加わるなどバイデン氏にも近い。

 

 

日経記事  2023.08.17より引用

 

 



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